シラバス Syllabus

授業名 Managerial Decision Making
Course Title Managerial Decision Making
担当教員 Instructor Name 加登 豊(Yutaka Kato)
コード Couse Code TAP202_G24N
授業形態 Class Type 講義 Regular course
授業形式 Class Format On Campus
単位 Credits 2
言語 Language JP
科目区分 Course Category 応用科目200系 / Applied
学位 Degree MSc in Tax & Accountancy
開講情報 Terms / Location 2024 GSM Nagoya Fall

授業の概要 Course Overview

Misson Statementとの関係性 / Connection to our Mission Statement

経営上の様々な意思決定状況をケース・スタディを通じて追体験し経営管理能力を身につけることは、イノベーティブで倫理観を有するリーダーとなるためには不可欠である。優れたリーダーは、企業を含む組織の将来の成長・発展に貢献する。本講義を通じて、学生はビジネス界や社会の発展をもたらす知識の創出できるようになる。加えて、異文化理解能力を有するグローバル人材へと成長することができる。
Developing business management skills through case studies of various managerial decision-making situations is essential to becoming an innovative and ethical leader. Good leaders contribute to the future growth and development of organizations, including companies. Through this course, students will be able to acquire knowledge that will lead the development in the business world and society. In addition, they will become the personnel who have the ability to work in the cross-cultural setting.

授業の目的(意義) / Importance of this course

 経営は意思決定の連続です。経営をよりよい方向に導くためのイノバティブな意思決定はとても大切ですが、これまでどおりのやり方を続けるという行動も、実は、過去と同様にふるまうという意思決定なのです。本科目では、社会とビジネスの発展に貢献する次世代の倫理感あるリーダーが、経営意思決定(Managerial Decision Making)にあたって何を考え、どのように情報を収集し、上司・部下・仲間たちと円滑なコミュニケーションを図っているか、また、苦難に直面した時によりよいソリューションを導き出すにはどうすればよいかなどについて学びます。ケースで取り上げるテーマは多様です。トップマネジメントの意思決定、品質管理マネジャーの苦悩と解決策の模索、リコール問題への対処、新製品開発や新規事業への取り組み、海外への事業拡張、新しい設備の購入、社員の採用と育成など、多様な経営意思決定に関するケースを検討します。これらの検討を通じて、経営意思決定を適切に行える人材へと自らを引き上げることが可能となるでしょう。
 Management is a series of numerous decisions. Innovative decision making to improve management is very important, but continuing to do things the way you have always done is in fact a decision to behave in the same way as in the past. In this course, you will learn how the next generation of ethical leaders who will contribute to the development of society and business think about and gather information for managerial decision making, how they communicate smoothly with their superiors, subordinates, and peers, and how they can come up with better solutions when faced with hardships. How to find a better solution when faced with a difficult situation. The cases cover a variety of topics. We will examine cases related to a wide variety of management decisions, including top management decision making, quality control managers' struggles, dealing with recall issues, new product development and new business initiatives, overseas business expansion, capital investments, hiring and training employees, and more. Through these studies, you will be able to develop yourself into a person who is capable of making appropriate management decisions.

到達目標 / Achievement Goal

・経営意思決定の諸理論と理論間の関係が理解できる
・経営意思決定の策定・実施にあたっての管理会計の役割が理解できる
・経営意思決定にあたって、上司・部下の間のコミュニケーションの重要性がわかる
・経営意思決定を行う際のリーダーシップの役割を知ることができる

・You become to understand the various theories of managerial decision-making and the relationships among them,
・You can acquire the knowledge of managerial decision making,
・You will be able to understand the importance of communication between superiors and subordinates in managerial decision-making, and
・You can learn that leadership is the inevitable part of managerial decision making.

本授業の該当ラーニングゴール Learning Goals

*本学の教育ミッションを具現化する形で設定されています。

LG1 Critical Thinking
LG2 Diversity Awareness
LG4 Effective Communication
LG5 Executive Leadership (EMBA)
LG6 Innovative Leadership (MBA)

受講後得られる具体的スキルや知識 Learning Outcomes

・経営意思決定の諸理論と理論間の関係が理解できる
・経営意思決定の策定・実施にあたっての管理会計の役割が理解できる
・経営意思決定にあたって、上司・部下の間のコミュニケーションの重要性がわかる
・経営意思決定を行う際のリーダーシップの役割を知ることができる

・You become to understand the various theories of managerial decision-making and the relationships among them,
・You can acquire the knowledge of managerial decision making,
・You will be able to understand the importance of communication between superiors and subordinates in managerial decision-making, and
・You can learn that leadership is the inevitable part of managerial decision making.

SDGsとの関連性 Relevance to Sustainable Development Goals

Goal 4 質の高い教育をみんなに(Quality Education)

教育手法 Teaching Method

教育手法 Teaching Method % of Course Time
インプット型 Traditional 30 %
参加者中心型 Participant-Centered Learning ケースメソッド Case Method 70 %
フィールドメソッド Field Method 0 %
合計 Total 100 %

事前学修と事後学修の内容、レポート、課題に対するフィードバック方法 Pre- and Post-Course Learning, Report, Feedback methods

1 『マネジャーの実像』(1マネジメントがいちばん大事、2マネジメントのダイナミクス、3マネジメントのモデル)を読了しておいてください。教科書の予習については、事前課題の提出は必要ありません。
2『ゼミナール経営学入門』第II部「組織のマネジメント」を読了しておいてください。教科書の予習については、事前課題の提出は必要ありません。
3 ケースの読み込みおよび予習レポートの作成には最低限3時間は必要です。また、授業終了後、当日のうちに最低限2時間の「振り返り」を行い、自己成長のために気づきや反省点などのメモを作成してください(この「振り返り」メモの提出は必要ありませんが、メモについて講師に質問等がある場合には、申し出てください)。振り返りは、とても大切な作業です(棋士は「感想戦」によって棋力の向上を図っています)。
4 予習レポート:指定されたセッションについては、ケースに関して設定された設問に対しての回答を提出してください。書式は自由ですが、必ず文章で作成してください。箇条書きは不可とします。締切期限厳守で、この科目のGoogle Classroomに提出してください。

授業スケジュール Course Schedule

第1日(Day1)

DAY1①テーマ:危機を乗り越える意思決定(1):東北大震災
多くの企業が東日本大震災時に迅速に対応行動をとった。今回は、これら企業のうちからヤマト運輸を取り上げる。ヤマト運輸のビジネスモデルをまず理解し、ヤマトが震災時にとった行動から学びを得る。
予習レポートのための課題:
1『小倉昌男経営学』を読み、ヤマト運輸の歴史、特に近距離輸送事業から撤退し、宅急便事業に活路を求めたかを学習してください。
2 ケース「宅急便と「バリューネットワーキング構想」」を読み、下記の問いに回答してください。
・ヤマト運輸は、次々と新しいサービスに着手し成功しました。顧客のニーズをどのように把握したのでしょうか。
・ハブ・アンド・スポーク方式の物流システムのどこが優れているのでしょうか。
・ヤマトの強みはセールス・ドライバーにあるといわれています。その理由はどこにありますか。ヤマトはなぜ、セールス・ドライバーに物流業界で働いた者を採用しないのでしょうか。
3 ケース「東日本大震災(E):ヤマト運輸の対応」を読み、下記の問いに回答してください。
・岩手主管の地震発生後の行動を評価しなさい。
・ヤマトはどうして自衛隊の取り組みを主導できたのでしょうか。
・ヤマトの社員は、上司や本社からの指示を待たずに救援活動に従事しました。それはなぜ可能だったのでしょうか。
・寄付金の非課税化のための特定目的寄付の資格を得るための財務省との交渉について説明してください。ヤマトの立場と財務省の立場の両方から検討すること。

DAY1②テーマ:危機を乗り越える意思決定(2):Airbnbのビジネスモデルとステークホルダーとの関係
好調な経営を続けていて上場を直前に控えていたAirbnbは、コロナ禍によって多くの困難に直面することになりました。同社は、どのような対応を行ったでしょうか。同社のステークホルダーである、ゲスト、ホスト、従業員、株主などに対して時により優先度の異なる対応を行いましたが、それぞれの意思決定ではどのようなことが重視されたのでしょうか。
予習レポートのための課題:
1 同社の「空き部屋賃貸プラットフォーム」はどのような発想から生まれましたか。
2 プラットフォームの仕組みは時とともに変化しています。現在の形に落ち着くまでにどのような経緯をたどったでしょうか。
3 同社に対する宿泊税課税をめぐる州政府とのやりとりと最終結果をまとめてください。
4 株主第一主義とステークホルダー資本主義の対比を行ってください。
5 同社のコロナ禍での対応のうちで感銘を受けたものを一つ指摘し、なぜそれを評価するかを回答してください。
6 自由裁量コスト(discretionary costs)とはどのような費用のことをいいますか。

DAY1③テーマ:企業変革と経営者の役割:ドメスティックからグローバルへ
多くの国内企業の統合・合併を通じてLIXILは誕生した。特にその中心にあったのは、トステム(当初はトーヨーサッシ)とINAX(旧伊奈製陶)である。ケースの主要な登場人物である歴代の社長(潮田洋一郎、藤森義明、瀬戸欣哉)のもとで、同社のグローバル経営がどのように展開されたかを検討する。
LIXILは初代社長潮田洋一郎のもとでグローバルビジネス展開を目指し、後継の藤森義明のもとで2014年にドイツ企業グローヘを買収したが、その孫会社であるジョウユウは翌年に経営破綻する。2015年には、瀬戸欣哉が社長に就任する。本ケースでの主な検討事項は、瀬戸欣哉のアクションをめぐるものである。ドメスティックな企業がグローバル化を図る上での経営意思決定問題を検討する。
予習レポートのための課題:
1 ジョウユウの経営破綻をLIXILは未然に防ぐことはできなかったのでしょうか。
2 瀬戸欣也の社長就任直後のアクションについて評価しなさい。
3 LIXILには、5つの異なる文化がありました。瀬戸は企業文化の統合を目指しましたか、それとも、5つの文化を尊重しましたか。彼の行動の背景にはどのような考え方があったでしょうか。
4 瀬戸が取り組んだ変革活動(経営管理体制と組織構造)について、概要を説明しなさい。
5 2つのコアビジネス(LWTとLBT)の経営課題は何でしたか。その課題を克服するためにどのようなアクションがとられましたか。
6 ここまでの経緯を踏まえて、新中期戦略計画を評価しなさい。

DAY1④テーマ:多様性のマネジメント:外国籍社員
ダイバーシティとインクルージョンの重要性が叫ばれているにも関わらず、日本社会と日本企業における多様性の受容は遅々としたものである。本ケースでは、日本企業で働く外国籍社員を取り上げて、国際化、グローバル化、内なる国際化の問題を取り上げる。異文化のなかにどっぷりと浸かってみることがもしかすると大切なのかもしれない。「書をもって街にでる」ことの大切さも学べるとよい。
予習レポートのための課題:
1 主人公であるアディはA社のエンジニア募集に応募し、採用されることになった。そのときには、「英語能力だけあればよい」と言われていた。A社は、なぜ英語ができればよいといったのだろうか。しかし、入社してみると、日本語が必要だということがわかり、アディは懸命に日本語を学ぶようになる。どうして、この会社では日本語が必要なのだろうか。
2 アディを失わないために、A社のできることはなにか。
3 アディにとってA社にとどまることにはメリットがあるといえるのか。
4 グルーバル企業を目指すA社は、なぜ外国籍社員の採用を中止したのか。あなたはこの決定をどう評価しますか。



●使用するケース
DAY1①ケース:宅急便と「バリューネットワーキング構想」(IMDケース、2016年)、東日本大震災(E):ヤマト運輸の対応(HBSケース、2013年)
DAY1②ケース:コロナ禍とAirbnb: 岐路に立つステークホルダー資本主義(HBSケース、2021年)
DAY1③ケース:LIXILグループコーポレーション:古い産業に設立された新しい会社(HBSケース、2020年)
DAY1④ケース:日本企業で苦悩する外国籍社員(日本ケースセンターケース、2022年)

第2日(Day2)

DAY2①テーマ:海外事業の立て直し(日本システムの現地適応:異文化・異なる価値観・
異なる社会システムへの適合)
公文公がグローバルな教育方法だと信じている公文式教授法による教室事業は、アメリカでは当初の予想ほどうまくは進んでいない。その理由を検討することで、異文化・異なる価値観・異なる社会システムに適応するには、どのようなことへの配慮が必要かを学ぶ。
予習レポートのための課題:
1 公文式教育法はどのようにして生まれたかを説明しなさい。
2 事業の拡大に応じて、公文教育研究会はフランチャイズ制を導入しました。その理由は何ですか。
3 公文のフランチャイズシステムの概要を説明しなさい。
4 日本式のフランチャイズ制やマーケティング方法はなぜアメリカでは機能しなかったのでしょうか。
5 タシロ・ハルはどのようにして公文式を米国に定着させ、事業の拡大を目指せばいいのでしょうか。

DAY2②テーマ:起業家の夢(テスラ)
イーロンマスクは、1971年南アメリカ生まれの起業家です。ZIP2(インターネット上のシティ・ガイド、後にCompaqに売却)、Paypal (送金サービス会社、eBayに売却)などを経て資金を蓄積し、テスラへの出資やスペースXの起業に着手している。ここでは、テスラ事業に焦点を絞り、同社のビジネスを分析する。

予習レポートのための課題:
1 テスラ社の創設は2003年設立ですが、2009年にロードスター、続いて2012年に「Model S」セダン、2015年に「Model X」SUV、2017年「Model 3」セダン、2020年に「Model Y」クロスオーバーの販売を始めています。同社が設立6年後に最初の製品を発売して以降、コンスタントに車種を増やしています。どうしてそれが可能なのでしょうか。
2 電気自動車と内燃機自動車、それぞれのメリット・ディメリットを比較する表を作成してください。
3 電気自動車は内燃機自動車と比較して、走行距離の問題や燃料(電気)補給に問題があると言われていました。テスラは、この問題をどのように克服したのでしょうか。
4 テスラの西海岸の製造拠点はFremont, CAにあります。この工場は元NUMMI(トヨタとGMの合弁会社)のものでした。この工場の取得は、テスラにとってどのような意味があったでしょう。
5 あなたはテスラは、第二次世界大戦後に生まれたアメリカで初の自動車会社として成功を収めるとおもいますか。
6 イーロンマスクのビジネスの夢は何でしょう。

DAY2③テーマ:起業家による多角化戦略(AMAZONのWholeFoodsの買収)
創業者ジェフ・ベイゾスはニューヨークの証券マンのポジションを捨て、インターネットの可能性を追求する会社の設立を設立した。それが、Amazon.comです。ネット上で書籍、CD、DVD、Blu-rayなどの販売にとどまらず、あらゆる種類の物販を行ってきた。そして、2016年に画期的なレジなし小売店であるAmazon.goを立ち上げたほか、本ケースと取り上げられている富裕層向けスーパーマーケットであるホールフーズの買収にも踏み切った。この新規事業の成否を問うのが、課題である。
予習レポートのための課題:
1 アマゾンが取り組んだ物販以外の事業を列挙してください。これらの事業と既存のビジネスの間には、どのようなシナジーが想定されていたと思いますか。
2 Amazon.comやジェフ・ベゾスに関する書籍は数多く出版されています。これらの中から、あなたの「一押しの一冊」を教えてください。推奨理由を必ず付記してください。

DAY2④テーマ:レッドオーシャンからブルーオーシャンを生み出す
シルク・ドゥ・ソレイユはブルー・オーシャン戦略成功の典型例だと言われています。このグループの一連の経営意思決定を検討します。
予習レポートのための課題:
1 伝統的なサーカスの4つの要素とは何ですか。伝統的なサーカスでは、なぜスター演者が必要だったのでしょうか。
2 Great Show on Earth (Ringling Brothers and Barnum & Bailey’s Circus)はそれまでのサーカスと一線を画するものといわれていますが、その理由は何ですか。
3 サーカスにとってのビジネス上の脅威(サーカスの集客力を奪うもの)はなにだったでしょう。
4 シルク・ドゥ・ソレイユは、なぜ先祖返り(サーカスを劇場や専用の建物で興行する)したのでしょうか。
5 常設劇場での公演には、どのようなメリット・ディメリットがありますか。
6 シルク・ドゥ・ソレイユは、伝統的なサーカスから何を取り除き、何を新規に取り入れたのでしょうか。




●使用するケース
DAY2①ケース:米国公文教育研究会(HBSケース、1994年)
DAY2②ケース:テスラモーターズ(HBSケース、2013年)
DAY2 ③ケース:Amazon 2017年 (HBSケース、2018年)
DAY2④ケース:サーカス産業の発展(A)(INSEAD、2012年)、道化師だってできる:シルク・ドゥ・ソレイユがライブ・エンターテイメントを再生(INSEAD、2013年)

第3日(Day3)

DAY3①テーマ:ビジネスシステム(足腰を鍛える戦略)(1)AKB48
つんくや小室哲哉と並んで、エンターテイメント・ビジネスの革新者として秋元康は著名です。秋元が
手がけたAKB48というビジネスについて考えてみましょう。ビジネスシステムについては、『ゼミナール経営学入門(新装版)』、『ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件』、『日本のビジネスシステム -- その原理と革新』などで学習しておいてください。
予習レポートのための課題:
1 AKB48のビジネスモデルについて説明しなさい。
2 タレント養成にファン(オタク)が果たした役割はなんだったでしょうか。
3 秋元康はAKB48の初期の成功から、どのようにビジネスも拡張を目指したでしょうか。AKB48の主な特徴に照らして説明してください。
4 秋元康が日本で成功したAKB48の海外進出に勝算がある(日本のポップ・ミュージックの国境を越えた展開)と考えた根拠はどこにあるでしょうか。
5 あなたなら、AKB48の最初の進出先国として韓国、中国、台湾、インドネシア、タイ、フィリピンのいずれを選びますか。その理由もそえて提案してください。

DAY3②テーマ:ビジネスシステム(足腰を鍛える戦略)(2)京セラ
JAL再生に成功した稲盛和夫の経営手腕は高く評価されています。彼が創業した京セラには、注目すべきビジネスシステムのエッセンスが満載です。アメーバ経営や時間当たり採算制度、管理会計重視のマネジメントなどについて理解を深めます。
予習レポートのための課題:
1 アメーバ経営システムとはどのようなものですか。概要を説明してください。
2 京セラがアメーバ経営システムを採用する理由はなにですか。
3 アメーバの統廃合はアメーバ長の判断で行うことができます。このような組織構造の変更(統合や破棄)のメリットはどこにありますか。
4 アメーバ経営では、組織外の企業等との取引が自由に行えることになっています。このことの企業経営上の意味を明らかにしてください。
5 アメーバはコストセンターですか、それとも、プロフィットセンターですか。
6 時間当たり採算計算では人件費が対象外となっています。その理由はどこになるでしょうか。
7 アメーバ長の選任・交代はどのように行われますか。
8 アメーバ経営システムをアメリカで採用するためには、どのような工夫が必要になるでしょうか。

DAY3③テーマ:ものづくり意思決定(トヨタ)
日本の製造業(とりわけ、加工組立型産業に属する企業)を世界最高の地位にまで引き上げた経営の仕組みを
「ものづくり三種の神器」と呼ばれており、それは、JIT生産システム、TQM(Total Quality Management)、そして、原価企画で構成されています。このうちの二つ(JIT生産システムと原価企画)を考案し、洗練させたのがトヨタ自動車です。ここでは、すぐれた仕組みを生み出したトヨタの経営意思決定について学びます。
予習レポートのための課題:
1 トヨタ生産システムとはどのような生産システムですか。従来のフォード型生産システムとの異同を明らかにしてください。
2 トヨタ生産システムを米国に移転するにはどのような困難がありましたか。TMMの張社長はその困難をどのように克服しましたか。

DAY3④テーマ:品質管理活動の変革
世界一の品質は、日本的品質管理活動の成果だといってよいでしょう。しかし、近年、品質問題や品質不祥事が多発するようになってきました。品質管理方法には修正が必要になってきたのでしょうか。品質管理をめぐる諸問題を考えるとともに、よりよい品質を確保する方策を検討します。
予習レポートのための課題:
1 広島工場長の田中は、何を危惧していたのでしょうか。その理由は何ですか。
2 この工場で、品質管理の知識やノウハウが継承されなかった理由を列挙しなさい。
3 QCサークル活動を行う場合、外国人労働者だけで構成されるチームを作った方がよいか、日本人との混成チームにしたほうがよいかを考えなさい。
4 コストセンターである広島工場長の田中が実施できる品質向上活動にはどのようなものがありますか。実施プロセスで遭遇する可能性のある困難や抵抗をどのように克服すべきかについてもあわせて考えてください。
5(時間があれば取り上げる課題)㈱石森製作所の社外監査役あるいは社外取締役(独立役員)であるあなたがとりうる方策を考えなさい。







●使用するケース
DAY3①ケース:AKB48のグローバル展開(A(HBSケース、2016年)、AKB48のグローバル展開(B)(HBSケース、2017年)
DAY3②ケース:京セラ株式会社:アメーバ経営システム(HBSケース、1994年)
DAY3③ケース:米国トヨタ自動車(HBSケース、1992年)、トヨタのリコール(A):急停止(HBSケース、2011年)
DAY3④ケース:工場長の苦悩(オリジナルケース)

第4日(Day4)

DAY4①②テーマ:情報と意思決定
今回は、変則的な学習方法で意思決定における情報の重要性を学びます。講義に先立って、各自、映画「天地明察」を鑑賞するとともに、小説『天地明察』‎を読了しておいてください。ケース分析のための課題は、講義当日の朝にお伝えします。講義前の「グループセッション」で課題について検討を行ってください。ただし講義時の発言は、グループ討議の結果ではなく、個人の意見の表明をしてください。

DAY4③④テーマ:組織変革と中期計画:事業部制に着目して
松下電器産業(現パナソニック)の変革活動について検討します。特に、同社の経営をけん引してきた事業部制との決別に焦点を合わせて検討します。組織変革という経営意思決定の重要性を学びます。
予習レポートのための課題:
1 松下電器産業の「水道哲学」とは何ですか。
2 5つの基本方針(会社の使命 松下電器の順奉すべき精神)の現代語訳を作成してください。
3 事業部制という組織運営体制について説明してください。カンパニー制や持ち株会社制度との違いにも言及してください。
4 事業部は、総資産の10%相当額を本社に支払い、事業部純利益の60%は利息付きの会社口座に「預金」することになっていた。この仕組みについて、あなたの感想を記述してください。
5 経理社員制度に関するケース3ページの下から3つ目のパラグラフの説明を読み、同社の業績監視の仕組みについて論評してください。
6 当時の松下電器産業には「本社に左遷させられる」という言葉があったそうです。この言葉から、同社の事業運営に関する考え方を推察してください。
7 松下電器産業の繁栄をもたらした事業部制は、その後、多くの弊害を生むようになりました。どのような問題が生じたのでしょうか。それを克服するために同社が実施した組織変革はどのようなものですか。
8 複数の事業部で類似の製品が存在することは問題でしょうか。
9 中村邦夫の中期三か年計画(破壊と創造を標榜する「創生21計画」、「創業者の哲学以外、聖域はない」を論評してください。
10 工場を事業部から切り離しセンター化したことの是非、また、事業部を販売・マーケティング活動を切り離したことの意味を検討しなさい
11 創生21計画を堅持しながらの緊急措置対応(早期退職制度「ライフプラン」(勤続10年以上58歳未満)を導入で対象者の72%の18,000人もが早期退職に応募した理由はなにか。応募しなかった28%の方々はどう考えたのか。
12 流通システムの再編(パナショップの取り扱い)についての方策(選定された小売店にリベートの提供トレーニングの提供、雇用援助など)を論評せよ。
13 「マネ下」(他社製品の模倣で収益を得るというビジネスの進め方に対して、他社が松下電器を揶揄した表現)からの決別を意味するブラックボックス技術に基づく製品開発への重点移行について論評しなさい。



●使用するケース
DAY4③④松下電器産業の変革:2005年(A)(HBSケース、2005年), 松下電器産業の変革:2005年(B)(HBSケース、2005年)

第5日(Day5)



第6日(Day6)



第7日(Day7)



成績評価方法 Evaluation Criteria

*成績は下記該当項目を基に決定されます。
*クラス貢献度合計はコールドコールと授業内での挙手発言の合算値です。
講師用内規準拠 Method of Assessment Weights
コールドコール Cold Call 10 %
授業内での挙手発言 Class Contribution 40 %
クラス貢献度合計 Class Contribution Total 50 %
予習レポート Preparation Report 30 %
小テスト Quizzes / Tests 0 %
シミュレーション成績 Simulation 0 %
ケース試験 Case Exam 0 %
最終レポート Final Report 20 %
期末試験 Final Exam 0 %
参加者による相互評価 Peer Assessment 0 %
合計 Total 100 %

評価の留意事項 Notes on Evaluation Criteria

使用ケース一覧 List of Cases

    ケースは使用しません。

教科書 Textbook

  • ヘンリー・ミンツバーグ著、池村千秋訳「マネジャーの実像:「管理者はなぜ仕事に追われているのか」」日経BP社(2011)978-4822248369
  • 伊丹敬之・加護野忠男「ゼミナール経営学入門(新装版)」日本経済新聞社(2022)978-4532135263
  • 加登豊・梶原武久「管理会計入門(第2版)」日本経済新聞出版社(日経文庫)(2017)978-4532113698

参考文献・資料 Additional Readings and Resource

・入山章栄『世界標準の経営理論』ダイヤモンド社、2019年。ISBN:978-4478109571
・H.ミンツバーグ、B.アルストランド、J.ランペル著、斎藤嘉則監訳『戦略サファリ-戦略マネジメント・コンプリートガイド ブックー(第2版)』東洋経済新報社、2013年。 ISBN: 978-4492533192
ISBN:978-4492533192
・海老原嗣生・荻野進介『人事の成り立ち:名著17冊の著者との往復書簡で読み解く、「誰もが階段を上れる社会」の希望と葛藤』白桃書房、2018年。ISBN: 978-4561227175
・スティーブン P. ロビンス著 高木晴夫訳『組織行動のマネジメント-入門から実践へ』ダイヤモンド社、2009年。ISBN: 978-4478004593
・伊丹敬之『経営学とはなにか』日本経済新聞出版、2023年。ISBN: 978-4296118052
・伊丹敬之・青木康晴『現場が動き出す会計:人はなぜ測定されると行動を変えるのか』日本経済新聞出版、2016年。ISBN: 978-4532320645
・楠木建『ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件』東洋経済新報社、2010年。ISBN: 978-4492532706
・鈴木竜太・服部泰宏『組織行動:組織の中の人間行動を探る』有斐閣ストゥディア、2019年。ISBN: 978-4641150669
・船越多枝『インクルージョン・マネジメント: 個と多様性が活きる組織 』白桃書房、2021年。ISBN: 978-4561267546
・小倉昌男『小倉昌男経営学』日経BP社、1999年。ISBN: 978-4822241568
・ W・チャン・キム ・ レネ・モボルニュ著, 入山 章栄 ・有賀 裕子 訳『[新版]ブルー・オーシャン戦略-競争のない世界を創造する』 ダイヤモンド社、2015年。ISBN: 978-4478065136
・加護野忠男・山田幸三『日本のビジネスシステム -- その原理と革新』有斐閣、2016年。ISBN: 978-4641164918
・稲盛和夫『稲盛和夫の実学ー経営と会計』日本経済新聞出版、ISBN: 978-4532190064
・門田安弘『トヨタプロダクションシステム』2006年、ダイヤモンド社。‎ ISBN: 978-4478029978
・大野耐一『トヨタ生産方式-脱規模の経営をめざして』ダイヤモンド社、1978年。ISBN: 978-4478460016
・映画「天地明察」(2012年劇場公開 配給元 角川映画・松竹 監督 滝代洋二郎)
・冲方丁『天地明察』角川書店、2009年。 ISBN:978-4048740135
・伊丹敬之・加護野忠男『ゼミナール経営学入門(新装版)』日本経済新聞社、2022年。
 ISBN:978-4532135263

授業調査に対するコメント Comment on Course Evaluation

この科目は「初年度担当科目」である。

担当教員のプロフィール About the Instructor 

 名古屋商科大学大学院教授。1976年神戸大学経営学部卒業。1978年神戸大学大学院経営学研究科(経営学修士)。1992年に博士(経営学)。研究分野は、管理会計、管理システム、コストマネジメント、新製品開発マネジメントである。所属学会は、日本原価計算研究学会(元会長)、日本管理会計学会(元副会長)、日本会計研究学会(元評議員)、サービス学会、日本品質管理学会。主要著書には、『管理会計研究の系譜』税務経理協会、1989年、『原価企画』日本経済新聞社、1993年、『インサイト管理会計』中央経済社(編著)、2008年、『インサイト原価計算』中央経済社(編著)、2008年、『管理会計研究のフロンティア』中央経済社(松尾貴巳・梶原武久との共著)、2010年、『原価計算の知識(第2版)』(山本浩二との共著)日本経済新聞社、2012年、『日本企業の管理会計システム(体系現代会計学第12巻)』中央経済社(広本敏郎・岡野浩との責任編集)、2012年、『管理会計入門(第2版)』(梶原武久との共著)日本経済新聞社、2017年、『ケースブックコストマネジメント(第三版)』(李建との共著)新世社、 2022年がある。多数の査読付き学術雑誌の編集委員および学会賞選考委員長・委員に就任。経営科学文献賞(1989年)、日本会計研究学会太田賞(1990年)、日本会計研究学会太田賞(1994年)、 日本原価計算研究学会賞(論文部門)(1994年)、日本原価計算研究学会賞(著作部門)(1996年)、Best presentation award (The 13th New Zealand Management Accounting Conference、2019年)を受賞している。2006年から2008年まで公認会計士試験出題委員。ノースカロライナ大学、コロラド大学、サンディエゴ州立大学、ゲント大学(ベルギー)、ランス・ビジネススクール(フランス)、ロンドンスクールオブエコノミクス、オックスフォード大学、マンチェスター大学、シェフィールド大学で研究と教育に従事。

 Professor at Nagoya University of Commerce and Business Administration. He graduated from Graduate School of Kobe University with a M.B.A. degree in 1978 and received his Ph. D. degree in 1992. His research interests include management accounting, management planning and control, cost management, and new product development management. His academic affiliations include the Japan Cost Accounting Association (past president), the Japanese Association of Management Accounting (past vice president), the Japan Accounting Association (past councilor), the Society of Serviceology, and the Japan Society for Quality Control. Major publications include "Genealogy of Management Accounting Research," Zeuimu Keiri Kyokai, 1989; "Target Costing," Nihon Keizai Shimbun, 1993; "Insight into Management Accounting," Chuokeizai-sha (editor), 2008; "Insight into Cost Accounting," Chuokeizai-sha (editor), 2008; "Frontiers of Management Accounting Research," Chuokeizai-sha, 2008 (co-authored with Takami Matsuo and Takehisa Kajiwara), 2010; "Knowledge of Cost Accounting (2nd Edition)" (co-authored with Koji Yamamoto), Nikkei Inc. 2012; "Management Accounting Systems of Japanese Companies," Chuokeizai-sha (responsible editor with Toshiro Hiromoto and Hiroshi Okano), 2012; "Introduction to Management Accounting (2nd Edition)," (co-authored with Takehisa Kajiwara) , Nihon Keizai Shimbun, 2017; and “Casebook of Cost Management (Third Edition) (co-authored with Jian Li), Shinsei-sha, 2022. He has served on the editorial boards of numerous peer-reviewed journals and as chairman and member of the selection committee for academic awards. He received the Management Science Literature Award (1989), the Ota Award of the Japan Accounting Association (1990), The Best Article of the Year (the Japan Cost Accounting Association (1994), The Best Book of the Year (the Japan Cost Accounting Association (1996), The Best Presentation Award (The 13th New Zealand Management Accounting Conference). He was a member of the CPA Examination Committee from 2006 to 2008. He has done his research and teaching at the University of North Carolina at Chaple Hill, University of Colorado at Boulder, San Diego State University, Ghent University, Reims Businnes School, London School of Economics and Political Science, University of Oxford, University of Manchester, and University of Sheffield.

(実務経験 Work experience)

大阪府立大学経済学部助手、講師、助教授を経て1988年神戸大学経営学部助教授。その後、大学院経営学研究科助教授、教授(元学部長・研究科長、元神戸大学評議員)を経て2012年に退職(神戸大学名誉教授)。2012年から2024年まで同志社大学大学院ビジネス研究科教授(研究科長)。2024年、名古屋商科大学大学院教授に就任。2010年-2014年バンドー化学株式会社社外取締役(独立役員)、2013年-2020年小野薬品工業株式会社社外取締役(独立役員)を兼務。

詳細な担当教員プロフィール及び職歴等については、下記のResearchmapを参照してください。
https://researchmap.jp/read0014935

After working as a research assistant, lecturer, and associate professor at the Faculty of Economics, Osaka Prefectural University, he became an associate professor at the School of Business Administration, Kobe University in 1988. He then became Associate Professor and Professor at the Graduate School of Business Administration (former Dean of the Graduate School and former Trustee of Kobe University) before leaving in 2012 (Professor Emeritus of Kobe University). He has worked as Professor and the Dean of Graduate School of Business Studies at Doshisha University from 2012 to 2024. He is appointed as a Professor at the Graduate School of Nagoya University of Commerce and Business Administration. He served as an outside director (independent director) of Bando Chemical Industries, Ltd. from 2010-2014 and as an outside director (independent director) of Ono Pharmaceutical Co. from 2013-2020.

Biography:
1978-1981 Research Assistant, University of Osaka Prefecture, Faculty of Economics
1981-1985 Lecturer, University of Osaka Prefecture, Faculty of Economics
1985-1988 Associate Professor, University of Osaka Prefecture, Faculty of Economics
1988-1997 Associate Professor, Kobe University, School of Business Administration

Refereed Articles

  • (2022) A Longitudinal Action Research of Introducing Ameoba Management Systems at ACTEC. Journal of Cost Accounting Research 46(2): 1349-6530
  • (2022) BSC and Human Resource Development via Personnel Transfer . Journal of Cost Accounting Research 46(1): 1349-6530
  • (2021) Raison d'Etre of Management Accounting. Melco Journal of Management Accounting Research 12(2): 1882-7225
  • (2020) Paying Attention to Management Accounting Embedded Business Systems. Management Accounting Review 1(1): 2435-6956
  • (2020) Isight from Dysfunction Study of Clinical Protocol: An Extension of Target Costing Research of Manufacturing Firms. The Journal of Cost Accounting Research 44(2): 1349-6530

Refereed Proceedings

  • (2021). Round Table of Peer Review Systems of Melco Journal of Management Accounting Research. Melco Journal of Management Accounting Research .Melco Journal of Management Accounting Research. 1. 1. Kyoto
  • (2021). Is Japan Still a Quality Nation A Study on Human Psychology and Organizational Management of Quality Scandals. Proceedings for 51st JQC Annual Meeting .The Japanese Society for Quality Control. 1. 3. Tokyo






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