シラバス Syllabus

授業名 国際法
Course Title International Law
担当教員 Instructor Name 陸 長栄(Choei Riku)
コード Couse Code NUC215_N24B
授業形態 Class Type 講義 Regular course
授業形式 Class Format On Campus
単位 Credits 2
言語 Language JP
科目区分 Course Category 共通専門教育科目300系 / Specialized Subject 300
学位 Degree BSc
開講情報 Terms / Location 2024 UG Nisshin Term3

授業の概要 Course Overview

Misson Statementとの関係性 / Connection to our Mission Statement

国際法の規律内容などの急激な変化や、国際法概念そのものの歴史的制約性を踏まえつつ、現段階における国際法についての基礎的・体系的な知識を教えることを目的として講義を展開していく。
現在私たちが考える国際法の成立過程は、15世紀末のヨーロッパから始まったのである。その後、約400年の間に、さまざまな理論や国家実行の積み重ねを経て、19世紀後半には、近代的な国際法として完成した。完成してからほぼ150年が経った現在の時点でも、主権国家間の関係を規律する法という国際法の基本的な性格は変化していない。
しかし、国際経済や国際環境の分野では実に多くの新しいルールが生まれている。さらには、国際法と個人の関わりのあり方や、国家の国際責任なども大きく変化している分野がある。
With the dynamic changes regarding the international laws along with the related historical constraints, this course focuses on the basic and systematic knowledge of international law in the modern age and lay out the lectures and teaching path.
The formation process of international law began in Europe at the end of the 15th century. After 400 years of development, it was completed as modern international law in the latter half of the 19th century through the accumulation of various theories and national practices. In the modern age, almost 150 years after the completion, the basic characteristics of international law, which govern the relationship between sovereign states, has not changed.
However, there are so many new rules in the field of international economy and global environment. In addition, there is a field where the relationship between international law and citizenship and the international responsibility of the nation changes greatly.

授業の目的(意義) / Importance of this course

国際法の各分野における重要な基本概念については、その歴史的な背景の叙述を加え、その根源的なあり方を理解できるように努めた。現行制度・プラクティスはどのような歴史的経緯で現行のような形となったのか、なぜ今のような形で存続しているのか、さらには、今後もなお存在し続けることができるのかという問題を念頭において講義を展開する。
本講義を通じて、国際法上の諸制度の根源的なあり方について関心を促し、現行国際法の基礎的・体系的な知識を習得することができるようにする。国際社会を動かす基本規則があることを意識してもらう。
In essence, we have endeavored to understand the fundamental nature of the key basic concepts in various fields of international law by adding a narrative of their historical background. The lecture unfolds with a focus on the questions of how the current systems and practices came to be through historical processes, why they continue to exist in their current form, and whether they can continue to exist in the future.

Through this lecture, we aim to stimulate interest in the fundamental nature of various systems under international law and enable the acquisition of foundational and systematic knowledge of current international law. We intend to raise awareness that there are basic rules that govern the international community.

到達目標 / Achievement Goal

本講義を通じて、国際法上の諸制度の根源的なあり方について関心を促し、現行国際法の基礎的・体系的な知識を習得することができるようにする。国際社会を動かす基本規則があることを意識してもらう。

Through this course, we will examine the foundations of the international legal system and acquire basic and systematic knowledge of the present international law, with a clear awareness that there are basic rules following which the international community develops.

本授業の該当ラーニングゴール Learning Goals

*本学の教育ミッションを具現化する形で設定されています。

LG1 Critical Thinking
LG2 Diversity Awareness
LG3 Ethical Decision Making
LG4 Effective Communication
LG5 Business Perspectives (BSc)
LG6 Managerial Perspectives (BBA)
LG7 International Perspectives (BA)

受講後得られる具体的スキルや知識 Learning Outcomes

国際法に関する基本原理・概念を身に着け、国際政治に関わる様々な論点について理解を深めることができるようになる。また、国際法上の諸問題について分析的に思考することができるようにする。

Based on the understanding of principles and concepts of international law, we aim to analyze various issues and arguments related to international politics. Moreover, students are encouraged to critically think about the limitations of modern international law.

SDGsとの関連性 Relevance to Sustainable Development Goals

Goal 4 質の高い教育をみんなに(Quality Education)

教育手法 Teaching Method

教育手法 Teaching Method % of Course Time
インプット型 Traditional 60 %
参加者中心型 Participant-Centered Learning ケースメソッド Case Method 40 %
フィールドメソッド Field Method 0 %
合計 Total 100 %

事前学修と事後学修の内容、レポート、課題に対するフィードバック方法 Pre- and Post-Course Learning, Report, Feedback methods

● 予習・復習等
予習では、配布プリント、教科書の関連部分や参考文献などを読み、講義のポイントを把握しておく。
復習では、講義資料の「配布プリント」等を読み、要点をまとめて復習する。毎回にケーススタディを導入し、クラス討議でディスカッションを行う予定である。

● 課題(レポート・提出物など)に対するフィードバック方法
レポート課題については第一回に説明を行い、提出期限を第七週の講義時と設定する予定。
フィードバックについては、課題の返却時に講義中に全体的なコメントを提供する形で実施する。

授業スケジュール Course Schedule

第1日(Day1)

授業導入:年間計画、講義の進め方、勉強方法などを説明する。

総論:国際社会と法
今日の国際社会には、主権国家だけでなく、国連などの国際機関、国境を越えて活動する人権や環境の問題で活躍する多くの非国家アクターが存在する。ただし、注意しなければならないのは、現代においてもなお、国際法の中心的な主体は国家であるという点である。本講義では、国際法を中心に扱い、代表的な事例から国際社会における諸課題を考えていく。その中で取り上げる主な課題は、国際法と国内法の関係、国際法の主体、国家管轄権、海洋利用に関する国際法、人権の国際的な保障、国際経済法、国際環境法、国際紛争処理、武力行使の規制とPKOなどが挙げられる。

●使用するケース
●使用するケース
ケース資料:ロシアの戦争犯罪捜査における国際刑事裁判所(ICC)の役割
1.主要国家がICCの捜査を支持しているのか。この捜査につて、主要国家の役割は何か。
2.国連をはじめとする国際機関は法人格があるか。どこから反映されるのか。
3.ICCは、ロシアやウクライナに対して訴訟を起こすことができるか、なぜなのか。

第2日(Day2)

第二回 国際法の主体:人権の国際的保障

20世紀半ば、第二次世界大戦の経験を大きな転機として、国連を中心とした人権の国際的保障の取り組みが始まった。それは具体的にどのような手法をとり、どのように発展してきたのだろうか。国際法の枠組みによって、国家の管轄下にある個人の人権保障は図るための、何らかの仕組みや工夫はあるだろうかということについて紹介する。

●使用するケース
●使用するケース
ケース資料:「ロー対ウェイド事件」に関する人権の議論
1.今回の判決が話題になっている理由は何か
2.なぜアメリカ連邦最高裁は女性から中絶の権利を奪ったのか
3.女性人権問題に対して各国の行動

第3日(Day3)

第三回 国家管轄権

国家は国内統治のために管轄権を行使するが、それが従来は原則として国境でとどまった。ボーダレスな今日の世界では、国家管轄権が国境を越えて伸びていき、国際紛争の要因になる。今回は、管轄権を行使する最も重要な基盤である領域の中であっても、外国の行為や外国の国有財産に対しては、なぜ国家は管轄権を行使できない場合があるのだろうかということについて説明する。

●使用するケース
●使用するケース
ケース資料:ローチュス号事件による「域外管轄」の論争
1.公海上での船舶衝突事故について、「被害者」の国籍国(トルコ)は、外国人たる事故責任者に対する刑事裁判管轄権を有するか?
2.ローチュス号がトルコのコンスタンティノープル港に着いていなかったなら、トルコは公海に航行するローチュス号にいる船長に対する執行管轄権を有するか?
3.「法の禁止がなければ自由」と「法の権限がなければできない」の二つの法律論理は矛盾するか?

第4日(Day4)

第四回 貿易紛争処理

国際貿易紛争処理の法的課題と展望を焦点を当て検討し、また、昨今の米国の対応などが示すように、問題を抱えるWTO 紛争処理の制度的課題を分析。WTO やFTA による国際貿易紛争処理の現代的課題に、解決のための今後の課題を検討する。

●使用するケース
●使用するケース
ケース資料:中国の産業補助金制度について
1.中国の補助金政策は、世界貿易をより問題にしやすいものにするのか、それとも解決しやすいものにするのか。
2.WTO補助金協定は、ハイテク産業とサービス系補助金をどのように改善すべきか?
3.中国のハイテク封鎖を続ける米国の取り締まりは、その後のハイテク産業への補助金協定にどう反映されるのだろうか。

第5日(Day5)

第五回 国際環境法

本講義は地球温暖化、PM2.5などの越境大気汚染、海洋汚染、化学汚染、野生動植物の絶滅など、現代の環境問題に、国際法がいかに対処してきたの、その課題は何か、などについて探究する。

●使用するケース
●使用するケース
ケース資料:日本捕鯨と国際捕鯨取締条約
1.日本捕鯨は国際法(国際捕鯨取締条約)にどう影響されたか。日本はどのような姿勢を示してきたか。
2.ICRWとIWCの限界は?
3.日本の調査捕鯨はこれからどう発展していくべきか。海洋国家としての日本はどのような責任を果たすべきか。

第6日(Day6)

第六回 武力行使の規制

伝統的な国際法で国家に認められていた「戦争の自由」は、国際連盟規約、不戦条約を経て、国際連合憲章に至る過程で徐々に制限されるようになってきた。現代国際法の下で、国家による武力の行使はどのような場合に禁止され、どのような場合に認められるのだろうかということについて説明する。

●使用するケース
●使用するケース
ケース資料:ホルムズ海峡のタンカー事件
1.ホルムズ海峡のタンカー事件は、自衛権行使の要件を満たすか?
2.日本は自衛隊を派遣すべきか?なぜ日本は武力行使の新三要件に依拠しなかったのか?
3.もし武力の行使に訴えなかったら、この事件は、他に何か解決策が考えられるか?

第7日(Day7)

第七回 武力紛争法による兵器規制

本講義では、兵器規制について俯瞰し、それぞれの要素が、それぞれ紛争のいかなる意味での解決に向けて、どのような考え方を背景にして、どのような機能を果たそうとするのかについて考える。
伝統的な国際法で国家に認められていた「戦争の自由」は、国際連盟規約、不戦条約を経て、国際連合憲章に至る過程で徐々に制限されるようになってきた。現代国際法の下で、国家による武力の行使はどのような場合に禁止され、どのような場合に認められるのだろうかということについて説明する。

●使用するケース
●使用するケース
ケース資料:核兵器拡散の脅威とNPT条約の限界
1.北朝鮮が核兵器を開発した理由。
2.北朝鮮はどうしてNPT脱退し、核実験を行うのか?
3.北朝鮮の核開発は国際社会にどんな影響を及ぼすのか?

成績評価方法 Evaluation Criteria

*成績は下記該当項目を基に決定されます。
*クラス貢献度合計はコールドコールと授業内での挙手発言の合算値です。
講師用内規準拠 Method of Assessment Weights
コールドコール Cold Call 0 %
授業内での挙手発言 Class Contribution 60 %
クラス貢献度合計 Class Contribution Total 60 %
予習レポート Preparation Report 40 %
小テスト Quizzes / Tests 0 %
シミュレーション成績 Simulation 0 %
ケース試験 Case Exam 0 %
最終レポート Final Report 0 %
期末試験 Final Exam 0 %
参加者による相互評価 Peer Assessment 0 %
合計 Total 100 %

評価の留意事項 Notes on Evaluation Criteria

成績評価の構成に関しては、詳しくは次のようになります。
①最終レポート40点;
②グループ・ディスカッション(ケース資料を基に):予習課題(20点);グループ発表とまとめ資料作成(20点);
③挙手発言:20点

使用ケース一覧 List of Cases

    ケースは使用しません。

教科書 Textbook

  • 柳原正治、森川幸一、兼原敦子「プラクティス国際法講義〈第3版〉」信山社(2017)9784797224528

参考文献・資料 Additional Readings and Resource

森川幸一、森肇志、岩月直樹、藤澤巌、北村朋史「国際法で世界がわかる―ニュースを読み解く32講」岩波書店(2016)9784000229555

授業調査に対するコメント Comment on Course Evaluation

授業難易度と授業構成のより一層の適正化に頑張ります。

担当教員のプロフィール About the Instructor 

同済大学大学院にて法学修士(政治と国際関係専攻)、早稲田大学大学院にて地域研究専攻博士(アジア太平洋研究科地域研究専攻)を取得。近年、日本の東アジア金融協力政策、通貨の国際化の決定要因、グローバル・ガバナンスの問題点などに関する研究を精力的に進めており、中国、日本、欧米の専門誌において合計20本以上の査読論文を発表。そのうち7本がSocial Sciences Citation Index (SSCI)に収録されている。また、責任者として中国国家社会科学基金、日本学術振興会科学研究費助成事業などの国家レベルプロジェクトを担当。教育面では「国際機構論」、「国際安全保障」、「アジア太平洋の国際関係」、「日本政治・経済論」、「日中関係論」など幅広い科目を担当。学際的なアプローチにより、単なる知識の伝授にとどまらず、その背後にある理論的枠組みや考え方に焦点を当て、ディスカッションを通じて学生の問題意識を高めることを重視。これにより、地域研究や政策研究への理解を深め、グローバルな視野と能動的な学習能力を持つ次世代の人材育成を目指している。セミナーでは、こうした理念を基に、実際の事例や最新の研究成果を交えながら、学生が自らの視点を広げ、未来のリーダーとして必要なスキルを養う場となることを目指している。


Refereed Articles

  • (2024) Research on safe haven currencies under global uncertainty —A new perception based on the East Asian market. Global Finance Journal Online ISSN: 1873-5665Print ISSN: 1044-0283
  • (2023) The Effect of ESG performance on the stock market during the COVID-19 Pandemic — Evidence from Japan. Economic Analysis and Policy (79): 2204-2296(on line)
  • (2023) Rationality of Holding US Dollar Assets Based on Global US Dollar Liquidity Structural Transformation. Journal of International Finance and Economics 23(1): 1555-6336
  • (2022) Spillover effect of the RMB and Non-USD currencies after the COVID-19 pandemic: Evidence captured from 30-minute high frequency data. International Review of Economics and Finance 84(2023) 1059-0560
  • (2020) A Study on the Negative Externality of USD Liquidity--Based on the Asset Allocation Efficiency of US Treasury Securities. The Singapore Economic Review (SSCI) 66(3):






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