シラバス Syllabus

授業名 国際社会論
Course Title Global Sociology
担当教員 Instructor Name 陸 長栄(Choei Riku)
コード Couse Code NUC194_N23A
授業形態 Class Type 講義 Regular course
授業形式 Class Format On Campus
単位 Credits 2
言語 Language JP
科目区分 Course Category 共通専門教育科目300系 / Specialized Subject 300
学位 Degree BSc
開講情報 Terms / Location 2023 UG Nisshin Term2

授業の概要 Course Overview

Misson Statementとの関係性 / Connection to our Mission Statement

本講義では、広く国境を超えた社会現象を捉えて、世界各地の例からグローバル時代の国際社会における諸問題を考えていく。このことを通じて、国際社会学における主要テーマである移民・難民・無国籍・家族・教育・医療・観光・メディア・宗教・犯罪・環境問題・紛争・貧困・消費などについて理解を深めることにする。グローバル化の発展に伴って、国際社会では従来の秩序が急速に変化しつつ、社会的な不平等現象が複雑になり、世界規模での新しい社会、文化的な階層化が進んでいるということが注目されている。
この講義では、様々な側面を有する「国際社会」を捉えるための視点・方法を学ぶことを通じ、ローカルなもの、ナショナルなもの、グローバルなものの相互依存が拡大する現代社会の特質に接近するとともに、グローバル時代にふさわしい社会学的想像力を磨く事を目的とする。
In this course, we take a wide range of cross-border social phenomena into consideration and analyze various problems in the international society across the world in the globalization age. Through this, we will deepen the understanding of the main themes in Global Sociology such as immigration, refugee, nationality, family, education, medicine, tourism, media, religion, crime, environmental issues, conflict, poverty and consumption.

授業の目的(意義) / Importance of this course

本講義をよりよく理解するために、受講者には以下の五つの要領に着目してもらいたい。一つ目は国民で誰が移民、誰が難民かという境界線そのものが曖昧になっているという点を見ていく。二つ目は身近な生活が既に国境を越えた仕組みに取り込まれている構造、つまり日常生活の中でグローバル化が進んでいる状況に注目する。三つ目は国境を越えて広がっていくように見える仕組みから浮かびあがる、国境を越えたつながりの複雑さを捉える。四つ目では、人類が解決しようとしているさまざまな問題は、ローカルな枠組みとグローバルな枠組みの両方が切り離せない形で絡み合っている点を取り組む。最後に、世界には豊かな国と貧しい国があるという構図から、世界のどの国の中にも豊かな生活をする人々と貧困に苦しむ人々がいる構図へと、世界のあり方が変化している点を考えていこう。
In the age of globalization, it has been noted that in the international society, the traditional order is changing rapidly, social inequality is complicated, and new society and cultural stratification in the world are advancing. Through the viewpoints and methods to capture the "international society" with diversified prospects, we are approaching the characteristics of the modern society in which the interdependence of local, national and global societies plays a key role. It aims to improve the sociological imagination and understanding for the globalization age.

到達目標 / Achievement Goal

本授業を通じて、グローバル化の下で人の移動と生活の実態を総合的な観点から理解することで、世界的に生じているさまざまな社会現象を理解し、自分なりに考察を進めることを目標とする。
国境を超える事柄及び一連の論点を理解するよう、世界各地の事例を取り挙げ、国際社会における新たな動向を認識する。また、受講者の国際視野を広げ、グローバル人材育成を目指していく。

In order to better understand this course, the students are requested to focus on the following five points. First, the gap between immigrants and refugees becomes thinner over time. Second, we focus on the structure in which familiar lifestyle has already been incorporated into the structure across the border, namely, the situation where globalization is advancing in daily life. Third, approaches to cross the border is even complicated and becomes a multi-choice question. Fourth, the various problems that human beings are trying to solve are tackling intersecting forms of both the local framework and the global one. Finally, let us consider in the way that the world is the living home for both the rich and the poor, and we shall make a difference by improving the world to be a better place for both.
The purpose of this course is to understand the movement of people and the actual conditions of life in the age of globalization as well as analyze various social phenomena that occur in the world with critical thinking mindset.
We recognize the new trends in the international community by analyzing cases and examples around the world to understand the issues beyond the borders. We aim to expand students’ view and vision to be more internationalized and develop talents for the global society.

本授業の該当ラーニングゴール Learning Goals

*本学の教育ミッションを具現化する形で設定されています。

LG1 Critical Thinking
LG2 Diversity Awareness
LG3 Ethical Decision Making
LG4 Effective Communication
LG5 Business Perspectives (BSc)
LG6 Managerial Perspectives (BBA)
LG7 International Perspectives (BA)

受講後得られる具体的スキルや知識 Learning Outcomes

国際社会学に関する基本原理・概念を知り、国際社会システムに関わる様々な論点について理解を深めることができる。また、国際社会における越境問題の本質を明らかにし、問題解決・政策策定を提言できるようにする。

Knowing the basic principles and concepts of Global Sociology, we can deepen our understanding of various issues and arguments related to the international society. Moreover, we can clarify the significance of the transboundary problem in the global community, and propose the related solutions and policy formulation suggestions.

SDGsとの関連性 Relevance to Sustainable Development Goals

Goal 15 陸の豊さを守ろう(Life on Land)

教育手法 Teaching Method

教育手法 Teaching Method % of Course Time
インプット型 Traditional 60 %
参加者中心型 Participant-Centered Learning ケースメソッド Case Method 40 %
フィールドメソッド Field Method 0 %
合計 Total 100 %

事前学修と事後学修の内容、レポート、課題に対するフィードバック方法 Pre- and Post-Course Learning, Report, Feedback methods

● 予習・復習等
予習では、配布プリント、教科書の関連部分や参考文献などを読み、講義のポイントを把握しておく。
復習では、講義資料の「配布プリント」等を読み、要点をまとめて復習する。第六週にケーススタディを導入し、クラス討議でディスカッションを行う予定である。
● 課題(レポート・提出物など)に対するフィードバック方法
レポート課題については第一回に説明を行い、提出期限を第七週の講義時とする予定。
フィードバックについては、返却時の講義中に全般的にコメントを行うことにする。

授業スケジュール Course Schedule

第1日(Day1)

授業導入:年間計画、講義の進め方、勉強方法などを紹介する。

総論:現代の国際社会とは何か――越境する問題
政治、経済、文化が国境を超えて変動する現代社会において、人々の国際移動は活発化するとともに、戦争や環境破壊で故郷を離れる難民から、自発的に国外に活躍の場を求める人まで、多様になっている。本講義では、国境を超える社会現象をとらえることを中心的なテーマとして据え、代表的な事例から国家を超える諸課題を考えていく。その中で取り上げる課題は、移民問題、難民、教育、医療、観光、メディア、宗教、犯罪、無国籍、環境問題、紛争、貧困、消費などが挙げられる。

●使用するケース
第一回:誰にとっても身近になったSNSトラブル

①SNSトラブルと言った現象はネット時代だけのものか?
②Takaさんの発言に対して、なぜ二つの対立的な声が上がったのか?この現象はインターネット時代のどんな特徴を示しているか
③SNS炎上に巻き込まないために、インターネットを利用しているとき、注意すべきな点を考えてください。

第2日(Day2)

第二回:移民と国民の境界

日本社会における日本人と外国人の境界とその違いついて説明する。特に、誰が移民(外国人)で誰が国民かの区別が曖昧になっているという点を取り上げる。

●使用するケース
第二回:日本における無国籍者の調査

①無国籍問題は現代国際社会の諸課題を如何に反応しているのか?
②無国籍者の帰属感について、あなたはどう思っているのか?無国籍者の母国は彼らを受け入れるべきなのか?
③無国籍者はどのように自分の身分を証明すればよいか?

第3日(Day3)

 第三回
第三回:グローバル化時代の難民・国内避難民

難民という言葉を聞くとき、いつも紛争難民、介護難民など、可哀想で助けを必要とされる人々の群れをイメージする。しかしながら、現在、難民とは誰のことかという問題は長きにわたって議論されてきており、難民の定義も変わってきている。この講義では、難民問題を全体的に捉えるとともに、誰が難民かを定義することの難しさを考える。要は、難民=庇護される弱者という構図そのものを問いなおす。

●使用するケース
第三回:ウクライナ難民の現状と受け入れの問題について

①日本政府の対応はウクライナ難民にとって上手適切だったのか、改善の余地はあるのか。
②言語や文化の違いが大きいが、社会に溶け込むためには、難民の観点から考えて何をすべきか。
③ウクライナ難民の事件を例に、日本は今後どのような姿勢を取るべきか。積極的に受け入れるか、保守的な姿勢を取るか。

第4日(Day4)

第四回:医療におけるグローバル化の進展

医療のグローバル化とそれらの国際社会、また国内社会に与える影響を、医療という財の特徴を踏まえて考えてみる。医療制度、患者の動き、医師などの専門家の国際移動を学びながら、グローバルな医療の二極化という問題を提示していく。

●使用するケース
第四回:タイの医療ツーリズム

①皆さんはタイの医療観光に対してどう思うのか?医療が必要な場合はタイに行くか、それとも日本で治療を受けるか。その理由は?
②観光ツーリズムはどのような問題を引き起こすか。
③日本もタイのように医療観光を進めるべきなのか。何か問題が起こりうるか。

第5日(Day5)

第五回:グローバル化・国境・観光

本講義では、国際観光をグローバル化の中で何が見えてくるかを、タイにおける観光からみる新しい階層化の事例から見ていく。そして、観光業者(供給者)、観光客(消費者)のまなざしや観光態度を規定する観光倫理をいかに確立していくかという課題を考えていく。


●使用するケース
第五回:国際社会における人間動物園が生じた人権問題

①「人間動物園」という現象は非難すべきだろうか?
②なぜ「人間動物園」が人権問題を引き起こしたのか?
③人権問題を回避するために、観光開発する際にどのような配慮が必要か。

第6日(Day6)

第六回:グローカル化とメディアの変容

中東からヨーロッパに広がるクルド人とメディアの事例から、国境を超えた移動とつながりの中でメディアが国の枠組みをどのように越えているのか、そしてそこにどのような意味があるかを考える。メディアはうちの生活に便利をもたらすと同時に、SNSをはじめとする新たなメディアにおけるアカウントの乗っ取り、安全問題、炎上といじめ、対立の問題点さえも出てきた。どう解決すればよいのかはこれから国際社会の課題のである。

●使用するケース
第六回:アメリカ大統領選挙に関するメディア事情の議論

①インターネットメディアはどのように大統領選を二分化させたのか?
②本案件に当たる状況はインターネットメディア時代だけのものだろうか?
③「メディアが人々の判断力に影響を与えた」という難問を解決するために何か対策が取られるのか?

第7日(Day7)

第七回:グローバル化時代の宗教とアイデンティティ

本講義では、イギリスの女性ムスリムを事例としながら、グローバル化を通じて国境や文明を越境する宗教のあり方について紹介する。また、ムスリム女性が、イスラームを放棄するのではなく、それを積極的に自身のアイデンティティに組み込むことで、西欧社会へと適応していく姿を描き出す。

●使用するケース
第七回:安倍元首相銃撃事件で浮かび上がる統一教会

①現代社会において、宗教はどのような役割を果たすのか?宗教とカルト組織の違いは何か?
②どのようにして、カルトが宗教のように見せかけられ、またいかにして見分けがつくのか。
③政府や個人が、カルトの偽装や変化に対応する方法は何か。

成績評価方法 Evaluation Criteria

*成績は下記該当項目を基に決定されます。
*クラス貢献度合計はコールドコールと授業内での挙手発言の合算値です。
講師用内規準拠 Method of Assessment Weights
コールドコール Cold Call 0 %
授業内での挙手発言 Class Contribution 60 %
クラス貢献度合計 Class Contribution Total 60 %
予習レポート Preparation Report 0 %
小テスト Quizzes / Tests 0 %
シミュレーション成績 Simulation 0 %
ケース試験 Case Exam 0 %
最終レポート Final Report 40 %
期末試験 Final Exam 0 %
参加者による相互評価 Peer Assessment 0 %
合計 Total 100 %

評価の留意事項 Notes on Evaluation Criteria

成績評価の構成に関しては、詳しくは次のようになります。
①最終レポート40点;
②グループ・ディスカッション(ケース資料を基に):予習課題(20点);グループ発表とまとめ資料作成(20点);
③挙手発言:20点

使用ケース一覧 List of Cases

    ケースは使用しません。

教科書 Textbook

  • 石井香世子「国際社会学入門」ナカニシヤ出版(2017) 9784779511349

参考文献・資料 Additional Readings and Resource

樽本英樹「よくわかる国際社会学[第2版] (やわらかアカデミズム・〈わかる〉シリーズ)」ミネルヴァ書房(2016) 9784623075911
佐藤成基 (著), 宮島喬、小ヶ谷千穂 (編集)「国際社会学 単行本(ソフトカバー)」有斐閣(2015)9784641174061

授業調査に対するコメント Comment on Course Evaluation

より多くの学生に挙手発言していただけるように頑張っていきたい。

担当教員のプロフィール About the Instructor 

同済大学大学院にて法学修士(政治と国際関係専攻),早稲田大学大学院にて地域研究専攻博士(アジア太平洋研究科地域研究専攻)を取得。近年、日本の東アジア金融協力政策、また通貨の国際化についての決定要因などのテーマをめぐって、中国、日本および欧米の専門誌で、合計20本以上の査読論文を公刊し、そのうち5本がSocial Sciences Citation Index (SSCI)に収録されている。なお、責任者として、中国国家社会科学基金(科研費基盤研究C相当)などの国家レベルのプロジェクトを担当している。教育について、「国際機構論」、「国際安全保障」、「アジア太平洋の国際関係」、「日本政治・経済論」、「日中関係論」などの科目を担当していた。学際的アプローチの視座の下で、知識の伝授だけではなく、その背後にある考え方を重視し、クラス討議によって生徒たちに地域研究、政策研究などに関する問題意識を持たせるよう工夫をし、能動的な人材を育成することを目標とする。


Refereed Articles

  • (2023) The Effect of ESG performance on the stock market during the COVID-19 Pandemic — Evidence from Japan. Economic Analysis and Policy (79): 2204-2296(on line)
  • (2023) Rationality of Holding US Dollar Assets Based on Global US Dollar Liquidity Structural Transformation. Journal of International Finance and Economics 23(1): 1555-6336
  • (2022) Spillover effect of the RMB and Non-USD currencies after the COVID-19 pandemic: Evidence captured from 30-minute high frequency data. International Review of Economics and Finance 84(2023) 1059-0560
  • (2020) A Study on the Negative Externality of USD Liquidity--Based on the Asset Allocation Efficiency of US Treasury Securities. The Singapore Economic Review (SSCI) 66(3):
  • (2020) The Domestic Politics of the Yen’s Re-internationalisation: Dynamic Interaction and the Core Executive. Asian Studies Review (SSCI, Q1) 45(3):






ページ上部へ戻る