シラバス Syllabus

授業名 サービス経営
Course Title サービス経営
担当教員 Instructor Name 井坂 智博(Tomohiro Isaka)
科目ナンバリングコード Course Numbering Code BBA403
授業形態 Class Type 講義 Regular course
授業形式 Class Format On Campus
単位 Credits 2
言語 Language JP
科目区分 Course Category
学位 Degree BBA
開講情報 Terms / Location 2026 UG Fushimi Term4
コード Course Code NUC506_N26B
メジャー Major

授業の概要 Course Overview

Mission Statementとの関係性 / Connection to our Mission Statement

持続的な経営が求められる昨今、今後の成長を見据えたDX推進、新規事業開発、業態転換など、サービス経営戦略の策定が喫緊の課題です。同時に、事業のサステナビリティ(持続可能性)を意識した取り組みも欠かせません。また、消費者ニーズがモノからコトへと転換したサービス産業は、日本のGDP(国内総生産)の7割を超えるまでに発展し、サービス経営自体の見直しが求められています。
さらに2026年現在、二つの変化が同時に起きています。一つは、AIの活用によって競合調査や分析といった机上の作業が誰にでも短時間でできるようになったことです。分析そのものでは差がつかなくなり、現場で自分の目と耳で確かめた一次情報の価値が上がっています。もう一つは、気候変動、資源、人口減少、災害といった「制約」が、事業の前提条件になってきたことです。これまで当たり前にできていたことができなくなる社会では、制約こそが新しい価値の入口になります。
この見直しには、これまでの工業経営学だけでは不十分で、新たなサービス経営の理解と実践力が必要です。本学のフロンティアスピリットを備えた実践的な教育が、新たなサービス経営の価値創造の一端を担います。
Sustainable management is required today, and the formulation of service management strategies — DX promotion, new business development and business model conversion — is an urgent issue. The service industry, where consumer needs have shifted from goods to experiences, now accounts for more than 70% of Japan's GDP. In 2026, two changes are occurring at once: AI has made desk analysis available to everyone, raising the value of first-hand information gathered in the field; and constraints such as climate change, resources, population decline and disasters have become preconditions of business. This course treats those constraints as the entrance to new value creation.

授業の目的(意義) / Importance of this course

社会課題は複雑化し、これまでの問題解決手法だけでは充分とは言えなくなってきました。成熟化・多様化による社会や顧客の変化に、新たな対応が迫られています。企業においては、競争環境が激化するなか、多様化したユーザーニーズをいち早く捉え、それに合った新たなサービスを開発することが、付加価値を高めるために必要です。
本授業では、サービス経営を通して、「目に見えないサービスの本質的な価値とは何か」「どのようにして価値創造を行うのか」「組織体制や仕組みはどうするのか」を、顧客・従業員・事業の三つの視点から掘り下げていきます。持続的な成長を推進するために、どの視点も犠牲にしないサービス経営を学習し、ビジネスや組織の中でしばしば直面する課題と解決策を検討していきます。
本年度は、これに二つの軸を通します。第一に、制約(身体の制約、環境の制約)を起点に価値をつくるという視点です。生活に強い不便を感じている人(リードユーザ)が困っていることの中に、将来多くの人が直面する課題が先に現れます。第二に、AIが担う仕事と人が担う仕事の線引きです。分析をAIに任せられる時代に、経営者は何を自分で確かめ、何を判断するのかを考えます。
Social issues have grown more complex, and conventional problem-solving methods are no longer sufficient. As society and customers mature and diversify, companies are required to respond in new ways. In an increasingly competitive environment, a company must quickly grasp diversified user needs and develop new services that match them in order to raise its added value.

Through service management, this course explores three questions — what is the essential value of an invisible service, how is that value created, and what organizational structures and mechanisms are needed — from three perspectives: the customer, the employee and the business. To drive sustainable growth, students learn a form of service management that sacrifices none of these three perspectives, and examine the problems frequently faced in business and in organizations, together with their solutions.

This year, two additional axes run through the course. The first is creating value that starts from constraints, both physical constraints and environmental ones. Within the difficulties faced by lead users — people who experience severe inconvenience in daily life — the challenges that many others will face in the future appear first. The second is the boundary between the work AI performs and the work people perform. In an era when analysis can be delegated to AI, we consider what managers must verify for themselves and what they must decide.

学修到達目標 / Achievement Goal

1. 顧客満足度(CS) 「スターバックス 顧客サービスの提供」+2026年補助ケース
2. 従業員満足度(ES) 「TESSEI(テッセイ)の苦境」+2026年補助ケース
3. サービスマーケティング「再春館製薬所『大きな個人商店』を目指す」+2026年補助ケース
4. サービス価値創造 「草津温泉“復活”の物語」+2026年補助ケース
5. サービス成長戦略 「TONYの進化を続けるテクノロジーとエンタテインメントの融合による価値創造」2026年版
6. サービスイノベーション「20年後のトヨテツをデザインする ― 豊田鉄工、制約から始まる未来創造」2026年版
7. サービスオペレーションと事業継続「クルーズトレインななつ星」(講師オリジナルケース・2026年版)

以上の七つの視点から、社会の変化に適応して生み出す新しいビジネスと経営のモデルを学びます。サービス経営が経営全般に与える影響、顧客に対する価値創造などを、さまざまなステークホルダーの立場から網羅的に理解することを目標とします。

Students will learn and understand the seven perspectives of service management: 1. Customer satisfaction, 2. Employee satisfaction, 3. Service marketing, 4. Service value creation, 5. Growth strategy, 6. Service innovation, 7. Service operations and business continuity.

本授業の該当ラーニングゴール Learning Goals

*本学の教育ミッションを具現化する形で設定されています。

LG2 Diversity Awareness
LG3 Ethical Decision Making
LG5 Business Perspectives (BSc)
LG6 Managerial Perspectives (BBA)

受講後得られる具体的スキルや知識 Learning Outcomes

サービス経営に必要な七つのスキルを習得します。B2B、B2Cにかかわらず、ビジネスの醍醐味を深く探求し、社会の変化に対して自主革新する力を養います。
また、社会人になると企業や社会からアウトプットを求められます。その内容やレベルは多様で、正解を求められることもあれば、たくさんの解を求められることもあります。本授業では、多くの解をアウトプットする演習と、どのように相手に伝えれば相互理解につながるのかという点も考慮しながら進めます。
本年度は、これに加えて次の二つを身につけます。一つは、AIを使って調べたことを鵜呑みにせず、「ここは違う」と言える力です。もう一つは、実在の人に会って一次情報を取り、それを事業の言葉に翻訳する力です。
最後に、レポートの書き方や見せ方についてもアドバイスします。七回の授業を通して、自己成長と自己革新をともに目指しましょう。

Students acquire the seven skills required for service management. Whether the setting is B2B or B2C, they explore the real substance of business in depth and develop the ability to renew themselves in response to changes in society.

Once they enter the working world, companies and society will ask them for output. Its content and level vary widely: sometimes a single correct answer is expected, and sometimes many answers are. This course therefore includes exercises in producing many answers, while also giving attention to how those answers should be conveyed so that mutual understanding follows.

This year, students additionally acquire two abilities. The first is the ability not to take what they have found using AI at face value, and to be able to say, "this part is wrong." The second is the ability to meet real people, obtain first-hand information, and translate it into the language of business.

Finally, advice will also be given on how to write and present reports. Through the seven sessions, let us aim together at both personal growth and personal renewal.

SDGsとの関連性 Relevance to Sustainable Development Goals

Goal 4 質の高い教育をみんなに(Quality Education)

教育手法 Teaching Method

教育手法 Teaching Method % of Course Time
インプット型 Traditional 15 %
参加者中心型 Participant-Centered Learning ケースメソッド Case Method 70 %
フィールドメソッド Field Method 15 %
合計 Total 100 %

事前学修と事後学修の内容、レポート、課題に対するフィードバック方法 Pre- and Post-Course Learning, Report, Feedback methods

・1ケースあたり最低3時間の予習を行ってください。
・事前レポート、毎授業のアサインメントレポート、最終レポートは必ず提出すること。
・レポート未提出は、評価対象外とします。
・レポート作成の前に、ケースファクトの整理を必ず行い、レポートの最初のページに記述すること。マインドマップ(無料アプリ:XMind)の使用を推奨します。
・提出されたレポートに対するアドバイスをclassroomで行います。
・参考文献は、サービス経営を深く理解するための資料です。

授業スケジュール Course Schedule

第1日(Day1)

第1回 11月28日(土) 【1.顧客満足度(CS)とは】
顧客ロイヤルティ、CS(Customer Satisfaction=顧客満足度)とは何かを、スターバックスのサービスを通して探求します。サービスの本質とは何か、顧客が求めているものは何か、顧客が感じる価値とは何か、それを支える組織はどのような組織か。あわせて、モバイルオーダーの普及によって店舗の体験がどう変わったのかを扱い、デジタルによる効率化と人が提供する体験の関係を考えます。

●アサインメント
1. スターバックスが考えている顧客サービスとは何か。顧客サービスはなぜ必要か。また、顧客サービスの提供は経営にどのような影響を及ぼすか。
2. 顧客はこのサービスによって、どのような価値を手に入れ、どのように感じているか。具体的に複数書き出しなさい。
3. 補助ケースを読み、ケースの時点と2026年の現在とで、何が変わり、何が変わっていないかを整理しなさい。効率が上がったことで失われたものがあるとすれば、それは何か。
4. あなたが経営者なら、次の10年で顧客満足度を高めるために何をするか。その提案のメリットとデメリット(リスク)を、企業軸と顧客軸の二つから検討しなさい。


●使用するケース
「スターバックス 顧客サービスの提供」+ 2026年補助ケース(講師作成)

【アサイメント】
1.スターバックスが考えている顧客サービスとは何か。顧客サービスはなぜ必要か。また、顧客サービスの提供は、経営にどのような影響を及ぼすか。
2.顧客はこのサービスによって、どのような価値を手に入れ、どのように感じているか。具体的に複数書き出しなさい。
3.補助ケースを読みなさい。あわせて、実際にスターバックスの店舗を訪れ、「注文から4分以内に渡す」という約束が守られているか、店内で飲む人と持ち帰る人がどのように扱われているかを観察し、見たことを記録しなさい。そのうえで、本編(2002年)に描かれている店舗と、あなたが見た店舗とでは何が変わり、何が変わっていないかを整理しなさい。効率が上がったことで失われたものがあるとすれば、それは何か。
4.あなたが経営者なら、次の10年で顧客満足度を高めるために何をするか。その提案のメリットとデメリット(リスク)を、企業軸と顧客軸の二つから検討しなさい。

第2日(Day2)

第2回 11月28日(土) 【2.従業員満足度(ES)とは】
ES(Employee Satisfaction=従業員満足度)とは何かを、テッセイの事例を通して理解します。なぜ従業員満足度の向上が必要なのか、顧客が感じる価値とどう関連づけられるのか、推進する上で起こりうる組織の課題と解決の方向性を検討します。あわせて、人手不足と訪日客の増加という制約の中で、現場の誇りをどう保つのかを考えます。

●使用するケース
「TESSEI(テッセイ)の苦境」+ 2026年補助ケース(講師作成)

【アサインメント】
1. テッセイが抱えていた課題は何か。複数のステークホルダーの軸を挙げて説明しなさい。そのうえで、組織と顧客に対して矢部輝夫が果たした役割は何か、その役割を果たすことで何が変わったのかを、従業員満足度の向上をキーワードに説明しなさい。
2.矢部輝夫が課題を解決するために行った具体的な内容は何か。また、それはなぜ行ったと思うか、あなたの考えを述べなさい。
3.補助ケースを読みなさい。2026年の現場には、日本語を母語としない働き手が入ってくる。手順は翻訳できるが、誇りは翻訳できるのか。矢部が行った「意味の移転」を、言葉が通じない現場で成立させる方法を一つ設計しなさい。あわせて、その方法の限界も述べること。
4.補助ケースを読みなさい。2026年の現場は、人手不足と訪日客の増加という制約の中にある。あなたが現在の責任者なら、従業員の誇りと顧客の満足を両立させるために何をするか。本編の方法がそのまま使えるのか、使えないとすれば何を変えるのかを含めて述べなさい。

第3日(Day3)

第3回 11月29日(日) 【3.サービスマーケティングとは】
再春館製薬所のビジネスの特徴から、持続的な経営を支えている顧客との関係性について学びます。特徴あるマーケティング手法、それを支える組織的な工夫、価値向上を維持するために社内外で行っている施策を理解します。あわせて、人による対話の価値がAIによってどこまで代替されうるのかを検討します。


●使用するケース
「再春館製薬所『大きな個人商店』を目指す」+ 2026年補助ケース(講師作成)

【アサインメント】
1.再春館製薬所のビジネスの特徴は何か。事業・製品・組織・販促など、自分で複数の軸を立てて論じなさい。そのうえで、顧客接点を強化するために組織として行っている工夫は何か、それによってどのような成果が得られたのかを示しなさい。
2.持続的な顧客満足を追求するために、社内・社外に向けて行っているマーケティング施策とは何か。それによって醸成された新たな価値観とは何かを論じなさい。
3.補助ケースを読みなさい。顧客との対話のうち、AIに任せられる部分と、人でなければ成り立たない部分を切り分けなさい。その境界線を、あなたはどこに引くか。理由とともに述べなさい。また、同社が引いた線(時間帯で分ける)以外の引き方があるとすれば、どのような引き方か。
4.夜間にAIが聞き取った内容は、翌朝、人にどう引き継がれるべきか。引き継ぎの仕組みを具体的に設計しなさい。あるいは、あえて引き継がない設計を選ぶとすれば、その理由は何かを述べなさい。

第4日(Day4)

第4回 11月29日(日) 【4.サービス価値創造】
団体旅行が盛んな時代に一世を風靡した草津温泉は、時代の変化についていけず斜陽化しました。その温泉街が劇的な復活を遂げ、2019年にはバブル経済期を超える観光客が訪れています。何が起こったのか、なぜ再生できたのか。具体的な施策と顧客が感じる価値を紐づけながら、サービス価値の向上とは何かを探求します。あわせて、観光客の増加がもたらした新たな制約(混雑、人手不足、地域の負担)を扱います。


●使用するケース
「草津温泉“復活”の物語」+ 2026年補助ケース(講師作成)

【アサインメント】
1.草津温泉はどのような課題を抱えていたか。また、町長はどのような解決策を打ったか。課題と解決策という形で整理しなさい。そのうえで、観光地を選ぶ立場にある顧客に対して継続的なサービス価値の向上に取り組むために工夫したことを具体的に示し、なぜその工夫が財務状況の改善につながったのか、理由を説明しなさい。
2.補助ケースを読み、いま草津温泉が直面している制約を三つ挙げなさい。そのうえで、2026年1月に町長が交代したことを、あなたはどう解釈するか。
3.観光の成果を入込客数で測る限り、打ち手は「もっと多く呼ぶ」に向かう。入込客数以外の指標を三つ設計しなさい。その指標を目標に置くと、町の打ち手がどう変わるのかを述べること。
4.あなたが町長の立場なら、どのような価値を創造し、誰に提供するか。三つ以上の価値を挙げ、その理由と実現に向けた具体的な施策を説明しなさい。その際、来訪者・働く人・住民の三者それぞれにとって、その施策が何をもたらすのかを必ず示すこと。

第5日(Day5)

第5回 12月5日(土) 【5.サービス成長戦略】
モノからコトへ、大きな事業の舵取りが必要になっています。自社の製品やサービスのシナジーを検討し、新たな価値創造が求められる時代です。社内外の環境変化に順応しながら、パーパスがモノとコトをどうつなぐのかを考え、成長戦略を検討します。

●使用するケース
Case:「ソニー、モノを売ってきた会社の次」〜講師オリジナルケース〜

【アサインメント】
1.ケースのファクトを整理しなさい。ソニーがどのような会社で、どこで稼ぎ、何が伸びて何が縮んでいるのかを、自分で軸を立てて示すこと。
2.主人公が直面している「事象」を三つ挙げ、その背後にある「真の問題」を一つに絞りなさい。なぜそれが真の問題だと考えるのかを説明し、その問題が誰の問題なのか(主人公個人・部門・会社・顧客)も示すこと。
3.モノを売る商売とコトを売る商売は、何がどう違うのか。ケースの事実にもとづいて整理したうえで、テレビのような製品でも「続く関係」をつくれるかどうかを論じなさい。つくれるとすれば、どうやってか。また、その関係を資産と呼ぶなら何によって測れるのか、経営会議に提案する指標を二つ挙げ、それぞれが何を測っていて何を測っていないのかを説明しなさい。
4.あなたが主人公なら、9月の事業計画会議に何を提案するか。来年度の予算と人員の中で最初に着手する一歩を、具体的に書きなさい。そのうえで、その提案を採らなかった場合にこの会社が5年後に失うものは何かを述べなさい。

第6日(Day6)

第6回 12月5日(土) 【6.サービスイノベーション】
自動車の骨格部品をつくってきた企業が、20年後に何の会社になるのかを自ら設計しようとする、実際のプロジェクトを扱います。制約(環境・資源・人口・身体)を起点に価値を考えるとはどういうことか、フォアキャストとバックキャストはどう役割が違うのか、AIが分析を担う時代に人は何を判断するのかを、当事者の立場で検討します。正解のないケースです。


●使用するケース
「20年後のトヨテツをデザインする ― 豊田鉄工、制約から始まる未来創造」(講師オリジナルケース)

【アサインメント】
1.ケースのファクトを整理したうえで、豊田鉄工の強みを社外の人の言葉で定義しなさい。「トヨテツにしか頼めない」と誰かが言うとすれば、その人は誰で、何と言うのか。一文で書き、なぜそう言えるのかをケースの事実で裏づけなさい。社内の中だけで通用する言葉(総合力、現地現物、品質が高い、など)は使わないこと。
2.主人公が直面している「事象」を三つ挙げ、その背後にある「真の問題」を一つに絞りなさい。なぜそれが真の問題だと考えるのかを説明し、その問題が誰の問題なのか(主人公個人・部門・会社・社会)も示すこと。
3.20年後の豊田鉄工が、自動車以外のものづくりの現場に対して事業を行うとする。どの業種の、誰の、どんな課題を解決するかを一つ選びなさい。そのうえで、それを「モノとして提供する」のか「コトとして提供する」のかを決め、理由を述べなさい。誰が、いつ、いくら払うのかも示すこと。
4. 3で選んだ提案を20年後の構想として組み立て、豊田鉄工のどの強みをどう使うのかを示しなさい。あわせて、あなたの構想が成り立たなくなる条件を一つ挙げ、その条件が起きているかどうかを何で見分けるのかを書きなさい。

以下はアサイメントを解く際のヒントです。
・3、の提案を、製品軸・顧客軸・社会軸の三つで検証しなさい。最も空白が大きい軸はどれか。その空白を埋めるために、あなたなら何を調べ、誰に会いに行くか。
・対立する二人の主張は、どちらにも理がある。あなたが取締役の立場なら、この二つをどう翻訳して現場に降ろすか。降ろした結果、誰の何が変わるのかまで書きなさい。
・自分たちの強みを決めるのが社外の誰かだとすれば、外で聞いたことを社内の判断にどう組み込めばよいか。稟議の様式、事業化のゲート、評価の基準のうち、どこを変えるかを一つ選び、具体的に述べなさい。

第7日(Day7)

第7回 12月6日(日) 【7.サービスオペレーションと事業継続】
「お客様が求めている価値とは何か」という視点から、クルーズトレインななつ星は生まれました。顧客は、さまざまな体験や地域の食材、地域住民との触れ合いを通じて、これまで経験しなかった価値を体感します。本回では、この価値を生み出す一連の運営(オペレーション)を分析するとともに、地震や豪雨といった災害が前提となる時代に、そのサービスをどう続けるのかを検討します。これまで学んだ六つの視点を統合して、提案としてまとめ、発表します。


●使用するケース
「クルーズトレインななつ星」(講師オリジナルケース・2026年版)

【最終レポート】
1.「ななつ星 in 九州」の最新のパンフレットを読み、一般的な鉄道利用の旅との違い、工夫している点を説明しなさい。また、あなたが乗車を希望するとしたら、どのような価値や体験に魅力を感じるかを論じなさい。
2. ケースを読み、持続的にサービスを向上させるために必要な施策を、「サービスマーケティング」「顧客満足度」「従業員満足度」「サービスオペレーション」「サービス価値創造」「成長戦略」の六つの観点から分析しなさい。
3. この4日間で扱った7つのケースには、企業や地域が直面していた「制約」が描かれていた。人が集まらない、時間が増えない、身体が思うように動かない、災害が起きる、環境への説明を求められる。それぞれのケースで、制約のままで終わったものと、制約が資源に変わったものを分けなさい。そのうえで、何がその違いを生んだのかを述べること。
4. あなたはJR九州営業企画部の若手リーダーです。経営者から、災害が前提となる時代にこのサービスをどう続け、どう育てるかを問われています。提案書を作成しなさい。その際、六つの観点すべてから提案を考えること。また、観察課題で見つけた「不便を感じている人」の視点を、提案のどこかに必ず反映させること。最終日はパソコンを持参し、スクリーンに投影しながらプレゼンテーションを行うこと。

※最終日はパソコンを持参しなさい。4、の提案を、パソコンを使ってスクリーンに投影しながらプレゼンテーションしていただきます。発表できるよう準備してください。

成績評価方法 Evaluation Criteria

*成績は下記該当項目を基に決定されます。
*クラス貢献度合計はコールドコールと授業内での挙手発言の合算値です。
講師用内規準拠 Method of Assessment Weights
コールドコール Cold Call 20 %
授業内での挙手発言 Class Contribution 50 %
クラス貢献度合計 Class Contribution Total 70 %
予習レポート Preparation Report 20 %
小テスト Quizzes / Tests 0 %
シミュレーション成績 Simulation 0 %
ケース試験 Case Exam 0 %
最終レポート Final Report 10 %
期末試験 Final Exam 0 %
参加者による相互評価 Peer Assessment 0 %
合計 Total 100 %

評価の留意事項 Notes on Evaluation Criteria

【評価の留意事項】
・スーツ着用とします。スーツを着こなし、社会人としての最低限の礼節を実行してください。
・礼節を欠く場合は、指摘をさせていただきます。1年時のビジネス基礎の復習を行う事
・1ケースあたり最低3時間の予習を行ってください。
・レポート作成の前に、ケースファクトの整理を必ず行い、レポートの最初のページに記述すること。
・事前レポート、毎授業のレポート、最終レポートは必ず提出すること。レポート未提出は、評価対象外とします。
・レポートは必ず印刷して授業に持参すること。授業中のPC・スマートフォンの使用・閲覧は、教員が指示した時のみ許可します(最終日のプレゼンテーションを除く)。

【AIの利用について】
本授業では、レポート作成におけるAIの利用を認めます。フレームワークによる分析や情報の収集にAIを使って構いません。ただし、次の二点を条件とします。
・AIの答えをそのまま写さないこと。使用した場合は、AIの答えに対して「ここは違うと思った」点を必ず一つ以上、レポートに書き添えること。また、レポートのどの部分をAIリサーチを行ったかを最後のページに記載する事
・評価するのは、分析そのものではなく、その分析から何を見抜いたか、そして自分で確かめた一次情報によってどう裏づけたかです。
・AIが数分で出せる答えは、教室では評価されません。自分の目で見たこと、自分で会いに行って聞いたことが、あなたのレポートの価値になります。
・web情報・AIリサーチの結果をコピ&ペーストは、厳禁とします。レポート全体の40%以上がそれにあたる場合は、学内規定により処罰の対象といたします。

【レポートのファイル名について】
レポートのファイル名は以下に統一します。
Day1_1_学籍番号_氏名
例) Day1_1_22012345_名古屋太郎  → 1とは、【1.顧客満足度とは】を示します。
Day1_2_22012345_名古屋太郎  → 2とは、【2従業員満足度(ES)とは】を示します。

【メールにおける質問について】
質問をする場合の件名は、以下の通りです
件名 : 学籍番号_氏名

【教科書について】
1、2年生の時の授業で購入した学生は、それを使用してください。持っていない学生は、初日(11月28日)の授業開始前に教室で購入してください。お釣りのないようにお願いします。
書籍代1,980円 (封筒に入れて、学籍番号、氏名、金額を記載し持参する事)

配布教材と教室における電子機器の利用マナーについて Guidelines for Classroom Technology and Proper Use of Course Materials

  1. ケースメソッド教育の中核は、積極的な参加と知識の共有です。この教育を支えるため参加者は授業中の電子機器(例:スマートフォン、ノートパソコン)の使用を制限するよう求められます。許可を得た場合でも、教室内では電子機器は、ケース討議に資する目的でのみ使用してください。授業中は、たとえケース討議に関連していても、検索エンジンや生成AIの使用は避けて下さい。
  2. 配布教材(ケースを含む)は指定された授業への参加以外の目的で利用しないで下さい。著者の権利、著作権、特定情報の機密性を保護するため、許可なく教材を個人や組織(生成AI を含む)に提供することはできません。このルールは、印刷物・電子教材のいずれにも適用されます。
  1. Active participation and shared learning is at the core of the case method learning. Participants are asked to limit their use of electronic devices (e.g., laptops, smartphones) during classroom sessions in support of this model. Even with permission granted, devices should only be used in the classroom in service to the case discussion. Online searches and generative AI tools, even if related to the case discussion, are discouraged while class is in session.
  2. Students are prohibited from using the course materials (including cases) distributed by the university for any purpose other than participation in the designated class. Students must not input, process or test course materials with any artificial intelligence (AI) tools, bots, software, or platforms without the author's permission. These actions violate the terms of use for the course materials and may also constitute copyright infringement.

教科書 Textbook

  • 井坂智博「SDGs時代の課題解決法 インクルーシブデザイン」日経BP社(2019)978-4296104529

参考文献・資料 Additional Readings and Resource

好奇心を掻き立てる良書を紹介します。自分たちが知っている世界は氷山の一角であり、視点を広げることで新たな世界が見えてきます。これからの激動の時代を生き抜いていく知恵や行動理論を吸収してください。購入は任意です。
・山口周『ニュータイプの時代』ダイヤモンド社(2019)ISBN 978-4478108345
・斎藤幸平『人新世の「資本論」』集英社(2020)ISBN 978-4087211351
・安藤広大『とにかく仕組み化』ダイヤモンド社(2023)ISBN 978-4478117743
・馬田隆明『解像度を上げる』英治出版(2022)ISBN 978-4862763181
・岩渕正樹『世界観のデザイン 未来社会を思索する技術』クロスメディア・パブリッシング(2024)ISBN 978-4295410065
・ヘイミシュ・マクレイ『2050年の世界 見えない未来の考え方』日経BP(2023)ISBN 978-4296118410
・水野学、山口周『世界観をつくる 「感性×知性」の仕事術』朝日新聞出版(2020)ISBN 978-4022516732
・ユヴァル・ノア・ハラリ『NEXUS 情報の人類史(上・下)』河出書房新社(2025)ISBN 978-4309229430
・ユヴァル・ノア・ハラリ『サピエンス全史(文庫)』河出文庫(2025)ISBN 978-4309854007

授業調査に対するコメント Comment on Course Evaluation

社会で必要な人間形成を主に置きながら、コミュニケーション能力や経営スキルを学ぶ機会としています。受講生のレベルや理解度に応じて授業内容を柔軟に変更します。そのため、シラバス通りに進まないこともあります。しかし、受講生からは「学生の立場に立った厳しい指導」と定評があります。社会に出る準備として、成長意欲の高い学生の参加を期待しています。
2021年、2022年、2024年、2025年に「Teaching Award」を受賞しています。

担当教員のプロフィール About the Instructor 

井坂智博  TOMOHIRO ISAKA
株式会社インクルーシブデザイン・ソリューションズ 代表取締役社長
学  位 : 2009年名古屋商科大学院GMP修了 M.B.A (経営学修士)
研究分野 : イノベーション。
職歴
リクルートで人材育成や組織の活性化、営業業務の標準化コンサルを経験し、1997年日本ではじめてのWEBマーケティング会社を起業。M&Aで売却後、国連東京支部の支部長や上場起業の役員を歴任。2012年から現職。
リードユーザ(障がい者や高齢者など生活に不便を感じている極端ユーザ)をインクルードした事業インクルーシブデザイン・ソリューションズを起業。新規事業開発、商品開発、人材育成などの企業コンサルをデザイン思考×インクルーシブデザインというメソッドで提供している。トヨタ自動車グループ、日東電工、三菱総研、野村総研、花王、JR東日本、キヤノン、JCB、日立、東京海上日動火災保険、NEC、セブン銀行、外資系企業などコンサルティング実績多数。

※名古屋商科大学大学院 「デザイン思考とイノベーション」講師
※日経BP課長塾「エンジニア版課長塾 視野を広げる「デザイン思考」
 「若手パワーアップ合宿 イノベーションを起こす技術」講師
※事業構想大学院 「地域創生×インクルシーブデザイン」講師
※日経ビジネスオンラインで「THE革新 イノベーションを産みだす観察」でデザイン思考を中心とする内容を連載
※ものつくり日本会議、ネイチャーテクノロジー研究会、日本ダイバーシティ推進協会インクルーシブデザイン研究会代表、千代田区・中央区みんなのユニバーサルデザイン代表幹事、他、ワークショップや講演活動で全国の地方自治体へ活動を拡大中
※著書「SDGs時代の課題解決法インクルーシブデザイン」日経BP社
   「法人営業バイブル」PHP社 共著

TOMOHIRO ISAKA
Inclusive Design Solutions Inc. President and Representative Director
Degree: 2009 Nagoya University of Commerce GMP Completion M.B.A (Master of Business Administration)
Research area: Innovation.
Employment history
In 1997, he started his first web marketing company in Japan, experienced human resources development, organization activation and recruitment standardization consultation. After selling at M & A, he served as a chief branch of the United Nations Tokyo branch and an official of the listed company. Current position from 2012.
Started business Includes Design Solutions Including lead users (extreme users who are inconvenient in life such as handicapped people and the elderly). We provide enterprise consulting such as new business development, product development, human resource development etc. as design thinking × method of inclusive design.
Toyota Motor Corporation Group, Nitto Denko, Mitsubishi Research Institute, Nomura Research Institute, Kao, JR East, Canon, JCB, Hitachi, Tokyo Marine & Nichido Fire Insurance, NEC, Seven Bank, foreign affiliated companies and many consulting results.

* Nagoya University of Commerce graduate school "Design thinking and Innovation" lecturer
* Nikkei BP Manager Division "Engineer Edition Chief Cram School Expands the View" Design Thinking "
"Technology for causing young power-up camp innovation" Lecturer
* Project plan Graduate school "Area creation × inclusive design" Instructor
* Nikkei Business Online "Observing the Innovation Innovation" Contents
* Manufacturing Nippon Meeting, Nature Technology Study Group, Japan Diversity Promotion Association Inclusive Design Study Group Representative, Chiyodaku · Minatoku Universal Design Representative Secretary, others, Workshops and lecture activities are expanding to local governments nationwide
*book "Corporate Sales Bible" co-authored by PHP

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