シラバス Syllabus

授業名 グローバル化時代と日本
Course Title Globalization and Japan
担当教員 Instructor Name 陸 長栄(Choei Riku)
コード Couse Code NUC222_N22A
授業形態 Class Type 講義 Regular course
授業形式 Class Format On Campus
単位 Credits 2
言語 Language JP
科目区分 Course Category 専門教育科目300系 / Specialized Subject 300
学位 Degree BSc
開講情報 Terms / Location 2022 UG Nisshin Term2

授業の概要 Course Overview

Misson Statementとの関係性 / Connection to our Mission Statement

 本講義のテーマは「グローバル化と日本」である。キーワードは、貿易、特許制度、技術進歩、国際機関(多国間機関)、途上国の経済成長で、注目する技術はコンピューター、インターネットに関連するものである。
The theme of this course is globalization and Japan. Keywords include trade, patent system, technical progress, international organization (multilateral agency), economic growth of developing countries, noteworthy technology related to computers and the Internet.

授業の目的(意義) / Importance of this course

本授業を通じて、グローバル化の下で人の生活の実態を総合的な観点から理解することで、世界的に生じているさまざまな社会現象を理解し、自分なりに考察を進めることを目標とする。
The purpose of this course is to understand the actual situation of people's lives under globalization and the various social phenomena occurring worldwide accordingly. Independent and critical thinking are expected.

到達目標 / Achievement Goal

本講義の目的は、グローバリゼーションに関する基礎知識を修得するとともに、専門知識を体系的に学習するための準備を行うことにある。
 複雑さを増してやまない国際社会の諸問題を、広い視野から理解したり説明したりするのに必要な国際政治学と呼ばれる学問分野の基本概念や理解・認識の枠組みを解説する。現在進行中のグローバリゼーションの話題を随時取り上げる。

The purpose of this course is to prepare basic knowledge background about globalization and to systematically study this field.
This course examines the basic concepts and understanding and recognition framework of the field of study called international political science, which is necessary to understand and explain various issues of the international community with increased complexity. The most recent cases and topics of globalization will be taken up at any time during the course.

本授業の該当ラーニングゴール Learning Goals

*本学の教育ミッションを具現化する形で設定されています。

LG1 Critical Thinking
LG2 Diversity Awareness
LG3 Ethical Decision Making
LG4 Effective Communication
LG5 Business Perspectives (BSc)
LG6 Managerial Perspectives (BBA)
LG7 International Perspectives (BA)

受講後得られる具体的スキルや知識 Learning Outcomes

グローバル化と日本に関する基本原理・概念を知り、国際社会システムに関わる様々な論点について理解を深めることができる。また、国際社会における現代の課題の本質を明らかにし、問題解決・政策策定を提言できるようにする。

Based on the basic principles and concepts of globalization and Japan situation, this course aims to deepen the understanding of various arguments and issues related to international society. Moreover, the essence of the contemporary problems of the international society can be clarified, and the problem solving and policy making suggestions can be proposed.

SDGsとの関連性 Relevance to Sustainable Development Goals

Goal 16 平和と公正をすべての人に(Peace and Justice Strong Institutions)

教育手法 Teaching Method

教育手法 Teaching Method % of Course Time
インプット型 Traditional 60 %
参加者中心型 Participant-Centered Learning ケースメソッド Case Method 40 %
フィールドメソッド Field Method 0 %
合計 Total 100 %

事前学修と事後学修の内容、レポート、課題に対するフィードバック方法 Pre- and Post-Course Learning, Report, Feedback methods

● 予習・復習等
予習では、配布プリント、教科書の関連部分や参考文献などを読み、講義のポイントを把握しておく。
復習では、講義資料の「配布プリント」等を読み、要点をまとめて復習する。第六週にケーススタディを導入し、クラス討議でディスカッションを行う予定である。
● 課題(レポート・提出物など)に対するフィードバック方法
レポート課題については第一回に説明を行い、提出期限を第七週の講義時とする予定。
フィードバックについては、返却時の講義中に全般的にコメントを行うことにする。

授業スケジュール Course Schedule

第1日(Day1)

●第一回
(1)授業導入:年間計画、講義の進め方、勉強方法などを紹介する。
総論:グローバル化
 現在、電子ネットワーク、インターネット、無線LANの利用、貿易による物品の移動、留学生や外国人観光客・ビジネスパーソンの増加、企業による海外直接投資、途上国の経済成長、ネット・バンキングそしてそれらの組み合わせがグローバル化を加速させ、年々より身近な現象にしていることは確かであろう。グローバル化、グローバリゼーションが語られるようになったのは1990 年頃以降であり、1990年頃以降の変化とその原因を理解することが必要である。
 本講義は、国際機関、途上国の経済成長、注目する技術に関連するものなどについて、全15回行う。なお、グローバル化を学んだ上で欠かせない論理的な思考方法を順序立ててわかりやすく説明した上で、それらが現代の国際社会とどのようにかかわっているのか、を総合的に概説する。

●第二回
グローバル化への対応
 19世紀から20世紀初めにかけて、人々は知的な好奇心や経済的な活動から自由に国境を越えて移動していたが、異なる文化・伝統を持つ人どうしが理解しあう努力を怠ったときにトラブルも発生した。人種差別や民族間対立、天然資源争奪をめぐってなど、2回にわたる世界戦争が起こり、多くの人々が巻き込まれた。

●使用するケース
第一回
要点①グローバル化を振り返って考えよう。
例:1990年頃から、コンピューターとコンピューターをサーバ経由でつながるインターネットが普及してゆき、かつてないほどの勢いで情報通信革命が始まった。
・情報通信革命の内容は何か?
・その革命は世界にどんな影響をもたらした?

要点②日本の国際化について理解しよう。
例:福沢諭吉や天野為之は日本で発明の重要性にいち早く着目した。
・二人は発明の重要性をどうやって強調したのか?
・二人は日本の発明にどんな影響をもたらしたのか?

第二回
要点①国際機関の誕生について理解じよう。
例:1863年赤十字委員会が誕生した。
・誕生した原因は何か?
・赤十字の設立された目的は何か?

要点②国際連盟の設立と国際金融会議について考えよう。
・国際連盟はどうやって設立されたのか?
・国際連盟の設立は世界にどんな影響をもたらしたのか?

第2日(Day2)

●第三回
国際通貨基金(IMF)
 国際貿易と海外投資を進めるためには、安定した通貨制度が必要である。国際機関が存在しない時期、民間の金融家がその責任を担っていた。20世紀半ばからは、国際通貨基金がその要となった。

●第四回
世界銀行と国連開発機関
 国連傘下の開発機関には、世界銀行のほか国連開発計画、国連貿易開発会議などたくさんの機関がある。今回は、なぜ貧困を解決することが望まれるのか、なぜ経済開発が望まれるのかを考えてみよう。


●使用するケース
第三回
要点①国際通貨基金の誕生について理解しよう。
例:「国際通貨基金設置に関する専門家の共同声明」いわゆるIMF原案が1944年4月に発表された。
・その原案が発表されたのきっかけは?
・その原案により、国際貿易や海外投資にどんな影響をもたらしたのか?

要点②グローバリゼーションをめぐる論争について考えよう。
例: 1997年の東アジア通貨危機では、IMFがタイ、インドネシア、韓国に緊急融資を行うと同時に、厳しいコンディショナルティを課した。
・どういう事件なのか?
・この事件により、グローバリゼーションにどんな影響をもたらしたのか?

第四回
要点①世界銀行と日本に関することを見てみよう。
例:日本は1952年8月にIMFと世界銀行に加盟し、53年に世界銀行から初の融資を受けた。
・日本はどうしてIMFと世界銀行に加盟したのか?
・加盟した後、日本の経済にどんな影響をもたらしたのか?

要点②国連開発計画について考えよう。
例:2015年第70回国連総会において、2016-30年の持続可能の開発目標が採択された。
・SDGsでは、設定されている目標の内容は何か?
・それらの目標の実現するためにどんな国際機関が取り組んでいるのか?

第3日(Day3)

●第五回
経済協力開発機構(OECD)
 ヨーロッパの経済問題を考察する際、経済協力開発機構と欧州連合をペアにして乗せるとわかりやすい。EUはブリュッセルに本部をおく地域機関であり、OECDがパリに本部を置くグローバル機関である。今回は、経済協力開発機構の概要とその期間の運用について説明する。

●第六回
欧州連合(EU)
 欧州連合を理解するためには、その歴史を知る必要がある。本講義では、欧州連合の歴史や機構を紹介するとともに、欧州連合域内の交流と問題点について説明していく。

●使用するケース
第五回
要点①経済協力開発機構の概要について見ていく。
例:1960年12月、OEECに北米2カ国が加盟して、OEEC加盟20か国がOECD条約に署名した。
・その機構が設立された理由とは何か?
・その機構の現状は何か?

要点②OECDの目的と特徴をめぐって検討する。
例:メキシコと韓国はOECDにそれぞれ1994年5月と1996年12月に加盟した。
・加盟にした理由は何か?
・OECDはメキシコと韓国の通貨・金融にどんな役割を果たしたのか?

第六回
要点①欧州連合の歴史について考えよう。
例:1950年5月9日、フランスの外相ロベーリ・シューマンが石炭鉄鋼共同体の設立を提案した。
・石炭鉄鋼共同体の設立は世界にどんな影響をもたらしたのか?
・加入した国はどの国なのか?

要点②EUの機構について見ていく。
例:欧州議会の議員は1979年以来、直接普通選挙によって選ばれており、現在の定数は751。
・欧州議会はどんな機関なのか?
・EUにどんな役割を果たしていたのか。

第4日(Day4)

●第七回
エネルギー対策
エネルギー問題を歴史的に振り返るとき、電気供給ならび石炭・石油・天然ガスなど化石エネルギーと呼ばれる一次資源の確保とそれらの価格が念頭に置かれていることが多い。今回は、エネルギーと技術の関係と、エネルギー事情の変化および最近の日本のエネルギー政策について説明する。

●第八回
地球環境問題
グローバル・レベルの環境問題の研究には、観察・観測、コンピューター・シミュレーション、未来予測をするための想像力が不可欠である。また、人工衛星による観察データが加えり、情報通信技術の進歩は科学者たちの情報交換と共通認識形成を容易にした。いくつかの流れがあるかもしれないが、本講義では、二つの流れに注目して説明する。

●使用するケース
第七回
要点①エネルギーにおける技術進歩と消費生活の変化について理解する。
例:近代技術の登場が20世紀においてエネルギー・資源問題を発生させた。
・どんな資源問題なのか?
・それらの問題はブロック経済あるいは広域経済の構築へどんなつながりがあったのか?

要点②最近の日本のエネルギー政策を深く理解しよう。
例:2011年3月11日の東日本大震災と福島原発事故による事故。
・どういう事件なのか?
・それらの事故はエネルギー事情にどんな影響を及ぼしたのか?

第八回
要点①環境問題に対しての解決対策を見てみよう。
例:メドウズたちは1960年代の世界的な経済成長路線から、人口増加ゼロ・経済成長ゼロの路線への大きな転換を提唱した。
・提唱した内容は何か?
・その事件は国際社会における地球環境問題にどんな影響をもたらしたのか?

要点②気候変動に関する政府間パネルについて明らかにしよう。
例:1989年に世界気象機関と国連環境計画という二つの国際機関によって設立された。
・それらの国際機構はどういう機関か?
・今までの取り組みは?

第5日(Day5)

●第九回
貿易摩擦と日本
日本が1970年代末から経験した貿易摩擦は、それ以前のものとは質的に異なる。日本の経常収支が大幅な黒字を示していたことだけではなく、西側欧米諸国と東南アジア諸国連合の各国別の経常収支における黒字までが批判の的とされた。今回は、欧州共同体との貿易摩擦、アメリカとの貿易摩擦及び日本の規制改革を理解する。

●第十回
自由貿易とルール
貿易と貿易理論のとらえ方が、海外と日本で異なるように感じられる。今回は、貿易理論、貿易の支払・決済以外の資金の流れ、また自由貿易の世界を構築するツールについて検討する。

●使用するケース
第九回
要点①欧州共同体との貿易摩擦について勉強しよう。
例:西ヨーロッパ諸国は欧州共同体委員会を窓口にして、日本との貿易摩擦の処理に当たり始めた。
・欧州共同体はどんな国際機構なのか?
・日本との貿易摩擦はどうやって処理してきたのか?

要点②日本の規制改革を理解しよう。
例:1990年代、日本の積極的な規制緩和は、行政改革の一環として始まった。
・それはどんな改革なのか?
・具体的な内容は何か?

第十回
要点①:貿易理論について理解する。
例:19世紀末から20世紀初めにかけて、国際貿易の経済厚生に及ぼす効果についての考察。
・国際貿易の経済厚生とは何か?
・国際貿易の経済厚生に及ぼす効果は何か?

要点②自由貿易の世界を構築するツールを検討する。
例:自由貿易協定
・どういう協定なのか?
・その協定の内容は何か?

第6日(Day6)

●第十一回(ケースメソッド)
世界貿易機関と関税及び貿易に関する一般協定
 世界貿易機関は国家間の貿易ルールを扱う世界で唯一のグローバル機関である。WTOは1995年設立なので、現在ある多くの国際機関の中では新しい方である。WTO設立以前には、関税及び貿易に関する一般協定が暫定的に運用され、関税引き下げ、非関税障壁の撤廃にくけて動いていた。

●使用するケース
第十一回(ケースメソッド)
要点①WTO政府調達協定概要を考えよう。
例:1987年により、政府機関などによる産品の調達に内国民待遇の原則、および無差別待遇の原則が適用されてきた。
・その原則が適用されたきっかけは何か?
・その原則は世界の経済にどんな影響をもたらしたのか。

要点②世界貿易機関の概観について理解してみよう。
例:GATT時代と比べ、多くの発展途上国がWTOに加盟している。
・GATT時代とはなにか?
・どうして多くの発展途上国がWTOに加盟するようになったのか?

第7日(Day7)

●第十二回
東南アジア諸国連合(ASEAN)
東アジアあるいはアジア全体では、欧州の欧州連合に対応するような形で、この地域を代表する国際機関は存在しない。EUから見れば、東南アジア諸国連合が地域機関として注目され、地域機関同士の協力関係の構築が模索されることがある。今回は、東南アジア諸国連合の概要及びASEAN自由貿易地域など問題について説明していく。

●第十三回
東アジアの国際フォーラム
 アジア太平洋経済協力は経済制度の国家間調整に関連して、経済協力開発機構によって欧州連合と並べて注目されることがある。今回では、東南アジア諸国連合と関連フォーラム以外の国際フォーラム、重要な国際会議を見よう。

●使用するケース
第十二回
要点①東南アジア諸国連合の概要を考察しよう。
例:最高意思決定機関と位置づけられるようになるASEAN首脳会議の第一回会合は1976年2月に開催された。
・どういう事件なのか?
・その会議の意義は何か?

要点②ASEANと日本に関することを見てみよう。
例:日本貿易振興機構や日本商工会議所の設立。
・どういう機構なのか?
・それらの機構は日本とASEANの関係にどんな影響をもたらしたのか?

第十三回
要点①アジア太平洋経済協力について検討しよう。
例:APEC自体には協力も条約もなく、協調的で自主的な行動が期待され、国際貿易機関への参加を促しているように見える。
・APECはどんな国際機構なのか?
・APECの特徴は何か?

要点②重要な国際会議について検討する。
例:バンドン会議
・どういう会議なのか?
・国際社会にどんな影響をもたらしたのか?

成績評価方法 Evaluation Criteria

*成績は下記該当項目を基に決定されます。
*クラス貢献度合計はコールドコールと授業内での挙手発言の合算値です。
講師用内規準拠 Method of Assessment Weights
コールドコール Cold Call 0 %
授業内での挙手発言 Class Contribution 30 %
クラス貢献度合計 Class Contribution Total 30 %
予習レポート Preparation Report 0 %
小テスト Quizzes / Tests 0 %
シミュレーション成績 Simulation 0 %
ケース試験 Case Exam 30 %
最終レポート Final Report 40 %
期末試験 Final Exam 0 %
参加者による相互評価 Peer Assessment 0 %
合計 Total 100 %

評価の留意事項 Notes on Evaluation Criteria

使用ケース一覧 List of Cases

    ケースは使用しません。

教科書 Textbook

  • 池尾愛子「グローバリゼーションがわかる」創成社(2017)9784794431790

参考文献・資料 Additional Readings and Resource

清水聡「国際政治論 グローバリゼーションと日本政治外交」DTP出版(2020) ‎ 9784862117380
岩崎正洋 「ポスト・グローバル化と国家の変容」ナカニシヤ (2021)9784779516009

授業調査に対するコメント Comment on Course Evaluation

初年度担当科目

担当教員のプロフィール About the Instructor 

同済大学大学院にて法学修士(政治と国際関係専攻),早稲田大学大学院にて地域研究専攻博士(アジア太平洋研究科地域研究専攻)を取得。近年、日本の東アジア金融協力政策、また通貨の国際化についての決定要因などのテーマをめぐって、中国、日本および欧米の専門誌で、合計20本以上の査読論文を公刊し、そのうち5本がSocial Sciences Citation Index (SSCI)に収録されている。なお、責任者として、中国国家社会科学基金(科研費基盤研究C相当)などの国家レベルのプロジェクトを担当している。教育について、「国際機構論」、「国際安全保障」、「アジア太平洋の国際関係」、「日本政治・経済論」、「日中関係論」などの科目を担当していた。学際的アプローチの視座の下で、知識の伝授だけではなく、その背後にある考え方を重視し、クラス討議によって生徒たちに地域研究、政策研究などに関する問題意識を持たせるよう工夫をし、能動的な人材を育成することを目標とする。


Refereed Articles

  • (2023) The Effect of ESG performance on the stock market during the COVID-19 Pandemic — Evidence from Japan. Economic Analysis and Policy (79): 2204-2296(on line)
  • (2023) Rationality of Holding US Dollar Assets Based on Global US Dollar Liquidity Structural Transformation. Journal of International Finance and Economics 23(1): 1555-6336
  • (2022) Spillover effect of the RMB and Non-USD currencies after the COVID-19 pandemic: Evidence captured from 30-minute high frequency data. International Review of Economics and Finance 84(2023) 1059-0560
  • (2020) A Study on the Negative Externality of USD Liquidity--Based on the Asset Allocation Efficiency of US Treasury Securities. The Singapore Economic Review (SSCI) 66(3):
  • (2020) The Domestic Politics of the Yen’s Re-internationalisation: Dynamic Interaction and the Core Executive. Asian Studies Review (SSCI, Q1) 45(3):






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