シラバス Syllabus

授業名 管理会計基礎
Course Title Managerial Accounting Basic
担当教員 Instructor Name 野坂 和夫(Kazuo Nozaka)
コード Couse Code NUC169_N24B
授業形態 Class Type 講義 Regular course
授業形式 Class Format On Campus
単位 Credits 2
言語 Language JP
科目区分 Course Category 専門教育科目200系 / Specialized Subject 200
学位 Degree BSc
開講情報 Terms / Location 2024 UG Nisshin Fall Intensive

授業の概要 Course Overview

Misson Statementとの関係性 / Connection to our Mission Statement

本学のミッションは、"フロンティア・スピリット"を備えたイノベーティブで倫理観あるリーダーの育成、そしてビジネス界や社会の発展をもたらす知識の創出をすることです。また、ニューアジアと世界をつなぐ能力を開発することです。
本講義は、ケースメソッドにより実施します。各回のテーマに即して、アクティブラーニング方式のレクチャーを行い、その上でケースメソッドを実施することで、受講生間の活発なディスカッションにより講義を進行させます。
企業で実際に起きた経営事例等を受講生が自らの視点で追体験することを通じて、課題解決力・課題発見力を培う教育手法です。受講生間のディスカッションおよびロールプレイ等、受講者を主体とした学修体験「Participant Centered Learning」により、知識の修得に加え受講生の実務家としての世界観・視野を広げることを目標とします。
A mission of this school is to bring ethic and innovative leader with "Frontier Spirit" and to create the knowledge to bring development of business world and society. In addition, it is to develop ability to connect new Asia and the world.
This lecture is carried by a case method. In line with the theme of each time, I give it a lecture on the active learning method and let, after that by carrying out a case method, a lecture progress by the active discussion among attendance students.
Through attendance students reliving the actual management examples in own viewpoint in a company, it is education method to cultivate the abilities of problem solution and discovery. The discussion and role playing among attendance students aim for opening a view of the world, the field of vision as the businessman in addition to acquirement of the knowledge by learning experience "Participant Centered Learning" mainly composed of attendance students.

授業の目的(意義) / Importance of this course

企業経営には、事業計画を立て経営戦略を実施し、その結果をフィードバックするという、PDCAサイクルが重要です。このような企業経営の一連の過程を定量化する手法は、管理会計(Managerial Accounting)であると定義できます。特に、経営者が必要とする戦略の策定と実行に関わる情報を提供し、企業価値創造を目的とする会計学的一領域を、戦略的管理会計(Strategic Managerial Accounting)と言います。本講義では、本学のミッションに鑑み、経営者の意思決定は企業価値創造を究極的な目的とすべきだという視点から、経営戦略のための戦略管理会計的意思決定(Strategic Managerial Accounting Decision-Making)の実践力を養成します。
PDCA cycle that we make a business plan and carry out business strategy and feedback the result is important to corporate management. We can define the technique to quantify a series of processes of such a corporate management as Managerial Accounting. Especially, an accounting realm that aims to create corporate value by providing information on the formulation and execution of the strategy required by the management is called Strategic Managerial Accounting. In consideration of the mission of our university, this course trains the practice of the Strategic Managerial Accounting Decision Making for management strategies from the viewpoint that corporate value creation should be the ultimate objective for the management.

到達目標 / Achievement Goal

学生は本講義を通じて、透明性と倫理観が強く求められる企業会計ならびに複雑化・高度化するファイナンスの理論と実践を、修得し専門性の高い人材となります。
学生は急速に進む国際社会のボーダレス化の中で企業は激しい競争を強いられています。本学ではビジネス教育の専門大学として、このような国際化、競争化社会を生き抜く力を持った人材を育てるべく建学の精神「フロンティア・スピリット」を基本にしています。

Through this lecture, students are to be human resources of the high specialty by learning a theory and practice of corporate accounting that strongly demands transparency and the view of ethic, and finance that makes complexity, the altitude.
The companies are forced to intense competition in becoming the borderless of the international community to go ahead through rapidly. This school is doing it based on the mind "Frontier Spirit" of the-based study in order to bring up human resources with the power to survive society such a globalization and competition as a specialized university of the business education.

本授業の該当ラーニングゴール Learning Goals

*本学の教育ミッションを具現化する形で設定されています。

LG1 Critical Thinking
LG2 Diversity Awareness
LG3 Ethical Decision Making
LG4 Effective Communication
LG5 Business Perspectives (BSc)

受講後得られる具体的スキルや知識 Learning Outcomes

本講義は、戦略管理会計的視点による経営意思決定能力、つまり、経営戦略に必要な管理会計情報を提供することに留まらず、管理会計情報を戦略的に利用する能力の習得を目的とします。戦略管理会計的視点とは、企業は企業価値の最大化を目的とすべきという価値判断です。

This lecture aims at mastering Strategic Management Decision-Making ability from Managerial Accounting Viewpoint; ability to Strategically use Managerial Accounting information without remaining in offering Managerial Accounting information necessary for Management Strategy. The Strategic Managerial Accounting Viewpoint is a value judgment that the corporate should be aimed for the maximization of the corporate value.

SDGsとの関連性 Relevance to Sustainable Development Goals

Goal 4 質の高い教育をみんなに(Quality Education)

教育手法 Teaching Method

教育手法 Teaching Method % of Course Time
インプット型 Traditional 50 %
参加者中心型 Participant-Centered Learning ケースメソッド Case Method 50 %
フィールドメソッド Field Method 0 %
合計 Total 100 %

事前学修と事後学修の内容、レポート、課題に対するフィードバック方法 Pre- and Post-Course Learning, Report, Feedback methods

各回のテーマに即して、アクティブラーニング方式のレクチャーを行い、その上でケース・フィールドメソッドを実施することで、受講生間の活発なディスカッションにより講義を進行させます。

・アクティブラーニング方式による積極的な講義参加を重視します。
・期末試験は、講義で議論した論点とケースから出題します。ケースからの出題は事前に出題概要を通知します。

授業スケジュール Course Schedule

第1日(Day1)

1日目/1st day 1月21日(火)9:20-17:20

テーマ:管理会計の意義と概念、原価計算と原価管理
経営者の視点から、管理会計の意義と概念を学びます。また、原価を正確に把握し原価を管理することが、企業経営において非常に重要であることから、管理会計の出発点として、原価計算と原価管理について学びます。

テーマ:意思決定アプローチ、経営計画・予算編成、予算管理、利益計画、投資計画
管理会計情報を意思決定に用いるアプローチを学びます。また、原価構造から利益構造を分析する、CVP関係の分析による意思決定手法について学びます。
さらに、企業経営におけるPDCAサイクルのうちPlan(計画)とDo(実行)や、投資計画とその業績測定について学びます。そして、管理会計情報を業績管理に用いるアプローチを学びます。企業経営におけるPDCAサイクルのうちCheck(チェック)とAction(アクション)や、企業組織の業績管理や予算管理について学びます。

テーマ:公認会計士制度と証券市場①
視聴覚教材により公認会計士制度と証券市場について、管理会計的視点から学びます。

●使用するケース
原価管理による経営戦略、オリジナルケース
ドラマ「監査法人」第1回「会社、つぶせますか」、第2回「800億円の裏帳簿」(視聴覚教材)、NHKドラマ、NHK

第2日(Day2)

2日目/2nd day 1月22日(水)9:20-17:20

テーマ:業績測定、業績管理アプローチ
企業組織の業績測定について学びます。そして、業績管理アプローチとして、どのような視点から、組織や人事を評価すべきかを学びます。
また、バランスト・スコアカードなどに代表される、経営戦略実施のコントロールシステムである戦略管理会計を学びます。

テーマ:戦略管理会計システム、戦略管理会計の企業経営への応用
サプライチェーン・マネジメントやバリューチェーンなど、戦略管理会計としての経営手法が、どのように経営戦略に適用されているかを学びます。
企業経営に戦略管理会計を応用するアプローチを学びます。経営戦略はマーケティングなど様々な分野が絡み合いますが、どのように管理会計を結び付けて企業経営上の意思決定をすべきかを学びます。特に、創造的な思考方法や起業家マインド、革新的な経営戦略構築、そして、事業や人材をControl(統制)するという視点から、企業経営のための戦略的管理会計を学びます。

テーマ:公認会計士制度と証券市場②
視聴覚教材により公認会計士制度と証券市場について、管理会計的視点から学びます。

●使用するケース
スターバックス vs.ドトール あのライバル企業はどちらが儲かっているか?、http://ac-intelligence.jp/analysis/tokuten/sokudoku2.pdf
スターバックス - 顧客満足度を企業価値に結びつける -、オリジナルケース
ドラマ「監査法人」第3回「粉飾の連鎖」、第4回「崩壊の序曲」(視聴覚教材)、NHKドラマ、NHK

第3日(Day3)

3日目/3rd day 1月23日(木)9:20-17:20

テーマ:CSRと企業倫理
営利を追及すべき企業において、どうしてCSRや企業倫理が求められるのか、どうしてCSRや企業倫理の遵守が結果として企業存続に結びつくのか、管理会計的視点から学びます。

テーマ:財務会計の理論と概念、財務分析、会計不正
企業外部に公表される会計情報を理解するために、財務会計の理論と概念を学びます。そして、企業の財務管理や得意先に対する与信管理のための財務分析を学びます。
また、近年、企業不正事件や会計不正事件の発覚が多く、特に会計不正が社会的に大きな悪影響を及ぼしている。どうして企業不正や会計不正が行われるのか、どのような社会的悪影響があるのか、管理会計的視点から学びます。

テーマ:公認会計士制度と証券市場③
視聴覚教材により公認会計士制度と証券市場について、管理会計的視点から学びます。

●使用するケース
戦略的管理会計の視点からCSRを考える、オリジナルケース
戦略的管理会計の視点から企業倫理を考える、オリジナルケース
ドラマ「監査法人」第5回「夢の代償」、第6回「会社、救えますか」(視聴覚教材)、NHKドラマ、NHK

第4日(Day4)

4日目/4th day 1月24日(金)9:20-14:50

テーマ:企業価値(株価)評価、投資意思決定アプローチ、戦略的M&A
投資を目的とする場合には、どのように財務分析を行うべきか、そして、どのような企業にはどのような企業価値(株価)評価を行うべきかを学びます。企業から開示される会計情報を分析・評価することで、過去情報を将来予測情報へ転換する、投資意思決定アプローチを学びます。
また、M&Aにはどのような手法があるのか、戦略的管理会計の視点からM&Aをどのように経営戦略に採用すべきか、そして、どのように戦略的M&Aを実行すべきかを学びます。

●使用するケース
ディズニーとピクサー: 買収すべきか否か・買収されるべきか否か - ゲーム理論から考察する -、オリジナルケース

第5日(Day5)



第6日(Day6)



第7日(Day7)



成績評価方法 Evaluation Criteria

*成績は下記該当項目を基に決定されます。
*クラス貢献度合計はコールドコールと授業内での挙手発言の合算値です。
講師用内規準拠 Method of Assessment Weights
コールドコール Cold Call 20 %
授業内での挙手発言 Class Contribution 30 %
クラス貢献度合計 Class Contribution Total 50 %
予習レポート Preparation Report 0 %
小テスト Quizzes / Tests 0 %
シミュレーション成績 Simulation 0 %
ケース試験 Case Exam 0 %
最終レポート Final Report 0 %
期末試験 Final Exam 50 %
参加者による相互評価 Peer Assessment 0 %
合計 Total 100 %

評価の留意事項 Notes on Evaluation Criteria

コールドコール:内容を評価するのは当然ですが、受講生どうしのディスカッションに発展ものを高く評価します。また、簡潔明瞭なものを高く評価します。
講義内での挙手発言:内容と回数を評価するのは当然ですが、受講生どうしのディスカッションに発展または参加するものを高く評価します。また、簡潔明瞭なものを高く評価します。
期末試験:講義で議論した論点が的確に反映されているものを高く評価します。

使用ケース一覧 List of Cases

    ケースは使用しません。

教科書 Textbook

  • 野坂 和夫「管理会計基礎」Google Classroom 掲示(2025)オリジナルテキスト

参考文献・資料 Additional Readings and Resource

[1]『管理会計のエッセンス(原著第7版)』ワシントン大学フォスタービジネススクール管理会計研究会訳, 2022, 同文館出版(『Managerial Accounting, 7th EDITION』Jiambalvo, James, 2019) ISBN-10: 4495191330, ISBN-13: 978-4495191337
[2]『戦略評価の経営学-戦略の実行を支える業績評価と会計システム』伊藤邦雄監訳, 2003, ダイヤモンド社(『Performance Measurement & Control Systems for Implementing Strategy, First Edition』Simons, Robert, 2000) ISBN-10: 4478470650, ISBN-13: 978-4478470657
[3]『戦略をコントロールする-管理会計の可能性(メルコ学術振興財団研究叢書)』澤邉紀生・堀井悟志監訳, 2008, 中央経済社(『Controlling Strategy: Management, Accounting, and Performance Measurement』Chapman, Christopher S., ed., 2005) ISBN-10: 4502286206, ISBN-13: 978-4502286209
[4]『マーケティングの管理会計-市場、顧客に関する会計測度』田中隆雄編著, 1998, 中央経済社ISBN-10: 4502161632, ISBN-13: 978-4502161636
[5]『最新 業績評価会計-多元・多様な評価の展開』田中雅康・石崎忠司・原田 司編著, 2006, 中央経済社 ISBN-10: 4502256005, ISBN-13: 978-4502256004
[6]『バランス・スコアカード[新訳版]-戦略経営への変革』吉川武男訳, 2011, 生産性出版(『The Balanced Scorecard: Translating Strategy into Action』Kaplan, Robert S. and David P. Norton, 1996) ISBN-10: 482011980X, ISBN-13: 978-4820119807
[7]『企業分析入門【第2版】』斉藤静樹監訳, 2001, 東京大学出版会(『Business Analysis & Valuation: Using Financial Statements Second Edition.』Palepu, Krishna G., Paul M. Healy and Victor L. Bernard, 1999) ISBN-10: 4130421123, ISBN-13: 978-4130421126

授業調査に対するコメント Comment on Course Evaluation

これまでの授業調査で非常に有意義だと思われる意見を以下に示します。
計算演習等をもっと扱って欲しいという意見がありましたが、配付資料を充実させて自習できるように対応することを考えています。あくまでも、本講義は、計算実務を行う会計担当者育成を目的とはせず、管理会計的視点から意思決定を行う経営者・管理者(となる者)の視点から行います。
講義で扱う内容が広範囲過ぎないかという意見がありましたが、(戦略(的))管理会計の領域はかなり広いのです。管理会計的視点から意思決定を行うためには、会計分野だけではなく、経営学・経済学、そして、法的な視点からも考えなければならないため、本講義の対象は広範囲に及ぶことになります。
ディスカッションには特定の答えがないのですが、先生なりの答えを明確にして教えて欲しいという意見がありました。絶対的な答えではないのですが、受講生のディスカッションをまとめ、自分なりの答えを総括として述べたいと考えています。

担当教員のプロフィール About the Instructor 

野坂和夫
早稲田大学商学部卒業。朝日監査法人(アーサー・アンダーセン)、あずさ監査法人(KPMG)在職中は、金融商品取引法監査・会社法監査・学校法人監査等の法定監査、SEC監査・IFRS監査、デューデリジェンスなどに従事。監査法人在職中に、早稲田大学大学院商学研究科にて修士(商学)を取得し、博士後期課程単位取得満期退学。その後、早稲田大学大学院会計研究科にて助教に就任。監査法人退職後に独立開業し、現職は、野坂公認会計士・税理士事務所代表。主として中小企業や個人事業主に対するほぼ全分野の税務業務に携わり、また、学校法人監査、社会福祉法人監査、労働組合監査、NPO法人監査や地方公共団体の包括外部監査などに従事。公認会計士、米国公認会計士(ニューヨーク州)、税理士。博士(商学)早稲田大学。主な著書・論文は、『退職給付会計の会計方針選択行動』(国元書房;日本公認会計士協会学術賞-会員特別賞)、「退職給付会計における割引率の会計方針選択行動-裁量的選択行動、横並び選択行動および水準適正化選択行動-」(管理会計学;日本管理会計学会奨励賞)、「多種多様な暗号資産に応じた所得区分該当性の探究-支払手段の視点からの雑所得または譲渡所得にすべきかの理論分析-」(会計プログレス)。

Kazuo Nozaka
After graduated from Waseda University School of Commerce, he engaged in statutory audits including the Financial Instruments and Exchange Law Audit, Companies Act Audit, School Corporation Audit, SEC Audit, IFRS Audit and Due Diligence as he was working for Asahi Audit Corporation (Arthur Andersen) and AZSA Audit Corporation (KPMG). While working for the audit firms, he finished the Master’s degree and completed the Doctoral program in commerce at Waseda University Graduate School. He then became an assistant professor for Waseda University Graduate School of Accountancy. After leaving the audit firms he started his own business and became the president of Nozaka Japan CPA Firm. He engaged in taxation business in almost all fields for mainly SMEs and sole proprietorship, also School Corporation Audit, Social Welfare Corporation Audit, Labor Union Audit, incorporated Non-Profit Organization Audit and Comprehensive External Audit for Local Governments. He holds a CPA, a CPTA, a USCPA (licensed in New York State), and has the Doctor of Commerce at Waseda University. Accounting Policy Selection Behavior in Pension Accounting (Kunimoto Syobo)’ (Won Academic Prize of The Japanese Institute of Certified Public Accountants - Member Special Prize), Accounting Policy Selection Behavior on Discount Rates in Pension Accounting: Discretionary Behavior, Herding Behavior, and Standardization Behavior (Journal of Management Accounting)’ (Won the Encouragement Prize by the Japanese Association of Management Accounting), Research in Relevance of the Taxable Income Category for a Large Variety of Crypto Assets: Theory Analysis in Classifying the Taxable Category of Miscellaneous Income or Transferred Income from the Viewpoint of Means of Payment (Accounting Progress).

(実務経験 Work experience)

主な職歴:
1998年~2004年 朝日監査法人
2005年~2009年 あずさ監査法人
2009年~2018年 協立監査法人
2009年~ 野坂公認会計士・税理士事務所(現職)

Professional Career:
1998 - 2004 Asahi Audit Corporation
2005 - 2009 Azusa Audit Corporation
2009 - 2018 Kyoritsu Audit Corporation
2009 - Nozaka Japan CPA Firm (current)






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