シラバス Syllabus

授業名 オーストラリアの社会と文化
Course Title Society and Culture of Australia
担当教員 Instructor Name 鎌田 真弓(Mayumi Kamada)
コード Couse Code NUC226_N22B
授業形態 Class Type 講義 Regular course
授業形式 Class Format On Campus
単位 Credits 2
言語 Language JP
科目区分 Course Category 教養教育科目100系 / Liberal Arts 100
学位 Degree BSc
開講情報 Terms / Location 2022 UG Nisshin Term4

授業の概要 Course Overview

Misson Statementとの関係性 / Connection to our Mission Statement

国際的なビジネスの舞台で活躍するには、多様な文化や価値を理解し、柔軟に対応する力が必要です。本科目では多文化社会「オーストラリア」に着目して、社会の発展のためのダイバーシティ・マネジメントについて考えます。
It is indispensable for business leaders to appreciate diversity in culture and society. This course would focus on multicultural Australia, and comprehend diversity of the society and its management.

授業の目的(意義) / Importance of this course

ビジネス・リーダーの素養として不可欠な、幅広い教養、柔軟な感性、異文化に対する理解や倫理観、論理的な思考力を養います。本科目では、社会の多様性を理解し、国際社会が抱える課題について多面的に考察し、問題解決が行える論理的思考力を身につけます。
The objective of this course is to nurture students’ sensitivity to the diversity, and to develop critical and ethical thinking, which are indispensable for a business leader.  Students are expected to understand diversity in the society, to develop the ability to consider the issues facing the international community from a broad perspective, and to acquire the logical thinking skills to solve diverse problems.

到達目標 / Achievement Goal

オーストラリアでの試行を事例として、多文化社会が抱える課題を考え、そうした社会を創りだすための教養と思考力を身につけます。

With the particular focus on Australia, students will think about the issues facing multicultural societies, and acquire the knowledge and critical thinking skills to create an intercultural society.

本授業の該当ラーニングゴール Learning Goals

*本学の教育ミッションを具現化する形で設定されています。

LG1 Critical Thinking
LG2 Diversity Awareness
LG3 Ethical Decision Making
LG4 Effective Communication
LG7 International Perspectives (BA)

受講後得られる具体的スキルや知識 Learning Outcomes

移民国家であるオーストラリアは様々な出自の人々との共存や、先住民族との和解の方法を模索してきました。本科目を通じて、異文化に対する受容力を高めるとともに、多角的な見方を身につけます。加えて、クラスディスカッションやグループディスカッションでの意見交換、およびレポートやリアクションペーパーの作成などを通して、意見を明確にし、発信する力を身に付けます。

As a nation of migrants, Australia has created a multicultural society and searched for ‘reconciliation’ with indigenous peoples. Students will develop receptive mind towards different cultures and values, and diversified views. Furthermore, students are expected to develop critical thinking and communication skills through participating in the class and group discussions, as well as writing essays and reaction papers.

SDGsとの関連性 Relevance to Sustainable Development Goals

Goal 16 平和と公正をすべての人に(Peace and Justice Strong Institutions)

教育手法 Teaching Method

教育手法 Teaching Method % of Course Time
インプット型 Traditional 50 %
参加者中心型 Participant-Centered Learning ケースメソッド Case Method 50 %
フィールドメソッド Field Method 0 %
合計 Total 100 %

事前学修と事後学修の内容、レポート、課題に対するフィードバック方法 Pre- and Post-Course Learning, Report, Feedback methods

授業での理解を深めるために予習アサインメントおよびリアクションペーパーを課します。ケース・授業用PPT・教科書・参考文献を使って予習200分、復習200分を行ってください。ケースや資料、授業用PPTは事前にGoogle Classroomにアップロードしています。写真や絵画や図表などが多く含まれていますから、各自ダウンロード・印刷したものを準備してメモを書き込んでいくと、充実したノートができると思います。

予習アサインメント・リアクションペーパー・レポートでの質問や意見は、Google Classroomでお答えしたり、あるいは授業中に紹介したりして、議論を深めたいと思います。個別の質問はオフィスアワーを活用してください。

ウェブサイトの情報はとても有効ですが、信頼できないサイトも多いです。図書館には参考図書や授業で使用する映画が所蔵されていますから、積極的な利用を推奨します。

授業スケジュール Course Schedule

第1日(Day1)

オーストラリア概説
1-1 オーストラリア概説―植民地開設
オーストラリア大陸の「発見」から英国植民地開設までの歴史を概観する
1-2 オーストラリア概説―開拓の光と影
植民地の開設は「侵略」の歴史であり、先住民族にとっての抑圧の始まりであった。入植が先住民族に与えた影響を考える。


●使用するケース
オーストラリア旅行計画(鎌田作成)
中央砂漠の先住民(動画、by チャールズ・マウントフォード)

第2日(Day2)

オーストラリアとアジア
2-1 白豪主義の形成
入植の最前線には多くのアジア人が働いていた。ゴールドラッシュを契機に始まったアジア人排斥の要因と実情を知る。
2-2 オーストラリアの日本人
19世紀後半から20世紀にかけて、多くの日本人出稼ぎ労働者がオーストラリア北部で働いていた。日豪関係の歴史を探る


●使用するケース
村松治郎(鎌田作成)

第3日(Day3)

オーストラリアの先住民
3-1 同化政策と親子強制隔離政策
先住民族に対しては「保護」の名目のもとの隔離政策や、「同化」を促すための親子強制隔離政策という差別的な政策が実施された。こうした政策がどのような禍根を残したのかを考える
3-2 先住民族の権利回復
1960年代以降オーストラリア等で認められてきた「先住民族の権利」を理解し、過去の出来事に対する現代の人々の責任について考える。


●使用するケース
タケシさんのウルルーカタジュタ観光(鎌田作成)
裸足の1500マイル(動画、by フィリップ・ノイス)

第4日(Day4)

オーストラリアと戦争
4-1 アンザック・デー
第一次大戦中のガリポリ上陸作戦が行なわれた日を記念するアンザック・デー(4月25日)は、オーストラリア・デー(1月26日)と並ぶ、オーストラリア国民にとって重要な祝日である。戦死者/戦没者の追悼の意義を考える。
4-2 オーストラリアの太平洋戦争
太平洋戦争では日本とオーストラリアは対戦国であった。太平洋戦争が残した傷跡と「和解」について考える。


●使用するケース
ミカさんの留学体験―アンザック・デー(鎌田作成)
レイルウェイ:運命の旅路(動画、by ジョナサン・デブリツキー)

第5日(Day5)

多文化・多民族社会オーストラリアの模索
5-1 オーストラリアの移民政策
オーストラリアの移民政策は、基本的には人口政策である。多文化主義へと転換せざるを得なかった理由と多文化政策の実態を知り、多文化社会が抱える課題を考える。
5-2 難民とボートピープル
ヨーロッパを揺るがしている難民問題は、オーストラリアにも深刻な影響をもたらしている。移動する人々の立場からオーストラリアの厳しい国境管理政策を考える。


●使用するケース
ユカさん一家の決断(鎌田作成)
グラムさんの将来(鎌田作成)

第6日(Day6)

多文化社会の先住民
6-1 多文化社会の先住民
今日のオーストラリアでは先住民族の権利回復が進み、過去の政策への謝罪も行われているものの、未だに多くの先住民の生活水準は低いままである。こうした問題を解決するための新たな施策を考える。
6-2 多文化オーストラリア:文化の混淆
オーストラリア文化は先住民文化や移民が持ち込んだ文化によって創り出されている。先住民やエスニック・マイノリティのエンパワメントの手法としての教育・文化政策を考える。


●使用するケース
ジムさんの選択(鎌田作成)
先住民ヒップホッププロジェクト(動画、by IHHP)

第7日(Day7)

日豪関係
7-1 日豪関係の歴史を振り返りつつ、アジア太平洋地域における日豪関係の将来を考える。
7-2 13回の講義をまとめる


●使用するケース
弘さんの留学体験―就職(鎌田作成)

成績評価方法 Evaluation Criteria

*成績は下記該当項目を基に決定されます。
*クラス貢献度合計はコールドコールと授業内での挙手発言の合算値です。
講師用内規準拠 Method of Assessment Weights
コールドコール Cold Call 0 %
授業内での挙手発言 Class Contribution 20 %
クラス貢献度合計 Class Contribution Total 20 %
予習レポート Preparation Report 25 %
小テスト Quizzes / Tests 35 %
シミュレーション成績 Simulation 0 %
ケース試験 Case Exam 0 %
最終レポート Final Report 0 %
期末試験 Final Exam 20 %
参加者による相互評価 Peer Assessment 0 %
合計 Total 100 %

評価の留意事項 Notes on Evaluation Criteria

クラスディスカッションやグループディスカッションへの参加度も積極的に評価します。発言が苦手な学生は、リアクションペーパーなどで、授業を通して考えたことを言葉にしてください。様々な方法で本講義に参加されることを期待します。

使用ケース一覧 List of Cases

    ケースは使用しません。

教科書 Textbook

  • 鎌田真弓編「大学的オーストラリアガイドーこだわりの歩き方」昭和堂(2021)978-4-8122-2016-0

参考文献・資料 Additional Readings and Resource

関根政美他『オーストラリア多文化社会論』法律文化社、2020年:978-4-589-04053-4
鎌田真弓編著『日本とオーストラリアの太平洋戦争ー記憶の国境線を問う』御茶の水書房、2012:978-4275009784
村井吉敬・内海愛子・飯笹佐代子編著『海境を越える人びとー真珠とナマコとアラフラ海ー』コモンズ、2016:978-4861871337
藤川隆男編『オーストラリアの歴史』有斐閣、2004:978-4641122093

授業調査に対するコメント Comment on Course Evaluation

教科書は授業の内容をよりよく理解するためのもので、自学自修(予習や復習)に使用してください。初等・中等教育のように教科書の内容に沿って授業をするものではありません。
 グループディスカッションに参加しない学生があるという苦情が多かったです。皆さんの将来のためにディスカッションを回す技術を習得する機会と捉えて、積極的な参加を期待します。クラスディスカッションの時間も増やしたいと思います。
声帯が弱くて、大きな声を出すことができません。講義中に声が聞こえにくかったり、画面が見えにくかったりする場合は、その都度指摘してください。

担当教員のプロフィール About the Instructor 

学位:
修士(国際関係学)津田塾大学
MPhil(Asian Studies) グリフィス大学
PhD(International Relations)オーストラリア国立大学

研究分野:
オーストラリア研究、国際政治学、国際関係論
特にオーストラリアのナショナリズム(先住民問題、戦争の記憶)および境界研究に関心をもつ。

Academic degrees:
MA (International Relations) Tsuda College, Tokyo, Japan
MPhil (Asian Studdies) Griffith University, Brisbane, Australia
PhD (International Relations) Australian National University> Canberra, Australia

Fields of Research
Australian Studies, International Politics, International Relations
In particular she is interested in Nationalism in Australia (including Indigenous issues and memory of wars), and Border Studies.

Refereed Articles

  • (2023) A Reading of the Account Books of J & T Muramats: Ethnography of its Business and Japanese Indentures Laborers in Cossack, Western Australia. Journal of Australian Studies 36 091998911
  • (2020) Kaken Final Report:Dynamism of the Marine Frontier: territorialization of Australia's northern waters and subsistence tactics of the people in the border regions. Grants-in-Aid for Scientific Research - JSPS
  • (2020) Jiro Muramats (1878-1943): A Japanese Businessman in Australia. Grants-in-Aid for Scientific Research - JSPS
  • (2019) Records of Japanese in the Internment camps in Australia during the Pacific War. A book funded by the Grants-in-Aid for Scientific Research
  • (2017) Dynamism of Transborder Migration in the Arafura Sea Region: Customary Knowledge Across the National Boundaries. Grants-in-Aid for Scientific Research - JSPS






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