シラバス Syllabus

授業名 ビジネスエコノミクス 1
Course Title Business Economics 1
担当教員 Instructor Name 岩田 正隆(Masataka Iwata)
コード Couse Code NUC131_N23A
授業形態 Class Type 講義 Regular course
授業形式 Class Format On Campus
単位 Credits 2
言語 Language JP
科目区分 Course Category 専門教育科目300系 / Specialized Subject 300
学位 Degree BSc
開講情報 Terms / Location 2023 UG Nisshin Term1

授業の概要 Course Overview

Misson Statementとの関係性 / Connection to our Mission Statement

本科目はMission Statementのうち「ビジネス界や社会の発展をもたらす知識の創出」と強く関連しています。
具体的には、さまざまな商業の展開の背後にある経済合理的なロジックを理解し、多様な経済的状況を解釈し問題解決を志向できる人物を育成することにより、上記の目的の達成を目指します。
The content of the current course is strongly related to such part of the Mission Statement as "to create knowledge that advances business and society."
In practice, we are going to achieve the objective above by educating such persons who comprehend logic of commercial behavior based on the economic-rationality and can deal with various complicated economic situations.

授業の目的(意義) / Importance of this course

本講義では産業組織論およびビジネスエコノミクスの理論を説明します。産業組織論の特徴は、市場構造に応じて変化する企業ならびに消費者の動向を説明する点と、加えて、ゲーム理論を用いて経済主体の戦略的なやりとりを記述する点にあります。本講義は参加者が経済学の基礎的な学習(ミクロ経済学・マクロ経済学)を済ませていることを前提とし、経済学のモデルが幾つも登場します。そのため、講義の序盤ではモデルそのものについて、またそこに登場する分析道具について説明します。ただし毎回、応用的な分野についても触れる予定です。
A lecture on theories of Industrial Organization and its application. It presumes that participants have already learned basic contents of microeconomics and macroeconomics.
We study various models of market (structure) and theories of strategic interaction among firms.
The lecturer (I) wishes to deal as many applications as possible, though, simultaneously we have to learn basic theories of economics in order to enjoy their application. Therefore, I have to speak both on pure theories and applications.

到達目標 / Achievement Goal

産業組織論およびそれを適用可能な事例たちを題材として、企業のさまざまな商業的展開の背景となるロジックを理解し、それを身の回りの観察例の理解に応用することのできる人物を育成することを目的とします。

Using Industrial Organization theories and their applied cases as resources, we aim to educate such persons who comprehend firms' various patterns of commercial behavior that depends on economic rationality and can apply such knowledge to understand those economic phenomena they personally experience and/or observe.

本授業の該当ラーニングゴール Learning Goals

*本学の教育ミッションを具現化する形で設定されています。

LG1 Critical Thinking
LG3 Ethical Decision Making
LG4 Effective Communication
LG5 Business Perspectives (BSc)

受講後得られる具体的スキルや知識 Learning Outcomes

産業組織論に関する基本的な知識技能の習得、
ビジネスエコノミクスの基礎学習による商業にかかわる議論への参加能力の獲得

Basic knowledge on Industrial Organization theories,
Ability to discuss on various commercial topics.

SDGsとの関連性 Relevance to Sustainable Development Goals

Goal 9 産業と技術革新の基盤をつくろう(Industry, Innovation and Infrastructure)

教育手法 Teaching Method

教育手法 Teaching Method % of Course Time
インプット型 Traditional 50 %
参加者中心型 Participant-Centered Learning ケースメソッド Case Method 50 %
フィールドメソッド Field Method 0 %
合計 Total 100 %

事前学修と事後学修の内容、レポート、課題に対するフィードバック方法 Pre- and Post-Course Learning, Report, Feedback methods

●レポートについて:レポートとして(注釈の入った)要約を提出していただきます。
 また、内容について問(とい)を立て、それに答えるエクササイズをしていただきます。
 要するに卒論を書くための準備的トレーニングです。

●試験に対する学習方法:教科書の理解を前提に論述する問題が出ます。
 それに答えられるように勉強をしてきて下さい。

※強化クラブレポートをこの科目に適用するのは止めておいた方がよい、と講師からはおすすめします。
 試験を回避して単位取得を目指す者には、極めて高い理解水準を求める方針だからです。

●この科目に対する自学自習方法:
 予習範囲を開示しますのでその指示に従って予習をしてください。
 復習については、アップロード予定の板書ファイルを手がかりにしながら教科書を読み進んでください。

●ケースや教科書を用いた予習45分~1時間30分、
 教科書の読解を主とする復習に1時間30分~2時間強を想定しています。
 教科書は予復習のどちらでも読解するので、予習で読解に時間をかければ復習の時間はその分縮む想定です。

●レポート(もしあれば)に対するフィードバックはコースの最終回の時間を使って丁寧に行う予定です。

●中央情報センター(図書館)を利用する予定はありません。

授業スケジュール Course Schedule

第1日(Day1)

ガイダンス

応用のためのミクロ経済学の復習

●使用するケース
公正取引委員会「(令和3年2月10日)レンゴー株式会社ほか36名に対する審決について」

第2日(Day2)

産業組織論の分析対象と方法

価格決定の原理──利潤最大化の条件

●使用するケース
・経済産業省(2019)「第2回成長戦略部会 議論の参考資料」より「日本の売上高上位50社のマークアップ率(2013-2017年度平均)」
・教科書pp.4-6の実例群 とくに「Staples、大学生向け教科書、Amazon」
・教科書pp.54-56「学割・シニア割の例」

第3日(Day3)

価格差別──分断化された市場での価格決定

垂直的な企業間関係──取引先の行動をいかに制御するか

●使用するケース
・RIETI議事録「垂直的企業関係の経済分析」
・平成4年 年次経済報告 第3章第4節 「垂直的な企業間関係」(サプライヤー・システム)
・教科書pp.8-9 「牛丼価格戦争」
・村上英樹(2004)「米国国内市場における低費用キャリアが市場に与えた影響の実証分析: 3 社寡占航空市場のケース」

第4日(Day4)

寡占市場での企業競争──価格競争と数量競争

競争政策の基礎──効率性・公平性の追求


●使用するケース
・経済産業省「えっこれってカルテルなの」
・公正取引委員会「アマゾンジャパン合同会社から申請があった確約計画の認定について」
・教科書pp.9-11「水産業における大間のマグロ、関のサバ・アジの事例」
・教科書p.160のll.16-23「日用品にかんする価格広告」

第5日(Day5)

競争緩和のための非価格戦略──製品差別化,広告,スイッチング・コスト

価格決定における企業共謀──談合,カルテル

●使用するケース
・教科書pp.12-14 「ニューヨークの切手入札談合」
・公正取引委員会「(令和2年9月2日)三和シヤッター工業株式会社ほか3名に対する審決について」
・BMIA認定コンサルタント養成講座(基礎)テキストよりコンビニエンスストアのビジネスモデルキャンバス
・根本重之「コンビニエンスストア業界の現状、将来予測と今後の課題について」流通経済研究所
・建設経済研究所 (2021)「建設経済レポート No.73」2021年3月 の第2章 2.1の(2) 「建設投資の減少期 」

第6日(Day6)

市場構造の決定要因──参入と退出

市場構造を変更する戦略──参入阻止,合併,提携

●使用するケース
・教科書pp.14-16 「モンサント社の参入阻止行動」
・教科書pp.224-225 LCCとモンサント社の略奪的価格の事例
・教科書p.230 トヨタ&マツダの技術提携の事例
・教科書pp.16-18 「イノベーターのジレンマ コダックと富士フィルム」
・日本弁理士会「知的財産権の事例 特許事例 VOCALOID」
・特許庁(2022)「企業価値向上に資する知的財産活用事例集-無形資産を活用した経営戦略の実践に向けて-」うちpp.18-21「味の素による事例:StemFit®ブランド」

第7日(Day7)

研究開発と知的財産権──R&Dのインセンティブ

ネットワーク効果と消費者・企業行動──需要が需要を生むメカニズム


●使用するケース
・総務省「情報通信白書 平成19年版」とくに第1章第3節「情報通信と社会生活」のうち pp.157-164、とくにpp.157-160
・経済産業省(2016)「第四次産業革命に向けた横断的制度研究会-報告書」概要
・教科書pp.18-19 「プラットフォームとしての『知るカフェ』」

成績評価方法 Evaluation Criteria

*成績は下記該当項目を基に決定されます。
*クラス貢献度合計はコールドコールと授業内での挙手発言の合算値です。
講師用内規準拠 Method of Assessment Weights
コールドコール Cold Call 0 %
授業内での挙手発言 Class Contribution 30 %
クラス貢献度合計 Class Contribution Total 30 %
予習レポート Preparation Report 0 %
小テスト Quizzes / Tests 0 %
シミュレーション成績 Simulation 0 %
ケース試験 Case Exam 0 %
最終レポート Final Report 20 %
期末試験 Final Exam 50 %
参加者による相互評価 Peer Assessment 0 %
合計 Total 100 %

評価の留意事項 Notes on Evaluation Criteria

発言30点、課題レポート20点、期末試験50点です。これ以外の評価基準を設けることはありません。
発言点が平常点の枠を兼ねています。平常点に関する評価は発言点を動かすことで行ないます。
単位発行に関して相対評価を行いますが、さすがに素点が極端に低い者は落第させようと思っています。

使用ケース一覧 List of Cases

    ケースは使用しません。

教科書 Textbook

  • 花園 誠「産業組織とビジネスの経済学」有斐閣(2018)978-4641150591

参考文献・資料 Additional Readings and Resource

[1]泉田 成美、柳川 隆「プラクティカル産業組織論 (有斐閣アルマ) 」有斐閣(2008) ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4641123724

授業調査に対するコメント Comment on Course Evaluation

特にありません。

担当教員のプロフィール About the Instructor 

●学位と取得大学
 修士(経済学)東京大学
 博士(経済学)東京大学
●研究分野
 貨幣経済、労働経済、チープトーク
●主な論文
 「Three Essays on Monetary Exchanges through Shops」、東京大学経済学研究科博士論文、2008年
 「Aggregative Approach to Cheap Talk Credibility: A Survey」、名古屋商科大学論集57巻第2号、2013年
 「貧富の経験、判断、債券市場」、名古屋商科大学論集58巻第2号、2014年
●主な著書
 「多様化する社会と多元化する知−−「あたり前」を疑うことで見える世界」
 ナカニシヤ出版(2017)、共著、ケース&ディスカッション2を担当

Academic Degree: Ph.D of economics, Graduate School of Economics, University of Tokyo.

Research Interest: Monetary Exchange, Cheap Talk







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