授業名 | International Taxation |
---|---|
Course Title | International Taxation |
担当教員 Instructor Name | 中村 信行(Nobuyuki Nakamura) |
コード Couse Code | TAP206_G22N |
授業形態 Class Type | 講義 Regular course |
授業形式 Class Format | On Campus |
単位 Credits | 2 |
言語 Language | JP |
科目区分 Course Category | 応用科目200系 / Applied |
学位 Degree | MSc in Tax & Accountancy |
開講情報 Terms / Location | 2022 GSM Nagoya Fall |
授業の概要 Course Overview
Misson Statementとの関係性 / Connection to our Mission Statement
税は経済社会のインフラであり、その専門家を育成することは、ビジネス界や社会を支える人材を育成することです。法律・通達からでは直ちに解決できない税の問題に対し、イノベーティブで倫理観ある判断ができる人材を育成します。
Taxes are the infrastructure of the economy and society, and developing tax specialists is to develop human resources who support the business world and society. Foster human resources who can make innovative and ethical decisions on tax issues that cannot be resolved immediately by articles or notification.
授業の目的(意義) / Importance of this course
企業が国際的な領域に活動を踏み入れれば、国際課税の問題に接することになります。国際課税は、法人税や所得税といった各税目のうち、国際的な取引に関するものを取り出して扱う分野ですが、各税法に基づくそれぞれの税目の一部ではあります。
しかし、この分野は、一般の法人税や所得税(基本的に国内取引で完結する。)にはでてこない原理原則が付加されて、より複雑な分析が必要となります。国際課税独特の制度もいくつも用意されています。
国際課税を学ぶということは、各税目の基礎にプラスされる国際課税部分を学ぶことになりますので、授業では、各税目の基本は共有されている前提で話を進めます。法人税を履修しておくことは必須、所得税についても履修に準ずる知識が必要です。加えて、消費税や相続税も基本的な仕組みは知っておく必要があります。
具体的な事件の理解を通じて、生きた具体的な法である判例理論を修得することができます。
国際課税の場合は、実際に動いている仕組みを理解することに加え、「何に課税すべきか」という規範的・倫理的な議論も許されるし必要です。多様な価値観を交わしてください。
しかし、この分野は、一般の法人税や所得税(基本的に国内取引で完結する。)にはでてこない原理原則が付加されて、より複雑な分析が必要となります。国際課税独特の制度もいくつも用意されています。
国際課税を学ぶということは、各税目の基礎にプラスされる国際課税部分を学ぶことになりますので、授業では、各税目の基本は共有されている前提で話を進めます。法人税を履修しておくことは必須、所得税についても履修に準ずる知識が必要です。加えて、消費税や相続税も基本的な仕組みは知っておく必要があります。
具体的な事件の理解を通じて、生きた具体的な法である判例理論を修得することができます。
国際課税の場合は、実際に動いている仕組みを理解することに加え、「何に課税すべきか」という規範的・倫理的な議論も許されるし必要です。多様な価値観を交わしてください。
As companies move into the international arena, they are exposed to the issue of international taxation. International taxation is a field that deals with international transactions out of each tax item, such as corporate tax and income tax, but it is a part of each tax item based on each tax law.
However, this field contains additional principles that do not appear in general corporate tax or income tax (basically assumed to be completed within domestic transactions) and requires a more complicated analysis. It is incorporated with various systems unique to international taxation.
As learning international taxation means learning the international taxation part on top to the basics of each tax item, the lecture assumes that the basics of each tax item are shared. It is essential to take corporate tax, and knowledge equivalent to taking income tax is also required. In addition, it is necessary to know the basic mechanism of consumption tax and inheritance tax.
Learning through the specific cases cultivates practical skills by acquiring the case theory which is a living concrete law.
In the area of international taxation, in addition to understanding the mechanism that actually works, normative and ethical discussions on "what should be taxed" are allowed and necessary. I want you to exchange diverse values.
However, this field contains additional principles that do not appear in general corporate tax or income tax (basically assumed to be completed within domestic transactions) and requires a more complicated analysis. It is incorporated with various systems unique to international taxation.
As learning international taxation means learning the international taxation part on top to the basics of each tax item, the lecture assumes that the basics of each tax item are shared. It is essential to take corporate tax, and knowledge equivalent to taking income tax is also required. In addition, it is necessary to know the basic mechanism of consumption tax and inheritance tax.
Learning through the specific cases cultivates practical skills by acquiring the case theory which is a living concrete law.
In the area of international taxation, in addition to understanding the mechanism that actually works, normative and ethical discussions on "what should be taxed" are allowed and necessary. I want you to exchange diverse values.
到達目標 / Achievement Goal
この授業の学習目標は,国際課税の基本を理解したうえで,国際課税において生じる問題について、適切な解決方法を考え出す力を身につけることです。
本講義は、判例研究を主としたケースメソッドにより実施します。受講生間のディスカッションを通して、受講者を主体とした学修体験により、知識の修得に加え受講生の実務家としての視野を広げることを目標とします。
本講義は、判例研究を主としたケースメソッドにより実施します。受講生間のディスカッションを通して、受講者を主体とした学修体験により、知識の修得に加え受講生の実務家としての視野を広げることを目標とします。
The learning goal of this class is to understand the basics of international taxation and to acquire the ability to come up with appropriate solutions to problems that arise in international taxation.
This lecture will be conducted by a case method that focuses on case law research. Through discussions among students, we aim to broaden the view of a student as a practitioner, in addition to acquiring knowledge, through student-centered learning experiences.
This lecture will be conducted by a case method that focuses on case law research. Through discussions among students, we aim to broaden the view of a student as a practitioner, in addition to acquiring knowledge, through student-centered learning experiences.
本授業の該当ラーニングゴール Learning Goals
*本学の教育ミッションを具現化する形で設定されています。
LG1 Critical Thinking
LG2 Diversity Awareness
LG4 Effective Communication
LG7 Global Perspective (GLP)
LG8 Tax Accounting Consulting Skills (MSc)
LG2 Diversity Awareness
LG4 Effective Communication
LG7 Global Perspective (GLP)
LG8 Tax Accounting Consulting Skills (MSc)
受講後得られる具体的スキルや知識 Learning Outcomes
国際課税の領域は膨大です。限られた時間で、基本的なことを学ぶことになります。基本が分かれば、独特の制度がなぜ必要か、制度設計には何が重要かといったことを理解することができるでしょう。そして、よく出てくる場面を対象に具体的な問題解決も試みます。こうして、受講者の今後の学習と経験のための基礎としての役割を担うものです。
The area of international taxation is very vast. In this limited time frame, we can learn the basics. If you hold down the basics of international taxation, you can see why a unique system is necessary and what is important for designing the system. Then, we will try to address some typical issues that often appear in practice. In this way, it serves as the basis for students' future learning and experience .
SDGsとの関連性 Relevance to Sustainable Development Goals
Goal 4 質の高い教育をみんなに(Quality Education)
教育手法 Teaching Method
教育手法 Teaching Method | % of Course Time | |
---|---|---|
インプット型 Traditional | 40 % | |
参加者中心型 Participant-Centered Learning | ケースメソッド Case Method | 60 % |
フィールドメソッド Field Method | 0 % | 合計 Total | 100 % |
事前学修と事後学修の内容、レポート、課題に対するフィードバック方法 Pre- and Post-Course Learning, Report, Feedback methods
受講生は、本講義の開講までに、教科書にある事例と、判例を基にしたケース事例を予習しておくことが基本です。1ケースあたり3時間の予習が必要です。
国際課税に関する事例の場合は、基となる制度から理解しないといけませんので、制度の勉強も必要となります。制度の理解は、条文を読むことが基本ですが、国際課税制度の条文は一筋縄ではいかないものが多く、骨格となる条項をみつけ、概説書とを何度も往復しないと理解できないことが多いです。
国際課税の基本は「日本の国内法の骨子を一言に要約するならば、『居住者・内国法人に対しては居住地管轄に基づき全世界所得に課税し、非居住者・外国法人に対しては源泉地管轄に基づき国内源泉所得に課税する』ということになる」です(増井・宮崎「国際租税法(第4版)」P5)。
ポンチ絵としては、財務省HP(https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/international/index.htm)、
簡単な解説書としては、税務大学校講本「税法入門」の国際課税の章
(https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/kohon/nyuumon/pdf/05.pdf#page=1)があります。
授業では、事例分析と議論を通じて、背景となる制度とともに各事案を分析します。国際課税においては、どこに所得が発生し、どこが課税すべきかという「べき」論も重要であり、規範的・倫理的な意見も歓迎します。
国際課税に関する事例の場合は、基となる制度から理解しないといけませんので、制度の勉強も必要となります。制度の理解は、条文を読むことが基本ですが、国際課税制度の条文は一筋縄ではいかないものが多く、骨格となる条項をみつけ、概説書とを何度も往復しないと理解できないことが多いです。
国際課税の基本は「日本の国内法の骨子を一言に要約するならば、『居住者・内国法人に対しては居住地管轄に基づき全世界所得に課税し、非居住者・外国法人に対しては源泉地管轄に基づき国内源泉所得に課税する』ということになる」です(増井・宮崎「国際租税法(第4版)」P5)。
ポンチ絵としては、財務省HP(https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/international/index.htm)、
簡単な解説書としては、税務大学校講本「税法入門」の国際課税の章
(https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/kohon/nyuumon/pdf/05.pdf#page=1)があります。
授業では、事例分析と議論を通じて、背景となる制度とともに各事案を分析します。国際課税においては、どこに所得が発生し、どこが課税すべきかという「べき」論も重要であり、規範的・倫理的な意見も歓迎します。
授業スケジュール Course Schedule
第1日(Day1)
テーマ:非居住者/外国法人への課税Ⅰ、居住者/内国法人への課税Ⅰ非居住者/外国法人への課税の仕組みについては、国内税法の規定に基づく、国内源泉所得への課税を取り上げる。
居住者/内国法人への課税の仕組みについては、全世界所得課税と外国税額控除を取り上げる。
●使用するケース
恒久的施設の事例、外国法人に対する源泉課税の事例、外国税額控除の事例第2日(Day2)
テーマ:居住者・内国法人への課税Ⅱ 消費課税居住者・内国法人への課税のうち、外国子会社の所得の取り扱いを取り上げる。外国子会社の所得については、配当として受け取れば益金不算入制度により二重課税の調整が行われ、低課税国に所在する場合は合算課税が行われるという仕組みになっており、これを全世界所得課税の考えのもとで理解する。さらに、国際取引における消費税の扱いを取り上げる。
●使用するケース
外国子会社合算税制の事例、外国の事業体の法人性が争われた事例第3日(Day3)
テーマ:非居住者/外国法人への課税Ⅱ 国外関連会社との取引に関する税制非居住者/外国法人への課税の仕組みについては、国内法の規定に基づく国内源泉所得への課税が、租税条約によりどのように修正されるかを取り上げる。
次いで、非居住者/外国法人、居住者/内国法人双方に共通する国際課税における重要な課題として、国外関連会社との間での取引による国際的な利益移転の防止がある。これに対処するには、寄附金税制のほか、移転価格税制や過少資本税制・過大利子支払税制といった制度が設けられており、これらを取り上げる。
●使用するケース
恒久的施設の事例、外国法人に対する源泉課税の事例、関連者間取引の事例第4日(Day4)
テーマ:国際課税における事例研究、デジタル課税重要判例を基に、ここまで学んだ国際課税の基本的枠組みをあてはめて、問題の所在、解決策を議論する。
最後に、現在国際的に議論されているデジタル課税について取り上げる。
●使用するケース
国際課税の重要判例(移転価格税制等)成績評価方法 Evaluation Criteria
*成績は下記該当項目を基に決定されます。
*クラス貢献度合計はコールドコールと授業内での挙手発言の合算値です。
*クラス貢献度合計はコールドコールと授業内での挙手発言の合算値です。
講師用内規準拠 Method of Assessment | Weights |
---|---|
コールドコール Cold Call | 0 % |
授業内での挙手発言 Class Contribution | 40 % |
クラス貢献度合計 Class Contribution Total | 40 % |
予習レポート Preparation Report | 30 % |
小テスト Quizzes / Tests | 0 % |
シミュレーション成績 Simulation | 0 % |
ケース試験 Case Exam | 0 % |
最終レポート Final Report | 0 % |
期末試験 Final Exam | 30 % |
参加者による相互評価 Peer Assessment | 0 % |
合計 Total | 100 % |
評価の留意事項 Notes on Evaluation Criteria
教科書 Textbook
- 藤本哲也「設例から考える国際租税法」中央経済社(2019)9784502300417
- 中里実ほか「租税判例百選(第7版)」有斐閣(2021)9784641115538
- 中里実ほか「租税法 判例六法(第5版)」有斐閣(2021)9784641001572
参考文献・資料 Additional Readings and Resource
租税判例百選(第6版)、租税法判例六法(第4版)を既に持っているのであれば、新版を購入する必要はない。
租税法概説(第4版)中里実他 有斐閣(2021)のうち、「第8章国際課税」の部分
基礎から身につく国際課税(令和3年度版) 川田剛 大蔵財務協会(2021)
租税法(第24版) 金子宏 弘文堂(2021)
租税法概説(第4版)中里実他 有斐閣(2021)のうち、「第8章国際課税」の部分
基礎から身につく国際課税(令和3年度版) 川田剛 大蔵財務協会(2021)
租税法(第24版) 金子宏 弘文堂(2021)
授業調査に対するコメント Comment on Course Evaluation
国際税法について4日間でかなり盛りだくさんでしたが、体系的に学ぶことができました。
担当教員のプロフィール About the Instructor
1984年東京大学法学部卒業後、大蔵省(現財務省)入省。主税局税制企画室長、主税局参事官(国際租税担当)、福岡国税局長、国税庁調査査察部長、国税不服審判所次長を経て、主に税制の企画及び税務執行の職務に従事。このほか、主計局、金融庁、内閣官房等においても勤務。スタンフォードMBA(1988年)。
【著作】
移転価格訴訟の将来展望(国際取引法学会9号 2024年3月)
外国事業体の法人該当性再考(税務事例 2023年7月)
企業買収において受贈益が生じた事例(税務事例 2023年1月)
資本剰余金と利益剰余金の双方を原資とする配当(混合配当)について(税務事例 2021年12月)
所得税と相続税・贈与税の二重課税論の着地点 (税大ジャーナル 2021年2月)
移転価格税制における残余利益の分割要因(国際商事法務 2021年11月)
CBC報告書の活用について(租税研究 2022年2月)
国税不服審判所裁決の動き(令和元年度~令和四年度)(税務事例)
協議団の発展 (税大ジャーナル 2020年7月)
カナダのGAARにおける濫用基準(国際商事法務 2022年5月)
インドの国際課税政策(租税研究 2021年5月)
中国BEPS後の動向について (租税研究 2020年9月)
米国税制改革の世界的な意味 (租税研究 2019年2月)
EUの2016年CCTB・CCCTB提案について (租税研究 2018年1月)
Tax Control Framework (TCF)について : 大企業の税務コンプライアンスにおける「税務統制の枠組み」(租税研究 2017年8月)
Action15(多国間協定)報告書について (租税研究 2016年8月)
効果的な税務コンプライアンスの確保に関する国際的な議論の動向 (共著) (租税研究 2015年7月)
【著作】
移転価格訴訟の将来展望(国際取引法学会9号 2024年3月)
外国事業体の法人該当性再考(税務事例 2023年7月)
企業買収において受贈益が生じた事例(税務事例 2023年1月)
資本剰余金と利益剰余金の双方を原資とする配当(混合配当)について(税務事例 2021年12月)
所得税と相続税・贈与税の二重課税論の着地点 (税大ジャーナル 2021年2月)
移転価格税制における残余利益の分割要因(国際商事法務 2021年11月)
CBC報告書の活用について(租税研究 2022年2月)
国税不服審判所裁決の動き(令和元年度~令和四年度)(税務事例)
協議団の発展 (税大ジャーナル 2020年7月)
カナダのGAARにおける濫用基準(国際商事法務 2022年5月)
インドの国際課税政策(租税研究 2021年5月)
中国BEPS後の動向について (租税研究 2020年9月)
米国税制改革の世界的な意味 (租税研究 2019年2月)
EUの2016年CCTB・CCCTB提案について (租税研究 2018年1月)
Tax Control Framework (TCF)について : 大企業の税務コンプライアンスにおける「税務統制の枠組み」(租税研究 2017年8月)
Action15(多国間協定)報告書について (租税研究 2016年8月)
効果的な税務コンプライアンスの確保に関する国際的な議論の動向 (共著) (租税研究 2015年7月)
I joined Ministry of Finance after I graduated from Univ. of Tokyo, Dept. of Law in 1984.
Since then, I pursued the carrier in the Ministry including the assignment to Tax Bureau (Head of Tax Law Planning Office and Council for International Taxation) and to National Tax Agency (Director-General of Fukuoka Regional Tax Office, Deputy Commissioner of National Tax Agency (in charge of large corporation tax compliance and tax fraud) , Vice Commissioner of National Tax Tribunal). Other than tax, my carrier includes postings to Budget Bureau, Financial Service Agency and Cabinet Office.
I was a graduate of Stanford GSB, a class of 1988.
Refereed Articles
- (2024) Taxaton on Loan for Use in Business Succession Planning. Journal of Business Succession (13):
- (2024) Prospect of Transactional Net Margin Method: Implicaitions derived from disputed cases. Tax Jurisprudence 591 9784433477448
- (2024) Prior period adjustment and tax treatment---How "accounting standards generally accepted as fair and approriate" works---. Journal of Japan Society for Management Accounting 27(1): 1349-0419
- (2024) Prospects of Transfer Pricing Litigation. The Japanese Association of International Business Law 9(9): 24240753