シラバス Syllabus

授業名 Mission Driven Management
Course Title Mission Driven Management
担当教員 Instructor Name 磯辺 剛彦(Takehiko Isobe)
コード Couse Code GMP204_G23T
授業形態 Class Type 講義 Regular course
授業形式 Class Format On Campus
単位 Credits 2
言語 Language JP
科目区分 Course Category 応用科目200系 / Applied
学位 Degree EMBA
開講情報 Terms / Location 2023 GSM Tokyo Fall

授業の概要 Course Overview

Misson Statementとの関係性 / Connection to our Mission Statement

本授業は、フロンティアスピリットを備えた創造性豊かな倫理観あるリーダーの育成を目標とします。そのようなリーダーには、論理的思考力や分析能力だけでなく、正義や哲学を拝啓にした「世のため人のため、ひいては自分のため」の経営が求められます。
This class aims to develop innovative and ethical leaders with a frontier spirit. Such leaders are required the management "for the society, for the people, and for yourself," with a background of justice and philosophy, as well as logical thinking and analytical skills.

授業の目的(意義) / Importance of this course

重要:本授業では、経営理念を中核にする企業の経営理念(感性)、戦略(合理性)、現場(実行可能性)について学ぶことを目的とします。そのような理念主導型企業の多くは、「小商圏で活動する労働集約型の中堅企業」で観察することができます。どの企業の取り組みも地味に見えますが、そこに経営の本質があります。
IMPORTANT NOTICE: The purpose of this class is to learn about the management philosophy (sensitivity), strategy (rationality), and field (feasibility) of a company centered on the management philosophy. Many of these philosophy-driven companies can be observed in "mid-sized companies operating in the local economy." The efforts of any company may seem modest, but that is the essence of management.

到達目標 / Achievement Goal

目指すのは「新しいことを知ること」よりも、「知っていたつもりだったが、実はまったく分かっていなかったことに気づくこと」です。使用するケースは、私たちの周りにある、介護施設や介護リフォーム、駐車場事業、伝統工芸、弁当事業などが中心になります。そのため一定の割合の受講生から「つまらない」「退屈」「何を学んだのか分からない」と指摘されることが多いのですが、このような一見「つまらない」ことにこそ経営の大事なポイントがあります。したがって到達目標は、授業後、「よく理解できた」というよりも、「もっと勉強したい」という気持ちになることです。

The objective of this class is not "to know new things" but "to realize that I thought I knew, but I didn't really know at all". The cases are mainly hospital care, car parking, traditional crafts, and lunch business around us. Therefore, a certain percentage of students often point out that this class is "boring," "boring," and "I don't know what they have learned." Such "boring" is the important point of management. Therefore, the goal is to feel "I want to study more" rather than "I understand it well" after class.

本授業の該当ラーニングゴール Learning Goals

*本学の教育ミッションを具現化する形で設定されています。

LG1 Critical Thinking
LG3 Ethical Decision Making
LG4 Effective Communication
LG5 Executive Leadership (EMBA)
LG6 Innovative Leadership (MBA)

受講後得られる具体的スキルや知識 Learning Outcomes

俯瞰的視野・周辺視野の拡大とステレオタイプ思考からの脱却

Expansion of higher point of view and peripheral vision, and breaking away from stereotyped thinking

SDGsとの関連性 Relevance to Sustainable Development Goals

Goal 4 質の高い教育をみんなに(Quality Education)

教育手法 Teaching Method

教育手法 Teaching Method % of Course Time
インプット型 Traditional 20 %
参加者中心型 Participant-Centered Learning ケースメソッド Case Method 80 %
フィールドメソッド Field Method 0 %
合計 Total 100 %

事前学修と事後学修の内容、レポート、課題に対するフィードバック方法 Pre- and Post-Course Learning, Report, Feedback methods

ケース学習はプラモデルに似ています。ケースには多くの情報(パーツ)が記載さていますが、ケースには設計図がないので、自分自身の価値感や感性によってさまざまな形に組み立てることができます。加えて、ケースにはすべての情報が書かれていないので、組み立てに必要な情報を推測する必要があります。戦略の本質は、個々の情報ではなく、それらを組み合わせた形にあります。このことを意識してケースに取り組んでください。

授業スケジュール Course Schedule

第1日(Day1)

Day1 AM
・講義「戦略の方法学:戦略を自分たちの手に取り戻す」
・富山県高岡市にある伝統工芸「能作」と茨城県にある珈琲製造・販売を手がける「サザコーヒー」の事例を使って、地方がもつ経営資源の活用や再生、ブランド化について議論します
Day1 PM
・「第一次産業を産業にする」をテーマにした議論をします。「みずほの村市場」はスーパーや百貨店と同じような価格帯で農産物を販売する茨城の直売所です。果たして、価格競争を避けて品質で勝負することは可能なのかを考えます。「羽田市場」は、いわゆる卸や市場を経由せずに、スーパーや料理店に水産物を直接販売するビジネスモデルを生み出しました。このようなビジネスモデルの可能性と課題を考えます。

●使用するケース
株式会社能作:伝統工芸に轍をつける(KBS)
株式会社サザコーヒー:差別化と物語にこだわる茨城の名店(KBS)
みずほの村市場:農業を産業にする(KBS)
羽田市場株式会社:水産物の流通革命(KBS)

第2日(Day2)

Day2 AM
・「玉子屋」は東京蒲田にある工場から法人顧客に弁当を配送しています。当日9-10時に受け付け、12時までに届けます。ピーク時には1日6万食以上を製造・配送し、作りすぎによる廃棄率はわずか0.1%未満です。このビジネスを可能にする仕組みについて考えます。
Day2 PM
・DIY用品(ハード)と園芸用品(グリーン)に特化した独自の専門店業態である「ハード&グリーン」を開発したコメリは、旧態依然とした流通形態が残るこれらの流通分野でイノベーションを果たしました。H&Gの標準的売り場面積は300坪と小規模で、農業用品を中心に約15,000のアイテムを取り扱かっています。その利便性から「農村のコンビニ」ともいわれていて、店舗数は1,102店舗に達しています。同社の独自のビジネスモデルについて議論します。

●使用するケース
株式会社玉子屋:日本の午後を元気にする会社(KBS)
株式会社コメリ:遅れた部門の流通を近代化する(KBS)

第3日(Day3)

Day3 AM
・「パーク24」は「迷惑駐車するクルマを排除する」から「駐車場をつくって迷惑駐車をなくす」というビジネスを生み出します。駐車場という「点」を情報通信を活用することで「線」にしました。現在はカーシェアリングで唯一黒字化を実現しています。その戦略を読み解く上で重要なことを議論します。
Day3 PM
・これまで日本には洗車事業はありませんでした。自分で洗うか、コイン洗車で洗うか。サービスであってビジネスではありませんでした。また従来のカーコーティングはマニア向けであって、普通の人には無縁のサービスでした。なぜKeePer技研はそのような市場を切り開くことができたのでしょうか。

●使用するケース
パーク24株式会社(KBS)
KeePer技研株式会社:「日本に新しい洗車文化を」(KBS)

第4日(Day4)

Day4 AM
・マツ六は「介護リフォーム」という新しい市場を生み出しました。介護リフォームは一般のリフォームとどこが違うのか? 介護リフォームは事業者にとって適正な利益を獲得できる事業なのか? 従来の流通システムを介護リフォームにそうのまま流用できるのか? 新市場をつくるときの課題について考えます。
Day4 PM
・競争優位には賞味期限があることを学びます。学研のケースは、これまでのコアコンピタンスが、競争力を失う原因になることを教えてくれます。さらに悪いことに、拡大路線に切り替えても容易に競争力を回復することはできません。どのようなときに、どのような理由で企業は競争力を失うのか、再生戦略を実行する上で重要なことは何かについて考えます。

●使用するケース
マツ六株式会社ファーストリフォーム事業部:大切な人を転倒から守る(KBS)
株式会社学研ホールディングス(A)(B)(C)(D)(KBS)

第5日(Day5)



第6日(Day6)



第7日(Day7)



成績評価方法 Evaluation Criteria

*成績は下記該当項目を基に決定されます。
*クラス貢献度合計はコールドコールと授業内での挙手発言の合算値です。
講師用内規準拠 Method of Assessment Weights
コールドコール Cold Call 0 %
授業内での挙手発言 Class Contribution 60 %
クラス貢献度合計 Class Contribution Total 60 %
予習レポート Preparation Report 40 %
小テスト Quizzes / Tests 0 %
シミュレーション成績 Simulation 0 %
ケース試験 Case Exam 0 %
最終レポート Final Report 0 %
期末試験 Final Exam 0 %
参加者による相互評価 Peer Assessment 0 %
合計 Total 100 %

評価の留意事項 Notes on Evaluation Criteria

予習レポート:ケースの事前予習設問について自分の考えをまとめ、ケース使用日の授業開始前までに予習レポートをGoogle Classroomにて提出してください。提出していただく設問はセッションあたり1つです(1日2問)。ファイルはWordがpdf、書式は自由、1つの設問につきA4用紙2枚以内にまとめてください。必ず先頭ページには、学籍番号、氏名、ケース名を記入してください。

使用ケース一覧 List of Cases

    ケースは使用しません。

教科書 Textbook

  • 配布資料

参考文献・資料 Additional Readings and Resource

冨山和彦「なぜローカル経済から日本は甦るのか」 PHP新書
吉原英樹「「バカな」と「なるほど」」PHP研究所
磯辺剛彦「世のため人のため、ひいては自分のための経営論」白桃書房

授業調査に対するコメント Comment on Course Evaluation

コース名の"Mission Driven Managament"と整合するようにケースを入れ替えました

担当教員のプロフィール About the Instructor 

福岡県出身。1981年慶應義塾大学経済学部卒業。同年(株)井筒屋入社。91年経営学修士(慶應義塾大学)、96年経営学博士(同大学)。同年流通科学大学商学部助教授、99年教授。この間、1997-98年スタンフォード大学経営大学院客員研究員。2005年神戸大学経済経営研究所教授、2007年慶應義塾大学大学院経営管理研究科教授。2023年慶應義塾大学名誉教授。同年名古屋商科大学大学院教授。2008年より一般財団法人・企業経営研究所(スルガ銀行グループ)理事長

Strategic Management Journal、Academy of Management Journal、Journal of International Business Studiesなどのトップジャーナルに論文多数。Asia Pacific Journal of ManagementのSenior Editor、Journal of International ManagementやManagement International ReviewのEditorial Boardを務める。起業活動の国際比較研究グループ「Global Entrepreneurship Monitor」の創立メンバー。2004年および2006年のAsia Academy of Management Conferenceにて最優秀論文賞を受賞

主要な著書に「トップシェア企業の革新的経営」白桃書房(中小企業研究奨励賞)、「シリコンバレー創世記」白桃書房、「起業と経済成長」慶應義塾大学出版会、「国境と企業」東洋経済新報社(国際ビジネス研究学会賞・義塾賞)、「世のため人のため、ひいては自分のための経営論」白桃書房など


Refereed Articles

  • (2023) Interview with executives of middle-sized companies: Management theory for society, for people, and for myself (2). Keio business forum
  • (2022) Interview with executives of middle-sized companies: Management theory for society, for people, and for myself. Keio business forum 38(1):






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