シラバス Syllabus

授業名 統計学入門
Course Title Introduction to statistics
担当教員 Instructor Name 久保 明達(Akisato Kubo)
コード Couse Code NUC276_N21B
授業形態 Class Type 講義 Regular course
授業形式 Class Format On Campus
単位 Credits 2
言語 Language JP
科目区分 Course Category 共通専門教育科目200系 / Specialized Subject 200
学位 Degree BSc
開講情報 Terms / Location 2021 UG Nisshin Term4

授業の概要 Course Overview

Misson Statementとの関係性 / Connection to our Mission Statement

本科目は、フロンティアにチャレンジし、ビジネスリーダーとしての役割を果たすために、十分な情報収集、分析力、コミュニケーション能力の養成を目指します。
そのため本講義では、その世界規模の様々な情報の入手と分析(LG2,5,6,7)を行うための統計的思考力、分析力(LG1)を育成します。
それらを基にして、クラス討論グループ討論によって、効果的なコミュニケーション(LG4)の実践をします。
Following to the Mission Statement of NUCB, this course aims for the education of information collecting, analysis and communication ability enough to challenge the frontier and lead business society.
For this purpose this course enables the student to develop one's ability of statistical thinking and analysis(LG1) for collecting and analyzing precisely various worldwide information(LG2,5,6,7). Based on them students practice the effective communication(LG4) on the class discussion and group discussion.

授業の目的(意義) / Importance of this course

統計学は、経営学や経済学に、金融や保険の現場にも積極的に応用されています。このことを考慮して、本学のMissionを実現するために必要な統計的思考力、分析力、コミュニケーション能力を育成します。
Statistics is actively applied to the study of business administration, economics and finance or insurance as well. Taking that into account, this course enables students to develop their ability of statistical thinking, analysis and communication necessary for achieving NUCB's Mission.

到達目標 / Achievement Goal

最新の知識の修得、問題の解決には、統計的思考力、分析力、討論力が役立ちます。受講生が、経営学や経済学、金融や保険の学修に必要となる統計学の基礎事項を深く理解できるようにします。ケース・メソッドを導入し、実際に直面した場面での学生の積極的な発言を促し、グループ討議やクラス討議を行います。
大学でのより進んだ学修及び社会人になってからの仕事でも、必要となる力を育成します。

The ability of statistical thinking, analysis and discussion is useful for getting the latest knowledge and solving issues. This course enables students to understand well some elemental basics of statistics, required for the study of business administration, economics, finance and insurance. Introducing the case method, supposed that students might face the case, they are encouraged to state one's opinion, work on group discussion and class discussion, that are evaluated as class participation point.
This course enables students to develop such ability which is useful for the advanced study or business after graduation as well.

本授業の該当ラーニングゴール Learning Goals

*本学の教育ミッションを具現化する形で設定されています。

LG1 Critical Thinking
LG2 Diversity Awareness
LG4 Effective Communication
LG5 Business Perspectives (BSc)
LG6 Managerial Perspectives (BBA)
LG7 International Perspectives (BA)

受講後得られる具体的スキルや知識 Learning Outcomes

受講生は次のような能力と知識を得ることができます;統計学の基礎の理解、統計分析と実践的統計の手法、コンピュータの運用とコンピュータによるデータ処理のスキル。
大学での学修及び社会人になってからの仕事で、最新の知識の修得、問題の解決に必要となる、統計的思考力、分析力、討論力が養われます。

This course enables students to acquire the following capability and knowledge; the understanding of the foundation of statistics, and methods of statistical analysis and practical statics, computing skill and computational data processing skill.
They can acquire the capability of statistical thinking, analysis and discussion, required for getting the latest knowledge and solving issues, on undergraduate study as well as business after graduation.

SDGsとの関連性 Relevance to Sustainable Development Goals

Goal 4 質の高い教育をみんなに(Quality Education)

教育手法 Teaching Method

教育手法 Teaching Method % of Course Time
インプット型 Traditional 80 %
参加者中心型 Participant-Centered Learning ケースメソッド Case Method 20 %
フィールドメソッド Field Method 0 %
合計 Total 100 %

事前学修と事後学修の内容、レポート、課題に対するフィードバック方法 Pre- and Post-Course Learning, Report, Feedback methods

学習方法:予習のための事前課題を適宜提示します。講義後はノートの整理・補充等をしながら目を通し、課題等に取り組むことで、予習復習に合わせて1時間以上は費やしましょう。このようにして作成されたノートは、最終レポートの評価対象となります。
課題(小テストに含まれる):講義の理解度を確認するためのものです。解答できるよう取り組みましょう。講義の中で解説します。
講義では、前半に理論的内容を勉強し、その後に確認のための課題演習や小テスト等を行います。
また講義内容の理解を深めるためにコンピュータ演習を行います。
小テスト:講義中小テストを行った場合は、返却時に解説を行います。
最終レポート:テキストの内容を2000字以上でまとめたレポートを提出します。復習を兼ねて毎回講義の後にまとめておきましょう。

中央情報センターの利用:
統計学の基礎知識を修得するために、情報センターの文献の利用を勧めます。

(遠隔講義の場合:遠隔講義になった場合も以上に準じますが、状況に応じて変更することがあり、講義中に詳しく説明します。)

授業スケジュール Course Schedule

第1日(Day1)

(2章1節)
1)講義ガイダンスを粉います。講義の進め方、勉強の仕方、レポート課題、期末試験対策などを説明します。
2)分布
 沢山の値を含むデータについて、
 どのような値がそれぞれどのくらいの度数あるかを示したもののことを分布といいます。
 表でこれを表した場合を分布表といい、グラフで表した場合を分布グラフといいます。
3)度数分布
 沢山の値を含むデータについて、
 どのような値のデータがそれぞれどのくらいあるかを表したもののことを度数分布といいます。
 表で表した場合を分布表といい、グラフで表した場合を度数分布グラフ(度数のヒストグラム)といいます。
4)相対度数分布
 度数分布で、度数の代わりに度数の割合をもちいた場合を相対度数分布といいます。
 どのような値がそれぞれどのくらいの割合あるかを表したもののことです。

(2章2、3節)
5)データの代表値
 沢山の値を含むデータを1つの数値で代表させようとするとき、その数値をデータの代表値といいます。
 データの代表値としては平均値や中央値があります。
6)平均値
 平均値とはデータの合計をデータ数で割った値であり、データ1つ当たりの値のことです。
7)中央値
 中央値とはデータを大きさの順に並べたときに、真ん中の順位になる値の事です。
8)標準偏差
 標準偏差とはデータの散らばり具合を表す値です。データがどのくらい散らばっているかを表す値です。
9)四分位範囲
 四分位範囲とはデータの散らばりを表す値です。第三四分位数から第十四分位数を引いた値です。
10)データの標準化
 もとのデータから平均値を引き標準偏差で割った値を、データを標準化するとよびます。




●使用するケース
AKISATO KUBO (政府および報道機関の公開資料)
PANDEMIC 2020
グラフを読む I:現状の分析

2020年1月20日に横浜港を出港したクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス(DP)号には、世界57カ国から船員1,068人, 乗客2,645人の計3,713人が乗船していた。この乗客で, 1月25日に香港で下船した80代男性が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患していたことが2月1日確認された(1月19日咳発症)。2月2日に香港から同報告を受けた厚生労働省は, 2月1日那覇港寄港時に検疫を受けたDP号船員乗客に対し, 2月3日に再度横浜港で検疫を実施した。その後4月15日までに確定症例712例が確認され, 少なくとも14例の死亡が確認された(致命率2.0%)3)。そのとき対策のため外部から乗船した検疫官や医師らの感染も確認され、いかにこの感染症が、その性質と感染規模において、これまでの我々の医学的常識を覆す過去に類を見ない未曽有のものであるのかを実感させることになった。
前年の年末から年始にかけて、中国の武漢で発生したちまち感染拡大したCOVID-19は、すぐに周辺諸国に拡散し、日本では水際での検疫により何とか国内への感染を食い止めていたが、その潜伏期間の長さから、海外に滞在し、無症状のまま帰国した人達がその後発症し、国内感染が始まった
日々刻々新規感染者数とそのグラフがテレビ、新聞、インターネットを通じて報道される、それを見て我々はどう読み解いていけばよいのであろうか。
次のグラフは、国内で感染が始まってからの累計患者数である。現状を分析し、これからどうなるのか考えてみよう。

第2日(Day2)

(2章3節)
1)相関係数
相関係数とは、2組のデータが座標平面上で直線的に並んでいるか否かを表す値です。
 直線的に並んでいると、2組のデータは強い相関であると言われます。
(3章1節ー2節)
もとのデータ(=母集団データ)の調べ方には、全数調査と標本調査の2つの方法があります。
2)全数調査と標本調査
 全数調査とは、母集団データの全数を調べることです。
 標本調査とは、母集団データから一部を抜き出して値を調べて、母集団データ全体を推定することです。
 ここで抜き出した値を標本とよびます。
3)確率分布
 沢山の値を含む母集団データからデータを一つ抜き出すとき、 
 どのような値が、それぞれどのくらいの確率で抜き出されるかを表したもので、データの確率分布といいます。
4)正規分布
 正規分布は、確率分布のなかで最も有名な確率分布です。
 形は左右対称の山型で、よく富士山型とよばれます。

●使用するケース
AKISATO KUBO
PANDEMIC 2020
グラフを読む II:経済原理との関連

・・・・・
ケース①と同文
・・・・・
次のグラフは、国内で感染が始まってからの累計患者数である。現状を分析し、これからどうなるのか考えてみよう。
図2

第3日(Day3)

(4章1節)
1)標本の平均値の分布:
 母集団データから標本を抜き出し、標本の平均値の値を考えるとき、標本の平均値の値として可能な値全体の相対 度数分布を、標本の平均値の分布とよびます。
(4章2節)
2)中心極限定理
 母集団データから標本nを抜き出し標本の平均値の分布をつくるとき、
 標本nの数を増やしていくにつれて、対応する標本の平均値の分布は徐々に正規分布に近づいていくことを中心極限 定理といいます。

●使用するケース
AKISATO KUBO
PANDEMIC 2020
グラフを読む III:ロジスティック曲線

・・・・・
ケース②と同文
・・・・・

数理生物学の研究結果より、感染症の累計感染者数と市場の拡大の原理が同じロジスティック曲線で表されることで、その共通する原理は何でしょうか。
図3
ロジスティック曲線の性質を用いて、これからの感染症の推移について考えてみよう。

第4日(Day4)

(4章3節)
1)統計的検定の考え方(統計的検定の4つのステップは次の通りです)
  1. 帰無仮説を立てます(証明したいことをその対立仮説とします)。
  2. 有意水準とよばれる判定基準を決めます。
  3. 帰無仮説が正しいと仮定して、検定に必要な値を求める。
  4. 3で計算した値が採択域か棄却域のどちらに入るかで、帰無仮説が正しいかを判定する。
(5章1節)
2)母集団データの平均値の検定1(t検定)
母集団データの平均値の値がいくつなのかについての検定は、
正規分布と近い関係にあるt分布とよばれる確率分布を利用して検定を行います。
そしてt分布を用いた検定をt検定とよびます。


●使用するケース
AKISATO KUBO
PANDEMIC 2020
グラフを読む IV:経済市場の成熟と感染症の収束
・・・・・
ケース③と同文
・・・・・

ロジスティック曲線の性質を用いて、これからの感染症の推移について考え、
感染症の収束と、経済市場の成熟と比較しながら考えてみましょう。

第5日(Day5)

(5章2節)
1)母集団データの平均値の検定2(t検定)
先週に引き続いて、平均値の検定を詳細に行います。
(5章3節)
2)母集団データの比率の検定(正規分布利用)
 母集団データの比率の値がいくつなのかについての検定は、
 中心極限定理に基づいた正規分布を利用して検定を行います。


●使用するケース
AKISATO KUBO(WEB公開資料)
PANDEMIC 2020
Vaccine Efficiency;ワクチンの有効性は統計確率的にどう保証されるか
”Efficacy and Safety of the mRNA-1273 SARS-CoV-2 Vaccine”

第6日(Day6)

(6章1節)
1)独立性の検定(=分割表の検定)
 分割されている集計表で、2つの項目の間に関連があるかどうかの検定を、独立性の検定といいます。
 独立性の検定は、正規分布を二乗して得られるカイ2乗分布を利用して検定します。
(6章2節)
2)回帰分析
 複数の変数の間の関係を調べるのに、回帰分析がよく使われます。
 回帰分析は、データに最も近い直線を引くというのが基本的な考え方です。


●使用するケース
AKISATO KUBO(WEB公開資料)      
INFECTION PROBABILITY

中国の武漢で発生したちまち感染拡大したCOVID-19は、すぐに周辺諸国に拡散し、日本では水際での検疫により何とか国内への感染を食い止めていたが、その潜伏期間の長さから、海外に滞在し、無症状のまま帰国した人達がその後発症し、国内感染が始まった。
昭和の人々がこうしたウィルスや細菌による感染症を、どのように捉えていたのかを省みることは、今の感染禍における私達に対する警鐘と、問題点を提起しているのではないだろうか。
以下は70年ほど前の、ある日本人男性の、感染症に関する科学、統計、数学についての懐疑的考え方です。
・・・

現在日本では感染症第3波といわれる状況にあり、第一波のときと比べれば、感染症の性質もある程度明らかになり、治療の方法も進歩しつつあり、米国では90%以上の効果が期待できるワクチンも開発され、国民一人一人の日常生活におけるマスク、手洗いの習慣化など、予防のための細心の注意にもかかわらず、医療現場はひっぱくしつつある。

第7日(Day7)

(6章3節)
1)その他の検定
 広い分野で利用される、様々な検定について解説します。ビッグデータの分析についても考えます。

これまでの復習と総まとめを行います。
また期末試験ガイダンスを行います。


●使用するケース
Battle Covid-19(WEB公開資料)
これまで使用したケースについて総合的に考慮し、これからの感染状況に科学的に基づいて対処するにはどうしたらよいだろうか。

成績評価方法 Evaluation Criteria

*成績は下記該当項目を基に決定されます。
*クラス貢献度合計はコールドコールと授業内での挙手発言の合算値です。
講師用内規準拠 Method of Assessment Weights
コールドコール Cold Call 0 %
授業内での挙手発言 Class Contribution 20 %
クラス貢献度合計 Class Contribution Total 20 %
予習レポート Preparation Report 0 %
小テスト Quizzes / Tests 20 %
シミュレーション成績 Simulation 0 %
ケース試験 Case Exam 0 %
最終レポート Final Report 20 %
期末試験 Final Exam 40 %
参加者による相互評価 Peer Assessment 0 %
合計 Total 100 %

評価の留意事項 Notes on Evaluation Criteria

「講義中の挙手発言」には、講義参加度、出席状況も含まれ、講義の理解度を確認する毎回の課題(小テストに含まれる)やレポートの出来具合は、20%を超えて評価することがあります。また場合によってはその逆もあり得ます。講義への積極的参加を歓迎します。
(遠隔授業の場合では、状況に応じてこれらの割合は変わることがあり、講義中に改めて説明します。)

使用ケース一覧 List of Cases

    ケースは使用しません。

教科書 Textbook

  • 涌井良幸 涌井貞美 「統計学の図鑑」 技術評論社(2015)978-4774173313

参考文献・資料 Additional Readings and Resource

1)藤田岳彦著「穴埋め式確率・統計らくらくワークブック」講談社、2003年(ISBN:4061539949)
2)小島寛之著「完全独習 統計学入門」ダイヤモンド社、2006年(ISBN:4478820090)
3)西内啓 著「統計学が最強の学問である」ダイヤモンド社、2013年(ISBN:4478022216)
4)涌井良幸 涌井貞美 著「文系のための統計学の教室」SBクリエイティブ 2020(ISBN: 9784815601539)
5)涌井良幸 著 「統計力クイズ」実務教育出版 2015(ISBN:9784788911505)

授業調査に対するコメント Comment on Course Evaluation

授業調査という制度を講義の充実のために有効活用します。
一方的な講義にならないように、可能な限り各種討論を実施するなど、
できるだけ受講生が講義に参加できるような形式の講義を行うように試みます。
各種課題(小テスト、最終レポートを含む)を受講生の理解度や負担を考慮しつつ出題します。

担当教員のプロフィール About the Instructor 

学位と取得大学
理学修士(早稲田大学)
理学博士(早稲田大学)

Degree and Acquired College
Master of Science(Waseda University)
Doctor of Science(Waseda University)

Refereed Proceedings

  • (2024). Non-linear evolution equations with non-local coefficients and zero-Neumann conditions:one dimensional case. Analysis, Application, and Computations, Birkhauser, Springer, 647-658 .the 13th ISAAC Congress. 1. 3. Ghent, Belgium






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