シラバス Syllabus

授業名 グローバル化時代と日本
Course Title Globalization and Japan
担当教員 Instructor Name 藤井 京子(Kyoko Fujii)
コード Couse Code NUC100_N20A
授業形態 Class Type 講義 Regular course
授業形式 Class Format
単位 Credits 2
言語 Language JP
科目区分 Course Category
学位 Degree BSc
開講情報 Terms / Location 2020 UG Nisshin Term1

授業の概要 Course Overview

Misson Statementとの関係性 / Connection to our Mission Statement

授業の目的(意義) / Importance of this course

(1)本学のMission Statementとの関わりについて
 この講義を受講することによって、学生がグローバル化時代の問題について理解・関心を深め、世界的視野とフロンティア・スピリットを身につけ、日本のビジネス界に貢献し、また国際的な舞台に立って活躍するよう促進する。

(2)講義の意義・背景・内容・重要性、並びにケースメソッドの導入について
 ここ数十年でグローバル化が急速に進む一方で、21世紀に入っても紛争やテロが頻発し、貧困や格差、環境問題等は深刻化している。そうした状況のなかで日本はどのように対応してきたのか、また、対応すべきなのか。本講義では、主に領土・海洋権益を巡る問題、軍縮・安全保障に関する問題、貿易分野に関してできるだけ多くの事例を挙げて、日本の関与・役割を検討し、成果や問題点、展望などを考察する。
 具体的には、日中・日韓・日露との間の歴史認識と領土・海域を巡る問題、政府開発援助(ODA)、捕鯨問題、環太平洋経済連携協定(TPP)11・東アジア地域包括的経済連携(RCEP)協定など地域的自由貿易協定に伴う問題などにケース・メソッドの手法で取り組みたい。 

(3)卒業認定・学位授与の方針と当該科目との関連について
 本講義は「学部共通 専門教育科目(ミッションに係る科目)300系」です。

本科目では、下記のラーニングゴールの確かな実現に向けて、ケース教材を用いた討論授業を行います。本科目の履修者には、討論授業に参加するための予習レポートの作成と、クラスでの積極的な発言が求められます。
 The course is an optional course within international studies of social sciences. It has no prerequisites, and students who are not interested in regional or global issues are encouraged to take the course.
 It is said that globalization has been proceeding in the world these days. Does it affect domestic and international society, and the traditional disputes or new type of terrorism?
 This course will examine important themes in the world and Japan from historical, political and legal view.
How the territorial and jurisdictional issues, such as Senkaku Islands, Takeshima, South China Sea, or Folkland Island happened? What elements do they involve?
 Or globalization affect the relation of the developing countries and developed countries? How the World Trade Organization and the free trade agreements, e.g. NAFTA, TPP or RCEP have affect the regional and world society?
 These are key issues which will be discussed.

In this course, we will conduct class discussions using case studies in order to achieve the learning goals. The students attending this course may be required to write a preparatory report and must participate in the class discussions.

到達目標 / Achievement Goal


本授業の該当ラーニングゴール Learning Goals

*本学の教育ミッションを具現化する形で設定されています。

LG1 Critical Thinking
LG2 Diversity Awareness
LG4 Effective Communication

受講後得られる具体的スキルや知識 Learning Outcomes

 本講義では受講生が、日本をとりまく主要な問題を日本の立場からだけではなく、アジアの視点で、さらにはグローバルな視座で位置づけ、考察し行動する能力を身につけることができるようにする。

This course enables students to analyze the questions, which mentioned above, with historical, legal and global view.

SDGsとの関連性 Relevance to Sustainable Development Goals

教育手法 Teaching Method

教育手法 Teaching Method % of Course Time
インプット型 Traditional 50 %
参加者中心型 Participant-Centered Learning ケースメソッド Case Method 50 %
フィールドメソッド Field Method 0 %
合計 Total 100 %

事前学修と事後学修の内容、レポート、課題に対するフィードバック方法 Pre- and Post-Course Learning, Report, Feedback methods

● 準備学習(予習・復習等)
 予習では、教科書の関連部分や参考文献、classroom に掲載された情報などを読んでおいてください。
 復習では、講義資料として毎回配布するプリント等を読み、要点をまとめて書いてみてください。 配布プリントに記載された「今回の目的」が設問形式になっているので、復習のときに、その設問に答えて解答を作成してみること。
 特に、復習において実際に書いてみることが重要です。

● 課題(試験・レポート等)に対するフィードバック方法
レポート課題については第1週に説明し、提出期限を第4週の講義時とする予定です。
フィードバックについては、返却時の講義中に全般的なコメントを行う。

★ 講義内容、レポート、提出物などに関して質問のある学生さんは、講義の前後に教卓に、又オフィスアワーに研究室に来てください。個別に対応します。

● 中央情報センター(図書館)の活用について
 この科目に関連する著書や論文は多数ありますが、かなり高価で入手しにくいため、教科書を除いて学生が個人で購入することは少ないと思われます。したがって、参考文献として挙げたもの、また講義のなかで紹介する文献を中央情報センターで利用していただきたい。
 特に基本的で重要な文献は、指定図書として館内のみの閲覧としています(できるだけ多くの学生が利用できるようにするため)。他方で、指定図書でも通常の図書と同様に貸出可能な本もありますので、指定図書のコーナーに行ってみてください。
 また、講義の復習において、学生同士で講義における疑問、ポイントの確認などをディスカッションすることも有効な学修方法であるので、その際にグループ・スタディールームを利用してほしい。

授業スケジュール Course Schedule

第1日(Day1)

開発途上国への援助とビジネス
 先進国が途上国を支援する仕組であるODA(政府開発援助)を中心に検討する。ODAの形態と定義、日本のODAの歴史・特色・実績・問題点を分析し、MDGsの達成状況、SDGs2030の意義を検討する。
 他方で、民間による支援(NGO/NPOによる支援)を紹介し、また企業による途上国でのビジネス(BOPブジネス/インクルーシブビジネス)の意義を検討する。

●使用するケース
「開発途上国をいかに支援していくか 〜 ODA・NGOによる支援・BOPビジネス」
どういう国にどのように援助するべきか? 
次の3つの枠組で考える。
⑴ ODAの二国間援助・多数国間援助
⑵ 民間NGO/NPOによる途上国支援
⑶ BOPブジネス/インクルーシブビジネス

第2日(Day2)

日中関係と尖閣諸島問題
 尖閣諸島問題は日中関係における重要な要因の1つ。まず、この問題を巡る近年の動き・歴史を概観し、次に両国の主張を国際社会のルール(国際法)に基づき検討し、その評価を試みる。


●使用するケース
領土・海洋を巡る紛争はどのように解決されるべきか?
次の2つの事例で考える。
⑴ 南シナ海問題(人工島を造成して進出する中国と周辺国・米国との対立
⑵ フォークランド紛争(イギリスとアルゼンチン)

第3日(Day3)

日韓関係を考える
 日韓関係を規定する大きい要因である竹島問題を検討する。竹島問題を巡る近年の動き・歴史を概観し、次に両国の主張を国際社会のルール(国際法)に基づき検討し、その評価を試みる。

●使用するケース
現在の日韓関係を歴史的側面から考える
次の4つの枠組で考える。
⑴ 日本による朝鮮半島の植民地支配
⑵ 徴用工問題
⑶ 慰安婦問題
⑷ 日韓基本関係条約・日韓請求権協定

第4日(Day4)

軍縮問題から世界を見る
⑴ クラスター弾と国際社会
 通常兵器の中でも、特に非人道的であるとして特定通常兵器に分類される「クラスター(集束)弾」を取り上げる。
 クラスター弾は、そのもたらす被害が「対人地雷」に類似しているため、「第二の地雷」と呼ばれる。対人地雷を禁止する条約が1999年に発効したのに対し、クラスター弾については10年以上遅れた。それはなぜか。また、クラスター弾禁止条約の成立過程の特色・条約の内容や意義を検討する。

⑵ 化学兵器とシリア内戦
 シリア内戦において2013年8月に化学兵器(毒ガス)が使用されたことを契機に、国連安全保障理事会は、シリアの化学兵器全廃決議を採択し、実施された。なぜ特に、化学兵器が問題とされるのか。また化学兵器禁止条約の内容・意義を検討する。

●使用するケース
大量破壊兵器に分類される「化学兵器」で軍縮問題を考える。
次の4つの枠組で考える。
⑴ 大量破壊兵器とは? 規制する条約は?
⑵ なぜ特に、化学兵器が問題とされるのか。
⑶ 2013年8月のシリアでの化学兵器使用疑惑から国連安保理による化学兵器全廃決議とは

第5日(Day5)

⑴ 希望学生によるプレゼンテーションと質疑応答(第1週のテーマに関連して)
プレゼンテーマ「開発援助とBOPビジネスはどのように行われているか」
具体的には
① ODA(二国間援助・多数国間援助)の実施例
② NGO/NPOによる途上国支援の実施例
③ BOPビジネス/インクルーシブビジネスの実施例

⑵ 領土紛争〜 北方領土の場合
 第二次大戦末期にソ連により占領された北方領土(歯舞・色丹・国後・択捉)。この問題を巡って日本とロシア間で1956年の日ソ共同宣言の後、条約は締結されていない。2016年の日露首脳会談において新しいアプローチが出され、進展するかに見えたが、依然として膠着状況にある。北方領土問題を日露双方の立場と領有権の問題(帰属の問題)、並びに、これまでの交渉経緯から検討する。
さらに、北方領土問題はいかにして解決されるか〜どのような解決方法が実現可能かにつき、次の4つの枠組で考える。
⑴ 日本の主張・ロシアの主張
⑵ 国際法に基づく検討
⑶ 4島一括返還・2島先行返還・2島返還+α とは
⑷ 日露を巡る政治状況

第6日(Day6)

日本の調査捕鯨と国際社会
 日本が南極海において実施してきた調査捕鯨は、国際捕鯨取締条約に基づく「科学的な調査の目的のための」捕鯨(=調査捕鯨)とは言えないとされた(2014年3月の国際司法裁判所ICJ判決)。この判決に関連して、世界の捕鯨問題を検討する。


●使用するケース
日本の捕鯨政策はどうあるべきか
次の5つの枠組で考える。
⑴ 国際捕鯨取締条約とIWC
⑵ 商業捕鯨モラトリアム
⑶ 2014年3月の国際司法裁判所ICJ判決
⑷ 日本の新鯨類科学調査計画(2015年度から12年間)
⑸ 日本の国際捕鯨取締条約からの脱退と商業捕鯨の再開

第7日(Day7)

⑴ 貿易の自由化とWTO・TPP・RCEP
 貿易の自由化を世界的に進める枠組であるWTO(世界貿易機関)が行き詰まり、地域的に自由化を進める枠組が進展している。WTOの問題点を検討し、後者の例としてTPP(環太平洋パートナーシップ協定)11を中心に、RCEP(東アジア地域包括的経済連携協定)、日欧EPAなどを見ていく。

⑵ 学生による復習・関心のあるテーマプレゼン
また、この半期のまとめとして各週のポイントを指摘し、定期試験に向けての学修方法を説明する。


成績評価方法 Evaluation Criteria

*成績は下記該当項目を基に決定されます。
*クラス貢献度合計はコールドコールと授業内での挙手発言の合算値です。
講師用内規準拠 Method of Assessment Weights
コールドコール Cold Call 5 %
授業内での挙手発言 Class Contribution 10 %
クラス貢献度合計 Class Contribution Total 15 %
予習レポート Preparation Report 5 %
小テスト Quizzes / Tests 5 %
シミュレーション成績 Simulation 0 %
ケース試験 Case Exam 0 %
最終レポート Final Report 20 %
期末試験 Final Exam 50 %
参加者による相互評価 Peer Assessment 5 %
合計 Total 100 %

評価の留意事項 Notes on Evaluation Criteria

● 原則として次の3つを評価の基準とする予定です。
(1)定期試験    50点
(2)平常点   50点
(3) 単位取得の必要条件として定期試験で10点以上を取ること。

なお平常点50点とは、講義に貢献する発言や行動(2点×回数)・提出物(6点×7週=42点)・ディスカッションへの参加状況などの合計です。
発言については、点数に加算されるか否かは教員が判断しますが、点数にこだわらず活発に発言してください。
他の平常点(チャット、受講態度、上記50点以上の点数など)は総合的な評価をするとき考慮に入れます。
●重点強化クラブの学生も、通常の学生と同様、上記の通りの評価とします。
 なお、定期試験の設問を選択制にするなど、重点強化クラブの学生に不利にならないよう対策をとります。

使用ケース一覧 List of Cases

    ケースは使用しません。

教科書 Textbook

  • 村田 晃嗣 ・君塚 直隆 ・石川 卓 ・栗栖 薫子 ・秋山 信将 「『国際政治学をつかむ(新版)』」有斐閣(2015)978-4-641-17722-2

参考文献・資料 Additional Readings and Resource

[1]加藤陽子『それでも日本人は『戦争』をえらんだ 』朝日出版社, 2009年7月。 978-4-255-00485-3。
[2]東大作『平和構築 〜アフガン、東ティモールの現場から』岩波新書, 2009年6月。978 -4-00-431190-4。
[3]北岡伸一『国連の政治力学 〜日本はどこにいるのか』中央公論新社, 2007年。 978-4-12-101899-1 。
[4]日本国際政治学会『国境なき国際政治(日本の国際政治学 第2巻)』有斐閣, 2009年1月。9 78-4-641-010274-7。
[5]黒木英充『「対テロ戦争」の時代の平和構築 』東信堂, 2008年。978-4-88713-857-5。
[6]田中義具『今、国連そして日本 』自由国民社、 2004年。4-426-12109-4。
[7]日暮吉延『東京裁判』講談社現代新書, 2008年。978-4-06-287924-8。
[8]上杉勇司『変わりゆく国連PKOと紛争解決』明石書店, 2004。4-7503-1928-7。
[9]中川淳司『 WTO ― 貿易自由化を超えて』, 岩波新書, 2013年。978-4004314165。
[10]渡辺惣樹 『TPP 知財戦争の始まり』草思社, 2012年。978-4794218858。
[11]日本経済新聞社 (編)『TPPがビジネス、暮らしをこう変える』日本経済新聞出版社, 2016年1月。978-4532356828。
[12]黒田・関下・ 森辺・若林・川谷 『わかりやすい現地に寄り添うアジアビジネスの教科書: 市場の特徴から「BOPビジネス」の可能性まで』白桃書房、2015年。978-4561226543。
[13]板木雅彦・本名純・山下範久 編『プレリュード国際関係学』有斐閣、2016年4月。978-4-7989-1355-1。
[14]日本国際政治学会 編『国際援助・国際協力の実践と課題』有斐閣, 2017年。978-4-641-49910-2。
[15]ビジネス・ブレークスルー大学総合研究所 編著、大前研一監修『もしも、あなたが「日本経済新聞社社長」「国際協力機構(JICA)理事長」ならばどう するか?』 masterpeace good.book, 2015年。978-490755439。
[16]デイビッド・ヒューム 著・ 佐藤寛 監訳『貧しい人を助ける理由 〜 遠くのあの子とあなたのつながり』日本評論社、2017年。 978-4-535-55889-2
[17]中野徹也『竹島問題と国際法』ハーベスト出版、2019年2月。978-4-86456-294-2。

授業調査に対するコメント Comment on Course Evaluation

● 授業調査における指摘
グループ討論をする時に、グループ毎に集まるのに時間がかかり、討論をする時間が足らなくなくなる。

● 授業調査に対するコメント
次年度から、グループ分けを座席を移動しないで済むようにして、グループで集まるまでの時間を無くして
討論の時間を確保したいと考えています。

担当教員のプロフィール About the Instructor 

● 学位と取得大学 : 国際学修士、 津田塾大学

● 研究分野
国際法(特に、国際人道法と国際人権法の交錯)、国際連合の強制行動に関連する国際法上の諸問題など)。

● 主な論文
1.「イラク占領下における英国部隊と文民の人権保護」
NUCB Journal of Economics and Information Science , Vol.58 No.1, July 2013.

2.「国連保護部隊(UNPROFOR)オランダ大隊による行為の帰属
〜 スレブレニツァ虐殺に関連するNuhanović事件とMustafić-Mujić事件」
NUCB Journal of Economics and Information Science , Vol.59 No.1, July 2014.

3.「 ‘スレブレニツァ母連合・その他’ 事件に関するハーグ地方裁判所判決(2014年7月16 日)
〜 “ 実効的支配 ” に基づくUNPROFORオランダ大隊の行為の帰属」
NUCB Journal of Economics and Information Science , Vol.60 No.1, August 2015.

4.「 Jaloud 対 オランダ事件に関する欧州人権裁判所判決(2014年11月20日)
〜 イラク平和安定化部隊(SFIR)オランダ部隊の行為への欧州人権条約の適用」
NUCB Journal of Economics and Information Science , Vol.61 No.1, August 2016.

● M.A of International Relations, Tsuda College

● International Law( interaction of International Humanitarian Law & International Human Rights Law, Legal
issues on Enforcement Actions of the United Nations )

● Articles
1. ‘Human Rights of Iraqi Civilians during the British Occupation of South-East Iraq :Al-Skeini Judgment of the European Court of Human Rights’
NUCB Journal of Economics and Information Science , Vol.58 No.1, July 2013.

2. ‘Attribution of Dutchbat Conduct at Srebrenica and Liability of the Netherlands in Nuhanović and Mustafić-Mujić’
NUCB Journal of Economics and Information Science , Vol.59 No.1, July 2014.

3. ‘Mothers of Srebrenica et al. v. State of the Netherlands and the UN:Attribution of Conducts based on Effective Control’
NUCB Journal of Economics and Information Science , Vol.60 No.1, August 2015.

4. ‘The Case of Jaloud v. Netherlands(20 Nov. 2014) : Extra-territorial Application of the European
Convention on Human Rights to Conducts of Dutch Contingent under SFIR’
NUCB Journal of Economics and Information Science , Vol.61 No.1, August 2016.







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