シラバス Syllabus

授業名 国際安全保障論
Course Title International Security
担当教員 Instructor Name 陸 長栄(Choei Riku)
コード Couse Code NUC251_N22B
授業形態 Class Type 講義 Regular course
授業形式 Class Format On Campus
単位 Credits 2
言語 Language JP
科目区分 Course Category 共通専門教育科目400系 / Specialized Subject 400
学位 Degree BSc
開講情報 Terms / Location 2022 UG Nisshin Term4

授業の概要 Course Overview

安全保障は古来より国家の最も重要な課題の1つである。これは、ある集団の生存や独立に関わる理念と価値あるものを、何らかの脅威が及ばぬよう何かの手段を講じることで安全な状態を保障することであり、また国際関係における安全保障は主として他国からの防衛をその主眼とする科目である。
 国際政治学は、国際安全保障に多大な関心を寄せてきたのである。特に新型コロナウイルスが世界中に感染拡大している中で、国際安全保障は極めて重要視されている。本講義では、安全保障の基本的な理論と政策を学び、具体的には、無政府状態と国家存立、勢力均衡、覇権の盛衰、同盟の形成と管理、安全保障協力、危機管理、戦争に関する理論などを本講義の軸とし、関連する歴史と原理を解析する。
本講義を通じて、安全保障への関心を高め、国際、特に日本の安全保障への入門的な理解の促進に資するのが本講義の主な目標である。本授業の受講によって、安全保障における諸課題を解決できる論理的な思考能力を向上させ、身近な場面でも応用できるようにしてほしい。

National security is one of the most important issues for all countries since ancient times. This course aims to discover the guaranteeing factors to keep states safe by taking certain means to prevent the threats and the value of the interesting groups. In addition, the security measures related to international relations and defense against other countries are also discussed.
International politics has made great interest in international security and insurance. With COVID spreading across the world, international security made to an even more important topic. In this course, the basic theory and policy of security will be studied, namely anarchy and state existence, balance of power, rise and fall of hegemony, formation and management of alliance, security cooperation, crisis management and war. Based on those topics, the course aims to stimulate the learning and analysis regarding the history, issues and solutions of international security.
The main goal of this course is to stimulate the interest in security topics and, especially, to promote an introductory understanding of national security across the global, especially for Japan. Students are expected to improve logical thinking ability and problem solving skills through the course and apply it to familiar situations.

本授業の該当ラーニングゴール Learning Goals

*本学の教育ミッションを具現化する形で設定されています。

LG1 Critical Thinking
LG2 Diversity Awareness
LG3 Ethical Decision Making
LG4 Effective Communication

受講後得られる具体的スキルや知識 Learning Outcomes

 安全保障に関する基本原理・概念を知り、国際政治に関わる様々な論点について理解を深めることができる。また、安全保障上の新たな脅威と課題について深く理解し、問題解決・政策策定を提言できるようにする。

Built on the basic principles and concepts of security, students are expected to deepen the understanding of various issues related to international politics. Moreover, students are encouraged to develop solutions and policy suggestions for new threats and challenges on security based on in-depth analysis and critical thinking.

SDGsとの関連性 Relevance to Sustainable Development Goals

Goal 10 人や国の不平等をなくそう(Reduced Inequality)

教育手法 Teaching Method

教育手法 Teaching Method % of Course Time
インプット型 Traditional 60 %
参加者中心型 Participant-Centered Learning ケースメソッド Case Method 40 %
フィールドメソッド Field Method 0 %
合計 Total 100 %

学習方法、レポート、課題に対するフィードバック方法 Course Approach, Report, Feedback methods

● (予習・復習等)
 予習では、配布プリント、教科書の関連部分や参考文献などを読み、講義のポイントを把握しておいてください。
 復習では、講義資料の「配布プリント」等を読み、要点をまとめて復習してください。
● 課題(レポート・提出物など)に対するフィードバック方法
レポート課題については第1週に説明し、提出期限を第七週の講義時とする予定。
フィードバックについては、返却時の講義中に全般的なコメントを行う。

授業スケジュール Course Schedule

第1日(Day1)

●第一回 授業導入・総論
⑴年間計画、講義の進め方、勉強方法などを紹介する。
⑵なぜ国際安全保障を学問として学ぶのか?
国際政治を取り巻く環境が激変している中、現代の国際社会は不確実な課題が頻発している。そのゆえ、安全保障問題は世界各国で極めて重要視とされている。本講義は、(1)リアリズム、また(2)リベアリズムから見た安全保障の環境、(3)戦略的アプローチ、および(4)現代の安全保障課題という四つの部分の構成で、全15回行う。なお、安全保障を学んだ上で欠かせない論理的な思考方法を順序立ててわかりやすく説明した上で、それらが現代の国際社会とどのようにかかわっているのかを総括的に概説する。

●第二回 無政府状態と国家存立
 国家の存立という国益に注目しつつ、リアリズムの世界観の一つとして国家間の無政府状態を取り上げる。具体的には、無政府状態と関連のある戦争状態、また国家主権という概念、国家の存立と自衛権などの概念を解説する。

●使用するケース
第一回
要点①安全保障という概念及びその概念の拡張(拡大と深化)を紹介する。
例:日本では、石油危機を経験した1970年代の後半に「総合安全保障」という概念が議論されるようになった。
・どんな報告書にそのような概念が提出されたのか?
・その報告書の内容は何か?
・安全保障の概念は如何に拡張されてきたのか?

要点②日本の国家安全保障観
例:日本政府は2013年12月の国家安全保障会議と閣議決定により、「国家安全保障戦略」を初めて策定した。
・国家安全保障戦略とは?
・どんな内容が記述されるのか?

第二回
要点①国家主権と戦争状態に関わる理論知識を明らかにする。
例:日本はサンフランシスコ講和条約が発効した1952年まで、国際社会の中で主権を喪失した。
・どういう事件なのか?
・「国家の死」ということを理解する。

要点②主権国家の存立に関わる武力行使禁止の原則について理解していく。
例:国連憲章は国際紛争の平和解決を義務化するとともに、国際社会での武力や威嚇の行使を禁止している。
・その武力不行使の内容は何か?
・その原則には、認められている二つの例外を学ぶ。

第2日(Day2)

●第三回 勢力均衡
勢力均衡という理念が意識的に定式化されるようになったのは、17世紀から18世紀にかけてのヨーロッパであった。今回は、リアリズム的な世界観の一つとして勢力均衡を取り上げ、古典的リアリズムの勢力均衡という基礎理論を説明する。また、第二次世界大戦の勢力均衡にも焦点を当て、ウォルツの「国際政治の理論」を中心にネオリアリズムの勢力均衡理論を見て行く。

●第四回 覇権の盛衰
リアリズムの世界観の一つとして覇権の盛衰を取り上げる。覇権国と新興国の間に生じやすい軋轢について考察する。なお、そうした軋轢を生み出す原因として、安全保障のジレンマに注目していく。

●使用するケース
第三回
要点①勢力均衡を維持する要因を考えよう。
例:スペイン継承戦争の終結
・その戦争の終結に導いた条約は何か?
・その条約の内容は?
・ヨーロッパ全体の平和にどんな役割を果たしたのか?

要点②現代における勢力均衡(冷戦期、ポスト冷戦期)について考えよう。
例:アメリカとソ連の対立関係を説明する。米ソ間のデタント(緊張緩和)を如何に実現させたのか。
・そのデタントの成立に寄与した五つの要因は?
・デタントが完全に終焉した原因は何か?
・米ソ間の関係と勢力均衡の関係性は何か?

第四回
要点①覇権国と新興国の軋轢というものを理解してもらう。
例:覇権戦争であったペロポネソス戦争の原因はアテーナイの勢力拡大にあるという説を解説する。
・戦争に至った原因は何か?
・覇権戦争に関する理論はとういうものか?

要点②安全保障のジレンマとは何かを明らかにする。
例:1973年第四次中東戦争
・安全保障のジレンマが生じる原因は何か?
・このようなジレンマが世界にどのような影響をもたらしたのか?
・このようなジレンマはどう避けられるのか?

第3日(Day3)

●第五回 新たな脅威とは何か?
国際社会における新たな課題、国際犯罪、テロリズム、武器の拡散、難民問題、感染症の広がり(コロナウイルス)、環境問題、人間の安全保障などをめぐって、いわゆる非伝統的安全保障という概念、またそのガバナンスをめぐる仕組みを解説する。

●第六回 同盟の形成と管理
本講義は戦略的アプローチの一つとして同盟という概念を取り上げ、特に日米同盟について考察していく。同盟に関する重要な理論を解説する。

●使用するケース
第五回
要点①テロリズムの動機や世界にもたらす影響について考えてみよう。
例:1995年3月地下鉄サリン事件、911多発テロ事件、アメリカで炭疽菌入りの郵便物が送付される事件など
・どういう事件か?
・なぜ、このような事件が発生したのか?
・最終的にどう解決されたのか?

要点②人間の安全保障の取組みは何かを理解する。
例:1997年、地球温暖化防止京都会議が開かれ、気候変動枠組み条約が署名された。
・人間の安全保障とは?
・人間の安全保障に取り組んでいる主体は何か?
・関連の国際機構は安全保障にどんな役割を果たしていたのか?

第六回
要点①日米安保条約、日米安保体制の同盟化、および1999年代後半以降の展開を解析。
例:日米同盟における日米安保条約の締結
・なぜ同盟を結んだのか?
・同盟条約の内容は何か?

要点②1990年代後半以降の同盟の展開について見てみる
例:2013年国家安保戦略を受け、2015年ガイドラインが日米安全保障協議委員会で了承された。それによって、一連の変化をもたらした。
・国家安保戦略の内容は何か?
・ガイドラインの特徴は何か?従来の内容との違いは?

第4日(Day4)

●第七回 同盟終焉の理論と事例
日米同盟を事例にして、同盟の終焉に関する三つのアプローチ、日米同盟終焉のシナリオ、日米同盟の行方などについて紹介して解説する。

●第八回 国際危機と危機管理
危機管理を中心に、国際危機をいかにとらえるか、危機の意思決定、危機管理のジレンマを解説する。

●使用するケース
第七回
要点①同盟はなぜ、またどのように終わるのかについて考えよう。
例:日英同盟の解体(1923年)
・国際関係にどんな影響をもたらしたのか?
・終わるにはどのような理由や条件がありうるのか?

第八回
要点:それぞれの危機がなぜ起こり、なぜあのような帰結をたどったのかについて分析する。
例① 東ティモール危機
・危機が勃発した原因と結果?
・国際社会にどんな影響を与えた?
・最終的にどう終わったのか?
②北朝鮮ミサイル危機
・どういう事件か?
・なぜ、このような事件が発生したのか?
・日本政府の対応は適切か?
要点②同盟が終焉を迎えた影響を考えてみよう。
例:日米関係は経済・文化によって結びついている。これに対して、米中両国は冷戦後経済的な相互依存度を高めながらも、激しい競争も展開し続けている。
・日米同盟の関係変化は世界、特に中国にどのような影響をもたらしたのか?
・日米同盟の背景の下で、アメリカと激しい関係を展開している中国は、日本との関係を如何に考えればよいのか?
・日米関係の行方とは何か?

第5日(Day5)

●第九回 核兵器の戦略と管理
第二次世界大戦直後、核兵器の出現は、戦争の本質というものを変えてしまった。今回は、アメリカの核戦略についてその土台が固まった冷戦前半を中心に説明する。また、核兵器の軍備管理の制度について述べていく。

●第十回 グローバル化と安全保障
グローバル化が安全保障に及ぼしている影響について説明していく。さらに、武力紛争の傾向をデータから読み取るとともに、グローバル時代に国内紛争の原因やテロリズムについて検討する。

●使用するケース
第九回
要点①アメリカの核戦略の土台として、冷戦期前半に発展してきた三つの戦略について説明する。
例:ソ連は核兵器を運搬する戦略空軍を強化した一方で、自分も被害を受けた。
・大量報復戦略の内容は何か?
・その戦略は効き目があったのか?問題点とは何か?

要点②核兵器に対する日本の取り組みを説明する。
例:日本政府は防衛の基本戦略の一つとして非核三原則を発表した。
・その原則の内容は何か?
・核兵器に対してどんな影響をもたらした?

第十回
要点①グローバル化と安全保障の関係について説明する。
例:歴史的には、グローバル化のプロセスが加速始め、ヨーロッパ世界の拡大を特徴とする近世では、産業革命は産業大衆社会と近代社国家を生み出した一方で、大量破壊ももたらした。
・産業革命は世界にどんな影響をもたらしたのか?
・改善点・問題点は何か?

要点②グローバル化を紹介するとともに、国際紛争やテロリズムの原因を考察する。
例:旧ユーゴスラビアや旧ソ連、それにアフリカにおいて発生したいわゆる「新しい戦争」。
・「新しい戦争」とは?
・「新しい戦争」は何によって促進されているのか?
・「新しい戦争」の特徴は?

第6日(Day6)

●第十一回 安全保障協力(ケースメソッド)
国際社会における安全保障協力の形態、国際協調の理論を説明し、また日本が行う国際平和協力活動を紹介する。


●使用するケース
第十一回(ケースメソッド)
要点①国際社会における安全保障協力の重要な形態として平和維持活動を見て行く。
例:近年に国連による平和維持活動の整理
・どこで平和維持活動を行ったか?
・国連はどんな役割を果たしたか?

要点②日本の国際平和協力活動の発展について考えよう。
例:日本は湾岸戦争への資金協力、軍事的また人的な貢献を提供した。当時日本政府は国連平和協力法案を閣議決定して、国会に提出した。
・その法案はどんな内容か?
・自衛隊による活動はいつから始まったのか?具体的にはどんな活動を行ったのか?

第7日(Day7)

●第十二回 戦争原因の理論と事例――戦争はなぜ起こるのか?
本講義はパワーと戦争原因、リアリストの戦争原因論、第一次世界大戦勃発の原因、21世紀の国際社会における戦争の意味などを解説する。

●第十三回 戦争終結の理論と政策――戦争を避けられるか?
20世紀の安全保障と比較すると、21世紀の安全保障が如何に変容しているのかを検討し、セキュリティ・パラドックスの論理を説明する。

●使用するケース
第十二回
要点①国家間の戦争原因を見つけていこう。
例:湾岸戦争、コソボ紛争、アフリカの内戦
・パワーと戦争原因の関係
・リアリズムの戦争原因論とは何か?
・戦争はお金と人力がかかるとすれば、どうして戦争は後を絶たないのか?

要点②どうすれば戦争を避けることができるのかについて考えよう。
例:「平和活動に関するハイレベル独立パネル」の報告書(2015年)
・その報告書はどんな内容か?
・世界の安全にどんな役割を果たしたのか?

第十三回
要点①内戦やテロリズムといった従来の問題は何かについて理解し、また、それらの問題をいかに解決したのかを考えよう。
例:911テロ事件
・アメリカ政府の取り組み
・戦争はどのようにして防げば良いのか?
・国際機構がどのような役割を果たしていたのか?

要点②戦争を避けられる方法を考えよう。
例:日米同盟の締結における戦争回避という基本目標について。
・日米同盟関係がいかに戦争を避けるのか?
・安全保障を向上させるために、日本政府はどのように対応すればよいのか?

成績評価方法 Evaluation Criteria

*成績は下記該当項目を基に決定されます。
*クラス貢献度合計はコールドコールと授業内での挙手発言の合算値です。
講師用内規準拠 Method of Assessment Weights
コールドコール Cold Call 0 %
授業内での挙手発言 Class Contribution 30 %
クラス貢献度合計 Class Contribution Total 30 %
予習レポート Preparation Report 0 %
小テスト Quizzes / Tests 0 %
シミュレーション成績 Simulation 0 %
ケース試験 Case Exam 30 %
最終レポート Final Report 40 %
期末試験 Final Exam 0 %
参加者による相互評価 Peer Assessment 0 %
合計 Total 100 %

評価の留意事項 Notes on Evaluation Criteria

使用ケース一覧 List of Cases

    ケースは使用しません。

教科書 Textbook

  • 土山實男「 安全保障の国際政治学 -- 焦りと傲り 第二版」有斐閣(2014)9784641149038
  • 宮岡 勲「入門講義 安全保障論」慶應義塾大学出版会(2020)9784766426793

参考文献・資料 Additional Readings and Resource

防衛大学校安全保障学研究会 (著), 武田 康裕 (編集)「新訂第5版 安全保障学入門 」亜紀書房; 新訂第5 edition(2018)978-4750515434
佐島直子「安全保障ってなんだろう」勁草書房 (2011) 978-4326302024

授業調査に対するコメント Comment on Course Evaluation

初年度担当科目

担当教員のプロフィール About the Instructor 



Refereed Articles

  • (2020) A Study on the Negative Externality of USD Liquidity--Based on the Asset Allocation Efficiency of US Treasury Securities. The Singapore Economic Review (SSCI) 66(3):
  • (2020) The Domestic Politics of the Yen’s Re-internationalisation: Dynamic Interaction and the Core Executive. Asian Studies Review (SSCI, Q1) 45(3):
  • (2020) Empirical study on intra-regional bond investment: an application to East Asia. Asian Pacific Economic Literature(SSCI) 34(1):
  • (2018) Recent Developments in China’s Labour Market: Labour Shortage, Rising Wages and Their Implications. Review of Development Economics 22(3):
  • (2018) Are China’s Unit Labor Costs still Competitive? A Comparison with ASEAN Countries. Asian Pacific Economic Literature (SSCI) 32(1):






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