シラバス Syllabus

授業名 Tax Law
Course Title Tax Law
担当教員 Instructor Name 中村 信行(Nobuyuki Nakamura)
コード Couse Code TAP202_G24T
授業形態 Class Type 講義 Regular course
授業形式 Class Format On Campus
単位 Credits 2
言語 Language JP
科目区分 Course Category 基礎科目100系 / Basic
学位 Degree MSc in Tax & Accountancy
開講情報 Terms / Location 2024 GSM Tokyo Fall

授業の概要 Course Overview

Misson Statementとの関係性 / Connection to our Mission Statement

税は経済社会のインフラであり、その専門家を育成することは、ビジネス界や社会を支える人材を育成することです。法律・通達からでは直ちに解決できない税の問題に対し、イノベーティブで倫理観ある判断ができる人材を育成します。
Taxes are the infrastructure of the economy and society, and developing tax specialists is to develop human resources who support the business world and society. Foster human resources who can make innovative and ethical decisions on tax issues that cannot be resolved immediately by articles or notification.

授業の目的(意義) / Importance of this course

各税目は法律(租税法)によって成り立っています。税を算定し納付することは全て法律の根拠に基づいています。
税理士を目指す者は、今後の実務で、法令・通達からでは直ちに解決できない税の問題に直面するでしょう。そのときには、条文や先例を基にして、自分の頭で解決策を考えなければなりません。また、税務署の指摘に対し、その当否を考え、場合によっては争うことが必要になるかもしれません。そのようなときに役立つ条文の読み方や、論理構成の仕方を、事例研究を通じて学んでいきます。
この講義では、租税法という広大な領域に対して、この領域のごく入口部分、基本的な事柄しか学ぶことができませんし、各税目についても簡単にしか触れることはできません。しかし、どの税目にも通じる考え方にふれることで、本講座が受講者の今後の学習と経験のための基礎としての役割を担うものと考えていいます。
Each tax item is made up of laws (tax law). All tax calculations and payments are based on tax law provisions.
Those who will pursue tax accountant carrier will face tax problems that cannot be solved immediately by laws and regulations in their future practice. At that time, you have to come up with a solution by yourself based on the law articles and precedents. In addition, it may be necessary to consider the validity of the tax office's indications and, in some cases, dispute. Through case studies, we will learn to address such cases, by reading law provisions and constructing the logic
In this lecture, you can learn only the very basic matters of this area compared to vast area of tax law and you can only briefly touch on each tax. However, I believe that, by acquiring analytical skills that are common to all tax items, this lecture will serve as the basis for students' future learning and experience .

到達目標 / Achievement Goal

この授業の学習目標は,租税法の基本を理解したうえで,条文を読みこなし,適切な先例を参照しながら,さまざまな取引に適切にあてはめる力を身につけることです。
この授業で扱う判例(裁決)は、各税目の重要論点に触れるものであるとともに、税務に関わる者であれば、法律の専門家ではなくても知っておくべき常識に属するものですから、税務に関する基礎的な知識を身につけることにもなるでしょう。
本講義は、判例研究を主としたケースメソッドにより実施します。受講生間のディスカッションを通して、受講者を主体とした学修体験により、知識の修得に加え受講生の実務家としての視野を広げることを目標とします。

The learning goal of this class is to understand the basics of tax law and acquire the ability to read the tax law provisions, to refer to appropriate precedents and to appropriately apply to various transactions.
The judicial precedents dealt with in this class contain important issues in each tax perspective and they can be said to be common knowledge that should be shared even among non-legal tax specialists. So it comes to that you acquire basic knowledge about tax affairs.
This lecture will be conducted by a case method that focuses on case law research. Through discussions among students, we aim to broaden the view of a student as a practitioner, in addition to acquiring knowledge, through student-centered learning experiences.

本授業の該当ラーニングゴール Learning Goals

*本学の教育ミッションを具現化する形で設定されています。

LG1 Critical Thinking
LG2 Diversity Awareness
LG3 Ethical Decision Making
LG4 Effective Communication
LG8 Tax Accounting Consulting Skills (MSc)

受講後得られる具体的スキルや知識 Learning Outcomes

判例に基づく事例研究を通じて、まず事案の概要を捉えたうえで、事実認定、争点整理、判断方法を分析し、法律問題を解決するうえでの基本的な手法である「法的三段論法」を学びます。そして、具体的な事件の理解を通じて、判決がどのような解決を図ったか、その理論的背景、判決が与える影響等を研究します。こうして、生きた具体的な法である判例理論を修得し実践力を培います。事案は、主として租税判例百選から選んでおり、税法を学ぶうえで知っておくべき重要判例でもあります。

Through case studies based on judicial precedents., first you will grasp the outline of the case and then analyze fact-finding, arranging issues, and judging methods, thus you will learn "legal syllogism", which is a basic method for solving legal problems. Then, through understanding the specific case, we will study what kind of solution the judgment has made, its theoretical background, and the impact of the judgment. In this way, you will acquire case theories which are living concrete laws and will cultivate practical skills. Those cases, mainly chosen from a book “Selected 100 tax law cases (Sozei Hanrei 100 sen),” are important cases that you should know in learning tax law,

SDGsとの関連性 Relevance to Sustainable Development Goals

Goal 4 質の高い教育をみんなに(Quality Education)

教育手法 Teaching Method

教育手法 Teaching Method % of Course Time
インプット型 Traditional 30 %
参加者中心型 Participant-Centered Learning ケースメソッド Case Method 70 %
フィールドメソッド Field Method 0 %
合計 Total 100 %

事前学修と事後学修の内容、レポート、課題に対するフィードバック方法 Pre- and Post-Course Learning, Report, Feedback methods

各事例について、以下のような、二段階の分析を行っていきます。
第一段階は、事案に適用される条文の適用要件を考えながら、何が問題なのかを明らかにする段階です。具体的には、「事案の概要」と「審査請求の理由」を作成します(Stage1)。
第二段階は、何が問題かが明らかになったところで、争点整理表を作成し法的三段論法により結論を導く段階です(Stage2)。
学生には、事前の予習により、各事案についてStage1の分析を行い、レポートの提出(内容は別途指示)を求めます。作成過程で背景となる制度の自習が必要となります。それから、各事例の基となる判例等をグループ単位で割当てます。担当となった判例等について深度ある資料の用意を求めます。
授業では、クラス討論を通じてStage2の分析を行なっていきます。当事者や裁判所の考えを理解できればまずは十分ですが、主張として補足すべき点や、判旨の問題点などが見えてくればなおいいでしょう。
ここまでは、判例等の理解を基礎にするものですが、最後に、みずからの主張をもって論争し、判決を出すという段階があります(Stage3)。授業では、一日1事例を、Stage3まで到達すべく、模擬裁判を試みたいと思います。
事例は、判例(裁決)の事実関係を簡潔にまとめたものを提供します。必要であれば各段階の原判決(裁決)に遡って事実関係を確認してください(原判決(裁決)は自らダウンロードして入手してください。)。1ケースあたり、3時間の予習が必要です。
それから、何より基本は、税法の条文です。税法の条文は、事例適用時の法令の抜粋を付しているものもありますが、租税法判例六法は必携で、常に参照する習慣をつけてください。判例六法に収録されていないものは、別の法規集または、政府のe-Gov法令データベースから入手してください。

授業スケジュール Course Schedule

第1日(Day1)

テーマ 租税法解釈の基本(法的三段論法)
 税法解釈の基本パターンは、条文を読み込み、事実をあてはめ、争点を整理し、法的三段論法により結論を導くことです。本講義では、この基本パターンを、Stage1とStage2/3に分けて、税法解釈する方法を学ぶことを目的とします。サンプル事例でこの方法を具体的に体験した後、重要判例にあてはめて実践していきます。


●使用するケース
租税判例百選(第7版)のなかから選択した事例ほか(ホステス源徴事案、大島訴訟、岩瀬事案)

第2日(Day2)

テーマ 租税法解釈の基本(要件事実と事実認定)
 税法解釈において、条文を読み込み、条文が求める事実(要件事実)は何かを見つけ出すことが重要です。そして、事実の確定(事実認定)は最も重要です。判決文等では整理された事実関係が示されるのでその作業の実際は判りにくいですが、条文が求める事実は何かを考えながら必要な事実を摘出整理していくことが必要です。


●使用するケース
租税判例百選(第7版)のなかから選択した事例ほか(萬有製薬事案、武富士事案、国税徴収法事案)

第3日(Day3)

テーマ 租税法解釈の基本(私法との関係)、所得課税・消費課税の重要論点
租税法解釈の通則的論点として、私法との関係を取り上げます。所得課税、消費課税の基本に触れる論点として、
みなし譲渡及び仕入税額控除に関する事例を取り上げます。


●使用するケース
租税判例百選(第7版)のなかかから選択した事例ほか(租税法と私法の関係、みなし譲渡、仕入税額控除)

第4日(Day4)

テーマ 国税通則法の重要テーマ
国税通則法は、税法関係の基本的な事項ないし各税目の共通の事項について定めている法律です。そのなかで、重加算税、更正の請求、源泉徴収制度に関する事例を取り上げます。


●使用するケース
租税判例百選(第7版)のなかかから選択した事例ほか(重加算税、更正の請求、源泉徴収制度)

第5日(Day5)



第6日(Day6)



第7日(Day7)



成績評価方法 Evaluation Criteria

*成績は下記該当項目を基に決定されます。
*クラス貢献度合計はコールドコールと授業内での挙手発言の合算値です。
講師用内規準拠 Method of Assessment Weights
コールドコール Cold Call 0 %
授業内での挙手発言 Class Contribution 60 %
クラス貢献度合計 Class Contribution Total 60 %
予習レポート Preparation Report 40 %
小テスト Quizzes / Tests 0 %
シミュレーション成績 Simulation 0 %
ケース試験 Case Exam 0 %
最終レポート Final Report 0 %
期末試験 Final Exam 0 %
参加者による相互評価 Peer Assessment 0 %
合計 Total 100 %

評価の留意事項 Notes on Evaluation Criteria

使用ケース一覧 List of Cases

    ケースは使用しません。

教科書 Textbook

  • 水野忠恒編「テキストブック租税法(第3版)」中央経済社(2022)9784502405310
  • 中里実ほか「租税判例百選(第7版)」有斐閣(2021)9784641115538
  • 中里実ほか「租税法判例六法(第6版)」有斐閣(2023)9784641001602

参考文献・資料 Additional Readings and Resource

税法六法は、上掲のものでなくてもよいが必須。
前年使用していた教科書(岸田貞夫ほか「基礎から学ぶ現代税法(第5版)」)を持っている者は、「テキストブック租税法」を新たに購入する必要はない。
金子宏租税法(第24版)
入門課税要件論 中央経済社 木山泰嗣

授業調査に対するコメント Comment on Course Evaluation

幅広い税目を学習することができた。
判例を理解するうえで重要な事柄を身につけることができた。

担当教員のプロフィール About the Instructor 

1984年東京大学法学部卒業後、大蔵省(現財務省)入省。主税局税制企画室長、主税局参事官(国際租税担当)、福岡国税局長、国税庁調査査察部長、国税不服審判所次長を経て、主に税制の企画及び税務執行の職務に従事。このほか、主計局、金融庁、内閣官房等においても勤務。スタンフォードMBA(1988年)。

【著作】
移転価格訴訟の将来展望(国際取引法学会9号 2024年3月)
外国事業体の法人該当性再考(税務事例 2023年7月)
企業買収において受贈益が生じた事例(税務事例 2023年1月)
資本剰余金と利益剰余金の双方を原資とする配当(混合配当)について(税務事例 2021年12月)
所得税と相続税・贈与税の二重課税論の着地点 (税大ジャーナル 2021年2月)
移転価格税制における残余利益の分割要因(国際商事法務 2021年11月)
CBC報告書の活用について(租税研究 2022年2月)
国税不服審判所裁決の動き(令和元年度~令和四年度)(税務事例)
協議団の発展 (税大ジャーナル 2020年7月)
カナダのGAARにおける濫用基準(国際商事法務 2022年5月)
インドの国際課税政策(租税研究 2021年5月)
中国BEPS後の動向について (租税研究  2020年9月)
米国税制改革の世界的な意味 (租税研究  2019年2月)
EUの2016年CCTB・CCCTB提案について (租税研究 2018年1月)
Tax Control Framework (TCF)について : 大企業の税務コンプライアンスにおける「税務統制の枠組み」(租税研究 2017年8月)
Action15(多国間協定)報告書について (租税研究 2016年8月)
効果的な税務コンプライアンスの確保に関する国際的な議論の動向 (共著) (租税研究 2015年7月)

I joined Ministry of Finance after I graduated from Univ. of Tokyo, Dept. of Law in 1984.
Since then, I pursued the carrier in the Ministry including the assignment to Tax Bureau (Head of Tax Law Planning Office and Council for International Taxation) and to National Tax Agency (Director-General of Fukuoka Regional Tax Office, Deputy Commissioner of National Tax Agency (in charge of large corporation tax compliance and tax fraud) , Vice Commissioner of National Tax Tribunal). Other than tax, my carrier includes postings to Budget Bureau, Financial Service Agency and Cabinet Office. 
I was a graduate of Stanford GSB, a class of 1988.

Refereed Articles

  • (2024) Taxaton on Loan for Use in Business Succession Planning. Journal of Business Succession (13):
  • (2024) Prospect of Transactional Net Margin Method: Implicaitions derived from disputed cases. Tax Jurisprudence 591 9784433477448
  • (2024) Prior period adjustment and tax treatment---How "accounting standards generally accepted as fair and approriate" works---. Journal of Japan Society for Management Accounting 27(1): 1349-0419
  • (2024) Prospects of Transfer Pricing Litigation. The Japanese Association of International Business Law 9(9): 24240753






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