シラバス Syllabus

授業名 Internal Control System & Risk Management
Course Title Internal Control System & Risk Management
担当教員 Instructor Name 髙野 一彦(Kazuhiko Takano)
コード Couse Code GMP210_G20N
授業形態 Class Type 講義 Regular course
授業形式 Class Format
単位 Credits 2
言語 Language JP
科目区分 Course Category
学位 Degree EMBA
開講情報 Terms / Location 2020 GSM Nagoya Fall

授業の概要 Course Overview

Misson Statementとの関係性 / Connection to our Mission Statement

授業の目的(意義) / Importance of this course

本講義は、受講者が内部統制システムとリスクマネジメントに関する基本的な概念を理解できるようにデザインしています。すなわち企業に自律的な管理体制の確立を求める法や制度について、導入の契機となった事件に立ち戻って検討することで、立法の趣旨や目的を理解し、もって内部統制システムの定立と運用の実務への具体的な「解」を探究します。ここでいう法や制度とは、会社法や個人情報保護法などです。またグローバル企業は、海外のデータ保護法や、贈賄禁止法制などにも留意する必要があります。企業はこのような法の要請に的確に対応して経営を行う必要があります。
本講義では、ケースメソッドによる議論をとおして、経営管理体制としての内部統制システムのデザインを完成します。
This lecture is designed to provide participants with an understanding of the basic concepts of internal control systems and risk management. In this lecture, we will deal with laws that require companies to build an internal control system and risk management structure, such as the Companies Act and the Act on the Protection of Personal Information. Global companies also need to pay attention to overseas data protection acts, bribery acts, and so on. Companies need to properly comport with the requirements of such laws. In this lecture, we will complete the discussion of the internal control system through an examination of specific case methods.

到達目標 / Achievement Goal


本授業の該当ラーニングゴール Learning Goals

*本学の教育ミッションを具現化する形で設定されています。

LG3 Ethical Decision Making
LG4 Effective Communication
LG5 Executive Leadership (EMBA)

受講後得られる具体的スキルや知識 Learning Outcomes

●企業経営に必要な法律知識
●リスクマネジメントとクライシスマネジメント
●合理的な経営判断のための判断基準

● Legal knowledge necessary in the management of the company
●Risk Management and Crisis Management
● Management criteria for executing rational management decisions

SDGsとの関連性 Relevance to Sustainable Development Goals

教育手法 Teaching Method

教育手法 Teaching Method % of Course Time
インプット型 Traditional 20 %
参加者中心型 Participant-Centered Learning ケースメソッド Case Method 60 %
フィールドメソッド Field Method 20 %
合計 Total 100 %

事前学修と事後学修の内容、レポート、課題に対するフィードバック方法 Pre- and Post-Course Learning, Report, Feedback methods

当日使用するケース、教材に記載されたアサイメントの回答をレポートにまとめ、初日の講義開始前に講師に提出してください。1つのケースについてA4用紙1枚以内です。ただし3日目のクライシス・シミュレーション・トレーニングについてレポートは不要です。

授業スケジュール Course Schedule

第1日(Day1)

ケース:
1.ショートケース2題:個人情報漏えい事件、海外における贈賄事案
2.リスクアセスメント実習
3.パロマ一酸化炭素中毒事件

Day1では、リスクマネジメントとコンプライアンスを俯瞰的に習得します。
第1セッションでは、「コンプライアンス・プログラムの本質」をテーマに講義を行います。情報処理を委託した子会社からの情報漏えい事件、現地商社を介した海外での贈賄事案の2つのショートケースをもとに議論を行います。
第2セッションでは、「リスクマネジメントと危機管理」をテーマに、全体像の講義を行った上で、各グループが選んだ企業について、実際にアセスメントを行いリスクに優先順位をつける実習(リスクアセスメント実習)を行います。
第3セッションでは、パロマ一酸化炭素中毒事件をケースとして、クライシス発生時に経営者はどのような経営判断を行うべきかを議論します。

各ケースとも、前半・後半の1セットで1つのケースを取扱います。前半は前提となる法的知識の講義を行った上で、各ケースに付されたアサイメントに関してグループディスカッションを行い、受講者個々人の意見を固めます。後半は、クラスディスカッションを行い、最後に講師がまとめ講義を行います。
実際の訴訟や事件をもとにしたケースを使用し、マネジメントシステムとしてのコンプライアンスプログラム、クライシスマネジメントの在り方を探求します。

●使用するケース
ショートケース2題:個人情報漏えい事件、海外における贈賄事案
リスクアセスメント
パロマ一酸化炭素中毒事件

第2日(Day2)

ケース:
4.大和銀行ニューヨーク支店巨額損失事件
5.ノヴァ解約清算金返還請求事件
6.米国三菱自動車セクハラ訴訟・米国トヨタセクハラ訴訟

Day2は法が企業に求める内部統制システムの本質を、ケース議論をとおして習得します。
第4セッションでは、2005年に成立した会社法において新たに取締役の義務として加えられた内部統制システム構築義務について、その契機となった大和銀行株主代表訴訟をケースとして議論を行い、内部統制の本質を探究します。
第5セッションでは、消費者庁設立の契機となった、ノヴァ解約清算金返還請求事件をケースとして議論を行い、消費者保護と企業のコンプライアンス経営の本質を探究します。
第6セッションでは、米国三菱自動車セクハラ訴訟・米国トヨタセクハラ訴訟をケースとして議論を行い、ハラスメントに関する企業防衛のあり方を探求します。


●使用するケース
大和銀行ニューヨーク支店巨額損失事件
ノヴァ解約清算金返還請求事件
米国三菱自動車セクハラ訴訟・米国トヨタセクハラ訴訟

第3日(Day3)

7.クライシス・シミュレーション・トレーニング(Day2終了時に前提シナリオを配布)

Day2の講義終了時に、前提シナリオを配布しますので、3日目の講義開始前までにこのケースを熟読します。各参加者はケースに登場する企業の役員又は記者の役を割り振られます。当日は各参加者がシミュレーション・ケースに記載された内容から、当該企業の経営者としてクライシスに対応し、経営判断を繰り返します。初期対応、緊急危機対応、当事者間の交渉、模擬記者会見の4つのフェーズに対応し、経営者として会社を危機から救うための経営判断のシミュレーション・トレーニングを行います。本トレーニング終了後、講師がリスクマネジメントの具体的な方法を講義します。


●使用するケース
クライシス・シミュレーション・トレーニング(Day2終了時に前提シナリオを配布)

第4日(Day4)



第5日(Day5)



第6日(Day6)



第7日(Day7)



成績評価方法 Evaluation Criteria

*成績は下記該当項目を基に決定されます。
*クラス貢献度合計はコールドコールと授業内での挙手発言の合算値です。
講師用内規準拠 Method of Assessment Weights
コールドコール Cold Call 0 %
授業内での挙手発言 Class Contribution 20 %
クラス貢献度合計 Class Contribution Total 20 %
予習レポート Preparation Report 30 %
小テスト Quizzes / Tests 0 %
シミュレーション成績 Simulation 20 %
ケース試験 Case Exam 0 %
最終レポート Final Report 20 %
期末試験 Final Exam 0 %
参加者による相互評価 Peer Assessment 10 %
合計 Total 100 %

評価の留意事項 Notes on Evaluation Criteria

発言や発表の回数と質、クライシス・シミュレーション・トレーニングにおける発言の質、アサイメントのレポート及び最終レポート、並びに参加者による相互評価により評価します。

使用ケース一覧 List of Cases

    ケースは使用しません。

教科書 Textbook

  • .「上記の使用ケース」.(.)
  • 「② 中島茂『最強のリスク管理』(きんざい、2016年)ISBN-10: 4322123546」()

参考文献・資料 Additional Readings and Resource

①中島茂『取締役の法律知識(第3版)』 (日経文庫、2015年)ISBN-10: 4532113318
②岡村久道『個人情報保護法の知識(第4版)』(日経文庫、2017年)ISBN-10: 4532113768
③高巌『コンプライアンスの知識(第3版)』(日経文庫、2017年)ISBN-10: 4532113814
④樋口晴彦『続・なぜ、企業は不祥事を繰り返すのか-重大事件から学ぶ失敗の教訓-』(日刊工業新聞社、2017年)ISBN-10: 4526077682

授業調査に対するコメント Comment on Course Evaluation

本講義の特長は、リアリティーのあるクライシス・シミュレーション・トレーニング、企業における具体的な実例を示しながら行う講義への期待と評価が高いことにあります。これは学術的な知識に加え、講師の実務経験や数多くの企業の役員・アドバイザーとしての経験によるものと思います。
一方、ケースメソッドによる講義は、グループディスカッションの時間が長い、クラスディスカッションにおいて受講者が均等に発言の機会を得るように配慮して欲しいなどの改善要望がありましたので、改善の努力を行います。

担当教員のプロフィール About the Instructor 

髙野一彦、博士(法学)
関西大学 社会安全学部・大学院社会安全研究科、教授
名古屋商科大学大学院マネジメント研究科、客員教授

【略歴】
中央大学大学院法学研究科博士課程修了、博士(法学)。
ベネッセコーポレーション、名古屋商科大学大学院 教授を経て、2010年 関西大学 社会安全学部・大学院社会安全研究科 准教授、2012年 教授、2014~2016年 副学部長。主な研究領域は企業法学、情報法学、企業の社会的責任論。
株式会社アデランス 社外取締役、関西電力株式会社 経営監査委員会 社外委員、中外製薬株式会社 アドバイザリーコミッティー、西日本旅客鉄道株式会社 アドバイザー、日本経営倫理学会 常任理事、経営倫理実践研究センター(BERC)上席研究員、情報ネットワーク法学会 監事、神戸市個人情報審査会委員、情報法制研究所 参与、日本経営倫理士協会 理事などを兼任。


Name:
Kazuhiko Takano, Ph.D. in Law
Affiliation:
Professor, Graduate School and Faculty of Safety Science, Kansai University
Visiting Professor, The NUCB Graduate School
 
Brief Career:
1992 Joined Benesse Corporation
2009- Professor, The NUCB Graduate School
2010- Associate Professor, Graduate School and Faculty of Safety Science, Kansai University
2012- Professor, Graduate School and Faculty of Safety Science, Kansai University
2014-6 Deputy Dean, Professor, Graduate School and Faculty of Safety Science, Kansai University
 
Research Areas and Major Fields:
Corporate Law, Information Law and Corporate Social Responsibility
 
Concurrent Posts:
Member of the Management Audit Committee of Kansai Electric Power Co., Inc.
Independent Outside Director of Aderans Co., Ltd.
Executive Director of Japan Society for Business Ethics
Senior Researcher of Business Ethics Research Center







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