シラバス Syllabus

授業名 戦略的思考
Course Title Strategic Thinking
担当教員 Instructor Name 内古閑 宏(Hiroshi Uchikoga)
コード Couse Code NUC536_N24A
授業形態 Class Type 講義 Regular course
授業形式 Class Format On Campus
単位 Credits 2
言語 Language JP
科目区分 Course Category 教養教育科目 / Liberal Arts
学位 Degree BBA
開講情報 Terms / Location 2024 UG Fushimi Term2

授業の概要 Course Overview

Misson Statementとの関係性 / Connection to our Mission Statement

本科目はNUCBのミッションステートメントと合致するコンセプトの下、展開される科目です。
本校のミッションである;
The School’s mission is to develop leaders who, through a ‘Frontier Spirit’, are equipped to succeed in the globalized business reality. These leaders will have the ability to bridge the gap between New Asia and the rest of the world, and to bring innovation and high ethical standards to their management practices.
を達成する目的で設計されています。
This course perfectly aligns with NUCB's Mission Statement as it guides to nurturing leaders with Frontier spirits who can bridge cultural differences. It will provide students insights to confront situations where they require strategic thinking, strategic actions and strategic problem solving within an international context.

授業の目的(意義) / Importance of this course

「戦略的思考」とは何か?「戦略」という言葉はもともと戦争をする時に使う言葉です。戦争は相手国を打ちのめしたり、領地を占領することです。戦争で使っていた言葉をビジネスに当てはめたのが「戦略」であり、そういった思考を「戦略的思考」としているようです。ビジネスの戦略とは、果たして競争して相手に勝つことだけでしょうか。「戦略的思考」をポスト・パンデミックの、令和の時代に生きる我々が改めてその定義について考察していく必要性はないでしょうか。ビジネスで「勝つ」、ことは戦争で勝つのと同じ意味なのか等。

戦争の際に用いられる「孫子の兵法」という書には、「彼を知り、己を知れば百戦あやうからず」という言葉があります。この言葉で面白いのは、「危うからず(あやうからず)」と言っていて「勝つ」とは言っていないこと。孫子の兵法は、むやみやたらに競争をして戦いに勝つよりも、戦わずして勝つことの方が上等である、と解釈できそうです。
本講義では、ビジネスの要となる「人」に焦点を当て、ビジネスにおける「戦略的思考」とは何か?、について改めて向き合いながら議論をしていきたいと思います。
What is Strategic Thinking?" The word 'strategy' was originally used in the context of war. War is the act of defeating an opponent, knocking out an opponent's country, or occupying another nation's territory. The word 'Strategy' was originally used in warfare and has been applied to business. If that is the case, isn't there a need to reexamine the definition of 'Strategic Thinking' from the perspective of the post-pandemic era?

In the book "Sun Tzu's Art of War," which is used in warfare, there is a phrase; "If you know him and know yourself, you will not be in danger in hundreds of battles." What is interesting about this phrase is that it says 'will not be in danger' and does not refer to 'winning.' It can be interpreted that winning without fighting is superior to winning through reckless competitions. So what is the state of 'winning' when you are not at war?
This course will discuss the essentials of 'Strategic Thinking' by focusing on the people and organizations who are at the core of running the business.

到達目標 / Achievement Goal

「戦略的思考」について、「新たな知(ナレッジ)」を共同構築すべく議論を展開していきます。

Through the case discussions, the class will co-create a new knowledge on Strategic Thinking.

本授業の該当ラーニングゴール Learning Goals

*本学の教育ミッションを具現化する形で設定されています。

LG1 Critical Thinking
LG2 Diversity Awareness
LG3 Ethical Decision Making
LG4 Effective Communication
LG6 Managerial Perspectives (BBA)

受講後得られる具体的スキルや知識 Learning Outcomes

以下の点についての力を養う科目です。

1. ビッグピクチャーで物事を観る
2. 情勢を見究める
3. 己を知る
4. 戦術と戦略の違いを考察する
5. 戦略と意思決定の関係を認識する

The course is designed to develop capacities in the following areas;

1. Viewing things in the big picture
2. Analyzing the situation
3. Knowing thyself
4. Thinking about the differences between Tactics and Strategy
5. Relating Strategy and Decision making

SDGsとの関連性 Relevance to Sustainable Development Goals

Goal 4 質の高い教育をみんなに(Quality Education)

教育手法 Teaching Method

教育手法 Teaching Method % of Course Time
インプット型 Traditional 0 %
参加者中心型 Participant-Centered Learning ケースメソッド Case Method 100 %
フィールドメソッド Field Method 0 %
合計 Total 100 %

事前学修と事後学修の内容、レポート、課題に対するフィードバック方法 Pre- and Post-Course Learning, Report, Feedback methods

(学習方法)
 本コースの講義は全てハーバード式のケース・ディスカッション・スタイルで実施されます。
受講者はシラバスに記載した質問事項に関して議論をする準備をして来るようお願いします。クラス討議中に発言並びにプレゼンテーションするよう講師から促されます。講義の進め方・準備に関してはケースブックが配布されるタイミングで改めて告知します。

(各セッションの予習レポート)
6回のセッションの中で事前に提示された課題に関し、分析・考察した予習レポートを提出して下さい。課題は開講前に詳細に告知します。提出締め切りは各Sessionの開始直前までとします。

(クラス内レポート)
7回目のセッションでは、クラス内でレポートを書いていただきます。

授業スケジュール Course Schedule

第1日(Day1)

第1回(2024/6/5)
(主題)組織運営における戦略的思考
(Session 1 概要)
本ケースでは、革新的かつクリエイティブな商品開発を進めるIDEO社の組織的な取り組みが記述されています。革新的商品を生むための組織文化とは?顧客とのコラボレーションを実現するには?組織が学習し進化していくとは?などに関連してディスカッションを進めていきます。

●使用するケース
フェーズゼロ:IDEOによる新サービス導入(A)&(B) HBS

第2日(Day2)

第2回(2024/6/12)
(主題)意思決定プロセスについての戦略的思考
(Session 4 概要)
本ケースはスペースシャトル・チャレンジャー号が1986年1月28日にケネディ宇宙センターから発射する前夜、NASAが発射決行という最終決定を下すまでの詳細な経緯が描かれています。様々な関係者が交錯する中、NASAが決定を下していくそのプロセスについて、現実世界と照らし合わせながら組織の力学(ダイナミックス)や「空気」についてディスカッションしていきます。

●使用するケース
チャレンジャー打ち上げのグループ決定プロセス(A)(B)(C) (D) HBS

第3日(Day3)

第3回(2024/6/19)
(主題)人を動かすということ、リーダーの戦略的思考
(Session 3 概要)
米国の大学バスケットボールチームを率いている対称的な二人の監督を取り上げたケース。二つのケースから人が持つ特性とは?人を動かすにはどういった要素が必要か?などの問いについてディスカッションしながら、組織を経営(マネージ)するスタイル、組織に属する側の心理を深めていきます。

●使用するケース
コーチナイト:勝利への熱意 HBS
コーチK:ハートの問題    HBS

第4日(Day4)

第4回 (2024/6/26)
(主題)サービスオペレーションにおける戦略的思考
(Session 4 概要)
2005年、矢部輝夫は新幹線の清掃を行うJR東日本の子会社で、669人の従業員を持つテッセイの再建を要請された。テッセイに対する需要は伸び続けているにもかかわらず、作業ミス、顧客からの苦情、安全性の問題と従業員の離職率は、過去最高に近い高さだった。前任者が管理職による監視と管理を強化することでテッセイの問題を修正しようとした試みに失敗したのを受けて、矢部は組織が直面していたモチベーション、資質、協調性に対する課題を克服するのに創造的なアプローチを試みた。

●使用するケース
TESSEI(テッセイ)の苦境 (HBS)

第5日(Day5)

第5回(2024/7/3)
(主題)働くことについての戦略的思考
(Session 5 概要)
本ケースは、人材派遣会社の営業マネージャーとして働く主人公(岡田)が、部下からある 派遣社員の件で相談を持ち掛けられたところから始まる。派遣社員として働く一人の若い 男性(高木)が短期間で派遣先を変えていく中、一社である程度経験を積むことの重要性を説く岡田であったが、高木にはどうも刺さらない。本ケースを通して、働く価値観の変化 を捉えるとともに、雇用責任者として、従業員のキャリア形成をどのように支援すべきかを議論する。さらに、多様性の尊重、デジタルの日常化、効率性重視等の価値観を持つZ世代の社会進出によって、マネジメント層との価値観のギャップが生じている。今後より大きくなる価値観の差に対して、マネジメント側がどう変化していくべきなのか議論する。

●使用するケース
スタッフ・コア(NUCB)

第6日(Day6)

第6回(2024/7/10)
(主題)組織運営における戦略的思考
(Session 6 概要)
ブラジル人、リカルド・セムラーは、ファミリービジネスを国際的企業に成長させ事業の多角化を行った。管理することに見切りをつけ、労働時間を短縮し、職場の民主化をする、などの改革により企業文化を大きく変化させた。同様のリーダーシップをホテルビジネス、銀行経営、学校経営にも適用することに成功した。

●使用するケース
リカルド・セムラー INSEAD

第7日(Day7)

第7回(2024/7/17)
(主題)プレゼンテーションに戦略的思考を持って臨む
(Session 7)
本科目の総括として、クラス全員がチームに分かれてピッチ・セッション(プレゼンテーション)を行います

クラス内レポート:講義時間内にレポートを書いてもらいます。テーマは講義中にお伝えします。
クラス貢献に加算されるレポートになります。

成績評価方法 Evaluation Criteria

*成績は下記該当項目を基に決定されます。
*クラス貢献度合計はコールドコールと授業内での挙手発言の合算値です。
講師用内規準拠 Method of Assessment Weights
コールドコール Cold Call 10 %
授業内での挙手発言 Class Contribution 40 %
クラス貢献度合計 Class Contribution Total 50 %
予習レポート Preparation Report 50 %
小テスト Quizzes / Tests 0 %
シミュレーション成績 Simulation 0 %
ケース試験 Case Exam 0 %
最終レポート Final Report 0 %
期末試験 Final Exam 0 %
参加者による相互評価 Peer Assessment 0 %
合計 Total 100 %

評価の留意事項 Notes on Evaluation Criteria

使用ケース一覧 List of Cases

    ケースは使用しません。

教科書 Textbook

  • リチャード・P・ルメルト「戦略の要諦 」日経BP 日本経済新聞出版(2023)978-4296117529
  • 守屋 淳「最高の戦略書 孔子」日経BP(2014)978-4-532-16925-1
  • 伊藤 羊「世界のトップが実践した大事なことだけシンプルに伝える技術 1分で話せ」SB Creative(2018)978-4-7973-9523-5

参考文献・資料 Additional Readings and Resource

・「図解 孫子の兵法―丸くおさめる戦略思考」齋藤 孝 ウェッジ
・「まんがで身につく 孫子の兵法 」長尾一洋、久米礼華 あさ出版
・「戦略的思考とは何か」岡崎久彦 著 中公新書(注)日本の国家戦略について書かれた本です。

授業調査に対するコメント Comment on Course Evaluation

2024年度から新設された科目です。

本講義とは別の科目ですが、昨年度2年生に行った講義でのコメントを以下に抜粋しました。
(良かった点)
・ハーバード大学形式で、質を重視したり全員参加の議論をしたりするところ
・他とは違い、発言も大事だが聞くことが参加することを提言し、必ず参加させるやり方が優れている
・コールドコールをして、積極的にみんなに回答させようとすること
・平等に当てるようにしてくれる
・和やかな雰囲気で発言がしやすい
・ハーバードっぽい雰囲気で楽しい授業
・徹底していたところ
・愛を感じた
・今まで受けてきた授業の中で一番楽しく、授業にのめり込めたと思います!先生の熱意から生徒を隈なく見ているところがとてもよく、素晴らしいなと思いました!ぜひゼミにも入りたいです!

担当教員のプロフィール About the Instructor 

1998年慶應義塾大学理工学部修士課程修了。(株)東芝入社、世界初のノートパソコンを設計したハードウェア設計部に所属。1994年ハーバード・ビジネス・スクール経営大学院修士課程修了(MBA)後、東芝本社パソコン商品企画部にて新型ノートパソコンの企画、インターネット・サービスの立ち上げ、ネット接続型次世代DVD規格の策定に従事。1997年ソフトバンク(株)入社、企業投資室にてスカパーの立ち上げ、インターネット企業投資を実施。ソフトバンクと米国ジオシティーズの合弁会社、ジオシティーズ・ジャパン(株)の設立、事業立上げを指揮。2000年ヴィジョネア(株)を創業、DVDとインターネットの連動技術で事業構築、特許権利化後にライセンスビジネスにピボットし現在に至る。2012年米国シリコンバレーに移り住みYouTuber向けアプリ開発のVeamInc.設立・創業、現在に至る。帰国後アフリカにおける世銀のプロジェクト、ブロックチェーンのビジネス・プロデュースに関与。

Education
Masters Degree in Business Administration, Harvard Business School
Master of Engineering in Mechanical Engineering, Keio University
Bachelor of Engineering in Mechanical Engineering, Keio University

After joining Toshiba's Computer Division in 1988 where he was involved in designing the world's first notebook PC, Hiroshi Uchikoga went to Harvard Business School MBA program. After graduation, he returned to Toshiba Headquarters Product Planning division in 1994, where he engaged in; planning advanced notebook PCs, launching Toshiba's first internet service, and standardizing a new generation video disc format.
When he met Mr. Son of Softbank, Hiroshi decided to work as a manager in the investment division, then led the joint venture between GeoCities (US) and Softbank. In 2000, Hiroshi founded Visionare Corporation, a software development company in Japan which eventually pivoted to a license company after acquiring eight patents, and he moved to Sunnyvale, California in 2012 to start up Veam Inc. - both of which are currently working on a path to successful exits. Returning to Japan in 2017, he acted as Business Producer at World Bank's project in Africa and blockchain related businesses.







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