シラバス Syllabus

授業名 国際安全保障論
Course Title International Security
担当教員 Instructor Name 陸 長栄(Choei Riku)
コード Couse Code NUC209_N24B
授業形態 Class Type 講義 Regular course
授業形式 Class Format On Campus
単位 Credits 2
言語 Language JP
科目区分 Course Category 共通専門教育科目400系 / Specialized Subject 400
学位 Degree BSc
開講情報 Terms / Location 2024 UG Nisshin Term4

授業の概要 Course Overview

Misson Statementとの関係性 / Connection to our Mission Statement

安全保障は古来より国家の最も重要な課題の1つである。これは、ある集団の生存や独立に関わる理念と価値あるものを、何らかの脅威が及ばぬよう何かの手段を講じることで安全な状態を保障することであり、また国際関係における安全保障は主として他国からの防衛をその主眼とする科目である。
National security is one of the most important issues for all countries since ancient times. This course aims to discover the guaranteeing factors to keep states safe by taking certain means to prevent the threats and the value of the interesting groups. In addition, the security measures related to international relations and defense against other countries are also discussed.

授業の目的(意義) / Importance of this course

国際政治学は、国際安全保障に多大な関心を寄せてきたのである。特に新型コロナウイルスが世界中に感染拡大している中で、国際安全保障は極めて重要視されている。本講義では、安全保障の基本的な理論と政策を学び、具体的には、無政府状態と国家存立、勢力均衡、覇権の盛衰、同盟の形成と管理、安全保障協力、危機管理、戦争に関する理論などを本講義の軸とし、関連する歴史と原理を解析する。
International politics has made great interest in international security and insurance. With COVID spreading across the world, international security made to an even more important topic. In this course, the basic theory and policy of security will be studied, namely anarchy and state existence, balance of power, rise and fall of hegemony, formation and management of alliance, security cooperation, crisis management and war. Based on those topics, the course aims to stimulate the learning and analysis regarding the history, issues and solutions of international security.

到達目標 / Achievement Goal

本講義を通じて、安全保障への関心を高め、国際、特に日本の安全保障への入門的な理解の促進に資するのが本講義の主な目標である。本授業の受講によって、安全保障における諸課題を解決できる論理的な思考能力を向上させ、身近な場面でも応用できるようにしてほしい。

The main goal of this course is to stimulate the interest in security topics and, especially, to promote an introductory understanding of national security across the global, especially for Japan. Students are expected to improve logical thinking ability and problem solving skills through the course and apply it to familiar situations.

本授業の該当ラーニングゴール Learning Goals

*本学の教育ミッションを具現化する形で設定されています。

LG1 Critical Thinking
LG2 Diversity Awareness
LG3 Ethical Decision Making
LG4 Effective Communication
LG5 Business Perspectives (BSc)
LG6 Managerial Perspectives (BBA)
LG7 International Perspectives (BA)

受講後得られる具体的スキルや知識 Learning Outcomes

安全保障に関する基本原理・概念を知り、国際政治に関わる様々な論点について理解を深めることができる。また、安全保障上の新たな脅威と課題について深く理解し、問題解決・政策策定を提言できるようにする。

Built on the basic principles and concepts of security, students are expected to deepen the understanding of various issues related to international politics. Moreover, students are encouraged to develop solutions and policy suggestions for new threats and challenges on security based on in-depth analysis and critical thinking.

SDGsとの関連性 Relevance to Sustainable Development Goals

Goal 4 質の高い教育をみんなに(Quality Education)

教育手法 Teaching Method

教育手法 Teaching Method % of Course Time
インプット型 Traditional 60 %
参加者中心型 Participant-Centered Learning ケースメソッド Case Method 40 %
フィールドメソッド Field Method 0 %
合計 Total 100 %

事前学修と事後学修の内容、レポート、課題に対するフィードバック方法 Pre- and Post-Course Learning, Report, Feedback methods

● 予習・復習等
予習では、配布プリント、教科書の関連部分や参考文献などを読み、講義のポイントを把握しておく。
復習では、講義資料の「配布プリント」等を読み、要点をまとめて復習する。毎回にケーススタディを導入し、クラス討議でディスカッションを行う予定である。

● 課題(レポート・提出物など)に対するフィードバック方法
レポート課題については第一回に説明を行い、提出期限を第七週の講義時と設定する予定。
フィードバックについては、課題の返却時に講義中に全体的なコメントを提供する形で実施する。

授業スケジュール Course Schedule

第1日(Day1)

●第一回 授業導入・総論
⑴年間計画、講義の進め方、勉強方法などを紹介する。

⑵国際安全保障とは?
なぜ国際安全保障を学問として学ぶのか?
国際政治を取り巻く環境が激変している中、現代の国際社会は不確実な課題が頻発している。そのゆえ、安全保障問題は世界各国で極めて重要視とされている。本講義は、(1)リアリズム、また(2)リベアリズムから見た安全保障の環境、(3)戦略的アプローチ、および(4)現代の安全保障課題という四つの部分の構成で、全7回行う。なお、安全保障を学んだ上で欠かせない論理的な思考方法を順序立ててわかりやすく説明した上で、それらが現代の国際社会とどのようにかかわっているのかを総括的に概説する。

●使用するケース
●使用するケース
ケース資料:コロナ時代における安全保障の再考

1.コロナウイルスの感染拡大への各国政府の対応にどう考えているのか。
2.なぜ日本はコロナウイルスの感染に厳しい対策を取っていたのか。
3.「人間の安全保障」が重要視された要因はなんだろうか。

第2日(Day2)

第二回 アナーキーと「国」の安全保障

国家の存立という国益に注目しつつ、リアリズムの世界観の一つとして国家間の無政府状態を取り上げる。具体的には、無政府状態と関連のある戦争状態、また国家主権という概念、国家の存立と自衛権などの概念を解説する。

●使用するケース
●使用するケース
ケース資料:世界政府と国連のすれ違い

1.現存の国際連合と世界政府の類似点と相違点は他に何かあるか
2.アナーキー状態=無秩序の状態なのか?世界政府は必ず必要なのか
3.アナーキー状態が根本的な特徴である国際社会では、国の安全保障はいかに確保されるか。

第3日(Day3)

第三回 核兵器と核の安全保障

核兵器(英: nuclear weapon)とは、核分裂の連鎖反応、または核融合反応で出される膨大なエネルギーを利用して、爆風、熱放射や放射線効果の作用を破壊に用いる兵器。第二次世界大戦直後、核兵器の出現は、戦争の本質というものを変えてしまった。今回は、アメリカの核戦略についてその土台が固まった冷戦前半を中心に説明する。また、核兵器の軍備管理の制度について述べていく。

●使用するケース
●使用するケース
ケース資料:核兵器の脅威と核タブー

1. プーチン大統領が核兵器を使うと脅したと聞いたとき、なぜ世界中の人々が非常に緊張したのか?
2. 核兵器は完全に禁止されるべきか?
3. 核兵器が国際安全保障にどのような影響を及ぼすか?

第4日(Day4)

第四回 経済安全保障と金融危機

経済安全保障は、金融危機を防止することだけでなく、国々の社会と政治の安定を確保することもできる。その種類は主に四つあって、その中、金融危機は最も重要で、金融危機とは、金融に端を発する経済危機のことである。金融危機が発生した後、株価の大幅な下落、通貨の急落によって、国内社会の労働市場、企業運営、社会心理などが悪化して、さらに国家安全が影響を被る。本講義では、ケース資料を活用しながら以上の現象と新たな動きを詳しく分析する。

●使用するケース
●使用するケース
ケース資料:アジア通貨危機と韓国社会への伝達

1.なぜタイ発の危機が韓国まで影響を及ぼしたのか。
2.韓国はどのような衝撃を受けたか?その後、どのように対応したのか。
3.金融危機を未然に防ぐために、経済的安定を確保するための効果的なシステムをどのように構築するか。

第5日(Day5)

第5日(Day5)
第五回 公衆衛生の安全と国際協力

2020年の年明け前後、新型コロナウィルスが中国の武漢市にひっそり現れた(発祥の地)。わずか一か月で、このウィルスの感染者は中国全土で数万人に広がり、さらに世界中に波及した。COVID-19のパンデミックが人命を奪い、生活を破壊し、経済の回復を妨げ続けている中、私たちは「すべての人が守られてはじめて、私たち一人ひとりの安全が確保される」ということを強調し続けている。コロナのような公衆上の脅威が国際安全保障にいかに影響を与えてきたか?今回は、詳細な資料やケースをもとにして議論していく。

●使用するケース
●使用するケース
ケース資料:新型コロナ感染症と公衆衛生における安全課題

1.「人間の安全保障」という観点から見るとWHOの措置と政策は妥当なのか。
2.重大な公衆衛生事件への対応について、コロナ感染症は我々に何を示唆しているのか。
3.公衆衛生事業は今後、どんな発展方向へ向かっているか。

第6日(Day6)

第六回 世界環境危機と安全保障

地球規模の環境問題は、一国のみでは解決が困難であり、その一連の難問が、非伝統的な安全保障の問題としてのみならず、伝統的な安全保障の問題との関連でも関心を呼ぶようになってきていると考えられる。今回の授業では、特に環境危機がどのように政治問題、国家間紛争を引きこせるのかを検討する。また、その課題を解決するために今できることを考案してみる。

●使用するケース
●使用するケース
ケース資料:サンゴの白化現象による安全保障の課題

1. 世界的サンゴ礁の激減は国際環境、環境安全にどんな悪影響をもたらしているか。
2. なぜ国際社会における環境関連の協力が増えているものの、各国は依然として安全ではないと感じているだろうか。
3. 環境の破壊は皆さんに不安をもたらすだろうか?原因は?

第7日(Day7)

第七回 サイバーセキュリティと国際社会

サイバー攻撃の国際社会への影響は年々に増えている。その対象は企業や会社だけでなく、国家もターゲットとなり被害を受ける可能性がある。インターネットの発展は国家の政治安全の各方面に新たな脅威と挑戦をもたらした。今回は、一連の新しい現象を紹介しながら、ネットに潜んでいる様々な脅威(サイバー攻撃など)を議論することによって、サイバーセキュリティへの関心を一層向上させることを期待する。

●使用するケース
●使用するケース
ケース資料:ロシア・ウクライナにおけるサイバー戦の激化

1.ロシアが多くの労力を費やしてサイバー戦に参加しても勝利できなかったら、どうなっていただろうか?
2.ロシア・ウクライナ紛争におけるサイバー攻撃行為が戦争行為に当たるかどうかを検討してみよう。
3.各国は自国の領土をよりよく守るために、どうすべきか?今回のロシア・ウクライナのサイバー戦から何を学べるだろうか?

成績評価方法 Evaluation Criteria

*成績は下記該当項目を基に決定されます。
*クラス貢献度合計はコールドコールと授業内での挙手発言の合算値です。
講師用内規準拠 Method of Assessment Weights
コールドコール Cold Call 60 %
授業内での挙手発言 Class Contribution 0 %
クラス貢献度合計 Class Contribution Total 60 %
予習レポート Preparation Report 0 %
小テスト Quizzes / Tests 0 %
シミュレーション成績 Simulation 0 %
ケース試験 Case Exam 0 %
最終レポート Final Report 40 %
期末試験 Final Exam 0 %
参加者による相互評価 Peer Assessment 0 %
合計 Total 100 %

評価の留意事項 Notes on Evaluation Criteria

成績評価の構成に関しては、詳しくは次のようになります。
①最終レポート40点;
②グループ・ディスカッション(ケース資料を基に):予習課題(20点);グループ発表とまとめ資料作成(20点);
③挙手発言:20点

使用ケース一覧 List of Cases

    ケースは使用しません。

教科書 Textbook

  • 土山實男「安全保障の国際政治学 -- 焦りと傲り 第二版」有斐閣(2014)9784641149038

参考文献・資料 Additional Readings and Resource

防衛大学校安全保障学研究会 (著), 武田 康裕 (編集)「新訂第5版 安全保障学入門 」亜紀書房; 新訂第5 edition(2018)978-4750515434
佐島直子「安全保障ってなんだろう」勁草書房 (2011) 978-4326302024

授業調査に対するコメント Comment on Course Evaluation

身近な話題を取り入れながら、価値のある講義を進めていきたいと思います。

担当教員のプロフィール About the Instructor 

同済大学大学院にて法学修士(政治と国際関係専攻)、早稲田大学大学院にて地域研究専攻博士(アジア太平洋研究科地域研究専攻)を取得。近年、日本の東アジア金融協力政策、通貨の国際化の決定要因、グローバル・ガバナンスの問題点などに関する研究を精力的に進めており、中国、日本、欧米の専門誌において合計20本以上の査読論文を発表。そのうち7本がSocial Sciences Citation Index (SSCI)に収録されている。また、責任者として中国国家社会科学基金、日本学術振興会科学研究費助成事業などの国家レベルプロジェクトを担当。教育面では「国際機構論」、「国際安全保障」、「アジア太平洋の国際関係」、「日本政治・経済論」、「日中関係論」など幅広い科目を担当。学際的なアプローチにより、単なる知識の伝授にとどまらず、その背後にある理論的枠組みや考え方に焦点を当て、ディスカッションを通じて学生の問題意識を高めることを重視。これにより、地域研究や政策研究への理解を深め、グローバルな視野と能動的な学習能力を持つ次世代の人材育成を目指している。セミナーでは、こうした理念を基に、実際の事例や最新の研究成果を交えながら、学生が自らの視点を広げ、未来のリーダーとして必要なスキルを養う場となることを目指している。


Refereed Articles

  • (2024) Research on safe haven currencies under global uncertainty —A new perception based on the East Asian market. Global Finance Journal Online ISSN: 1873-5665Print ISSN: 1044-0283
  • (2023) The Effect of ESG performance on the stock market during the COVID-19 Pandemic — Evidence from Japan. Economic Analysis and Policy (79): 2204-2296(on line)
  • (2023) Rationality of Holding US Dollar Assets Based on Global US Dollar Liquidity Structural Transformation. Journal of International Finance and Economics 23(1): 1555-6336
  • (2022) Spillover effect of the RMB and Non-USD currencies after the COVID-19 pandemic: Evidence captured from 30-minute high frequency data. International Review of Economics and Finance 84(2023) 1059-0560
  • (2020) A Study on the Negative Externality of USD Liquidity--Based on the Asset Allocation Efficiency of US Treasury Securities. The Singapore Economic Review (SSCI) 66(3):






ページ上部へ戻る