シラバス Syllabus

授業名 Driving Strategic Innovation
Course Title Driving Strategic Innovation
担当教員 Instructor Name 内古閑 宏(Hiroshi Uchikoga)
コード Couse Code GMP207_G21N
授業形態 Class Type 講義 Regular course
授業形式 Class Format On Campus
単位 Credits 2
言語 Language JP
科目区分 Course Category 応用科目200系 / Applied
学位 Degree EMBA
開講情報 Terms / Location 2021 GSM Nagoya Fall

授業の概要 Course Overview

Misson Statementとの関係性 / Connection to our Mission Statement

本科目は、NUCBのミッションステートメントと合致するコンセプトの下で展開される科目です。フロンティアスピリットを有するリーダーが世界環境の中で、どのようにしてイノベーティブに考え、行動し、問題解決していけるのか、について洞察していきます。
This course perfectly aligns with NUCB's Mission Statement as it guides to nurturing leaders with Frontier spirits who can bridge cultural differences. It will provide students insights to confront situations where they require innovating thinking, innovating actions and innovative problem solving within an international context.

授業の目的(意義) / Importance of this course

本コースはイノベーションに関する以下の問いについて、ケースメソッド方式で議論をしていきます。
 なぜイノベーションが必要か?
 何のイノベーションを追求するのか?
 イノベーションの定義は一義的なものか?
 それがビジネスにどう影響を与えるのか?
 その推進に企業戦略は必要か?
 何が推進していくものなのか?
技術のみならずビジネスモデル、カスタマー・エクスペリエンス(顧客体験)、さらにはワークスタイルなど、イノベーションは広軌にわたり語られています。本コースは技術を用いたイノベーション(ディスラプト型のイノーベーション含む)のケースを中心に取り上げ、戦略、企業文化、リーダーシップ、チーム編成、スタープレーヤーの扱い、コラボレーションなどの様々な切り口からイノベーションと言われている事象を観察していきます。

コース名であるDriving Strategic Innovationの3つの単語を分解すると、Driving Force(推進する力)、Strategy(戦略)とInnovation(イノベーション)となりますが、それぞれについて議論が分かれるテーマを内包しています。'Driving Force'に関しては、創造力vs忍耐力、起業家精神vs企業文化、実験的手法vs経験則、'Strategy'においては、短期vs長期、企業文化、組織構造、パフォーマンス評価などが内包され、'Innovation'においては社内リソースvs外部リソース、ボトムアップ・トップダウン、持続的vs破壊的、などからの論点が考えられます。
The course encompasses case method discussions which provide insights in forming answers to questions such as; Why do companies pursue innovation? What type of innovation are they going after? How does it matter to business? Why would strategy be critical to innovation? What are the drivers for innovation?
Innovation is much more than about technology, which covers business model, customer experience and work style innovations. This course pays particular attention to innovations found in industries related to science and technology, a la disruptive innovation - with case analysis extending to various angles; corporate strategy, company culture, leadership behaviors, teaming, talent management, R&D portfolio control and collaborative work.

When breaking down the course theme into three elements, (1)Driving force, (2)Strategy and (3) Innovation, companies face decision making crossroads at each. Driving force comprises topics of discipline vs creativity, entrepreneurship vs corporate culture, experimental vs proven. Strategy carries out controversies of balancing short term and long term results, company culture alignment, organizational change, and human resource evaluation. Innovation incorporates considerations on issues such as insource vs outsource , ambiguity vs clarity, and bottom up vs top down.
Through a wide array of discussion, the course intends to observe the social and economic impact of driving strategic technological innovations.

到達目標 / Achievement Goal

ケースディスカッションの中から、戦略的にイノベーションを推進していくことの経済的・社会的インパクトについて、「知」の共同構築作業をしていきます。既存の枠組み、常識、固定観念に如何にとらわれないで思考していけるか、に挑戦していきたいと思います。

Through the case discussions, the class will co-create knowledge on innovation from an organizational, technological and strategical point of views while searching into mindfulness and personal aspects which form the basis for innovation. The participants are frequently encouraged to challenge the status quo, the stereotypes and think outside the box.

本授業の該当ラーニングゴール Learning Goals

*本学の教育ミッションを具現化する形で設定されています。

LG1 Critical Thinking
LG2 Diversity Awareness
LG3 Ethical Decision Making
LG4 Effective Communication
LG6 Innovative Leadership (MBA)
LG7 Global Perspective (GLP)

受講後得られる具体的スキルや知識 Learning Outcomes

受講者全員が積極的に議論へ参加することにより、"イノベーションをドライブするのものは何か?" "イノベーションの本質とは?"について考察していけるよう、本コースを設計しています。
”なぜイノベーションは必要なのか?”,”そのためには何をすべきか?","どうやって実現していくのか?"
本コースから得られるインサイト(気づき)から、受講者一人一人がイノベーション・ストーリーを描いていく際の、”思考の支え”となるよう設計しています。

Through case method discussion and with your active involvement, the course is designed to hand over 'thinking tools' when driving strategic innovation. The course intends you to be ready for shaping strategies that answer basic questions of why, what and how - Why do we need innovation? What do we need to do? and How are we going to make it happen?
A set of insights which you take away from the classroom, we hope, becomes an armour of thoughts in constructing coherent narratives for driving strategic innovation - narratives of which will be shared among your colleagues and team members.

SDGsとの関連性 Relevance to Sustainable Development Goals

Goal 4 質の高い教育をみんなに(Quality Education)

教育手法 Teaching Method

教育手法 Teaching Method % of Course Time
インプット型 Traditional 0 %
参加者中心型 Participant-Centered Learning ケースメソッド Case Method 100 %
フィールドメソッド Field Method 0 %
合計 Total 100 %

事前学修と事後学修の内容、レポート、課題に対するフィードバック方法 Pre- and Post-Course Learning, Report, Feedback methods

(学習方法)
 本コースの講義はケース・ディスカッション+ピッチ・セッションの形式で行われます。受講者はシラバスに記載した質問事項に関して議論をする準備をして来てください。クラス討議中に準備してきた内容について発言並びにプレゼンテーションするよう講師から促されます。講義の進め方・準備に関してはケースブックが配布されるタイミングで、詳細の指示を致します。講義の中にも、様々にイノベーティブなスタイルを包含する試みをして参ります。

授業スケジュール Course Schedule

第1日(Day1)

Session 1
(主題)成熟業界でのイノベーション
(Session 1 概要)
1980年には、テキサスのオースティンに1店舗しかなかった店が、2004年には144店舗になっていた。『フォーチュン』誌では、アメリカで最も働きがいのある企業ランキングに、7年連続選ばれた。最終的な収益に基づくインセンティブ。モラールの調査。給与の最高額は平均給与の8倍を超えてはならないというルール。成熟業界において傑出した業績を生み出すためのイノベーション。そのユニークなポジショニングにより、2017年に約1兆4千億円でアマゾンに買収されるまでに企業価値を昇華させたその秘訣を探っていきます。

Session 2
(主題)科学研究とイノベーション
(Session 2 概要)
MITのロバート・ランジャー(Langer)教授の研究室は、バイオ医療関連の中堅企業およびスタートアップの企業で活用される研究論文、特許、技術ライセンスの宝庫であった。こうした優れた研究成果を生み出すLanger教授のリーダーシップによるイノベーション現象について探る。

Session 3
(主題)イノベーションとマーケティング
(Session 3 概要)
ソニーAIBOは世界初の「エンターテインメント」ロボットである。家庭用「ペット」の位置づけで販売されたAIBOは日本で大ヒットし、技術知識のほとんどない人も含めて老若問わず受け入れられた。マーケティングとイノベーションの関係、イノベーションを起こすリーダー、チームそして経営陣について議論していきます。


●使用するケース
Session 1 : ホールフーズマーケット HBS / Amazon Acquires Whole Foods(英文) HBS

Session 2: ランガー研究室:科学の商業化 HBS
 <HBR記事> "Which Kind of Collaboration Is Right for You?" by GaryP.Pisano & Roberto Verganti

Session 3: ソニーAIBO: 世界初のエンターテインメント・ロボット HBS

第2日(Day2)

Session 4
(主題)イノベーションとディスラプター
(Session 4 概要)
ネットフリックス・インク(ネットフリックス)はビデオコンテンツのデジタル配信への移行を成功させる前に、それまで映画レンタルのマーケット・リーダーであったブロックバスターを追い越した。しかし、ネットフリックスはその成功にもかかわらず、2017年には定評のある主流のコンテンツ制作会社やデジタルの新興企業など多くの競合企業によって、ネットフリックスが以前の優位性を再現することを難しくしていた。批評家たちは、ネットフリックスの加入者獲得数の鈍化と債務水準の上昇を指摘していた。ネットフリックスの最高経営責任者は様々なデジタル競合他社からの破壊工作に直面していた。彼はどう答えるべきか?ネットフリックスは、引き続きコンテンツ制作会社として、ハリウッドの業界リーダーたちと競争すべきか?全員のインセンティブを整合性のとれたものにするため、他のメディア会社と提携をすべきか?

Session 5
(主題)ライフスタイルとイノベーション
(Session 5 概要)
2015年、ウーバーはこの種のものの中でおそらく最大規模のポイント・ツー・ポイント輸送ネットワークを築いていた。それは文字通り世界の移動方法を変革するものである。しかし、フェデックスのような典型的輸送ロジスティック企業とは異なり、ウーバーは非常に軽量なインフラを有していた。車両は所有せず、ドライバーも雇用しない。そのため車両のメンテナンス費用を払うこともなかった。代わりにこのネットワークでは、ドライバーと乗客というピア・ツー・ピア(同等の立場で)の調整をすることに依存した。これは高度なソフトウェアと巧みな評価システムが可能にしたものである。しかしウーバーは、早くから目覚ましい成功を遂げたにもかかわらず、激しい賛否両論を巻き起こす企業であった。イノベーションが破壊的に市場参入していく賛否を議論する。

Session 6
(主題)イノベーションにおける「国家」の存在
(Session 6 概要)
国家の存在、国のあり方はイノベーションに影響を及ぼすものなのか?世界情勢を見渡しながら”国とイノベーション”の関連性について議論していきます。


●使用するケース
Session 4: ネットフリックス:ディスラプターが破壊の危機 IVEY
 <参考書> No Rules Rules 世界一「自由」な会社、NETFLIX(日経BP)

Session 5: ウーバー: 世界の移動手段を変革する HBS
 <参考書> 未来を実装する (英治出版)

Session 6 : IKEA  HBS(英文) / イケア:過去、現在、そして未来  IMD
 <教科書> The Storm Before the Calm「2020-2030 アメリカ大分断」危機の地政学 (早川書房)
 <参考書>「スウェーデンはなぜ強いのか」北岡孝義 著 PHP新書

第3日(Day3)

Session 7
(主題)イノベーションの基を訪ねて
(Session 7 概要)
本ケースは、スティーブ・ジョブスとプロバスケットボールチームのコーチであるフィル・ジャクソンが、どのような信念を基盤として活動していたかについて記述されている。イノベーションの基を訪ねるべく、本ケースを題材に議論をしていきます。合同講義の恒例となる、ゲストの登壇を予定しています。

Session 8  
(主題)イノベーションの創発
(Session 8 概要)
本セッションはイノベーションを自分ゴトとして捉えプレゼンテーションする。さらに参加者全員で討議することにより本コースから得た気づきを、各人が総括できる機会とする。
ピッチと議論もさることながら、「具体的な一歩」を踏み出すところまで可能な限り近づくべく「明日からでもできること」などに焦点をあてながら、参加者全員がinnovativeに取り組む場にしたいと考えています。

●使用するケース
Session 7 : Zen for Strategy (abridged)
 <教科書> サーチ・インサイド・ユアセルフ -仕事と人生を飛躍させるGoogleのマインドフルネス実践法- (英治出版)
 <参考ケース> Zen for Strategy  University of Virginia Darden School
 <参考書> 禅マインド ビギナーズ・マインド 1 & 2(サンガ出版)

Session 8:
Session 7までのケースを総括
 <教科書> ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか(NHK出版)
 <参考記事> What is a Business Model?  HBR / Why Business Model Matters HBR


第4日(Day4)



第5日(Day5)



第6日(Day6)



第7日(Day7)



成績評価方法 Evaluation Criteria

*成績は下記該当項目を基に決定されます。
*クラス貢献度合計はコールドコールと授業内での挙手発言の合算値です。
講師用内規準拠 Method of Assessment Weights
コールドコール Cold Call 5 %
授業内での挙手発言 Class Contribution 45 %
クラス貢献度合計 Class Contribution Total 50 %
予習レポート Preparation Report 50 %
小テスト Quizzes / Tests 0 %
シミュレーション成績 Simulation 0 %
ケース試験 Case Exam 0 %
最終レポート Final Report 0 %
期末試験 Final Exam 0 %
参加者による相互評価 Peer Assessment 0 %
合計 Total 100 %

評価の留意事項 Notes on Evaluation Criteria

各ケースの予習レポートに相応な時間をかけることをお薦めします。

使用ケース一覧 List of Cases

    ケースは使用しません。

教科書 Textbook

  • ジョージ・フリードマン「The Storm Before The Calm(原題) 2020-2030 アメリカ大分断 危機の地政学(邦題)」早川書房(2020)9784152099716
  • チャディー・メン・タン「サーチ・インサイド・ユアセルフ」英治出版(2016)9784862762276
  • ピーター・ティール「ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか」NHK出版(2018)978-4864106016

参考文献・資料 Additional Readings and Resource

・「イノベーションのジレンマ入門」グローバルタスクフォース著 PHP研究所
・「イノベーションのジレンマ」クレイトン・クリステンセン著 翔泳社
・「イノベーションへの解」クレイトン・クリステンセン著 翔泳社
・「イノベーションの最終解」クレイトン・クリステンセン著 翔泳社
・「イノベーションのDNA」クレイトン・クリステンセン, ジェフ・ダイアー, ハル・グレガーセン著 翔泳社
・「NO RULES RULES - 世界一自由な会社NETFLIX」リード・ヘイスティングス、エリン・メイヤー 日経BP
・「Gゼロ」後の世界 -主導国なき時代の勝者はだれか- イアン・ブレマー著 日本経済新聞社
・「禅マインド ビギナーズ・マインド 1 & 2 - スティーブ・ジョブズが愛読した禅のバイブル」鈴木俊隆 著 藤田一照 訳 サンガ新書
・「直観の経営」 野中郁次郎/山口一郎 共著 KADOKAWA
・「未来を実装する」馬場隆明 著 英治出版
・「スウェーデンはなぜ強いのか」北岡孝義 著 PHP新書
・「日本はスウェーデンになるべきか」高岡望 著 PHP新書
・「ALLIANCE アライアンス―人と企業が信頼で結ばれる新しい雇用」リード・ホフマン;ベン・カスノーカ;クリス・イェ 著 ダイアモンド社
・「問いこそが答えだ! -正しく問う力が仕事と人生の視界を開く-」ハル・グレガーセン 著 光文社
・「日本民族の危機」岡潔 著 土曜社

授業調査に対するコメント Comment on Course Evaluation

昨年度の授業調査では、以下のようなコメントを頂いています。ディスカッションが一層活発なものになり、そこから様々な気づきが得られるように実施していきたいと考えています。
・イノベーションそのものに対する考え方が変わる。気づきがある。
・先生ご自身が、よりイノベーティブな授業作りに尽力されていることを感じた。その姿勢そのものが、各ケースを通じて味わった示唆と整合をしており、自身の学びとして強く印象に残る内容であった。
・フレームワークなど無機質なものを超えた、人の気持ち、心の持ち方などに踏み込んだところがまさしくイノベーティブな授業でした。
・イノベーションをどうやって起こしていくのか理解が深まった。ケースの一つ一つにつながりを感じることができて楽しかった。
・先生の熱情をすごく感じでいます。自分の日本語はまだ上手ではないですが、先生のフォローをすごく感謝します。たまに、ほかの学生の発言内容を理解できない時がありますが、発言後の先生の解説がありわかりやすいです。

担当教員のプロフィール About the Instructor 

1998年慶應義塾大学理工学部修士課程修了。(株)東芝入社、世界初のノートパソコンを設計したハードウェア設計部に所属。1994年ハーバード・ビジネス・スクール経営大学院修士課程修了(MBA)後、東芝本社パソコン商品企画部にて新型ノートパソコンの企画、インターネット・サービスの立ち上げ、ネット接続型次世代DVD規格の策定に従事。1997年ソフトバンク(株)入社、企業投資室にてスカパーの立ち上げ、インターネット企業投資を実施。ソフトバンクと米国ジオシティーズの合弁会社、ジオシティーズ・ジャパン(株)の設立、事業立上げを指揮。2000年ヴィジョネア(株)を創業、DVDとインターネットの連動技術で事業構築、特許権利化後にライセンスビジネスにピボットし現在に至る。2012年米国シリコンバレーに移り住みYouTuber向けアプリ開発のVeamInc.設立・創業、現在に至る。帰国後アフリカにおける世銀のプロジェクト、ブロックチェーンのビジネス・プロデュースに関与。

Education
Masters Degree in Business Administration, Harvard Business School
Master of Engineering in Mechanical Engineering, Keio University
Bachelor of Engineering in Mechanical Engineering, Keio University

After joining Toshiba's Computer Division in 1988 where he was involved in designing the world's first notebook PC, Hiroshi Uchikoga went to Harvard Business School MBA program. After graduation, he returned to Toshiba Headquarters Product Planning division in 1994, where he engaged in; planning advanced notebook PCs, launching Toshiba's first internet service, and standardizing a new generation video disc format.
When he met Mr. Son of Softbank, Hiroshi decided to work as a manager in the investment division, then led the joint venture between GeoCities (US) and Softbank. In 2000, Hiroshi founded Visionare Corporation, a software development company in Japan which eventually pivoted to a license company after acquiring eight patents, and he moved to Sunnyvale, California in 2012 to start up Veam Inc. - both of which are currently working on a path to successful exits. Returning to Japan in 2017, he acted as Business Producer at World Bank's project in Africa and blockchain related businesses.







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