シラバス Syllabus

授業名 財政学
Course Title Public Finance
担当教員 Instructor Name 中村 宙正(Hiromasa Nakamura)
コード Couse Code NUC283_N21A
授業形態 Class Type 講義 Regular course
授業形式 Class Format Live Virtual
単位 Credits 2
言語 Language JP
科目区分 Course Category 専門教育科目400系 / Specialized Subject 400
学位 Degree BSc
開講情報 Terms / Location 2021 UG Nisshin Spring Intensive

授業の概要 Course Overview

世界的な視野で、ビジネス界に貢献できる指導者、起業家となるために、わが国をはじめ各国の経済財政の現状と課題を把握し、財政学がどのような理念をもつ社会科学であるかを理解することは重要である。ビジネスでの判断力を育成することにつながり、グローバル化における課題を満たし、競争力を維持する人材として踏み出すうえで必要条件である。講義の意義は、資源配分メカニズムにおける政府の役割を明らかにすることである。背景には、各国の財政状況が立ち行かなくなってきている現状がある。内容は、おもに税制と公債の理念および仕組みについてである。重要性は、一人ひとりが少しずつ負担する(寄与する)ことで、経済資源の再配分が実現されることである。本講義は、NUCBフロンティア力の中でもとりわけ「基盤力」および「実践的思考力」の育成を念頭に進められる。
社会科学として財政学の入門的な概念を学ぶ。財政および公共部門について、経済、政治、社会の交錯現象における貨幣現象の分析を行う。人間社会と人間社会を貨幣というメディアによって、すなわち予算配分によって、円滑なコミュニケーションが図られるよう結んでゆく。財政民主主義のもとでの税制および予算制度、国債発行などによる財源確保について論考を行う。物価の安定を背景としたマネーサプライの増加を伴う金融・財政政策に関してIS-LM分析(財政政策がクラウディング・アウトを起こさないよう、その規模に合わせて貨幣供給を行うよう示唆が見られる分析)を理解し、政府・日銀による判断を解釈できるようにする。新型コロナウイルス感染症対策、文教及び科学振興、中小企業対策、グリーン・ニューディールという環境政策に配慮した雇用対策について、人間の尊厳を守る秩序に向けた理念を確認する。
税負担の公正性について定義し評価できるようになり、財政の3つの機能(資源配分の調整、所得再分配、経済安定化)について理解し、金融緩和の本質的な概念を説明できるようになる。また、政府支出乗数と減税乗数の大小関係をあらわす数式展開について記述力を向上させる。最終的な到達目標としては、IS-LM分析に基づいて、財政政策を行うにあたり金融緩和を同時に行うことの効果を理解できるようになる。

To be a business leader or an entrepreneur who has international point of view, it seems that we need to recognize current status of public finance each country. Public Finance has especial philosophy in Social Science, and it is important for us to have good judgement in global competition. A meaning of this class is clearing a role of government in resource distribution mechanism. A background of this class is hard budget constraint of each government. In this class, we learn philosophy and mechanism of tax system and of public bond. It is important that appropriate redistribution is achieved by each and every burden. This course especially targets to nurture 'Foundation' and 'Practical Thinking' of NUCB Frontier spirit.
This course deals with the basic concepts and principles of public finance in social science. It seems that monetary phenomenon improves the situation among human societies, that is to say, the medium of money is an important tool for economic activities in budget system. The following discussion presents the method of securing public financial resources by tax and budget system or by issuance of public bond in fiscal democracy. According to IS-LM model, it is important for open economy with floating exchange rate system to implement monetary easing to adjust for increased demand by fiscal policy. Bank of Japan’s transaction with the government is considering not to occur crowding out in Japanese economy. Countermeasures for COVID-19 infection, expenditure for education and science, SME measures, and Green New Deal for employment creation with environmental policy have been regard for human dignity.
At the end of this course, participants are expected to define and evaluate the fairness of tax burden, understand three functions of public finance (adjustment of resource allocation, income redistribution and economic stability) and explain the essential concepts of quantitative easing. It also enhances the development of participant’s skill in calculation method of solving large and small relationship between government spending multiplier and tax reduction multiplier. The goals of this course are to understand the effect of monetary fiscal policy by IS-LM model.

本授業の該当ラーニングゴール Learning Goals

*本学の教育ミッションを具現化する形で設定されています。

LG1 Critical Thinking
LG2 Diversity Awareness
LG3 Ethical Decision Making
LG4 Effective Communication

受講後得られる具体的スキルや知識 Learning Outcomes

有効需要、波及効果、IS-LM分析、わが国の予算制度および税制、予算原則、租税原則、公債発行の2つの原則

effective demand, knock-on effect, IS-LM Model, budget and tax system in Japan, budget principle, tax principle, two laws of issuing bonds

SDGsとの関連性 Relevance to Sustainable Development Goals

Goal 4 質の高い教育をみんなに(Quality Education)

教育手法 Teaching Method

教育手法 Teaching Method % of Course Time
インプット型 Traditional 50 %
参加者中心型 Participant-Centered Learning ケースメソッド Case Method 45 %
フィールドメソッド Field Method 5 %
合計 Total 100 %

学習方法、レポート、課題に対するフィードバック方法 Course Approach, Report, Feedback methods

・準備学習(予習復習等)・・・ 講義スケジュール① 教科書の第1章・第2章を事前に精読する(60分)、使用するケース① 「日本の財政関係資料」(財務省発行) の該当箇所を事前に確認しておく(45分)、 講義スケジュール② 需要曲線、供給曲線、消費者余剰、生産者余剰など、市場に関するミクロ経済学の入門的な内容を復習しておく(30分)、ラムゼー・ルール、公債市場、公共財、外部性などの概念を確認しておく(20分)、使用するケース② OECD Economic Outlook を事前に確認しておく(45分)、 講義スケジュール③ 乗数理論に関するマクロ経済学の入門的な内容について復習しておく(45分)、IS曲線・LM曲線について復習しておく(45分)、 使用するケース③ 財政投融資について 教科書の該当箇所を事前に精読しておく(30分)、講義スケジュール④ 予算編成、予算原則、租税原則について教科書の該当箇所を事前に精読する(60分)、 使用するケース④ 国会および予算に関する資料に目を通しておく(60分)、 講義スケジュール⑤ 教科書の該当箇所を事前に精読する(40分)、使用するケース⑤ 各種税目を、直接税と間接税、国税と地方税、普通税と目的税、に分類できるように覚える(90分)、講義スケジュール⑥ 教科書の該当箇所を事前に精読する(40分)、使用するケース⑥ 私たちの暮らしのなかにどのような事例があるか具体的に書き出す(40分)、 講義スケジュール⑦ 人間の尊厳(Human Dignity)について事前に調べておく(20分)、使用するケース⑦ 財政はなぜ必要か、講義・授業の内容全体を通して、自分の言葉で論述できるようにしておく(60分)。
・課題(試験・レポート等)に対するフィードバック方法 ・・・ 試験の出題内容は可能な限り事前に通知し、試験準備が各学生の学習機会につながるようにする。したがって試験のフィードバックを必要としないよう、事前に対応しておく。それでも必要が生ずる場合には、郵便、電子メールなどで対応する。レポートは講義内でコメントを付して返却する。個別に質問を受ける場合には、必ず対応する。
・中央情報センター(図書館)の活用について ・・・ 参考文献および国内外の学術論文の閲覧にご活用ください。

授業スケジュール Course Schedule

第1日(Day1)

財政学とはなにか
- 財政学とはどのような社会科学かを概説する

経済学と官房学によって成立し、政治学、社会学の影響を受けてきた学説の系譜を辿る。
財政の3つの機能とは、資源配分の調整、所得再分配、経済安定化、である。
予算制度を通じて、それぞれの人間社会を尊重するように秩序を持続可能なもとのしてゆく。

●使用するケース
日本の経済財政の現状と課題、
提供機関: 財務省 (日本の財政関係資料 2020年7月 などを活用)

第2日(Day2)

市場経済と租税との関係性
- 市場理論、ラムゼー・ルール、公債市場、公共財、外部性などの概念を確認する

市場を通じた資源配分によって、消費者余剰と生産者余剰の総和は最大化される。
需要の価格弾力性がゼロである場合を除き、課税は市場の総余剰に損失をあたえる。
消費税を増税の対象とする理論的根拠であるラムゼー・ルールを理解する。

●使用するケース
日本と海外との国際比較、
提供機関: OECD (Economic Outlook などを活用)

第3日(Day3)

ケインズ政策について
- 乗数効果、クラウディング・アウト、とはなにかを学ぶ

政府支出は民間部門の生産活動に価値をあたえ、経済の好循環をつくり出す。
波及効果については、政府支出乗数のほうが減税乗数よりも大きい。
変動相場制の開放経済において政府支出に効果があるよう金融緩和は必要である。

●使用するケース
日本の財政史(固定相場制と変動相場制での政策効果の比較)、
提供機関: 財務省 (財政金融統計月報(財政投融資特集)各年度版 などを活用)

第4日(Day4)

予算制度について
- 日本の予算制度、および予算原則、租税原則について学ぶ

財政民主主義にもとづき、国会の議決によって予算制度は成立している。
公開性、明瞭性、単一性、会計年度の独立など、予算原則について学ぶ。
税負担の公正性について定義し、応能原則による評価を理解できる。

●使用するケース
日本の予算編成の手続き、
提供機関: 参議院予算委員会調査室(財政関係資料集などを活用)

第5日(Day5)

租税の分類と体系(国と地方の財政関係)
- 直接税と間接税、国税と地方税、普通税と目的税、に分類し体系化する

所得税、法人税、相続税、贈与税、地価税は、国税であり、直接税である。
消費税、関税、印紙税、揮発油税、酒税、たばこ税は、国税であり、間接税である。
事業税は道府県税であり、固定資産税は市町村税である。どちらも直接税である。

●使用するケース
日本政府と都道府県・市町村のケース、
提供機関: 総務省 (地方財政白書 各年度版 などを活用)

第6日(Day6)

社会保障制度
- 人間生活の保障、年金制度、雇用対策、などについて

日本の年金制度は賦課方式であり、人口減少の影響が懸念される。
医療保険制度の観点から、医療崩壊は実質上の財政破綻を意味する。
働き方改革は、社会保障制度の持続可能性の観点から重要である。

●使用するケース
日本の公会計・世代会計のケース、
提供機関: 厚生労働省 (社会保障の正確な理解についての1つのケーススタディ
~社会保障制度の❝世代間格差❞に関する論点~、などを活用)

第7日(Day7)

財政学の未来
- 共同体的人間関係の充実をめざして

人間の存在とは、市場の理論が前提とするヒトではない。
お互いを尊重し合いつつも、経済学の理論を知恵とする。
共同体での暮らしがあり、地球環境を大切にする財政をめざしてゆく。

●使用するケース
SDGs(持続可能な開発目標)に協調する日本財政のケース、
提供機関: JICA研究所(国際協力、政治経済、文化人類学などに関する資料等、などを活用)

成績評価方法 Evaluation Criteria

*成績は下記該当項目を基に決定されます。
講師用内規準拠 Method of Assessment Weights
予習レポート Preparation Report 0 %
コールドコール Cold Call 0 %
授業内での挙手発言 Class Contribution 15 %
ケース試験 Case Exam 25 %
参加者による相互評価 Peer Assessment 10 %
シミュレーション成績 Simulation 0 %
小テスト Quizzes / Tests 20 %
最終レポート Final Report 0 %
期末試験 Final Exam 30 %
合計 Total 100 %

評価の留意事項 Notes on Evaluation Criteria

ケースメソッドではディスカッションを行います。内容を深く理解している方ほど、多く発言できましょう。アクティブ・ラーニング(発言、ケース試験、相互評価)は 評価の5割をしめます。そのほか小テスト、期末試験の答案が評価の5割をしめます。

使用ケース一覧 List of Cases

    ケースは使用しません。

教科書 Textbook

  • 土居丈朗「入門 財政学」日本評論社(2017)978-4-535-04119-6

参考文献・資料 Additional Readings and Resource

[1] 神野直彦『財政学 改訂版』有斐閣、2007年、ISBN978-4-641-16298-3
[2] 井堀利宏『財政学 第4版』新世社、2013年、ISBN978-4-883-84192-9
[3] 佐藤進・関口浩編『〔新版〕財政学入門』同文舘出版、2019年、ISBN978-4-495-44301-6
[4] 佐々木伯朗編著『財政学-制度と組織を学ぶ』有斐閣、2019年、ISBN978-4-641-16554-0
[5] 三木義一『日本の税金 第3版』岩波新書、2018年、ISBN978-4-004-31737-1

授業調査に対するコメント Comment on Course Evaluation

財政学および財政状況に関心を持って頂けるかどうかが、本講義・授業における積極的な学習意欲に反映されると感ずる調査結果です。うまく関心を持つことが出来ないならば、本講義・授業を面白いと評価できないと考えます。どのように関心を持って頂けるか、教員として努力が必要と感じております。「日本の財政関係資料」(財務省発行) を用いて財政状況を確認したり、市場を通じた資源配分ばかりでなく、社会保障制度を通じた配分メカニズムの重要性について伝えてはおります。しかし多重介護をテーマとする新聞記事を読み合わせたときは、雰囲気が暗くなってしまうなど反省点も生じております。若い皆様の将来に展望が拓けるようなテーマを例示し、私たちの暮らしに重要な内容であることを確認しながら、同時に社会科学のひとつの分野であることを知って頂きつつ学ぶことができるよう、努めます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

担当教員のプロフィール About the Instructor 

財政学、公共経済学(地方財政論を政府間財政関係の領域に含む)は、現在の状況や課題と向き合う経済理論ですが、そこから導き出される結論は、常識や現状の利害関係と対照的な場合が多くあります。経済学の基礎理論から、どのような意図を読み解くことができるか、適切に判断できる必要がありましょう。

学位と取得大学
修士(経済学)(北海道大学)
博士(経済学)(北海道大学)

研究分野
進化財政学、公債市場補完制度

Please study the theory of public economics and finance even though your major is not belonging to a field of economic theory. We need to know an implication of Economics because our work and life are invaluable.

Degree and Acquired Institution
M.A. (Economics) Hokkaido University
Ph.D. (Economics) Hokkaido University

Field of study
Evolutionary Public Finance, Economics for the complement system of public bond market

(実務経験 Work experience)

北海道大学大学院経済学研究科専門研究員として、2010年4月、財政学を専攻する配属となり、経済政策講座および社会経済・歴史分析講座での研究に従事する。その後、2016年度より、名古屋商科大学経済学部において、財政学、公共経済学を担当する非常勤講師として公募で採用される。公共経済に必要な財源を確保する方法について租税、印紙収入、事業収入、公債など既存の方法では十分にまかなえない現状を鑑み、公債市場補完制度(裁量的な新規株式公開市場である指定アドバイザー制度、および地域通貨の分散型発行方式を指定アドバイザー制度の市場参加者のあいだで流通させる市場関係者地域通貨を組み合わせて、新たな財源を確保する方法)の整備に向けた基礎研究を遂行している。なお、2021年度から地方財政論を担当するが、公共経済学における政府間財政関係の領域である。

主な職歴
2010年度~2014年度 北海道大学大学院経済学研究科専門研究員
2016年度~2021年度 名古屋商科大学経済学部非常勤講師

Work experience (both teaching and non-teaching)
2000.10~2005.3 Teaching Assistant in Financial Economics, Hokkaido University
2005. 4 ~2006.3 Lecturer in Economics, Sapporo International University
2006. 5 ~2007.5 Lecturer in Law, Business, Book-keeping, and Essay, SANNO College (Sapporo)
2007. 4 ~2008.3 Research Assistant in Financial Economics, Hokkaido University
2008. 5 ~2009.5 Public Servant in Consumers Cooperative Co-op Sapporo
2009.10~2012.9 Lecturer in Human Resource and Small and Medium Enterprises, Tomakomai Komazawa University
2010. 4 ~2015.3 Research Specialist in the Graduate School of Economics and Business Administration, Hokkaido University
2010. 9 ~2013.3 Lecturer in Financial Economics, Rakuno Gakuen University
2011. 4 ~2011.9 Lecturer in Small and Medium Enterprises, Sapporo Gakuin University
2012. 4 ~2013.3 Public Researcher in Organization for Small & Medium Enterprises and Regional Innovation, JAPAN
2013. 4 ~2022.3 Lecturer in Economics and others, Tokyo Seitoku University
2013.10~2022.3 Lecturer in Public Finance and others, Shobi University
2017. 4 ~2020.3 Lecturer in Human Resource, Accounting, Money Business, and Venture Business, Saitama Women's Junior College
2015. 5 ~2016.3 Lecturer in Production Factor and Industrial Management Engineering, Nagaoka University of Technology
2017. 4 ~2018.3 Same as above
2019. 4 ~2020.3 Same as above
2021. 4 ~2022.3 Same as above
2016.12~2022.3 Lecturer in Public Finance and Economics, Nagoya University of Commerce & Business






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