授業名 | 上級マクロ経済学 |
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Course Title | 上級マクロ経済学 |
担当教員 Instructor Name | 岩田 正隆(Masataka Iwata) |
コード Couse Code | NUC262_N21B |
授業形態 Class Type | 講義 Regular course |
授業形式 Class Format | On Campus |
単位 Credits | 2 |
言語 Language | JP |
科目区分 Course Category | 専門教育科目300系 / Specialized Subject 300 |
学位 Degree | BSc |
開講情報 Terms / Location | 2021 UG Nisshin Term4 |
授業の概要 Course Overview
Misson Statementとの関係性 / Connection to our Mission Statement
本科目はMission Statementのうち「倫理観あるリーダーの育成、そしてビジネス界や社会の発展をもたらす知識の創出」と強く関連しています。
具体的には、経済道理的な論理と社会的倫理との衝突を把握し、市民の幸福のための解決を志向できる人物を育成することにより、上記の目的の達成を目指します。
具体的には、経済道理的な論理と社会的倫理との衝突を把握し、市民の幸福のための解決を志向できる人物を育成することにより、上記の目的の達成を目指します。
The content of the current course is strongly related to such part of the Mission Statement as "to develop leaders and entrepreneurs with... high ethical standards" and "to create knowledge that advances business and society." In practice, we are going to achieve the objective above by educating such persons who comprehend collision between economically-rational logic and social ethics and can pursue an appropriate solution for the sake of citizens' happiness.
授業の目的(意義) / Importance of this course
経済の動向について、旧来の市場理論に拘束されない新たな視点を獲得し、 国際化の進みゆく社会において今後急増していくであろう異文化接触の中での 取引に対応する力をつけることがねらいです。
感情に関する考慮をほとんど行ってこなかった伝統的市場理論に対して、 昨今の行動経済学的な視座がどのような新しい視点を提供するかについて、 「不道徳な見えざる手」(著:アカロフ、シラー 東洋経済出版)を題材に講義します。 損得勘定以外の要素を説明することで初めて納得できる経済動向について触れ、 今後の新しい経済学の可能性について展望を提供することがねらいです。 現在、一つの大きな転機にさしかかりつつある経済学の、とくに新しいコンテンツを 要約した形で知ることができることが、本講義の意義です。
感情に関する考慮をほとんど行ってこなかった伝統的市場理論に対して、 昨今の行動経済学的な視座がどのような新しい視点を提供するかについて、 「不道徳な見えざる手」(著:アカロフ、シラー 東洋経済出版)を題材に講義します。 損得勘定以外の要素を説明することで初めて納得できる経済動向について触れ、 今後の新しい経済学の可能性について展望を提供することがねらいです。 現在、一つの大きな転機にさしかかりつつある経済学の、とくに新しいコンテンツを 要約した形で知ることができることが、本講義の意義です。
Reading "Phishing For Phools" by Akerlof and Shiller as a main textbook, we study a new wave of macroeconomics, which is a fusion with the behavioral studies. In the current course, we learn that human's emotion affects his/her economic behavior as much as his/her reasoning. And therefore, there are some economic events that cannot be explained without considering the characteristics of our emotional response toward economic affairs. We are human, thinking reed, but simultaneously we are animals. Our animal spirit matter to our economic actions, and that is the main topic of the current course.
到達目標 / Achievement Goal
個々人の経済的窮状や経済危機に関連する事例たちを題材として、企業の利益追求と市民の厚生との間に発生する衝突に関する知識を持ち、倫理を重んじながら制度設計を議論することのできる人物を育成することを目的とします。
Using multiple cases, which are related to national economic crises and individual economic hazards, as resources, we aim to educate such persons who have knowledge on collision between firms' profit-earning and citizens' welfare and can discuss appropriate ways of institutional design in an ethical way.
本授業の該当ラーニングゴール Learning Goals
*本学の教育ミッションを具現化する形で設定されています。
LG1 Critical Thinking
LG2 Diversity Awareness
LG3 Ethical Decision Making
LG2 Diversity Awareness
LG3 Ethical Decision Making
受講後得られる具体的スキルや知識 Learning Outcomes
不況に関する分析的な判断能力、
国ごとの経済の質的な違いに関する知識、
バブル経済に発生する腐敗への批判的認識
国ごとの経済の質的な違いに関する知識、
バブル経済に発生する腐敗への批判的認識
Analytical thinking about economic diffusion,
Knowledge on qualitative idiosyncrasy of each national economies,
Critical and ethical thinking skill about people's corruption that appears from an economic bubble.
Knowledge on qualitative idiosyncrasy of each national economies,
Critical and ethical thinking skill about people's corruption that appears from an economic bubble.
SDGsとの関連性 Relevance to Sustainable Development Goals
Goal 3 すべての人に健康と福祉を(Good Health and Well-being)
教育手法 Teaching Method
教育手法 Teaching Method | % of Course Time | |
---|---|---|
インプット型 Traditional | 50 % | |
参加者中心型 Participant-Centered Learning | ケースメソッド Case Method | 50 % |
フィールドメソッド Field Method | 0 % | 合計 Total | 100 % |
事前学修と事後学修の内容、レポート、課題に対するフィードバック方法 Pre- and Post-Course Learning, Report, Feedback methods
●レポートについて
中間レポートを課します。要約の執筆を前提に、問いを立てる訓練を主眼とするレポートです。
●試験に対する学習方法
長文筆記が一問と、練習問題に回答する短文記述問題が沢山出ます。それに答えられるように勉強をしてきて下さい。
※強化クラブレポートをこの科目に適用するのは止めておいた方がよい、と講師からはおすすめします。
試験を回避して単位取得を目指す者には、特に高い理解水準を求める方針だからです。
●この科目に対する自学自習方法
公開される予習範囲に応じて教科書の該当部分を読んできましょう。
●ケースや教科書を用いた予習45分~1時間30分、教科書の読解を主とする復習に1時間30分~2時間強を想定しています。教科書の読解は予復習のどちらでも発生するので、予習で読解に時間をかければ復習の時間はその分縮む想定です。
●レポート(もしあれば)に対するフィードバックはコースの最終回の時間を使って丁寧に行う予定です。
中間レポートを課します。要約の執筆を前提に、問いを立てる訓練を主眼とするレポートです。
●試験に対する学習方法
長文筆記が一問と、練習問題に回答する短文記述問題が沢山出ます。それに答えられるように勉強をしてきて下さい。
※強化クラブレポートをこの科目に適用するのは止めておいた方がよい、と講師からはおすすめします。
試験を回避して単位取得を目指す者には、特に高い理解水準を求める方針だからです。
●この科目に対する自学自習方法
公開される予習範囲に応じて教科書の該当部分を読んできましょう。
●ケースや教科書を用いた予習45分~1時間30分、教科書の読解を主とする復習に1時間30分~2時間強を想定しています。教科書の読解は予復習のどちらでも発生するので、予習で読解に時間をかければ復習の時間はその分縮む想定です。
●レポート(もしあれば)に対するフィードバックはコースの最終回の時間を使って丁寧に行う予定です。
授業スケジュール Course Schedule
第1日(Day1)
経済活動の中の"ごまかし" (「まえがき」)および
釣りの経済学 (序章)
●使用するケース
教科書中の事例を使用。例えば、・5-8p:スロットマシンのケース
・31-32p:シナボン社(1985~)のケース
・32-33p:トレーニングジムのケース
第2日(Day2)
誘惑の効果 (第1章)および
評判による罠 (第2章)
●使用するケース
教科書中の事例を使用。例えば、・48-52p:スージー・オーマン(とテオドラ・ヴィラグラ)
・62-64p:2008~2009金融危機 (アボガドにたとえて)
第3日(Day3)
広告のタテマエと狙い (第3章)および
ぼったくりとクレジットカード (第4章)
●使用するケース
教科書中の事例を使用。例えば、・97-99p:アルバート・ラスカ―の「理由」広告
・100-104p:クロード・ホプキンス:「理由」広告への工夫
・122-124p:ダイアナ・リーの調べた販売員の3つの手口
第4日(Day4)
釣り活動としての政治 (第5章)および
食品や医薬品に関するウソの利用 (第6章)
●使用するケース
教科書中の事例を使用。例えば、・140-141p:グラスリーの貢献とキャンペーン広告
・159-160p:ウィリアム・スワイム「スワイムの万能薬」
・163-168p:Merk社のVioxx販売
および168-170p:2004年9/30の引き揚げ
第5日(Day5)
※中間レポート〆切イノベーションの貢献? (第7章)
および
中毒(たばこ、酒)と釣り均衡 (第8章)
●使用するケース
教科書中の事例を使用。例えば、・184-187p:フェイスブックに関するイェール大学でのインタビュー
・197-198p:1964年公衆衛生総監報告書
・203-207p:アルコール依存 (NIAAA 2004)とその影響
(207-208p:メンロ・サートン高校の卒業50周年同窓会)
第6日(Day6)
倒産による逃げ得 (第9章)および
ジャンクボンドの罠 (第10章)
●使用するケース
教科書中の事例を使用。例えば、・218-220p:S&Lを利用したタネリング
および223-224p:その結果
・226-227p:1970s~1980s、マイケル・ミルケンのレバレッジド・バイアウト
第7日(Day7)
釣りと戦うものたち (第11章)および
(時間があれば)自由市場の裏面 (第3部)
および
中間レポートの返却、解説、総復習
●使用するケース
教科書中の事例を使用。例えば、・257-258p:各州の統一商事法典(uniform commercial code)
ただし、洗練された買い手の責任:ACAキャピタルv.ファブリス・トーレ
・273-276p:ジョージ・W・ブッシュ政権の社会保障プログラム民営化案
および、ポール・ライアンの提案するメディケア民営化
成績評価方法 Evaluation Criteria
*成績は下記該当項目を基に決定されます。
*クラス貢献度合計はコールドコールと授業内での挙手発言の合算値です。
基本的に相対評価を行いますが、さすがに素点が20に至らない者は落第させようと思っています。
*クラス貢献度合計はコールドコールと授業内での挙手発言の合算値です。
講師用内規準拠 Method of Assessment | Weights |
---|---|
コールドコール Cold Call | 0 % |
授業内での挙手発言 Class Contribution | 30 % |
クラス貢献度合計 Class Contribution Total | 30 % |
予習レポート Preparation Report | 0 % |
小テスト Quizzes / Tests | 0 % |
シミュレーション成績 Simulation | 0 % |
ケース試験 Case Exam | 0 % |
最終レポート Final Report | 20 % |
期末試験 Final Exam | 50 % |
参加者による相互評価 Peer Assessment | 0 % |
合計 Total | 100 % |
評価の留意事項 Notes on Evaluation Criteria
発言30点、中間レポート20点、期末試験50点です。これ以外の評価基準を設けることはありません。基本的に相対評価を行いますが、さすがに素点が20に至らない者は落第させようと思っています。
教科書 Textbook
- ジョージ・アカロフ、ロバート・シラー「不道徳な見えざる手 自由市場は人間の弱みにつけ込む」東洋経済新報社(2017)978-4492314982
参考文献・資料 Additional Readings and Resource
[1]友野 典男『行動経済学 経済は「感情」で動いている』光文社、2006年、ISBN-13: 978-4334033545
[2]多田 洋介『行動経済学入門』日本経済新聞出版社、2014年、ISBN-13: 978-4532113155
[3]ニーズィー、リスト『その問題、経済学で解決できます。』東洋経済新報社、2014年、ISBN-13: 978-4492314494
[4]アリエリー『ずる――?とごまかしの行動経済学』早川書房、2014年、ISBN-13: 978-4150504151
[5]カーネマン『ダニエル・カーネマン心理と経済を語る』楽工社、2011年、ISBN-13: 978-4903063485
[6]アカロフ、シラー『アニマルスピリット』東洋経済、2009年、ISBN-13: 978-4492313985
[2]多田 洋介『行動経済学入門』日本経済新聞出版社、2014年、ISBN-13: 978-4532113155
[3]ニーズィー、リスト『その問題、経済学で解決できます。』東洋経済新報社、2014年、ISBN-13: 978-4492314494
[4]アリエリー『ずる――?とごまかしの行動経済学』早川書房、2014年、ISBN-13: 978-4150504151
[5]カーネマン『ダニエル・カーネマン心理と経済を語る』楽工社、2011年、ISBN-13: 978-4903063485
[6]アカロフ、シラー『アニマルスピリット』東洋経済、2009年、ISBN-13: 978-4492313985
授業調査に対するコメント Comment on Course Evaluation
特にありません。
担当教員のプロフィール About the Instructor
●学位と取得大学
修士(経済学)東京大学
博士(経済学)東京大学
●研究分野
貨幣経済、労働経済、チープトーク
●主な論文
「Three Essays on Monetary Exchanges through Shops」、東京大学経済学研究科博士論文、2008年
「Aggregative Approach to Cheap Talk Credibility: A Survey」、名古屋商科大学論集57巻第2号、2013年
「貧富の経験、判断、債券市場」、名古屋商科大学論集58巻第2号、2014年
●主な著書
「多様化する社会と多元化する知−−「あたり前」を疑うことで見える世界」
ナカニシヤ出版(2017)、共著、ケース&ディスカッション2を担当
修士(経済学)東京大学
博士(経済学)東京大学
●研究分野
貨幣経済、労働経済、チープトーク
●主な論文
「Three Essays on Monetary Exchanges through Shops」、東京大学経済学研究科博士論文、2008年
「Aggregative Approach to Cheap Talk Credibility: A Survey」、名古屋商科大学論集57巻第2号、2013年
「貧富の経験、判断、債券市場」、名古屋商科大学論集58巻第2号、2014年
●主な著書
「多様化する社会と多元化する知−−「あたり前」を疑うことで見える世界」
ナカニシヤ出版(2017)、共著、ケース&ディスカッション2を担当
Academic Degree: Ph.D of economics, Graduate School of Economics, University of Tokyo.
Research Interest: Monetary Exchange, Cheap Talk