シラバス Syllabus

授業名 国際機構
Course Title International Organizations
担当教員 Instructor Name 陸 長栄(Choei Riku)
コード Couse Code NUC157_N22A
授業形態 Class Type 講義 Regular course
授業形式 Class Format Live Virtual
単位 Credits 2
言語 Language JP
科目区分 Course Category 共通専門教育科目300系 / Specialized Subject 300
学位 Degree BSc
開講情報 Terms / Location 2022 UG Nisshin Term1

授業の概要 Course Overview

Misson Statementとの関係性 / Connection to our Mission Statement

国際機構は通常、国家間の条約に基づいて設立された公的な団体と定義される。国際機構は主権国家や一般の人々とどうかかわっているのか、また地域紛争における危機管理、大量破壊兵器、テロ、貧困と汚職、難民、知的財産権と多文化主義、通商・金融のグローバル化、持続可能な発展と気候変動……これまで別々に取り上げられることが多かった国際的政府間機構システム(国連など)、地域的政府間機構システム(EUなど)と非政府間国際機関(NGO)などのイシューを説明する。
The international organization is usually defined as a public organization established based on agreement between nations. The connections between international organizations, sovereign states and the general public, crisis management in regional conflict, mass destruction arms, terrorism, poverty and corruption, refugees, intellectual property rights and multiculturalism, globalization of commerce and finance, sustainable development and climate change. This course will explain the international inter-governmental organization mechanism (such as the United Nations), the regional inter-governmental ecosystem (EU), and non-governmental international organizations (NGOs).

授業の目的(意義) / Importance of this course

国際社会の諸問題に対して国際機構がいかにかかわり、いかに問題解決に貢献し、またいかなる限界を抱えているのかについて受講者に考えてもらうことである。
Students are encouraged to consider the interlinkages with which international organization is concerned with the problems of the global community, its limitations and problem-solving approaches.

到達目標 / Achievement Goal

受講者には、国際関係や国際機構に関する理論や知識を身につけ、関連する専門知識を活かせるようになってもらいたい。また、国際的視野の広いグローバル人材となってほしい。

Students are expected to acquire theories and knowledge about international relations and international organizations and make use of relevant knowledge and experience. Moreover, the course aims to nurture talents for the international community in the globalization age.

本授業の該当ラーニングゴール Learning Goals

*本学の教育ミッションを具現化する形で設定されています。

LG1 Critical Thinking
LG2 Diversity Awareness
LG3 Ethical Decision Making
LG4 Effective Communication
LG5 Business Perspectives (BSc)
LG6 Managerial Perspectives (BBA)
LG7 International Perspectives (BA)

受講後得られる具体的スキルや知識 Learning Outcomes

 国際機構に関連する問題を検討し、国際イシューの本質、国際機構の役割を明らかにし、問題解決・政策策定を提言できるようにする。

This course examines the issues related to the international organization, discusses the nature of global issues, clarifies the role of international organizations, and proposes policy resolution and formulation suggestions.

SDGsとの関連性 Relevance to Sustainable Development Goals

Goal 16 平和と公正をすべての人に(Peace and Justice Strong Institutions)

教育手法 Teaching Method

教育手法 Teaching Method % of Course Time
インプット型 Traditional 60 %
参加者中心型 Participant-Centered Learning ケースメソッド Case Method 40 %
フィールドメソッド Field Method 0 %
合計 Total 100 %

事前学修と事後学修の内容、レポート、課題に対するフィードバック方法 Pre- and Post-Course Learning, Report, Feedback methods

(予習・復習等)
予習では、配布プリント、教科書の関連部分や参考文献などを読み、講義のポイントを把握しておいてください。
復習では、講義資料の「配布プリント」等を読み、要点をまとめて復習してください。「配布プリント」に記載された<今回の質問>が設問形式になっているので、復習のときに、その設問に答えて解答を作成してみること。
● 課題(レポート・提出物など)に対するフィードバック方法
レポート課題については第1週に説明し、提出期限を第七週の講義時とする予定。
フィードバックについては、返却時の講義中に全般的なコメントを行う。

授業スケジュール Course Schedule

第1日(Day1)

第一回 授業導入:国際機構とは何か?
(1)年間計画、講義の進め方、勉強方法などを説明する。
  本講義では国際機構の定義と分類、国際機構論と呼ばれる学問分野の具体的な内容について紹介する。具体的には、地域紛争における危機管理、大量破壊兵器の不拡散、テロとの戦い、途上国における貧困と汚職、国境を越える人の移動、知的財産権と多文化主義、金融のグローバル化に伴う社会問題、持続可能な発展と気候変動という8分野を取り上げ、国連をはじめとする国際機構のそれぞれの役割と限界を検討する。

第二回 国際政治理論と国際機構
本講義では、国際機関と国際政治理論の関係を考える。国際機構が本格的に国際政治の舞台に登場し始めた第二次世界大戦以降の国際政治理論を中心に扱う。主権国家のみ登場した国際政治の舞台に国際機構が登場するようになり、国際関係に対する理解はどのように変わっているのかを考えてみよう。

●使用するケース
第一回
要点①国際機構とはどんな組織なのか、私たちとの関係性について理解していこう。

・国際機構はどのような役割を果たしているか?
・国際機関と私たちとの関係は何か?

要点②代表的な国際機構を紹介し、その仕組みと構造を認識しよう。
例:2003年に国連の安保理はアメリカが主導したイラク攻撃への対応
・安保理はどんな対応策を取ったのか?
・その対策は適切か?どんな結果が出されたか?
・その後、安保理は機能麻痺になったのか?
・安保理はもう大国の動きに制限を設けられないのか?大国への影響力という点でどんな限界を露呈したのか?

第二回
要点①国際政治に関わる視点、考え方、前提、注目する事実、それを用いた結果について考えよう。
例:第二次世界大戦直後に設立された国際連合が活動を始め、平和維持活動をはじめとする国連やその専門機関の活動が活発になったのである。
・リアリズム・リベラリズム・ネオリアリズム・社会構成主義などの関わり方

要点②地域的国際機構が国際政治の舞台に登場した後、国際システムに対する理解はどのよう変化していたのかを見てみよう。
 例:ヨーロッパの経済統合におけるEUの役割
・欧州の経済統合のきっかけは?
・ドイツとフランスなどの主要国家の役割は?
・EUの設立過程は?

第2日(Day2)

第三回: 国際機構の歴史的展開
国際機構の歴史的展開を踏まえ、国際機構の原初形態、現代国際機構の源流、ヨーロッパ協調の発展過程などを説明し、国際連合や国連の形成過程及び仕組みなどを検討しながら国際機構の歴史的な展開について議論する。

第四回 国際機構の意思決定
 本講義では国際機構の意思決定は、具体的にどのような仕組みなのか、また意思決定のプロセスは、国際機構や国家に対してどのような影響を及ぼしているのだろうかを説明する。そして、国際機構の意思決定のあり方やプロセスを学ぶことは、国際機構の行動や機能を理解し、国際機構における加盟国としての国家の役割についても理解を深めることになるだろう。

●使用するケース
第三回
要点①現代国際機構の源流は何かを検討しよう。
例:三十年戦争を終結させたウェストファリア条約
・その条約が締結されたきっかけは?
・ウェストファリア条約は国際社会にどんな影響を与えたのか?
要点②ヨーロッパ協調の構成と流れについて説明する。
例: 1874年7月の「ロンドン海峡条約」の締結
・ヨーロッパ協調の構成国は?
・ウヨーロッパ協調の役割は何か?

第四回
要点①国際機構における加盟国としての役割を理解する。
 例:旧ソ連が中国代表権問題を理由に理事会を欠席していた1950年に朝鮮戦争が発生し、欠席のまま朝鮮国連軍を決議した。
・拒否権と欠席の区別は?
・どんな結果をもたらしたのか?

要点②国際機構の意思決定はどのような仕組みかを考えよう。
 例:2010年チュニジアで始まった「アラブの春」事件
・どういう事件なのか?
・国連はどんな意思決定を行ったか?その結果は?

第3日(Day3)

第五回 安全保障・軍縮と国際機構
 本講義では、国際安全保障問題をめぐる国際機構の対応の現状と今後の問題をめぐり、特に安全保障と軍縮の分野で国際機構の活動を学び、平和への方策を考え、現代的な安全保障課題に注目して説明しよう。

第六回 人権・人道と国際機構
国際機構はどんな原因で人権問題を扱うようになったのか。国際機構が人権問題を扱う必要性は何であろうか。国連システムなどの活動や制度を中心に、人権と人道問題の現状を説明し、人権・人道による保護はどのようなものなのかを紹介する。

●使用するケース
第五回
要点①安全保障問題の特質及び国際機構との関係性について検討するよう。
例:イラクによるクウェート侵攻
・どういう事件なのか?
・安保理はどう対応していたのか?
・その事件の結果は?

要点②一連の旧ユーゴ情勢を取り上げ、平和維持活動(PKO)の役割と限界を勉強しよう。
例:カンボジア暫定統治機構はカンボジア内戦後の国の独立や再建のため、従来型の停戦監視に加え、他の活動にも従事し,それがPKOの複合化と呼ばれる。これまでの実績を踏まえて国際機構を理解していく。
・成立経緯、これまでの活動は?
・PKOの複合化とは何か?
・平和維持活動(PKO)の問題点と改善点は?

第六回
要点①国際機構が人権問題を扱う必要性は何であろうか。
例:京都の朝鮮学校に対するヘイトスピーチ規制法
・日本政府の対応は?
・人権侵害があったとき、国際的な機関による勧告はどんな意味を持っているのか。

要点②人権と人道問題をめぐる国連システムの活動や制度を説明する。
例:第一次世界大戦後、ロシア革命により発生したロシア難民はどう対応されたか?
・どういう事件なのか?
・「ナンセン旅券」とは何は?どんな役割を果たしていたのか?
例:湾岸戦争後のイラクのクルド難民は多国籍軍による救援活動。
・どういう状況であったか?
・国連が行う人権・人道的活動に関する問題点は?改善点は?

第4日(Day4)

第七回 経済・貿易・通貨・開発と国際機構
 現代の国際社会は、自由主義経済の原則の上に成り立っているのである。しかし、国際経済を全て自由に放置していけば、経済格差や通貨不安など、深刻な問題が発生することもある。そのような問題に対処するために、国際機構には何ができるのかを説明する。

●使用するケース
第七回
要点:経済と社会の調和、及びガバナンスの改善という視点。
 例:開発途上国での過剰耕作・過剰放牧による環境問題
・問題発生の根本的な原因?
・人口増加、貧困は環境問題との関係は何か?
・それに対して国連の取組みは?

 例:WTOにおけるカナダ-再生可能エネルギー発電分野に関する措置
・どういう事件なのか?
・日本とEUはどう対応したのか?
・最後に紛争をどう解決したのか?

第5日(Day5)

中間テスト(四つの論述問題から二つを選ぶ)(Weight 30%)

第八回 保健衛生と国際機構(ケースメソッド)
 保健衛生分野での国際協力・活動は、世界保健機関と国連児童基金が長年にわたって役割を担ってきた。近年、保健衛生は政治経済の重要課題として取り上げられ、先進国、世界銀行など様々な国際機構に担い手が広がっている。本講義では、国際保健協力に関わる国際機構を紹介し、保健衛生の重点活動を紹介する。

●使用するケース
第八回 (ケースメソッド)
要点①なぜ保健衛生を向上させるために、専門性が高い国際機構が必要になったかについて考えよう。
 例:新型コロナウイルスの感染蔓延
・どういう事件なのか?
・世界にもたらした影響は?
・日本政府は適切に対応したか?
・WHOは「あってもなくてもいい」ものなのか?

要点②新型コロナウイルスにおけるWHOの役割と限界
例:WHOは2021年の1~2月に中国・武漢で調査を実施し、人為的な原因が排除されたと公表したがが、他の国への情報公開が不十分だと日本、イギリスなどの先進諸国に批判された。
・WHOはどんな役割を果たしていたのか?
・WHOの機能の限界と問題点は何か?
・主要国家が取った防疫手段はWHOの提議に一致するのか?一致でなければ、諸国とのバランスを如何に取ればよいのか?
・WHOはいかに政治紛争、財政困難などの問題を解決できるか?改革を考えれば、どうすればいいのか?

第6日(Day6)

第九回 環境と国際機構
 地球規模の環境問題は、一国のみでは解決が困難であり、国際機構の役割は大きい。とりわけ国連は地球規模の環境会議を開催し、政策を制定し、また環境に関する基準設定、原則、環境条約の策定などを行ってきている。国際機構の中でも国連に直目し、環境に関連する活動について学んでいく。

●使用するケース
第九回
要点①政治と制度の2点を軸に、気候変動問題の特徴と国際社会の取り組みを中心に検討する。
 例:南太平洋のバヌアツを大型の台風が襲った・日本での爆弾低気圧の発生・北極と南極の氷が溶けて海面が昇上した結果、ツバルなどの島国が消滅の危機に直面している
・気候変動問題の特徴は何か?
・国連はこれにどう対応してきたのだろうか?
・開催された環境会議にはどのようなものがあるか?
・国際機構はどのような役割を果たせるか?

要点②なぜ各国個別の取り組みでは不十分であり、国際社会の共同行動が必要なのかという疑問を考えてみる。
 例:日本の調査捕鯨は条約違反に当たった後、どう扱われたか?
・国際捕鯨委員会と国際司法裁判所はどんな役割を果たしたか?
・日本の国際捕鯨取締条約からの脱退と商業捕鯨の再開
・日本の捕鯨の現状は?

第7日(Day7)

第十回 貧困・汚職と国際機構
 国際機構が途上国支援の際に、貧困削減、グッド・ガバナンスや汚職対策をどのように位置づけているのかを理解する必要がある。本講義では、世界銀行、国際通貨基金や国連総会の補助機関である国連開発計画計画といった国連システムの取り組みを説明する。また、EUの取組み、各国際機構に共通点と異なるポイントを明らかにする。

●使用するケース
第十回
要点①途上国支援において国際機構が果たす役割と限界を考えよう。
 例:世界銀行は貧困層に注目して援助する手段。
・具体的にはどんな援助手段を利用したのか?
・問題点・改善点は?
・貧困層にどんな影響を与えたのか?

要点②国際機構間の共通点と相違点を明らかにする。
・各国際機構に共通しているところは何か?
・各国際機構の協力形態は何か?

成績評価方法 Evaluation Criteria

*成績は下記該当項目を基に決定されます。
*クラス貢献度合計はコールドコールと授業内での挙手発言の合算値です。
講師用内規準拠 Method of Assessment Weights
コールドコール Cold Call 0 %
授業内での挙手発言 Class Contribution 20 %
クラス貢献度合計 Class Contribution Total 20 %
予習レポート Preparation Report 0 %
小テスト Quizzes / Tests 0 %
シミュレーション成績 Simulation 0 %
ケース試験 Case Exam 30 %
最終レポート Final Report 0 %
期末試験 Final Exam 50 %
参加者による相互評価 Peer Assessment 0 %
合計 Total 100 %

評価の留意事項 Notes on Evaluation Criteria

使用ケース一覧 List of Cases

    ケースは使用しません。

教科書 Textbook

  • 庄司克宏「国際機構」岩波書店(2006)9784000280426

参考文献・資料 Additional Readings and Resource

山田哲也 「国際機構論入門」東京大学出版会(2018) 9784130322249
滝澤美佐子 (著, 編集), 富田麻理 (著, 編集)「入門国際機構」 法律文化社 (2016) 9784589037770

授業調査に対するコメント Comment on Course Evaluation

初年度担当科目

担当教員のプロフィール About the Instructor 

同済大学大学院にて法学修士(政治と国際関係専攻),早稲田大学大学院にて地域研究専攻博士(アジア太平洋研究科地域研究専攻)を取得。近年、日本の東アジア金融協力政策、また通貨の国際化についての決定要因などのテーマをめぐって、中国、日本および欧米の専門誌で、合計20本以上の査読論文を公刊し、そのうち5本がSocial Sciences Citation Index (SSCI)に収録されている。なお、責任者として、中国国家社会科学基金(科研費基盤研究C相当)などの国家レベルのプロジェクトを担当している。教育について、「国際機構論」、「国際安全保障」、「アジア太平洋の国際関係」、「日本政治・経済論」、「日中関係論」などの科目を担当していた。学際的アプローチの視座の下で、知識の伝授だけではなく、その背後にある考え方を重視し、クラス討議によって生徒たちに地域研究、政策研究などに関する問題意識を持たせるよう工夫をし、能動的な人材を育成することを目標とする。


Refereed Articles

  • (2023) The Effect of ESG performance on the stock market during the COVID-19 Pandemic — Evidence from Japan. Economic Analysis and Policy (79): 2204-2296(on line)
  • (2023) Rationality of Holding US Dollar Assets Based on Global US Dollar Liquidity Structural Transformation. Journal of International Finance and Economics 23(1): 1555-6336
  • (2022) Spillover effect of the RMB and Non-USD currencies after the COVID-19 pandemic: Evidence captured from 30-minute high frequency data. International Review of Economics and Finance 84(2023) 1059-0560
  • (2020) A Study on the Negative Externality of USD Liquidity--Based on the Asset Allocation Efficiency of US Treasury Securities. The Singapore Economic Review (SSCI) 66(3):
  • (2020) The Domestic Politics of the Yen’s Re-internationalisation: Dynamic Interaction and the Core Executive. Asian Studies Review (SSCI, Q1) 45(3):






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