シラバス Syllabus

授業名 国際関係論
Course Title International Relations
担当教員 Instructor Name 柳 蕙琳(You Hyelim)
コード Couse Code NUC210_N24B
授業形態 Class Type 講義 Regular course
授業形式 Class Format On Campus
単位 Credits 2
言語 Language JP
科目区分 Course Category 共通専門教育科目300系 / Specialized Subject 300
学位 Degree BSc
開講情報 Terms / Location 2024 UG Nisshin Term3

授業の概要 Course Overview

Misson Statementとの関係性 / Connection to our Mission Statement

本講義は、教養教育科目(社会科学)であり、本学のMission Statementで述べられている「世界的な視野」に繋がる能力を提供するものである。
This course will provide the ability to understand the "global perspective" described in our Mission Statement.

授業の目的(意義) / Importance of this course

グローバル化が叫ばれる時代の中、私たちは日常的に「世界」と接触しながら暮らしている。本講義では、私たちを取り巻く世界で発生している諸現象を、その背景も含めて理解し、体系的・客観的に分析することを目的とする。特に、受講生が興味のある国際的事件・事象について議論できるような能力を身につけることも本講義の狙いである。

具体的には、今日の国際政治がいかにして構築されたのかを理解するために、国際政治の重要概念(アクター、グローバル・ガバナンスなど)を概括するとともに、歴史的に振り返って説明する。また、これらの重要概念や歴史的な背景に基づいて、21世紀の国際政治をめぐる重要なトピック(テロリズム、貿易の自由化など)について検討する。特に、講義中には様々なケースを取り上げ、講義中に取り扱った概念に基づいて議論し合う。
In the era of globalization, we live in contact with the "world" on a daily basis. The aim of this course is to understand various phenomena occurring in the world surrounding us and to analyze the phenomenon of the international community systematically and objectively. In particular, it is expected to acquire the ability to understand and discuss about international politics after finishing this course.

In detail, in order to understand how today's international relations were constructed, important concepts of international relations (actor, global governance, etc.) are explained, and important historical cases are dealt as well. Based on these important concepts, theories and historical backgrounds, important topics (security, liberalization of trade, East Asian political economy, environment, human rights, etc.) over the international relations of the 21st century are examined. Particularly, during the course, various cases will be used and discussed based on the concepts and theories that are handled during the lecture.

到達目標 / Achievement Goal

本科目では、下記のラーニングゴールの確かな実現に向けて、ケース教材を用いた討論授業を行う。本科目の履修者には、討論授業に参加するための予習レポートの作成と、クラスでの積極的な発言が求められる。

In this course, we will conduct class discussions using case studies in order to achieve the learning goals. The students attending this course may be required to write a preparatory report and must participate in the class discussions.

本授業の該当ラーニングゴール Learning Goals

*本学の教育ミッションを具現化する形で設定されています。

LG1 Critical Thinking
LG2 Diversity Awareness
LG3 Ethical Decision Making
LG4 Effective Communication
LG5 Business Perspectives (BSc)
LG7 International Perspectives (BA)

受講後得られる具体的スキルや知識 Learning Outcomes

本講義は、教養教育科目(社会科学)であり、本学のMission Statementで述べられている「世界的な視野」に繋がる能力を提供するものである。本講義に対応する学修目標は、LG-1(論理的思考)、LG-2(多様性の意識)、LG‐4(効果的なコミュニケーション)、LG-7(国際的な視野)である。

This course will provide the ability to understand the "global perspective" described in our Mission Statement. The academic goals corresponding to this course are LG - 1 (critical thinking), LG - 2 (diversity awareness), LG - 4 (analytical decision making), LG-7 (International Perspectives).

SDGsとの関連性 Relevance to Sustainable Development Goals

Goal 4 質の高い教育をみんなに(Quality Education)

教育手法 Teaching Method

教育手法 Teaching Method % of Course Time
インプット型 Traditional 30 %
参加者中心型 Participant-Centered Learning ケースメソッド Case Method 70 %
フィールドメソッド Field Method 0 %
合計 Total 100 %

事前学修と事後学修の内容、レポート、課題に対するフィードバック方法 Pre- and Post-Course Learning, Report, Feedback methods

【学習方法】

基本的に毎回レジュメを授業後にグーグル・クラスルームにアップロードする予定である。受講生は、授業後にレジュメをダウンロードし、復習することが求められる。また、講義はケース、動画、新聞記事など様々な資料を利用し、アクティブラーニング方式で進める予定であるが、これらの資料もグーグル・クラスルームにアップロードする予定である。なお、すべての講義内容に関して、グループに分かれて議論する形をとる。

【レポート】:すべてのレポートは必ずGoogle Classroomにアップロードしてもらう。

1)分析レポート:ドキュメンタリーなどの動画を見てもらう予定であるが、それらの動画に関して授業中に学習した内容を踏まえて分析し、レポートを出してもらう。
2)期末レポート:特定の国際政治の出来事に関して 2000 字以上のレポートを作成してもらう予定である。レポートの内容、提出期限などについては、追って授業中に説明する。また、レポートについては、学生の取り組み状況を分析し、講義における補助資料として用いる形でフィードバックする予定である。

【中央情報センタ―(図書館)の活用】
受講生には、情報センターで国際的事件・事象に関連する新聞記事などを確認するようにしてほしい。また、中間レポートの作成の際に、情報センターを積極的に利用してもらいたい。

授業スケジュール Course Schedule

第1日(Day1)

1)イントロダクション:国際政治とは何か
講義の目的や概要、授業評価方法、受講する上での注意点などのガイダンスを行う。また、国際政治を現在のグローバル化と関連付けて解説する。

2)国際政治における主体:主権国家(nation-state)と非国家主体
国際政治での主な行為者(=アクター)は主権国家であると言われているが、人権や環境分野を中心に国家以外の主体も重要になりつつある。分析単位として国際政治学における主体を解説する。

●使用するケース
マイケルさんはアメリカ人なのか?

第2日(Day2)

1)グローバル化と反グローバル化
現代の国際政治を理解するにあたって一番重要な概念であるグローバル化と、その反作用である反グローバル化について解説する。特に、グローバル化が国民国家や非国家主体に与えた影響について解説する。

2)グローバル・ガバナンス
「グローバル・ガバナンス」とは何か。世界政府の存在しない国際社会において、国境を越える諸問題はいかにして解決されるのかについて考察する。

●使用するケース
コロナウイルスの拡大とグローバル化

第3日(Day3)

1)貿易とグローバル化Ⅰ:WTOと貿易の自由化
現在のグローバル化は、主に貿易の自由化が中心となって行われている。その中心にはWTO(世界貿易機関)という国際機関の存在がある。WTOを中心に貿易ガバナンスについて解説する。

2)貿易とグローバル化Ⅱ:FTAと貿易の自由化
最近になっては、WTOによる貿易の自由化が停滞し、その代わりにFTA(自由貿易協定)が進められている。FTAの拡散という新しい流れがWTOによる貿易の自由化とどのような関連があるのかなどについて解説する。特に、TPPをその例として取り上げる。

●使用するケース
貿易の自由化とWTOの役割

第4日(Day4)

1)安全保障とグローバル化Ⅰ:戦争と平和
無政府状態(アナーキー)の状況の下で国家は自助努力を行う必要性に迫られ、国際紛争の解決方法として戦争をしばしば起こしてきた。第二次世界大戦、キューバミサイル危機などを中心に安全保障に対する既存の理解を解説する。                   

2)安全保障とグローバル化Ⅱ:新しい戦争としてのテロ
アメリカの同時多発テロ事件(9.11事件)後のテロリズムが国家の安全保障に与えた影響について、グローバル化と関連付けて解説する。

●使用するケース
イスラム国をどう理解するか?

第5日(Day5)

1)環境問題とグローバル化Ⅰ:天然資源と水不足問題
天然資源を再生可能資源と再生不可能資源に分けて説明した上で、現在全世界に起こっている資源不足問題を説明する。特に、南アフリカ共和国で起きた「DAY ZERO」を主なケースとして取り上げる。

2)環境問題とグローバル化Ⅱ:地球温暖化と国際的取り組み、それらの限界
地球温暖化問題は、現在人類が直面している環境問題の中で一番重要な問題であるが、その問題が起こるプロセスを段階的に説明する。特に、地球温暖化問題を「共有地の悲劇」とういう概念を用いて説明し、地球温暖化問題の解決策を模索する。

●使用するケース
グローバル問題としての地球温暖化

第6日(Day6)

1)反グローバル化への動きⅠ:アメリカの自国優先主義政策
トランプ政権の誕生と、それ以降現在のバイデン政権においても行われているアメリカの自国ファースト政策について取り上げる。既存のアメリカは世界のグローバル化を主導的に進めてきた国である。そういうアメリカで、なぜグローバル化と反対の動きである自国ファースト政策への転換が起こったか。それについて話し合う。

2)反グローバル化への動きⅡ:イギリスのEU離脱
イギリスでは「EU離脱協定案」が2018年11月26日に正式に合意され、イギリスのEU(:欧州連合)離脱が決まった。グローバル化と共に統合を進めていたヨーロッパで、なぜこういう事が起こったか。それについて議論し合う。
た。グローバル化と共に統合を進めていたヨーロッパで、なぜこういう事が起こったか。それについて議論し合う。

●使用するケース
EU 残留か?離脱か?―イタリアにおける EU 離脱(Italexit)の動き

第7日(Day7)

1)グローバル化への新しい脅威:コロナウイルスの拡大によって変わっていく世界
コロナウイルスの拡大が、これからの世界に及ぼす影響について考える。特に、グローバル化、覇権国の変化、環境、人権(国内・国際の不平等問題)など幅広い分野での変化について取り上げる。

2)まとめ

●使用するケース
コロナ後の世界

成績評価方法 Evaluation Criteria

*成績は下記該当項目を基に決定されます。
*クラス貢献度合計はコールドコールと授業内での挙手発言の合算値です。
講師用内規準拠 Method of Assessment Weights
コールドコール Cold Call 20 %
授業内での挙手発言 Class Contribution 40 %
クラス貢献度合計 Class Contribution Total 60 %
予習レポート Preparation Report 20 %
小テスト Quizzes / Tests 0 %
シミュレーション成績 Simulation 0 %
ケース試験 Case Exam 0 %
最終レポート Final Report 20 %
期末試験 Final Exam 0 %
参加者による相互評価 Peer Assessment 0 %
合計 Total 100 %

評価の留意事項 Notes on Evaluation Criteria

成績評価は、予習レポート(4回実施:20%)、授業への積極的参加などの平常点(グループ討論のまとめ(10 点)+個人発言(40 点)+グループ討論の態度など(10 点)など:60%)、期末レポート(20%)で総合評価する。グループディスカッションなど、授業への積極的参加を高く評価し、平常点の枠を超えると更なる加点対象とする。また、講義中の私語、携帯・スマホの操作、居眠りなどアクティブラーニングの趣旨に反する行為は平常点の減点対象となる。

使用ケース一覧 List of Cases

    ケースは使用しません。

教科書 Textbook

  • 鈴木基史「グローバルガバナンス論講義」東京大学出版会(2017)

参考文献・資料 Additional Readings and Resource

初瀬龍平(編)「国際関係論入門―思考の作法」法律文化社、2012、ISBN 4589034255
三船恵美『基礎から学ぶ国際関係論(改訂版)』泉文堂、2015、ISBN 4793004563
佐渡友哲・信夫陸司(編)『国際関係論(第 3 版)』弘文堂、2018、ISBN 4335002335
池上彰「知らないと恥をかく世界の大問題13 現代史の大転換点」角川新書(2022)、ISBN 404082427X

授業調査に対するコメント Comment on Course Evaluation

本講義はアクティブラーニング方式を、様々なケース(動画、配布資料なども含む)を用いて実施する。したがって、本講義は平常点の比率が高く設定されている。

担当教員のプロフィール About the Instructor 

【学位と取得大学】
修士(法学)、京都大学
博士(法学)、京都大学

【研究分野」
国際政治経済、貿易政策、WTO・FTAの制度分析


Refereed Articles

  • (2023) Analysis of Radioactive Material Damage in the Event of a Major Accident at Nuclear Power Plants in Japan, China, and South Korea - Estimated by the HYSPLIT Model. The Meijo review 24(1・2):
  • (2020) Third Country Market Cooperation Analysis for Building an Asian Low-Carbon Community - A Case Study of India's High-Efficiency Coal-Fired Power Generation Project. Environmental Economics and Policy Studies 13(2): 1882-3742
  • (2020) Nuclear Risk in East Asia and Nuclear Safety System - in the Comparison with Europe. Environmental Economics and Policy Studies 13(2): 1882-3742
  • (2016) Comparative Research on Japanese and Korean FTA(3)Institutional Analysis of the Leadership Structure in FTA Policies. Kyoto Law Review 179(1): 0387-2866
  • (2016) Comparative Research on Japanese and Korean FTA(2)Institutional Analysis of the Leadership Structure in FTA Policies (2000-2012) . Kyoto Law Review 178(4): 0387-2866






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