シラバス Syllabus

授業名 金融政策
Course Title Monetary policy
担当教員 Instructor Name 小林 武(Takeshi Kobayashi)
コード Couse Code NUC525_N24A
授業形態 Class Type 講義 Regular course
授業形式 Class Format On Campus
単位 Credits 2
言語 Language JP
科目区分 Course Category 専門教育科目 / Specialized Subject
学位 Degree BBA
開講情報 Terms / Location 2024 UG Fushimi Term2

授業の概要 Course Overview

Misson Statementとの関係性 / Connection to our Mission Statement

本講義は、”フロンティアスピリッツ”を備えた、創造性豊かで倫理観のあるリーダーの育成を目指して行われる。
This course aims to educate innovative and ethical leaders who possess a ‘ Frontier.
Spirit and to create knowledge that advances business and society.

授業の目的(意義) / Importance of this course

最近の株価、金利、外国為替など金融市場動向は「官製相場」と言われるように、日本および世界の金融政策の与える影響は大きくなっている。一方、ゼロ金利、量的金融緩和、アベノミクスなど、金融政策をめぐる問題は、複雑になり、その政策の是非を巡る意見は錯綜し、全体像を正確に把握することが困難になっている。また、リーマン・ショック以降、国際金融システムの不安定性が実体経済へ甚大な影響を及ぼしており、様々な金融機関の監督・規制が議論されているが、どのような規制や監督制度が最適であるのかは各国に中央銀行や金融監督当局は答えを見いだせないでいる。
本講義では、こうした変化の著しい金融政策を理解するために、まずはその前提条件である金融システム、金融機関の役割、金融市場を学習する。そのうえで、金融政策が我々の実際の生活にどのように影響を与えるのかを議論を通じて理解を深める。講義では時事問題や実際の金融機関の業務などを随所に取り入れ実践的な内容にしていきたい。
The impact of the world financial policy have great impact on the financial market as recent stock prices, interest rates, foreign exchange is said to be "postal market",
On the other hand, issues surrounding the monetary policy such as zero interest rates, quantitative easing is hard to understand. As the opinion over the pros and cons of the policy is complicated it is difficult to accurately grasp the whole picture.
The purpose of this lecture, the financial system the knowledge of significant monetary policy of these changes, the financial markets, including the relationship between the financial institutions, is to understand systematically. In this lecture, in addition to "monetary policy" in the narrow sense for the purpose of economic stabilization in peacetime, to pick up the "prudential policy" for the purpose of safety and soundness of the financial system.
This lecture focus on the practical aspects including the current topics and the operation flow of financial institution etc.

到達目標 / Achievement Goal

本講義を通じて受講者は、①金融政策に関する基礎的な知識を習得し、②その知識を基に、実際のデータを通じて理論の妥当性を吟味し、現在の金融をとりまく問題を自分の力で考えることが可能になる。受講者が将来どのような業種の企業に就職しても、実務に活用できるように、豊富な時事問題を取り入れてできるだけ実践的な内容にする。

By the end of the semester students are able to learn the basic knowledge of monetary policy, on the basis of the knowledge, to examine the validity of the theory through the actual data, think about the problems surrounding the current financial environments.

本授業の該当ラーニングゴール Learning Goals

*本学の教育ミッションを具現化する形で設定されています。

LG1 Critical Thinking
LG2 Diversity Awareness
LG3 Ethical Decision Making
LG4 Effective Communication
LG5 Business Perspectives (BSc)

受講後得られる具体的スキルや知識 Learning Outcomes

本講義を通じて受講者は、①金融政策に関する基礎的な知識を習得し、②その知識を基に、実際のデータを通じて理論の妥当性を吟味し、現在の金融をとりまく問題を自分の力で考えることが可能になる。受講者が将来どのような業種の企業に就職しても、実務に活用できるように、豊富な時事問題を取り入れてできるだけ実践的な内容にする。

By the end of the semester students are able to learn the basic knowledge of monetary policy, on the basis of the knowledge, to examine the validity of the theory through the actual data, think about the problems surrounding the current financial environments.

SDGsとの関連性 Relevance to Sustainable Development Goals

Goal 4 質の高い教育をみんなに(Quality Education)

教育手法 Teaching Method

教育手法 Teaching Method % of Course Time
インプット型 Traditional 30 %
参加者中心型 Participant-Centered Learning ケースメソッド Case Method 40 %
フィールドメソッド Field Method 30 %
合計 Total 100 %

事前学修と事後学修の内容、レポート、課題に対するフィードバック方法 Pre- and Post-Course Learning, Report, Feedback methods

【学習方法】
学生は講義に臨む前にケースを熟読し、アサイメントについて各自で解答を用意すること。ケースにつき、3時間の予習を行うことが期待される。
【レポート】
① 予習レポート:各講義の前にアサイメントについての自分の考えをまとめ提出する(詳細はケースブックを参照のこと)。
②  最終レポートは以下の2点
 演習レポート:講義中に行うExcel演習のレポートを提出する。
【課題に対するフィードバック】
予習レポートは、翌週の講義にコメントと点数をつけて返却する。

授業スケジュール Course Schedule

第1日(Day1)

第1週 金融システム・お金の中継所としての金融機関の役割(1)
前半では、金融を仲介するにはどのような方法があるのだろうか、お金を貸し借りすることのメリット・デメリットは何か、金融が我々の実際の生活にどのように関係するかについて議論する。また、企業の財務データの演習を通じて企業がどのように資金を調達しているかを学習する。
後半では、お金の中継所としての金融機関の役割を学習する。
銀行は一般の企業と異なる独自の機能を持っている。そのうち、今回は資産変換機能、情報生産機能についてケースとグループワークを通じて学習する。経済における銀行の役割をロールプレイで体験するゲームを通じて銀行の機能について理解を深める。













●使用するケース
BBAコース 金融政策(2023) 講義ノート
第1週①:貧しい村人と裕福な村人との金融取引(オリジナルケース)
第1週②:東芝の不適切会計問題(オリジナルケース)

第2日(Day2)

第2週 お金の中継所としての金融機関の役割(2)
前回に引き続き、銀行の機能のうち、決済機能、信用創造機能についてケースと演習を通じて学習する。実際の銀行の財務諸表を分析する演習を取り入れながら現在の銀行が抱える問題について議論する。

●使用するケース
BBAコース 金融政策(2023) 講義ノート
第2週:悩める地方銀行員(オリジナルケース)

第3日(Day3)

第3週 市場を通じたお金の流れ-短期金融市場・債券市場
今回と次回で市場を通じたお金の流れを学習する。まずは、ケースを通じて、金利の決定方法を学習する。それを踏まえ、金融政策の中心舞台である短期の金利が決定される短期金融市場と長期の金利が決定される債券市場について民間銀行や日本銀行の役割に重点を置きながら理解を深める。演習では、実際の金利の動きを観測しながら、金利の変動要因について議論する。

●使用するケース
BBAコース 金融政策(2023) 講義ノート
第3週:ソフトバンクグループ -株式と社債の評価-(オリジナルケース)

第4日(Day4)

第4週 市場を通じたお金の流れ-株式市場・外国為替市場
前回に引き続き、株式市場・外国為替市場についてケースと演習を通じて学習する。
株価と経済指標を使ってグループ演習を通じて株価の変動要因について議論する。
また、「円高・円安」と貿易ゲームを通じ、外国為替はなぜ動くのかについて議論する。

●使用するケース
BBAコース 金融政策(2023) 講義ノート
第4週:バイデン政権と金利上昇(オリジナルケース)

第5日(Day5)

第5週 お金の「交通整理」としての金融政策(1)
第1週から第4週までの前提知識を踏まえ、今回は、景気の過熱や停滞を調節するための金融政策を取り上げる。
金融政策が実体経済にどのように波及しているかをケースと演習を通じて学習する。
演習では、実際の金融手段と金融・経済指標を観察することにより、金融政策が金融資産市場と実体経済にそれぞれどのように影響しているかを確認し、その波及効果を議論する。

●使用するケース
BBAコース 金融政策(2023) 講義ノート
第5週:複合危機下の金融政策(オリジナルケース)

第6日(Day6)

第6週 お金の「交通整理」としての金融政策(2)
金融システムの安全性・健全性確保を目的とする金融政策を取り上げる。
リーマンショックの原因とサブプライム問題と日本の不良債権問題の比較に関するケースを使って、金融危機の原因とその対処方法につき議論する。
また、これまでの学習の復習を兼ねて。民間銀行が直面するリスクとその管理方法について整理した上で、なぜ金融機関には公的介入が必要なのかについて議論する。

●使用するケース
BBAコース 金融政策(2023) 講義ノート
第6週:バブル崩壊・リーマンショック・コロナショック(オリジナルケース)

第7日(Day7)

第7週 望ましい金融政策とは
1997年に経営破たんした木津信用組合の預金取り付けのケースを題材に、実際の金融危機の状況とその後の対応につき議論する。
 金融政策のアクティブラーニングの総決算として、現在の金融経済環境を踏まえて望ましい金融政策についてグループに分かれてディスカッションを行う。テーマは、①景気の過熱や停滞を調節するための金融政策、②金融システムの安全性・健全性確保を目的とする金融政策(日本の金融業界を強化するための金融行政)のいずれでも良い。最後に授業の総括を行う。


●使用するケース
BBAコース 金融政策(2023) 講義ノート
第7週:シリコンバレー銀行の預金取り付け(オリジナルケース)

成績評価方法 Evaluation Criteria

*成績は下記該当項目を基に決定されます。
*クラス貢献度合計はコールドコールと授業内での挙手発言の合算値です。
講師用内規準拠 Method of Assessment Weights
コールドコール Cold Call 10 %
授業内での挙手発言 Class Contribution 50 %
クラス貢献度合計 Class Contribution Total 60 %
予習レポート Preparation Report 20 %
小テスト Quizzes / Tests 20 %
シミュレーション成績 Simulation 0 %
ケース試験 Case Exam 0 %
最終レポート Final Report 0 %
期末試験 Final Exam 0 %
参加者による相互評価 Peer Assessment 0 %
合計 Total 100 %

評価の留意事項 Notes on Evaluation Criteria

重点強化クラブ所属学生に対するレポート試験制度は実施しない。

使用ケース一覧 List of Cases

    ケースは使用しません。

教科書 Textbook

  • 島村・中島 「『金融読本 第32版』」東洋経済新報社(2023) 978-4492100387

参考文献・資料 Additional Readings and Resource

1. 川西・山崎 『金融のエッセンス (有斐閣ストゥディア)』 、有斐閣、2013、ISBN-13: 978-4641150041
2. 日本経済新聞社 『金融入門〈第2版〉』日本経済新聞社 2016年 ISBN-13: 978-4532113674
3. 藤木裕 『入門テキスト 金融の基礎 第2版』 東洋経済新報社 2022年 ISBN-13: 978-4492654934
4. 川波 洋一 (編集), 上川 孝夫 (編集) 『現代金融論 新版』 有斐閣 2016年 ISBN-13: 978-4641184336
5. 日本銀行金融研究所 『日本銀行の機能と業務』、2011年、ISBN-13:978-4-641-16380-5
6. 堀江康煕,有岡律子『テキスト金融論 第2版』新世社、2021年、ISBN-13: 978-4883843275
7. 吉野直行,山上秀文『金融経済―実際と理論 第3版』慶應義塾大学出版会、2017年、 ISBN-13: 978-4766424027
8. 谷内満 『入門 金融の理論と実践 第3版』 センゲージラーニング 2017年 ISBN-13: 978-4496052910
9. 家森信善 『金融論 (【ベーシック+】)』 中央経済社 2016年
ISBN-13: 978-4502185014
10. 小林照義 金融政策 第2版 (ベーシックプラス) 中央経済社 2020 ISBN-13: 978-4502332012

授業調査に対するコメント Comment on Course Evaluation

できるだけ分かりやすく解説することに心掛ける。また、授業で学んだことが実務においてどのように利用されるかといった点についても積極的に取り上げていきたい。

担当教員のプロフィール About the Instructor 

慶應義塾大学商学部卒。ファイナンス修士(HEC経営大学院)。博士(経営学、筑波大学大学院ビジネス科学研究科)。20年以上にわたり、東京銀行、格付投資情報センター、バークレイズ・グローバル・インベスターズ、三菱UFJモルガンスタンレー証券、NSフィナンシャルマネジメントコンサルティング(新日鉄住金ソリューションズ子会社)にて企業評価、資産運用、リサーチ業務等に従事。

He has been involved in the field of banking, asset management and research in financial industry for over 20 years.
He worked as loan officer and engaged corporate valuation and setting up investment funds in Luxembourg and pension business in Bank of Tokyo Mitsubishi. He has developed practical credit risk models in Rating & Investment Information, Inc. (Japanese rating agency).He managed fixed income portfolios and developed quantitative modeling of Fixed Income securities in Barclays Global Investors Japan and Black Rock Japan. He worked as credit analyst in Mitsubishi UFJ Morgan Stanley Securities to
analyze macro economy and credit market, and propose credit investment strategies He has consulted financial risk management for financial institution and corporation in NS Financial Management Consulting, Inc.
He holds BA in Business and Commerce from Keio University, and Master of International Finance from HEC School of Management and He received Ph.D. degrees in business administration from Tsukuba University, working in the daytime.

Refereed Articles

  • (2021) Common Factors in the Term Structure of Credit Spreads and Predicting the Macroeconomy in Japan. International Journal of Financial Studies ISSN 2227-7072
  • (2017) A Regime Switching Dynamic Nelson-Siegel Modeling to Corporate Bond Yield Spreads with Time-Varying Transition Probabilities. Journal of Applied Business and Economics 5(19,2017): 1499-691X
  • (2015) Term Structure of Credit Spreads and the Macroeconomy in Japan:A Global Factor Approach. Procedia Economics and Finance 2015/00(01): ISSN:2212-5671
  • (2013) Modeling the Term Structure of Credit Spreads and its Application to Japanese Corporate Bond Market. University of Tsukuba
  • (2012) Predicting credit spread using term structure and macro economic information. Modern Finance No31(No31):

Refereed Proceedings

  • (2024). Decomposing the Term Structure of Credit Spreads and Predicting the Macroeconomy in Japan. JAFEE 2024 Summer Proceeding .JAFEE 2024 Summer. 1. 2. Hitotsubashi university
  • (2024). Estimation of common and credit quality factors using term structure of credit spreads. JAFEE2023 Winnter Proceedings .JAFEE 2023 Winter. 1. 2. Tokyo unniversity
  • (2023). Decomposing Asian Countries Yield Curve Comovement. Proceeding of JAFEE 2022 Winter .JAFEE. 1. 2. Tohoku University
  • (2021). Comparison of Zero Coupon Yield Curve Estimation Methods Using Japanese Corporate Bond Price Data. Proceeding of JAFEE 2021 Summer .JAFEE Summer 2021. 1. 2. Online
  • (2020). A Global Model of International Yield Curves: Regime-Switching Dynamic Nelson Siegel Modeling Approach. Proceeding of JFA 2020 .Japan Finance Association 2020. 1. 2. Online






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