シラバス Syllabus

授業名 地球環境論
Course Title Global Environmental Issues
担当教員 Instructor Name 関根 豪政(Takemasa Sekine)
コード Couse Code NUC533_N20A
授業形態 Class Type 講義 Regular course
授業形式 Class Format
単位 Credits 2
言語 Language JP
科目区分 Course Category
学位 Degree BBA
開講情報 Terms / Location 2020 UG Fushimi Term2

授業の概要 Course Overview

Misson Statementとの関係性 / Connection to our Mission Statement

授業の目的(意義) / Importance of this course

 本講義は、ある組織が環境問題に直面したときに、それを具体的に解決していくための能力を養うことを目的とする。講義では地球温暖化問題を主に扱い、最終的には、実存の組織(企業や地方自治体)における温暖化対策の問題点を見つけ出し、それに対して具体的な提案ができるような実践的な能力の習熟を目指す。

 また、本講義では、上記の能力を養うために、ケース・メソッドを通じて個人が環境対策の責任者としてどのように行動すべきかを学ぶと同時に、京都メカニズムのシュミレーションや国際温暖化対策交渉の模擬交渉なども取り入れることにより、他者との関係で自分の行動を決定する能力を養う場を設ける。最後の講義では、企業などに対する温暖化対策の提案書を作成する。
This course aims to enhance the practical ability to address global environmental issues in the real world. The attendants will be asked to find out the problems in the climate policies currently carried out in the certain entities, such as enterprises or municipal organizations, and eventually to make a plan to improve those policies.

To achieve such a purpose, this course engages in case method style lecture and learn how responsible person should behaive in cases when he/she faces with environmental issues. In addition, this course introduce some simulation games to experience the mechanism of the Kyoto Mechanism, as well as virtual negotiations to learn international climate policy. These may provide opportunies for students to learn about strategic decision-making processes in the context of global environmental issues. At the end of the course, we will try to nurture abilities necessary to make a persuasive proposal on climate policy feasible for a specific entity.

到達目標 / Achievement Goal


本授業の該当ラーニングゴール Learning Goals

*本学の教育ミッションを具現化する形で設定されています。

LG3 Ethical Decision Making
LG4 Effective Communication

受講後得られる具体的スキルや知識 Learning Outcomes

 本講義では、地球環境問題の一例として地球温暖化問題を取り上げるため、地球の温暖化問題の現状や課題を理解することができる。しかし、それは単に教員が教授したことを学ぶのではなく、自ら考え、他人との議論を通じて理解を深めることになる。
 また、本講義では温暖化対策の状況をシミュレーションなどを通じて学ぶため、より現実に近い環境に身を置いて学ぶことができる。国際的な温暖化対策がどのように展開しているのかという問題を、他人行儀ではなく、自らの問題として真剣に考えるようになることが期待される。

As this course picks up global warming issue as a main theme, students can learn about the process and mechanism of global warming and how governments are actually reacting to such an issue. We learn this subject through output-based approach. Students are expected to enhance ability to formulate concrete proposals that may mitigate global warming phenomenon.
In addition, the course will embrace simulation games as much as possible so that participants can understand the global warming issue under the realistic situation. This style of lecture would promote students understanding the mechanism of international decision-making.

SDGsとの関連性 Relevance to Sustainable Development Goals

教育手法 Teaching Method

教育手法 Teaching Method % of Course Time
インプット型 Traditional 20 %
参加者中心型 Participant-Centered Learning ケースメソッド Case Method 80 %
フィールドメソッド Field Method 0 %
合計 Total 100 %

事前学修と事後学修の内容、レポート、課題に対するフィードバック方法 Pre- and Post-Course Learning, Report, Feedback methods

【学修方法】

学生は講義に臨む前にケースを熟読し、アサイメントについて各自で解答を用意すること。1ケースにつき、3時間の予習を行うことが期待される。

【レポート】

レポートは主に2種類

① 予習レポート:各講義の前にアサイメントについての自分の考えをまとめ提出する(分量は自由)。

② 最終レポート:最終講義に、講義で学んだことを踏まえて最終レポートを提出(詳細は講義において説明する)。

【課題に対するフィードバック】

課題については、その課題内容をラージ・ディスカッションで扱うことになる。したがって、学生は課題内容を常に参照しつつ、講義で議論を展開することが期待する。なお、個人でのプレゼンを伴うような課題の場合には、教員による助言を付す予定である。

授業スケジュール Course Schedule

第1日(Day1)

第1週 イントロダクション/地球温暖化問題とは?
 最初のセッションでは、ビジネススクールにおいて環境問題を学ぶことの意義について、コククジラケース【ケース1】を用いながら学ぶ。そして、後半では、第2回目以降で学ぶ地球温暖化問題について、議論を通じて学ぶ(ラージ・ディスカッション)。学生には、このセッションを通じて、企業がある経営上の決定を行う上で、どのように環境問題が関連してくるか、そしてその決定を行う上でいかに的確に環境問題を把握すべきかについて理解することを目指す。

●使用するケース
「メキシコ、三菱、コククジラ(コククジラケース)」、CCJB-ECC-80027-01、日本ケースセンター

第2日(Day2)

第2週 国際的な温暖化対策の開始
 前半は、予習内容を基礎に、1990年代から開始された国際的な温暖化対策の内容についての確認をしつつ、それに対する各学生の意見を交換しながら対話式講義を行う。後半は、温暖化対策は率先して先進国が取り組むべきか?という問いにディベート形式で【ケース2】を用いつつ討論する。ケース2のディベートは初回に比べてより拡大的に、かつ、専門的に行う予定なので、細かいデータの把握と分析を的確に行う能力を養うことができる。

●使用するケース
「西蘭国の決断とガナール共和国の嘆願」

第3日(Day3)

第3週 京都メカニズム
 この週は、京都メカニズム(排出量取引、共同実施、クリーン開発メカニズム)について、前半で、問答形式の授業を通じて基礎理論の確認を行った上で、後半ではより実践的に理解することを目指す。実際に、学生には排出量取引に参加する企業を演じてもらい(京都メカニズム・シュミレーション、【ケース3】)、教室をミニマーケットとすることで、排出量取引がどのように機能するかを肌で感じてもらう。それを踏まえて、排出量取引の利点と欠点についての議論を行う。

●使用するケース
「京都メカニズム(排出量取引)シミュレーション」

第4日(Day4)

第4週 京都議定書の結果と各国の動向
 第4週は、世界各国の温暖化対策を理解するために、まずは日本の取組状況を把握する【ケース4】。ここでは、日本政府が決定する内容について、「お偉いさんが決めたこと」として他人事にするのではなく、自らが政策決定者と捉え、批判的に検討する能力を養う。 自らの選択についてきちんと理由をつけて説明し、それが他人と異なる場合には、なぜその選択肢を採用しないのか、相手を説得できるような説明を講義では心がけていただきたい。

●使用するケース
「日本が決断した温暖化対策」

第5日(Day5)

第5週 京都議定書の問題点とこれから
 この週の前半は、京都議定書をはじめとする国際的な温暖化対策のどこに問題点があるのかを見つけ出す、「問題発見能力」を養うような対話形式の講義を進めていく。そして、後半では、これらの問題点を踏まえて実際に、温暖化対策のための国際条約を制定する模擬交渉を行う【ケース5】。学生には、国際的に妥当な温暖化対策を実現することや、それに至るまでの国際交渉の難しさについて感じてもらいつつ、多少の困難性の中でも解決策を見つけ出せるよう最大限努力してもらう。

●使用するケース
「温暖化対策の国際交渉」

第6日(Day6)

第6週 日本の企業・組織における温暖化対策
 これまで国単位で温暖化問題について学んできたが、これからは個別の組織を取り上げて、そこにおける温暖化対策について分析を行う。まずは、とある中学校の実例を挙げて、FIT制度などについてケースを用いつつ理解する【ケース6】。学生は、その対策が十分か否か、批判的に検討する。そしてこれらの分析結果を踏まえて、翌週の提案書作成へとつなげていく。

●使用するケース
「FIT制度と長野県須坂市相森中学校への太陽光発電の導入」

第7日(Day7)

第7週 温暖化対策と我々
 最後の講義では、実際に各組織がどのような温暖化対策を導入しているか、そしてそれには問題がないのか、議論を通じて理解を深める【ケース7】。そして、その議論を踏まえて、各組織において具体的にどのような対策をこれから採用していくことが可能か、提言書の作成を目指す。この提案書においては、単なる「理想的な温暖化対策」を描くのではなく、実際にその組織が採用したら効果がありそうな具体的な対策を提案することを目標とする。これにより、より実践的に温暖化対策を提案する能力を養う。

●使用するケース
「成田市役所の温暖化対策」

成績評価方法 Evaluation Criteria

*成績は下記該当項目を基に決定されます。
*クラス貢献度合計はコールドコールと授業内での挙手発言の合算値です。
講師用内規準拠 Method of Assessment Weights
コールドコール Cold Call 10 %
授業内での挙手発言 Class Contribution 45 %
クラス貢献度合計 Class Contribution Total 55 %
予習レポート Preparation Report 35 %
小テスト Quizzes / Tests 0 %
シミュレーション成績 Simulation 10 %
ケース試験 Case Exam 0 %
最終レポート Final Report 0 %
期末試験 Final Exam 0 %
参加者による相互評価 Peer Assessment 0 %
合計 Total 100 %

評価の留意事項 Notes on Evaluation Criteria

挙手発言による評価は、回数と内容とをあわせて評価します。

使用ケース一覧 List of Cases

    ケースは使用しません。

教科書 Textbook

  • 指定なし「指定なし」指定なし(指定なし)

参考文献・資料 Additional Readings and Resource

[1]関根豪政・北村貴『体験する法学』ミネルヴァ書房、2020年、9784623088171
[2]交告尚史『環境法入門(第3版)』有斐閣アルマ、2015年、464122045X
[3]西井正弘ほか『テキスト国際環境法』有信堂、2011年、4842040580
[4]IPCC『気候変動2014統合報告書』 http://www.env.go.jp/earth/ipcc/5th/pdf/ar5_syr_spmj.pdf
[5]大塚直『環境法(第3版)』有斐閣、2010年、4641135614
[6]庄司克宏編著『EU環境法』慶應義塾大学出版会、2009年、4766416856、
[7]高村ゆかり、亀山康子『地球温暖化交渉の行方』大学図書、2005年、4924380024
[8]有馬純『精神論抜きの地球温暖化対策:パリ協定とその後』エネルギーフォーラム、2016年、4885554713

授業調査に対するコメント Comment on Course Evaluation

今年も昨年度のよかった点を残しつつ、マイナーチェンジを加えて、講義の内容を良くできるように頑張ります。

担当教員のプロフィール About the Instructor 

慶応義塾大学法学研究科博士課程、慶応義塾大学法学研究科助教(有期・研究奨励)、日本学術振興会・特別研究員(PD)、学習院大学や大宮法科大学院大学等の非常勤講師を経て、現職。 現在、内閣府・政府調達苦情検討委員会の委員も務める。主な研究分野としては、国際経済法の領域でも特に、「貿易と環境」、「対抗措置と比例性」、「WTOと自由貿易協定(FTA)の関係」等といったテーマの研究に取り組んでいる。

Takemasa SEKINE is an Associate Professor at Nagoya University of Commerce & Business (NUCB) in Japan. He received his legal education at Keio University, Japan (Ph.D. and LL.M) and was later engaged as a post-doctoral research fellow at the Japan Society for Promotion of Science (JSPS). He is currently a board member of the Government Procurement Review Board in Japan, and also joining research projects hosted by Japanese governmental institutions, such as the Ministry of Foreign Affairs of Japan and the Research Institute of Economy, Trade and Industry (RIETI).

Refereed Articles

  • (2019) The Possibility of Enhancing Subsidy Disciplines: The EU's Attempts through the Free Trade Agreements. Financial Review 140
  • (2019) The US–Japan trade deal: small agreement, broad implications. East Asia Forum
  • (2018) Enhanced Third Party Rights under the WTO Dispute Settlement System. Manchester Journal of International Economic Law 15(3): 1742-3945
  • (2016) Competition Related Provisions in East Asian FTAs: Their Trends and the Possible Impact of Mega FTAs. Chinese (Taiwan) Yearbook of International Law and Affairs 32 9789004316546
  • (2015) Financial Compensation in Trade Dispute Settlements: Can the Free Trade Agreement Experiment Be Successful?. ASIAN JOURNAL OF WTO & INTERNATIONAL HEALTH LAW AND POLICY 10(2): 1819-5164






ページ上部へ戻る