シラバス Syllabus

授業名 経済学入門
Course Title Introduction to Economics
担当教員 Instructor Name 岩澤 誠一郎(Seiichiro Iwasawa)
コード Couse Code NUC529_N24A
授業形態 Class Type 講義 Regular course
授業形式 Class Format On Campus
単位 Credits 2
言語 Language JP
科目区分 Course Category 教養教育科目 / Liberal Arts
学位 Degree BBA
開講情報 Terms / Location 2024 UG Fushimi Term2

授業の概要 Course Overview

Misson Statementとの関係性 / Connection to our Mission Statement

ビジネス界や社会の発展をもたらす知識創出に貢献するリーダー教育の最初の一歩として、経済学の基礎を学びます。
This is an introductory economics course intended for educating a future business leader.

授業の目的(意義) / Importance of this course

BBAコースの一年生を対象とする経済学入門のコースです。

受講生が経済学的な考え方を理解した上で合理的な意思決定を行う能力、もう少しわかりやすく言うと企業の経営者、あるいは従業員として市場経済の中でビジネスを成功させる能力を育てるためのコースです。

他のBBAコースの授業と同様、この授業でも現実に存在する、あるいは架空の、企業の意思決定のケースについての議論を行いますが、それとともに、受講生に参加してもらい、自ら意思決定をしてもらうゲーム(教室実験)を多用するところにこのコースの特徴があります 。

内容は、(1)企業のマーケティングに関する部分(市場メカニズム、競争、製品差別化、価格差別、行動マーケティング)、(2)企業のファイナンスに関する部分(キャッシュフロー・マネジメントと資金調達)、(3)企業の雇用と人材マネジメントに関する部分(雇用、インセンティブ、従業員のモチベーション)から構成されています。ミクロ経済学の中の企業に関連した部分を取り出したものが中心ですが、行動経済学を応用した最新の経済理論の成果をも取り入れたものになっています。

本コースを通じて、受講生の方々の「批判的思考(LG-1)」、「効果的なコミュニケーション(LG-4)」の能力を育てることを目標としています。
This is an introductory Economics course for NUCB freshmen with business major. The purpose of this course is to provide students with a set of basic analytical tools to make rational economic decisions, and opportunities to "test-drive" applying what they learn. Towards this end, we discuss business cases, but also do lots of in-class economic experiments. Topics we cover include: market mechanism, competition, product differentiation, price discrimination, behavioral marketing, cash flow management and finance, wage, incentive, and work motivation. In terms of broader NUCB learning goals, students are expected to develop their abilities of critical thinking (LG-1), analytical decision-making(LG-4), and effective communication(LG-4).

到達目標 / Achievement Goal

LG1 Critical Thinking
LG4 Effective Communication

LG1 Critical Thinking
LG4 Effective Communication

本授業の該当ラーニングゴール Learning Goals

*本学の教育ミッションを具現化する形で設定されています。

LG1 Critical Thinking
LG4 Effective Communication

受講後得られる具体的スキルや知識 Learning Outcomes

企業の経営者、あるいは従業員として市場経済の中でビジネスを成功させる能力を育てるために必要な経済学の基礎的な考え方が身につきます。

Students will be equipped with a set of basic analytical tools of economics to make rational economic decisions.

SDGsとの関連性 Relevance to Sustainable Development Goals

Goal 4 質の高い教育をみんなに(Quality Education)

教育手法 Teaching Method

教育手法 Teaching Method % of Course Time
インプット型 Traditional 30 %
参加者中心型 Participant-Centered Learning ケースメソッド Case Method 40 %
フィールドメソッド Field Method 30 %
合計 Total 100 %

事前学修と事後学修の内容、レポート、課題に対するフィードバック方法 Pre- and Post-Course Learning, Report, Feedback methods

【重要!】他の講義と同様、予習をした上で授業に臨むことが極めて大事です。予習に当たっては、その日に指定された講義ノートとケースを読み、「事前課題」に沿ってケースを分析した上で授業に臨んで下さい。

第1日~第6日に、その日に学んだことを復習することを目的とする「事後課題」を与えます。「事後課題」を提出する必要はありませんが、コース末試験(ケース試験)の問題のいくつかは「事後課題」の中から出題しますので、各自良く学習していただきたいと思います。「事前課題」もそうですが、「事後課題」は特にグループのメンバーが一緒になって学習するのが良いと思います。

授業スケジュール Course Schedule

第1日(Day1)

テーマ1:市場メカニズム 
・需要曲線と供給曲線、余剰
・教室実験#1:市場取引

テーマ2: 需要曲線と需要の弾力性
・教室実験#2:需要曲線と弾力性
・ケース#1「野菜価格の弾力性」

●使用するケース
ケース#1「野菜価格の弾力性」

第2日(Day2)

テーマ1:企業の損益と供給曲線
・損益計算書、変動費と固定費、限界費用
・教室実験#3: キャンデーバー・スクエア製造工業株式会社Part1
・ケース#2: 「スマーフィット・ペーパー・カンパニー」

テーマ2:完全競争と独占、寡占
・完全競争と独占、寡占市場における競争
・クールノー競争
・教室実験#4: キャンデーバー・スクエア製造工業株式会社Part2

●使用するケース
ケース#2: 「スマーフィット・ペーパー・カンパニー」

第3日(Day3)

テーマ1:価格競争
・バートランド競争
・ケース#3: 「ソニープレイステーション対マイクロソフトエックスボックス」
・ゲーム理論と囚人のジレンマ

テーマ2:製品・サービス差別化
・製品・サービス差別化
・ケース#4: 「イスラトレーニングセンター」

●使用するケース
ケース#3: 「ソニープレイステーション対マイクロソフトエックスボックス」
ケース#4: 「イスラトレーニングセンター」

第4日(Day4)

テーマ1:行動経済学とマーケティング
・セイリアンス
・ケース#5: 「スター・バックスとランドセル業界」
・広告の役割

テーマ2:価格差別
・価格差別
・ケース#6: 「サム・ロドリゲス、価格差別と出会う」
・教室実験#5: キャンパス・パーキング・ゲーム

●使用するケース
ケース#5: 「スター・バックスとランドセル業界」
ケース#6: 「サム・ロドリゲス、価格差別と出会う」

第5日(Day5)

テーマ1:行動経済学とマーケティング(続き)
・事例発表(学生プレゼンテーション)

テーマ2:投資と資金調達
・企業活動と貸借対照表、損益計算書
・ケース#7: 「小池ラーメン開店プロジェクト」
・銀行と株主
・期待リターンとリスク
・教室実験#6: 資金調達ゲーム
・株式市場のしくみ
・教室実験#7: 株式市場ゲーム

●使用するケース
ケース#7: 「小池ラーメン開店プロジェクト」

第6日(Day6)

テーマ:労働市場
・賃金
・ケース#8: 「アルハヤニ・キッチン」
・教室実験#8: ラーメン店採用実験
・インセンティブ
・ケース#9: 「1989年以前のブルガリアの国有生産会社」

●使用するケース
ケース#8: 「アルハヤニ・キッチン」
ケース#9: 「1989年以前のブルガリアの国有生産会社」

第7日(Day7)

テーマ:仕事のモチベーション
・仕事に関する人々の意識
・内発的動機と人間の本来的欲求
・ケース#10: 「アクロクエスト」
・ケース#11: 「エーピーカンパニー」
・コース末試験

●使用するケース
ケース#10: 「アクロクエスト」
ケース#11: 「エーピーカンパニー」

成績評価方法 Evaluation Criteria

*成績は下記該当項目を基に決定されます。
*クラス貢献度合計はコールドコールと授業内での挙手発言の合算値です。
講師用内規準拠 Method of Assessment Weights
コールドコール Cold Call 0 %
授業内での挙手発言 Class Contribution 50 %
クラス貢献度合計 Class Contribution Total 50 %
予習レポート Preparation Report 0 %
小テスト Quizzes / Tests 0 %
シミュレーション成績 Simulation 0 %
ケース試験 Case Exam 50 %
最終レポート Final Report 0 %
期末試験 Final Exam 0 %
参加者による相互評価 Peer Assessment 0 %
合計 Total 100 %

評価の留意事項 Notes on Evaluation Criteria

使用ケース一覧 List of Cases

    ケースは使用しません。

教科書 Textbook

  • なし「なし」なし(なし)なし

参考文献・資料 Additional Readings and Resource

講義ノートの中に示します。

授業調査に対するコメント Comment on Course Evaluation

例年このクラスでは、多くの受講生がこの授業を楽しんでくれているようです(先輩たちにも聞いてみて下さい)。経済学などというととっつきにくいように思えるかもしれませんが、楽しい授業ですので、心配しないで下さい。ただ、何人かの学生は「難しかった」という感想を寄せていました。今年の授業ではこの点にもう少し配慮したいと思いますが、やはり大事なのは皆さんが予習をしっかりしてきて下さることです。名古屋商科大学(BBA)では教室は先生のものではありません。先生と学生の共同作業の場です。皆さんの協力が欠かせませんので、どうぞよろしくお願い致します。

担当教員のプロフィール About the Instructor 

岩澤 誠一郎 マネジメント科 教授

1963年生。早稲田大学政治経済学部卒業。MBA(ボストン大学)、Ph.D.(経済学、ハーバード大学)。
大学卒業後、野村総合研究所、野村證券でアナリスト、ストラテジストを歴任。
2005年から野村證券チーフ・ストラテジスト、2009年から同マネージング・ディレクター。
2012年に野村證券を退社、同4月から現職。

大学院での講義担当科目(年間7科目)
GMPコース:Behavioral Economics(春学期名古屋、秋学期東京、大阪)、Case Writing(春学期、秋学期)
GLPコース(英語):Corporate Finance(春学期)、Behavioral Economics and Finance(秋学期)

大学(学部)での講義担当科目(年間2科目)
BBAコース:経済学入門(春学期)
GBBAコース(英語):Behavioral Economics and Finance(秋学期)

最近の主要な学外活動
2019年11月 「行動経済学の教育」(行動経済学会第13回大会で講演)
2019年6月 「行動経済学で学ぶ投資家本位の資産運用」(日本証券業協会金融・証券インストラクター研修)
2019年5月 「地政学リスクの上昇基調は今後も続くのか?」(証券経済学会第90回大会で講演)
2019年3月 「行動経済学が変える仕事のやる気、部下のやる気」(中小企業大学校瀬戸校経営トップセミナーで講演) 
2019年2月 「プロ市場参加者の予想のバイアスと市場価格」(SMBC日興証券で講演)
2018年12月 「プロ市場参加者の予想のバイアスと市場価格」(行動経済学会第12回大会で講演)
2018年8月 「ゴールベース資産管理研修」(山口フィナンシャルグループ)
2018年3月 「資産管理型営業モデル研修」(UBS証券 ウエルス・マネジメント部)
2017年5月 「行動経済学で学ぶ投資セミナー」(マネックス証券オンラインセミナー)
2015年11月 「行動経済学とマーケティング」(札幌学院大学で講演)
2015年10月 「ファクター投資-意義、有効性とその背景」(日本証券アナリスト協会-日本ファイナンス学会共同セミナーで講演)
2015年8月 「もっと仕事を楽しみたい!-日本人のためのワーク・エンゲ-ジメント入門」(麗澤大学で講演)
2015年3月 みずほ証券特別セミナー、ロバート・シラー教授講演会でシラー教授と対談
2014年4月 「行動経済学と金融教育への応用」(日本証券業協会「金融経済教育研究会」で講演)
2013年5月 「行動ファイナンスの現状と展望」(京都大学金融工学理論研究会で講演)

主要論文
Kim, D., and S. Iwasawa (2017), "Hot Money and Cross-Section of Stock Returns during the Global Financial Crisis," International Review of Economics and Finance 50, 8-22.
岩澤誠一郎(2016)、「日本企業における従業員のワーク・エンゲージメントとマネジメント・スキル」、経済社会学年報第38号。
岩澤誠一郎(2015)、「行動経済社会学研究の構想」、経済社会学会年報第37号。
岩澤誠一郎(2014)、「世の中に機関投資家が存在する本当の理由」、証券経済学会年報49号。
Iwasawa, S, and T, Uchiyama(2014), “The Beta Anomaly in the Japanese Equity Market and Investor Behavior,” International Review of Finance, Vol.14 No.1.
岩澤誠一郎・内山朋規(2013)、「「ボラティリティ・アノマリー」の行動経済学的探究」、フィナンシャル・レビュー(財務省)平成25年第3号。
内山朋規・岩澤誠一郎(2012)、「投資家の「ギャンブル志向」は日本の株価に影響を与えているか:歪度と期待リターン」、現代ファイナンス、第31号

外部研究資金の獲得
2020ー2022年度 科学研究費基盤研究(C)「プロ市場参加者の株価予想と情報処理のバイアス」
2017-2019年度 科学研究費基盤研究(C)「グローバル金融危機下の外国人投資家の行動と日本の株式の脆弱性」
2013-2016年度 科学研究費基盤研究(C)「日本の株式市場の「アノマリー」と投資家行動」

賞罰
2019年度 名古屋商科大学大学院 アウトスタンディング・ティーチング・アウォード
2018年度 名古屋商科大学大学院 アウトスタンディング・ティーチング・アウォード
2017年度 名古屋商科大学大学院 アウトスタンディング・ティーチング・アウォード
2016年度 名古屋商科大学大学院 アウトスタンディング・ティーチング・アウォード
2016年度 名古屋商科大学・同大学院 アウトスタンディング・リサーチ・ アウォード
2nd Indonesian Finance Association, 2nd Best Paper Award
2015年度  名古屋商科大学大学院 ティーチング・アウォード
2014年度  名古屋商科大学大学院 ティーチング・アウォード

Professor Seiichiro Iwasawa, Ph.D.
Seiichiro Iwasawa is a professor of Economics and Finance at the NUCB Business School, where he teaches Corporate Finance, Behavioral Finance, and the Case Writing at the Global Leader Program.

Before joining the faculty member at the NUCB, he worked for Nomura Securities(1987-2012), the largest investment bank in Japan, as a securities analyst and an equity market strategist. His main area of interests is behavioral economics and finance, and among his recently published papers are: "Hot Money and Cross-Section of Stock Returns duing the Global Financial Crisis," International Review of and Economics and Finance 50(c), "The Beta Anomaly in the Japanese Equity Market and Investor Behavior," International Review of Finance 14(1), and "A Behavioral Economics Exploration into the Volatility Anomaly," Public Policy Review 9(3). He received MBA at Boston University, and PhD in Economics at Harvard University.

(実務経験 Work experience)

1987年 野村総合研究所入社、証券アナリスト業務に従事
1998年 野村證券に転籍
2002年 野村證券で株式ストラテジスト業務に従事
2006年 野村證券チーフ株式ストラテジスト(日本株担当)
2010年 野村證券マネージング・ディレクター
2012年 野村證券を退社、名古屋商科大学に転籍

Refereed Articles

  • (2024) Can GPIF’s ESG Investments Improve Risk-Adjusted Return of Its Portfolio?. JSRI Journal of Financial and Securities Markets 126
  • (2018) Irrationality of Institutional Investors' Asset Allocation: Evidence from Japanese Stock Market. The JSRI Journal of Financial and Securities Markets (102): 1342-1476
  • (2017) Hot Money and Cross-Section of Stock Returns during the Global Financial Crisis. International Review of Economics and Finance 50(July):
  • (2016) Work Engagement and Management Skill in Japanese Firms. Annals of the Society of Economic Sociology 38
  • (2015) A Proposition of Behavioral Economic Sociology. The annual of Society of Economic Sociology 37






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