シラバス Syllabus

授業名 中東の社会と文化
Course Title Society and Culture in the Middle East
担当教員 Instructor Name 池田 美佐子(Misako Ikeda)
コード Couse Code NUC107_N20A
授業形態 Class Type 講義 Regular course
授業形式 Class Format
単位 Credits 2
言語 Language JP
科目区分 Course Category
学位 Degree BSc
開講情報 Terms / Location 2020 UG Nisshin Term1

授業の概要 Course Overview

Misson Statementとの関係性 / Connection to our Mission Statement

授業の目的(意義) / Importance of this course

本学が求める国際的視野に立ったリーダーの育成にとって不可欠な国際社会の理解をはぐくむものである。 本講義は、「中東」と呼ばれる地域の社会や文化の基本的な事項を知ることを通して、異文化を理解するとはどういうことかを考え、また翻って自分が属する社会や文化を相対的とらえ直すことを目的とする。私たちにとって「中東」は世界のなかでも最もなじみがなく、また戦争やテロなどネガティブなイメージが先行する地域である。そのようなイメージはメディアなど通して歪曲され単純化された情報に基づくものであることを認識した上で、普段かいま見ることがあまりできない中東の宗教、生活、文化、さらに経済や政治について多角的に検討していく。私たちとは異なった価値観や習慣を持つ人々を本当に理解することは、実はそんなに簡単なことではない。しかし、異文化に接し考えることは、自分の視野を広げ、新しいものの見方を学び、また自分自身の文化や価値観を見つめ直すプロセスでもあることを学んでほい。

 建学の精神であるフロンティア・スピリットに基づいて本学が育てるのは国際化社会で生き抜く人材である。本科目は日本とは全く文化や価値観が異なる中東の社会の学習である。学生はこの学習を通して、国際社会を構成する多様な価値観や見方を学ぶことができる。
This course aims to advance the ability of students to understand the global society, which is essential for the leaders that NUCB intends to bring up. In this course students are required to gain the basic knowledge about society and culture in the Middle East and to learn how to look at the cultures foreign to them. In the end, they are encouraged to reexamine their own society and culture from the global perspective. The Middle East is one of the most unknown regions and often is associated with the negative images such as wars and terrorism. Students first learn where these negative images come from and explore the history, religion and society in the area which the media covers less.

We aim to educate students to be able to actively participate in the globalized society. This course provides students with knowledge of and the way looking at cultures and values completely different from their own. Students learn cultural diversity in the globalized society through the study of the Middle East.

到達目標 / Achievement Goal


本授業の該当ラーニングゴール Learning Goals

*本学の教育ミッションを具現化する形で設定されています。

LG1 Critical Thinking
LG2 Diversity Awareness
LG3 Ethical Decision Making
LG4 Effective Communication

受講後得られる具体的スキルや知識 Learning Outcomes

・中東の歴史、宗教、文化、社会について基本的な知識が身につく
・自分とは異なった文化に興味を持ち、受け入れることができる
・自分の文化や価値観を相対的に捉えることができる

・Students acquire basic knowledge about history, religion, culture and society in the Middle East.
・Students get interested in other cultures and appreciate them.
・Students are able to see their own culture and values in a broader perspective.

SDGsとの関連性 Relevance to Sustainable Development Goals

教育手法 Teaching Method

教育手法 Teaching Method % of Course Time
インプット型 Traditional 50 %
参加者中心型 Participant-Centered Learning ケースメソッド Case Method 50 %
フィールドメソッド Field Method 0 %
合計 Total 100 %

事前学修と事後学修の内容、レポート、課題に対するフィードバック方法 Pre- and Post-Course Learning, Report, Feedback methods

・準備学習: 
次回の講義内容について、参考文献を用いて予習をし、受講後はレジュメをもとに講義内容を復習し、関連の内容を文献、新聞、雑誌、インターネット、映画などを用いて、さらに知識を深める。事前および事後学習の時間は各100分を目安とする。
・課題に対するフィードバック:
中間試験のフィードバックについては、オフィスアワー に研究室で個別の指導をする。
・中央情報センターの活用:
中東に関する知識や理解は、新聞、雑誌、インターネット、映画などまざまざなメディアを使って深めることができる。情報センターでこれらを積極的に活 用してほしい。

授業スケジュール Course Schedule

第1日(Day1)

ガイダンス:
まず初めに、本講義のねらい、講義全体の概要、レポート課題、成績評価、受講上の留意点などを説明する。続いて、私たちにとって地理的にも文化的にも遠い「中東」という地域を理解することはどういう意義があるのかを考える。

中東の民族-(1)アラブ人
「中東」と言っても、それが何か正確に答えられる人はあまりいない。中東は広い地域を含むため、その自然環境、民族構成、文化は多種多様である。まず中東はどこをさすのか確認し、代表的な民族をとりあげる。まずはアラブ人とトルコ人の歴史、宗教、言語などを概観する。


●使用するケース
中東や他の文化の人々が、日本をいかにみているかを映像で考える。異文化理解を、見られていることから考える。

第2日(Day2)

中東の民族ー(2)トルコ人
 ここでは、トルコ人の歴史、宗教、言語などを概観する。エルトゥールル号事件など、日本とトルコの深い関係も考察する。

中東の民族ー(3)イラン人
イラン人の歴史、宗教、言語などを概観する。独自の歴史や言語の維持、繊細な芸術、シーア派を国教とする独自性を学ぶ。


●使用するケース
エルトゥールル号事件を通して、日本とトルコの知られざる歴史的な関係を考える。

第3日(Day3)

中東の民族ー(4)イスラエル人
イスラエル人の歴史、宗教、言語などを概観する。独自の歴史や宗教の維持、イスラエル建国後のパレスチナ問題を考える。
後半は、学生が4つの民族についてのプレゼンを行なう。


●使用するケース
パレスチナ問題を、イスラエルとパレスチナの双方の立場に立って考える。

第4日(Day4)

「中東の宗教」をテーマとする。中東にはキリスト教徒も多く住んでいるが、大半の人々はイスラーム教徒(ムスリム)であり、かれらの生活のなかにイスラームは深く根づいている。イスラームという宗教の歴史、教義上の特徴、宗派などの基礎的な知識を学び、イスラームがどのように個人や社会に関わっているかを概観する。
また、イスラームは現世におけるムスリムの実践を重んずる宗教であり、そのために人々の日々の生活に宗教的な教えや行いが自然な形でとけ込んでいる。それは特に、信仰告白、礼拝、喜捨、断食、巡礼からなる「五行」に集約されている。ムスリムはそれらを実際どのように日常の生活の中で実践しているか、イスラームの祭りなども含めて検討する。


●使用するケース
イスラームが日常生活に自然に溶け込んでいること、とくに他の人たちに手を差し伸べる社会を良くしていこうとする宗教であることを五行の具体例から学ぶ。

第5日(Day5)

「中東の食と衣」
世界のどの地域においても、衣・食・住は生活の基礎であり、その地域の文化や自然環境を色濃く反映する。まずは食文化に焦点をあて、おもてなしの精神、主食、代表的な料理、飲み物、お菓子など紹介し、さらに最近日本のニュースでも取り上げられている「ハラール」食品についても言及する。
服飾文化については、伝統的な男女の服装、装飾、美意識、さらに女性のベールの種類や着用の意味を考える。


●使用するケース
日本が製造しているハラール食品の具体例から、ハラールの意味や日本とのつながりを考える。

第6日(Day6)

「イスラームの日常生活ー家族、結婚、ジェンダー」
中東の人々は家族とても大切にし、その強い絆は広い親戚までも及ぶ。彼らはどのような家族 生活をおくっているのを、家族の意味、名前、結婚、ジェンダー(男女のありかたや役割) などと通して検討していく。とくに問題視されがちな女性の立場について考察を加えていく。
具体的に理解するために、サウジアラビアの映画を観る。


●使用するケース
サウジアラビアの少女の物語を通して、女性に厳しいサウジ社会の現実と、その中で自由を求める女性の主体的な動きを考える。

第7日(Day7)

「中東の世界遺産」
中東は4大文明のうち二つの文明を擁する地域で早くから高度な文明が発達し、またその後も長く複雑な歴史を辿った。そのため中東各地には長い歴史の足跡をとどめた世界文化遺産が多くある。ここでは、その歴史をかいま見るために、エジプトのピラミッド群、ヨルダンのベトラ遺跡、エジプトカイロのイスラーム歴史地区を取り上げて文明の足跡を検討する。
後半は、これまで学んだテーマについて、学生がプレゼンを行う。
最後に全体のまとめを行う。


●使用するケース
中東の世界遺産の一つを取り上げて、中東の歴史の深さと重層性を考える。

成績評価方法 Evaluation Criteria

*成績は下記該当項目を基に決定されます。
*クラス貢献度合計はコールドコールと授業内での挙手発言の合算値です。
講師用内規準拠 Method of Assessment Weights
コールドコール Cold Call 0 %
授業内での挙手発言 Class Contribution 20 %
クラス貢献度合計 Class Contribution Total 20 %
予習レポート Preparation Report 5 %
小テスト Quizzes / Tests 25 %
シミュレーション成績 Simulation 0 %
ケース試験 Case Exam 0 %
最終レポート Final Report 0 %
期末試験 Final Exam 50 %
参加者による相互評価 Peer Assessment 0 %
合計 Total 100 %

評価の留意事項 Notes on Evaluation Criteria

挙手発言の上限は20点

使用ケース一覧 List of Cases

    ケースは使用しません。

教科書 Textbook

  • N/A「担当者が作成したレジュメを使用する。」N/A(N/A)

参考文献・資料 Additional Readings and Resource

板垣雄三監修『イスラーム世界がよくわかるQ&A100』亜紀書房、1998
臼杵陽『イスラムの近代を読みなおす 』毎日新聞社、2001
酒井啓子 『 <中東>の考え方』」講談社現代新書、 2010、 ISBN-10: 4062880539 ISBN-13: 978-4062880534
塩尻和子・池田美佐子『 イスラームの生活を知る事典』東京堂出版、2004
ハムダなおこ『アラブからこんにちは』国書刊行会、2013、ISBN-10 4336056862
師岡カリーマ・エルサムニー『イスラームから考える』白水社 2008、 ISBN 978-4-560-03182-7
師岡カリーマ・エルサムニー『変わるエジプト、変わらないエジプト』白水社 2013、 ISBN 978-4-560-08325-3

授業調査に対するコメント Comment on Course Evaluation

丁寧に説明する。

担当教員のプロフィール About the Instructor 

●学位:
・修士(国際関係学) 津田塾大学
・修士(中東研究) ブランダイス大学
・博士(歴史学/ 中東研究) ハーバード大学

●研究分野 :
エジプト近現代史・中東研究


●Academic Degree:
・MA (International Relations) Tsuda College
・MA (Middle East Studies) Brandeis University
・Ph.D.(History/Middle East Studies) Harvard University

●Research Area:
Modern History of Egypt, Middle East Studies

Refereed Articles

  • (2023) Can Japan Aspire to a Gender-Equal Society? Japanese Male and Female Students’ Attitudes Regarding Marriage and Gender Roles in Family and Society. Forum of International Development Studies 54(1): 2189-9126
  • (2022) Independence and constitutionalism in Egypt 1919–1922. International Journal of Asian Studies (Cambridge University Press) 20(2): 1479-5914
  • (2014) parliamentary records in Monarchical Egypt: their values and database. "Asian Studies for Tomorrow" by Research and Information Center for Asian Studies, Institute for Advanced Studies on Asia, University of Tokyo (31):
  • (2012) Development of Democracy And Parliamentary Records in Egypt. Journal of Oriental Studies 94(2): 0386-9067
  • (2011) The Development of Democratic Institutions in Egypt: Constitutions and Parliaments. Review of Modern Ideas 39(4):

Refereed Proceedings

  • (2020). Comments and Discussions on Papers by Yakoob Ahmed and Tomonori Sato. Toyo Bunko E-Resource Network Storage .The 8th International Symposium Inter-Asia Research Networks: Structural Changes in Modern Middle East. 1. 2. The Toyo Bunko






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