シラバス Syllabus

授業名 経済倫理
Course Title Ethics in economic society
担当教員 Instructor Name 吉井 哲(Satoshi Yoshii)
コード Couse Code NUC513_N20A
授業形態 Class Type 講義 Regular course
授業形式 Class Format
単位 Credits 2
言語 Language JP
科目区分 Course Category
学位 Degree BBA
開講情報 Terms / Location 2020 UG Fushimi Term1

授業の概要 Course Overview

Misson Statementとの関係性 / Connection to our Mission Statement

授業の目的(意義) / Importance of this course

「メリークリスマス!」という言葉、現在NYで使用すると非難されます!

なぜでしょう??他宗教への配慮がない人/企業と思われて、攻撃されるのです。

世の中には多様な主義主張が存在する。リベラリズム、新保守主義(ネオコン)、共産主義、新自由主義(ネオリベ)、コミュニタリアニズムなど。はたしてあなたは何主義でしょうか?

トランプさんは何主義??何であんなに過激??安倍さんはどんな人??

また、イデオロギー(人間の行動を左右する根本的な物の考え方の体系)は経済の問題と密接に結びついています。 (イスラム教徒を国に入れないぞ! by トランプ)

たとえば、以下のような問いに対して、あなたの立場はどうでしょうか?

マクドナルド(ファーストフード)の販売を禁止すべきか?

実際にアメリカではこの動きが活発です。カリフォルニア州ではハッピーセットなどのように、おもちゃのおまけを付けることが禁止されています。子供が買わないようにです!

これを聞いて、どう思いましたか??
日本人ならば、「何もそこまで・・・。」って思う人も多いかもしれません。でも、世界には色々な考えを持つ人が共存しています。

このような経済社会で判断が必要な問題を考えるために、経済の倫理を学びます。自分の倫理観にのっとって、社会で起きている経済問題やニュースを自分で判断できるようになる事が目的です。

また、就職活動では、グループディスカッションなどで意見を述べる事が求められますが、
自己の主張を正確に伝えることが出来るようになることも目標です。

【位置付け】
 名古屋商科大学の教育理念でもある「フロンティア・スピリット」を
備えたビジネスリーダーとなるには、経済思想に左右される政策とその意義を理解し、
深い教養を身につけることが必要です。そのようなことを念頭において、
履修してくださいまた、学んだ知識は,皆さんが新聞やニュースを理解するのを助け,
世の中で起きている様々な事柄(時事問題)がより身近に感じられるようになるはずです。
ゆえに,就職試験はもとより資格試験などにも役立つでしょう。

「本科目では、上記のラーニングゴールの確かな実現に向けて、ケース教材を用いた討論授業を行います。本科目の履修者には、討論授業に参加するための予習レポートの作成と、クラスでの積極的な発言が求められます。」
There are various ideas and principles in the society. For examples, a liberalism, an equalitarianism, neo-conservatism, communism and communitarianism. What kind of ideology do you have? Additionally, an ideology is related to a economic problem closely.

 Should McDonald (fast food) be banned?

You will learn some ideologies and economical ethics in this lecture to answer above-mentioned questions. It is the purpose that you get the abilities to judge the economical problem by your own ethics view.


In this course, we will conduct class discussions using case studies in order to achieve the learning goals. The students attending this course may be required to write a preparatory report and must participate in the class discussions.

到達目標 / Achievement Goal


本授業の該当ラーニングゴール Learning Goals

*本学の教育ミッションを具現化する形で設定されています。

LG1 Critical Thinking
LG2 Diversity Awareness
LG3 Ethical Decision Making
LG4 Effective Communication

受講後得られる具体的スキルや知識 Learning Outcomes

●基盤力(学ぶ力):行動の基盤となる様々な知識を積極的に学習する力
●実践的思考力(考える力):学習内容を問題の発見や解決に応用して考える力
●発展的コミュニケーション力(つながる力):関係者と良好な関係を築く力

本講義は、NUCBフロンティア力の中でもとりわけ「基礎力」、「実践的思考力」および「発展的コミュニケーション力」の育成を念頭に進められる。

【具体的スキル】
・経済社会で判断が必要な問題を考える力:自分の倫理観にのっとって、社会で起きている経済問題やニュースを自分で判断できるようになる事が目的です。
・自己の主張を正確に伝える力:就職活動では、グループディスカッションなどで意見を述べる事が求められますが、
自己の主張を正確に伝えることが出来るようになることも目標です。
・時事問題認識:学んだ知識は,皆さんが新聞やニュースを理解するのを助け,世の中で起きている様々な事柄(時事問題)がより身近に感じられるようになるはずです。ゆえに,就職試験はもとより資格試験などにも役立つでしょう。

You need to understand the situation of the (Japanese) market economy in order to become the business leader who have "Frontier Spirit," which is an education philosophy of NUCB. The knowledge learned in this lecture will help you to understand news. Therefore it would be useful for a job search.

SDGsとの関連性 Relevance to Sustainable Development Goals

教育手法 Teaching Method

教育手法 Teaching Method % of Course Time
インプット型 Traditional 5 %
参加者中心型 Participant-Centered Learning ケースメソッド Case Method 95 %
フィールドメソッド Field Method 0 %
合計 Total 100 %

事前学修と事後学修の内容、レポート、課題に対するフィードバック方法 Pre- and Post-Course Learning, Report, Feedback methods

・1日あたり最低3時間の予習を行うこと。
・教科書p.67(1)新保守主義から、p.84(6)リバタリアニズムまでを履修前に読んでおくと良い。
・各ケース、自分の倫理基準にのっとって立場を決めること、自己の見解を考えておくこと。
・倫理基準に関しては、第一日目のケース0を参照のこと。

<第1週から第6週>
・毎週のケースに関して、自分の考えをまとめたレポートを課す。
 なお、詳細はケースブックと同時に配布されるアサインメントを参照のこと。
 締め切りは、各講義日の講義前13:50まで(教卓提出)。

<第7週>
(1) 各自が作成したオリジナルケース(パワーポイント形式)を事前に提出。
  締め切りは、第6週の講義前13:50まで(教卓提出)。
提出方法や課題の詳細は、同時に配布されるアサインメントを参照のこと。
(2) 提出されたケースのうち、特にクオリティが高いと思われるケースを吉井が4本選出し、ファイルをBbにアップする。
そのファイルを閲覧し、批判的考察を加える。(レポート提出は不要)
* 選ばれた者は第7回講義でケースのプレゼンテーションを実施してもらう(大幅加点)。

授業スケジュール Course Schedule

第1日(Day1)

経済倫理問題とはなんだろうか?

ケース1:WinnyやYouTubeなど、新技術によるサービスが近年生み出されているが、それを使用する消費者の態度によって、供給者が罰せられるケースがある。殺人の場合、その包丁を作った職人が逮捕されるべきだろうか。
ケース2:クレヨンしんちゃんやドラえもんが、放映禁止の国がある。表現の自由とそれに対する感じ方は、千差万別というわけだ。また、放映禁止の判断は、政府が恣意的に行っている。国民の倫理形成に国は関与すべきだろうか。
ケース3:飲酒運転で捕まった場合、クビになる企業もあれば、そうではない企業もある。特に、生命の危機が関係するときには、特別な措置が取られる。このような措置の線引とはどのように考えればよいだろうか。


●使用するケース
ケース1「包丁を作った人は逮捕されるべきか?:ブレークスルーな技術と政府干渉」NUCB
ケース2「しずかちゃんの入浴シーンは「国」が規制すべきか?:表現の自由と政府干渉」NUCB
ケース3「学長の温情は正当か?:自由な組織形成と法令」NUCB

第2日(Day2)

社会生活での倫理問題Ⅰ

アメリカでは健康格差が深刻である。特に、所得や住む地域によって健康状況が異なる。一方で、肥満も問題である。それゆえ、近年アメリカ政府は積極的に国民の食生活に干渉しようとする。政府は国民を健康にする義務があるのだろうか、食生活という最も自由が問われる領域に関与してよいのだろうか。
ファストフードによって世界の食文化が均質化していると言われている。カウンター運動として「スローフード運動」が盛んであるが、なぜ伝統的な食文化は重要なのだろうか、存続させる必要はあるのだろうか。
ファストフードを規制しようとする動きがアメリカでは活発である。玩具のおまけを付けることを禁止している州もある。さらにはWHOやマクドナルド社でさえも、ファストフード食べないほうが良いと警告している。このようなファストフード産業に政府は介入すべきだろうか。


●使用するケース
ケース1「政府は国民を健康にする義務はあるか?」NUCB
ケース2「スローフードとファーストフード:伝統と革新の相克?」NUCB
ケース3「マクドナルドは規制すべきか?:何を食べるのも自己責任?」NUCB

第3日(Day3)

社会生活での倫理問題Ⅱ

ケース1・2:煙草は税収などのメリットよりも、医療費などのデメリットの方が大きい。全国の公務員の煙草休憩は、1年間で給料920億円分。非喫煙者にもおやつ休憩が欲しい、不公平だ。しかしながら、過度な嫌煙ファシズムは、社会の寛容度を低下させるのではないか。また、映画等の喫煙シーンへの批判は正当だろうか。
ケース3:SNS上には、「正論テロ」が溢れている。自分には全く無関係な他者(芸能人)を、なぜあれほど攻撃するのか。たった一度のミスに、なぜあれほどつけ込むのか。そんなに悪いことをしているのか。また、近年検索に残らない「忘れられる権利」が話題であるが、一般市民の知る権利とどちらが重要だろうか。

●使用するケース
ケース1「公務員は就業中に煙草を吸ってもよいか?:税金泥棒?」NUCB
ケース2「社会は煙草に寛容であるべきか?:自由に健康を害する権利」NUCB
ケース3「ネット炎上―だめなことをしてしまう弱い心の人間を認めないのはなぜか?:正論を振りかざす社会」NUCB

第4日(Day4)

ビジネス上での倫理問題

ケース1:なぜビジネスマナーが必要で、何のために守るのだろうか。「外見やマナーじゃなく中身で判断して欲しい!」とよく就活生は言うが、この発言は正しいだろうか。そのようなビジネスマナー(商慣行)をぶち破ってお金儲けをするホリエモンを我々はどのように評価したらよいだろうか。
ケース2:出張ついでに観光したり、日帰り出張から帰る途中の新幹線でビールを飲んだり、マイルを個人で貯めて家族旅行に使ったり、飲み会でお店の壁に穴を開けたり(よく聞く武勇伝)、このくらいの「ゆるさ」は許容されるべきだろうか。企業は、社員の業務以外の領域において道徳的に振舞うことを要求すべきだろうか。
ケース3:内部告発(産地偽装など)をすれば、社会全体にとって利益となる。しかし、当該企業は重大な損失を被るので、企業はそれを未然に防ぐためのルール(解雇等)を作るだろう。内部告発者は、会社の「守秘義務」を守らなかったゆえに、あるいは会社に対する「忠誠心」が欠けていたがゆえに、解雇処分を受けるだろう。政府はこのような企業の対応を罰するべきだろうか。企業は自由に内部規則(解雇や左遷)を決めて良いだろうか。

●使用するケース
ケース1「ビジネスマナーは守る必要があるか?:日本的商慣行を考える」NUCB
ケース2「会社は社員のプライベートな生活に干渉してよいか?:企業の倫理綱領」NUCB
ケース3「内部告発はなぜ行えないのか??:自由な組織形成と法令」NUCB

第5日(Day5)

他人への干渉

ケース1:モンスターペアレントに代表されるクレーマー、自己中心的に難癖・クレームを付けたくなる心理はなんだろうか。人々は、なぜクレームを言うのだろうか。また、近年裁判対策であまりにもバカげている製品の「注意書き」や「取扱説明書」が多いが、消費者側の知識不足にどのように対処したら良いか。
ケース2:「メリークリスマス!」という言葉、現在NYで使用すると非難される。他民族・他宗教への配慮がない人/企業と思われるからだ。しかしながら、配慮しすぎると国の伝統文化が崩壊していくのではないか。移民は郷に入れば郷に従うべきだろうか。
ケース3:生活保護費をパチンコ、競輪などギャンブルに使うことが非難されている。なぜだめなのだろうか。憲法で保証されている健康で文化的な最低限度の生活とはなんだろうか。

●使用するケース
ケース1「なぜクレーマーは発生するのか?:自己中心的社会を考える」NUCB
ケース2「「メリークリスマス!」は禁止すべきか?:多文化主義と伝統文化」NUCB
ケース3「生活保護者はパチンコをしてはだめか?:健康で文化的な生活とは?」NUCB

第6日(Day6)

若者の未来

ケース1:奨学金は借りるときに明確に借金だと分かっている。借りたものは返すのがまっとうな人間だ。これを返さない人に対して、取り立てを強化することに問題はあるだろうか。返済困難者はなぜ生まれるのだろうか。アメリカでは学費をアルバイトで支払う学生が多い。日本の大学生は、親が支払う場合が多いが、これは人生設計を自己管理出来ていないということだろうか?
ケース2:学歴フィルターは正当なものだろうか、学歴で採用を判断してはならないのだろうか。幸せな人生を送るために、勉強を頑張ることは意味ある行為だろうか。日本の若者の幸福度は低いが、なぜ低いのだろうか。どうすれば上がるのだろうか?
ケース3:若者があまりに投票しないから、国の支出は「子ども:高齢者で1:11」というひどい状態だ。国の将来を担う若者にお金が使われていない。このままでは高齢世代に世代間闘争で負けて、若者にとって暮らしやすい社会にはならない。どうすれば若者の投票率は上がるだろうか?どうすれば若者は選挙に行くだろうか?

●使用するケース
ケース1「日本の大学生は甘えているのか?:学費と奨学金」NUCB
ケース2「学歴は人生を幸福にするか?:学歴社会と幸福度」NUCB
ケース3「若者の意見を社会に反映させるには?:世代間対決!!」NUCB

第7日(Day7)

学生作成ケースによる討論

●使用するケース
学生提出ケースより選ばれた、優秀ケースをもとに講義

成績評価方法 Evaluation Criteria

*成績は下記該当項目を基に決定されます。
*クラス貢献度合計はコールドコールと授業内での挙手発言の合算値です。
講師用内規準拠 Method of Assessment Weights
コールドコール Cold Call 0 %
授業内での挙手発言 Class Contribution 45 %
クラス貢献度合計 Class Contribution Total 45 %
予習レポート Preparation Report 30 %
小テスト Quizzes / Tests 0 %
シミュレーション成績 Simulation 0 %
ケース試験 Case Exam 25 %
最終レポート Final Report 0 %
期末試験 Final Exam 0 %
参加者による相互評価 Peer Assessment 0 %
合計 Total 100 %

評価の留意事項 Notes on Evaluation Criteria

・第1週から第6週の予習レポート:30%(毎回5点満点×6回)
・第6週締め切りのオリジナルケース:25%、とにかく面白いネタを!
・講義中の発言:45%

なお、オリジナルケースは、最大で15%の加点対象とする。

使用ケース一覧 List of Cases

    ケースは使用しません。

教科書 Textbook

  • 橋本努著「『経済倫理=あなたは、なに主義?』」講談社選書メチエ(2008)978-406258419

参考文献・資料 Additional Readings and Resource

橋本努著『経済倫理=あなたは、なに主義?』講談社選書メチエ、2008年。
教科書p.67(1)新保守主義から、p.84(6)リバタリアニズムまでを履修前に読んでおくと良い。

【参考図書】
片山・山本・吉井編『多様化する社会と多元化する知−−「あたり前」を疑うことで見える世界ナカニシヤ出版、2017年、ISBN:978-4-7795-1149-3

基本的には、すべてケースを用いて講義をします。

授業調査に対するコメント Comment on Course Evaluation

毎回150回以上の発言がある。受講する学生は積極的に手を上げること。

担当教員のプロフィール About the Instructor 

北海道大学大学院経済学研究科博士課程修了。博士(経済学)北海道大学専門研究員、名古屋商科大学経済学部講師、准教授を経て、2015年より現職。専門は理論経済学、経済学説史。現在の研究内容は、「企業属性や取引慣行、組織能力が価格設定行動に与える影響」、「価値論転換の歴史」、「中間財を含んだ国際貿易」の研究を行う。主な著書に『多様化する社会と多元化する知』(ナカニシヤ出版、共著)などがある。

Dr. Satoshi Yoshii is a Professor in the Faculty of Economics at Nagoya University of Commerce and Business, where he has taught since 2009. He received a Ph.D. in Economics from Hokkaido University (Hokkaido, Japan) in 2008, and B.A. in Economics from Hokkaido University (Hokkaido, Japan) in 2001.
He has been working on Price-setting behavior in empirical analysis and on a transformation of value theory in a history of economic thought and on new construction of the Ricardian theory of international Values in pure theory.

Refereed Articles

  • (2015) A study on the mystery of Ricardo's permission about Malthus' "laws of supply and demand," and a few consideration about a contemporary significance of natural price. The annual of Society of Economic Sociology 37 978-4768470947
  • (2007) Sraffian system and the demand. Hokkaido University,Keizaigaku Kenkyu 57(2):
  • (2007) A Study on Changes in the Composition of Output: An Alternative Consumption Theory in Terms of Multiple-self. Evolutionary and Institutional Economics Review 4(1):
  • (2007) An Alternative Consumption Theory in Terms of Multiple-self. the annual by The Society Of Economic Sociology 29






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