シラバス Syllabus

授業名 東洋の歴史
Course Title Asian History
担当教員 Instructor Name 松尾 信之(Nobuyuki Matsuo)
コード Couse Code NUC105_N20A
授業形態 Class Type 講義 Regular course
授業形式 Class Format
単位 Credits 2
言語 Language JP
科目区分 Course Category
学位 Degree BSc
開講情報 Terms / Location 2020 UG Nisshin Term1

授業の概要 Course Overview

Misson Statementとの関係性 / Connection to our Mission Statement

授業の目的(意義) / Importance of this course

A. 本科目の意義、 背景、内容、重要性

 意義、背景、重要性は以下の3点です。

 1.アジアの歴史、社会に関する基礎的な知識を身に付ける、
 2.世界の他の地域に興味を広げる、
 3.アジアの中での日本の現状・将来について、自分の考えをまとめる、です。

   講義内容としては、アジア史全体を概観します。

講義におけるケースメソッドの導入

 全7回それぞれにおいて、事前指定課題・配布プリントなどを使い、各回の内容に即したテーマに関するディスカッション(まずグループで、次いでクラス全体で)を行います。事前指定課題・テーマなどは各週のシラバスに示してあります。まずグループ毎にディスカッションします。その後、各グループのディスカッション内容を、代表者がクラス全体にプレゼンし、全体で質疑応答をします。


B. 卒業認定・学位授与の方針と当該授業科目の関連について

 「ディプロマポリシー」の根幹である「建学の精神」に「国際主義」とあり、学生の「広い視野と深い洞察力」を要求している。本科目はそれらの養成を目的としている。

 本科目では、上記のラーニングゴールの確かな実現に向けて、ケース教材を用いた討論授業を行います。本科目の履修者には、討論授業に参加するための予習レポートの作成と、クラスでの積極的な発言が求められます。
A. Students are required to learn basic knowledge about Asian history and to have their own point of view on it. Students are supposed to learn asia from ancient to present times, from middle east to far east.


B. This course intends to foster students' international point of view.

In this course, we will conduct class discussions using case studies in order to achieve the learning goals. The students attending this course may be required to write a preparatory report and must participate in the class discussions.

到達目標 / Achievement Goal


本授業の該当ラーニングゴール Learning Goals

*本学の教育ミッションを具現化する形で設定されています。

LG1 Critical Thinking
LG2 Diversity Awareness

受講後得られる具体的スキルや知識 Learning Outcomes

アジアの歴史、社会に関する基礎的な知識を身に付ける。

Students learn basic knowledge about Asian history

SDGsとの関連性 Relevance to Sustainable Development Goals

教育手法 Teaching Method

教育手法 Teaching Method % of Course Time
インプット型 Traditional 50 %
参加者中心型 Participant-Centered Learning ケースメソッド Case Method 50 %
フィールドメソッド Field Method 0 %
合計 Total 100 %

事前学修と事後学修の内容、レポート、課題に対するフィードバック方法 Pre- and Post-Course Learning, Report, Feedback methods

・準備学習:各週、事前に指定したテキスト(原則として教科書の一部分)を読み、事前課題の答案を作成し、プリントアウトして提出(約2時間)。

・レポートについて:各週の事前課題の答案を、レポートとします。

・中央情報センターの活用について:教科書、参考書はすべて情報センターに置いてあります。その他の関連する資料も含め、積極的に利用してください。

授業スケジュール Course Schedule

第1日(Day1)

1 イントロダクション
 本講義の目的、範囲を述べます。次いで本科目のキーワード(東洋史、5つの「地域世界」、民族、国家、時代区分)を紹介します

2 オリエント・地中海世界
 古代において、ローマ帝国の時代まで、オリエント・地中海が1つの地域世界を形成したこと、そのうち、オリエント部分はローマ帝国後期に至るまで重要であり、そのため初期キリスト教もオリエント中心だったこと、を述べます。


●使用するケース
日本が「東アジア農耕世界」の一部であることを示す事例を挙げてください。

課題:
1.松田壽男「アジアの歴史」の25-30ページ(当日配布)を読んでください。
2.大航海時代開始(15世紀ころ)以前の世界の歴史は通常、いくつかの「地域世界」ごとに語られます(例えば高校世界史では、ユーラシアをヨーロッパ、西アジアなどの5つに分けられています)。教科書もアジアを5つの「地域世界」に区分し、日本は「東アジア農耕世界」に含まれるとされています。日本が「東アジア農耕世界」の一部であることを示す事例を、身近で良い(例:箸での食事など)ので、いくつか挙げてみてください。

 クラスでは事前課題・配布プリントなどを使い、上記テーマに関するディスカッション(まずグループで、次いでクラス全体で)を行います。それぞれの案には、そう考える理由も複数挙げてください。

第2日(Day2)

西アジア、ヨーロッパの形成
 古代の地中海・オリエント世界は分裂し、中世前期、9、10世紀までに、それぞれ東方教会、カトリック、イスラム教を核として、東ヨーロッパ、西ヨーロッパ、西アジア世界が形成されます。

●使用するケース
もし古代末期から中世初期にかけて、オリエント・地中海世界が分裂しなかったとします。その場合、現代の地中海沿岸からヨーロッパにかけての地域の状況は、現実とどのような点で異なっているでしょうか? 身近なことでも良いので、いくつか挙げてみてください。

事前課題:教科書(宮崎市定「アジア史概説」)第2章第1節の「イスラム教出現の世界史的意義」(約2ページ)を読み、まず自分で下記の1、2を作成する。

1.要約(200字程度)
2.上記のテーマに対する自分の考え(200字程度)

 クラスでは事前課題・配布プリントなどを使い、上記テーマに関するディスカッション(まずグループで、次いでクラス全体で)を行います。それぞれの案には、そう考える理由も複数挙げてください。

第3日(Day3)

1 東南アジアの前近代

 東南アジアは一見、文化面(特に宗教、文字、言語など)で多様で、他の地域世界のような統一性に欠けています。周辺世界から様々な文化を受容した地域です。また前近代までに現存国家の原型が未成熟でした。 

2 「中国」の原型の形成
 華北の文化が周辺に拡大し、紀元前後までに中国の文化・地理的領域の原型が形成されます。

●使用するケース
東南アジアはなぜ、どのようにして、このような(民族、言語、文化など様々な面で)多様な世界になったのでしょう。

事前課題:教科書(宮崎市定「アジア史概説」)第2章第2節の「マライとジャワ」~「インドシナと中国」(約4ページ)を読み、まず自分で下記の1、2を作成する。
1.要約(200字程度)
2.上記のテーマに対する自分の考え(200字程度)

 クラスでは事前課題・配布プリントなどを使い、上記テーマに関するディスカッション(まずグループで、次いでクラス全体で)を行います。それぞれの案には、そう考える理由も複数挙げてください。

第4日(Day4)

1 中国と東アジア世界
 10世紀頃までに、「中国」文化の基本的要素はほぼ出揃い、また周辺にも中国文化が広がって「東アジア世界」が形成されます。
2 大航海時代
 トルコ世界の形成と、西アジアとヨーロッパとの対抗関係、それに西欧の世界進出とを取り上げます。

●使用するケース
日本が中国文化の影響を受けなかった場合のわれわれの生活は、現実とどのように異なっているでしょう?

事前課題:教科書(宮崎市定「アジア史概説」)第1章第4節2の「文字の成立と紙の発明」(約1ページ)、「仏教の東漸」(約1ページ)を読み、まず自分で下記の1、2を作成する。

1.要約(200字程度)
2.上記のテーマに対する自分の考え(200字程度) 。文字、国家制度、芸術から、衣食住まで、日本文化は中国文化の大きな影響を受けてきました。それらがもし導入されていなかった場合の我々の生活は、どのようなものか、想像してください。 

 クラスでは事前課題・配布プリントなどを使い、上記テーマに関するディスカッション(まずグループで、次いでクラス全体で)を行います。それぞれの案には、そう考える理由も複数挙げてください。

第5日(Day5)

オランダの世界進出
 17世紀にオランダがアジアに進出し、貿易の主導権を握り、また領域支配を開始し、近代につながります。

東アジアの近世
 東アジアにおいては、中国を中心とした冊封体制が存在し、それが当時の貿易を規定し、また現在の国家・国境につながっていきます。


●使用するケース
日本が江戸時代にも、オランダ以外の西欧諸国との関係を維持していたら、どうなった?

事前課題:杉山伸也「グローバル経済史入門」60-65ページ(第1週に配布)を読み、まず自分で下記の1、2を作成する。
1.要約(200字程度)
2.上記のテーマに対する自分の考え(200字程度)。江戸前期に日本はオランダとの限定的な関係を除き、西欧との関係を断ちました。もし関係を維持したらどうなったでしょうか? この時期の西欧諸国は相互の戦争が絶えませんでした。しかし江戸時代の日本は鎖国政策だけが理由ではないでしょうが、平和が約250年間続き、経済発展したと考えられています。他方、西欧と一定の関係を維持した中国は、19世紀前半までは貿易で利益を上げたと考えられています。また南北アメリカは西欧諸国により、一方的に植民地化されてしまいました。

 その後に事前課題・配布プリントなどを使い、上記テーマに関するディスカッション(まずグループで、次いでクラス全体で)を行います。複数あげ、それぞれについて説明してください。

第6日(Day6)

欧=亜関係の逆転と植民地支配

 17、18世紀に、軍事面、経済面、文化面においてヨーロッパとアジアとの関係は逆転し、それが植民地支配、につながっていきました。

●使用するケース
18世紀以降、アジアの多くの地域が植民地支配されたが、避けられなかったのでしょうか? こうすれば避けられた、という方法ないし条件を考えてください。

事前課題:教科書(宮崎市定「アジア史概説」)第6章第3節の「イギリス人征服の時代」~「フランスのインドシナ経略」(約7ページ)を読み、まず自分で下記の1、2を作成する。
1.要約(200字程度)
2.上記のテーマに対する自分の考え(200字程度)

 クラスでは事前課題・配布プリントなどを使い、上記テーマに関するディスカッション(まずグループで、次いでクラス全体で)を行います。それぞれの案には、そう考える理由も複数挙げてください。

第7日(Day7)

第二次世界大戦、独立、冷戦
 
 第二次世界大戦と、その後、1950年前後までの各国の独立により、ほぼ現在のアジアの国境と、冷戦構造とが成立しました。その経緯を見ていきます。

●使用するケース
アジア諸国における国民統合(各国内部における統一性の強化)は今後、進展すると考えますか?

事前課題:「(新版)東南アジアを知る事典」(平凡社、2008)536-537ページ(第1週に配布)を読み、まず自分で下記の1、2を作成する。

1.要約(200字程度)
2.上記のテーマに対する自分の考えと、そう考える理由(200字程度)。
先進国の多くは、数百年間をかけて国民統合を進めてきました。現在は国内では相対的にかなり均質になり、国民統合がかなり進展したと言えます。
しかし既に学んだように、多くのアジア諸国の地理的範囲は、比較的近年に形成・確定しました。各国内部では、宗教、民族、言語などが多様です。
 アジア諸国における様々な問題(極端な場合はテロ、内戦などに至っています)の多くは、こうした多様性が原因と言えます。しかし過去の先進国において行われた、いささか強引な国民統合のための措置(例:近代日本における沖縄・北海道)は、もし現在のアジア諸国において行われた場合、人権侵害などと国際的にも非難されるなどして、実行は困難と考えられます。
 では今後、どうなるのでしょうか? 利便性、経済的利益、などのために各国内の少数派が言語などの面で徐々に同化しているようにも見えますが、逆に宗教面での同化は、実現性が薄くなっているように見えます。

 その後に事前課題・配布プリントなどを使い、上記テーマに関するディスカッション(まずグループで、次いでクラス全体で)を行います。複数あげ、それぞれについて説明してください。

成績評価方法 Evaluation Criteria

*成績は下記該当項目を基に決定されます。
*クラス貢献度合計はコールドコールと授業内での挙手発言の合算値です。
講師用内規準拠 Method of Assessment Weights
コールドコール Cold Call 0 %
授業内での挙手発言 Class Contribution 20 %
クラス貢献度合計 Class Contribution Total 20 %
予習レポート Preparation Report 30 %
小テスト Quizzes / Tests 0 %
シミュレーション成績 Simulation 0 %
ケース試験 Case Exam 0 %
最終レポート Final Report 0 %
期末試験 Final Exam 50 %
参加者による相互評価 Peer Assessment 0 %
合計 Total 100 %

評価の留意事項 Notes on Evaluation Criteria

 「受講態度が、他の受講生の講義参加を妨げるようなものであった場合は、減点します。

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重点クラブのレポート試験について

 松尾は経験上、レポート試験と定期試験とを、公平に成績評価することがとても困難であると感じています。従って重点クラブのレポート試験は行いません。重点クラブのみなさま、申し訳ありません。

使用ケース一覧 List of Cases

    ケースは使用しません。

教科書 Textbook

  • 宮崎市定「『東洋史概説』」中公文庫プレミアム(2018)978-4122066038

参考文献・資料 Additional Readings and Resource

[1]松田壽男『アジアの歴史』, 2006, 9784006001629
[2]愛宕元『東洋史概説』学術図書出版社, 1999, 978-4873614007
[3]石橋秀雄『アジア史の流れ』山川出版社, 1973, 4634640104
[4]布目潮ふう『東洋史ー大学ゼミナール』法律文化社,1978,9784589004741
[5]三上次男『ぼくらの東洋史』中央公論美術出版, 1992, 4805502479

授業調査に対するコメント Comment on Course Evaluation

平均前後の評価だったので、よりよい評価が得られるよう努力します。

担当教員のプロフィール About the Instructor 

文学修士 東京大学

研究分野:アジア史、東南アジア社会

M.A. University of Tokyo

Asian history, Society in Southeast Asia

Refereed Articles

  • (2016) Vietnamese History Seen from the Mountain Areas. Grants-in-Aid for Scientific Research - JSPS






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