シラバス Syllabus

授業名 Risk Management & Sustainability
Course Title Risk Management & Sustainability
担当教員 Instructor Name 姉川 知史(Tomofumi Anegawa)
コード Couse Code GMP203_G20T
授業形態 Class Type 講義 Regular course
授業形式 Class Format
単位 Credits 2
言語 Language JP
科目区分 Course Category
学位 Degree EMBA
開講情報 Terms / Location 2020 GSM Tokyo Fall

授業の概要 Course Overview

Misson Statementとの関係性 / Connection to our Mission Statement

授業の目的(意義) / Importance of this course

 EMBA/MBA/TAP他の学生を対象にして企業経営に関係する様々なリスクについて,企業その他の持続可能性について,具体的な日本企業その他の事例教材を使用して検討する。平時におけるリスク管理,非常時における危機・クライシス管理を含めて学習する。リスクの種類とその把握方法,環境変化とリスク,社会的責任とリスク,企業組織とリスク,技術とリスク,品質とリスク,企業倫理とガバナンス,メディアと広報,マクロ経済・自然災害・環境問題・国際関係における多様なリスクとそれらの企業とのかかわりを検討する。本科目は次の特徴をもつ。第1は企業経営にとってのリスクを検討する。第2は経営環境のリスクを検討する。第3は1990年代以降の時系列でリスクを整理する。また、中小企業に関わるリスクについても学ぶ。
 By using case studies of Japanese firms and others, we deal with how firms should prepare for risk, deal with risk in daily operations, and how firms should tackle with crisis management in urgent situations. Topics include risk associated with regular business activities, technological risks, changing environment, social responsibility, risk communications, media and public relations, macro-economic crisis, natural disasters, environment, international relations.

到達目標 / Achievement Goal


本授業の該当ラーニングゴール Learning Goals

*本学の教育ミッションを具現化する形で設定されています。

LG1 Critical Thinking
LG2 Diversity Awareness
LG3 Ethical Decision Making
LG4 Effective Communication
LG5 Executive Leadership (EMBA)
LG6 Innovative Leadership (MBA)
LG7 Global Perspective (GLP)

受講後得られる具体的スキルや知識 Learning Outcomes

下記の領域の知識と対応能力
(1) リスク管理と危機管理
(2) 製造物責任と品質保証
(3) 広報と社会的責任, 
(4) 企業組織,企業倫理,意思決定 
(5) 環境とリスク,持続可能性, SDGS 
(6) 自然災害,マクロ経済,国際関係のリスク 

Knowledge and problem solving capability in the following issues.
(1) risk management, crisis management
(2) product liability and quality assurance
(3) public relations and social responsibility 
(4) corporate organization, ethics, and decision making 
(5) environment, sustainability and risk,SDGS
(6) natural disaster, macro economy, and international relations

SDGsとの関連性 Relevance to Sustainable Development Goals

教育手法 Teaching Method

教育手法 Teaching Method % of Course Time
インプット型 Traditional 10 %
参加者中心型 Participant-Centered Learning ケースメソッド Case Method 90 %
フィールドメソッド Field Method 0 %
合計 Total 100 %

事前学修と事後学修の内容、レポート、課題に対するフィードバック方法 Pre- and Post-Course Learning, Report, Feedback methods

学習方法
 事例教材,参考文献が多数あり,その分量も多く,論点も多岐にわたります。このため,設問を軸にして,自らの「課題設定」,「現状分析」,「解決策の提示」,「評価と説明」といったケース分析の標準手法に即して,自らの選択で「中心的課題に限定して,分析を簡略化する」必要があります。すべての論点を同じように時間をかけて分析することは困難なため,必要な情報を読んで,活用するところに力点を置いてください。
授業ではいくつかの重要論点ごとのモジュールに分けて取り組む予定です。今回は,とくに次のように編成します。

授業のアウトライン
I. リスクと不確実性の理論
a. リスクとは何か,不確実性とは何か,その測定と理論
b. 期待効用理論,情報の価値,リスクとリターン,リスクの分散,制度と行動,デシジョン・ツリー分析,感度分析,シナリオ・プランニング
c. 確率と意思決定
d. 戦略と行動のゲーム理論

II. 企業のリスク・マネジメント
a. リスクとコーポレート・ガバナンス
 企業のリスクのとらえ方
Knightのリスクと不確実性の相違,利潤の意味
ガバナンスとリスク
b. 品質・安全・規制とリスク
 量的拡大と品質保証,リスク・コミュニケーション,広報
c. 技術革新と Disruptive Innovationのリスク
d. リスク・コミュニケーションと広報

III. マクロ経済のリスクと企業
a. 金融・財政のリスク
b. 国際経済のリスク
c.  国際関係のリスク

IV. リスク,組織,意思決定
a. 個人と組織
b. 失敗,不正,倫理
c. 早期警戒,リスク回避,危機対応  

V.  環境,災害と持続可能性


事前レポート
 アサインメントの設問他の事前課題を,A4用紙1枚1000字を数枚程度にまとめて授業時間初めに提出してください。これは当日の授業開始時点でも可とします。図表を用いても結構ですが,文章で表現してください。箇条書きや図表だけでは不可です。評価基準は提出の有無,課題準備の水準です。

期末試験
 授業総合として,レポート形式の試験を最終日,最後の時間枠で提示します。これは授業における学習を反映して事前レポートの解答を修正し,さらに授業を反映した短いエッセー作成を予定します。このため,授業を復習するだけで,新たに追加する学習はありませんので負担は限定されます。授業後2週間後の金曜日,名古屋キャンパス丸の内タワー必着とします。

A4用紙10枚以内、形式指定なし

試験フィードバック
試験と合わせて一部,授業内で行い,全体は授業終了後3週間内を予定します。図表を用いても結構ですが,とくにエッセー問題は文章で表現してください。箇条書きや図表だけでは不可です。

フィードバック方法:採点後にコメントをメールで送付します。

授業スケジュール Course Schedule

第1日(Day1)

Session 1 確率,意思決定,危機管理‐リスクと不確実性の理論
事例教材「リスクと不確実性」
参考書 ピンダイク & ルビンフェルド『ミクロ経済学I』第5章「不確実性と消費者行動」(Classroomで閲覧可能とする)

リスクとは何か,不確実性とは何か,その測定と理論
期待効用理論,情報の価値,リスクとリターン,リスクの分散,制度と行動

Session2 企業のリスク・マネジメントー安全,品質,危機管理
事例教材「トヨタのリコール危機」20-10-19132
量的拡大と品質保証,リスク・コミュニケーション,広報



●使用するケース
事例教材「リスクと不確実性」姉川知史」、KBS
事例教材「トヨタのリコール危機-Sudden Unintended Acceleration」姉川知史」、20-10-19132、KBS

第2日(Day2)

Session3. コーポレート・ガバナンス(1)
事例教材「日本企業のコーポレート・ガバナンス」90-09-19131

Session4. コーポレート・ガバナンス(2) 企業不正と持続可能性
事例教材「東芝の経営危機―2015年」



●使用するケース
事例教材「日本企業のコーポレート・ガバナンス」90-09-19131
事例教材「東芝の経営危機―2015年」

第3日(Day3)

Session 5 不確実性,確率,意思決定 
事例教材「リスクと不確実性」
事例教材「デシジョン・ツリー分析」21077,KBS
事例教材「知的財産権紛争-アメリカ合衆国における特許紛争」30-06-19128,KBS

Session 6 
事例教材「りそな銀行と金融危機」

Session7 輸送サービスとリスク・マネジメント
事例教材 「物流危機と宅配業者―2019年」


●使用するケース
事例教材「リスクと不確実性」
事例教材「デシジョン・ツリー分析」21077,KBS
事例教材「知的財産権紛争-アメリカ合衆国における特許紛争」30-06-19128,KBS
事例教材「りそな銀行と金融危機」
事例教材「物流危機と宅配業者―2019年」

第4日(Day4)

Session 8 不確実性,ゲーム理論,意思決定
事例教材「ユニマック海峡の死闘-クジラとシャチの選択」
事例教材「リスクと不確実性」
参考書 ピンダイク,ルビンフェルド『ピンダイク&ルビンフェルド ミクロ経済学 (2)』2014年,第13章「ゲーム理論と競争戦略」

Session 9 経済成長とマクロ経済リスク
事例教材「2008年の経済危機-グローバリゼーションにおける日本」

Session10 大規模リスクと危機対応
事例教材「東日本大震災の危機対応」 

Session11 総括
事例教材「新型コロナウィルス感染症―2020年2月Outbreak」

●使用するケース
事例教材「ユニマック海峡の死闘-クジラとシャチの選択」
事例教材「リスクと不確実性」
事例教材「2008年の経済危機-グローバリゼーションにおける日本」
事例教材「東日本大震災の危機対応」 
事例教材「新型コロナウィルス感染症―2020年2月Outbreak」

第5日(Day5)



第6日(Day6)



第7日(Day7)



成績評価方法 Evaluation Criteria

*成績は下記該当項目を基に決定されます。
*クラス貢献度合計はコールドコールと授業内での挙手発言の合算値です。
講師用内規準拠 Method of Assessment Weights
コールドコール Cold Call 10 %
授業内での挙手発言 Class Contribution 60 %
クラス貢献度合計 Class Contribution Total 70 %
予習レポート Preparation Report 10 %
小テスト Quizzes / Tests 0 %
シミュレーション成績 Simulation 0 %
ケース試験 Case Exam 0 %
最終レポート Final Report 20 %
期末試験 Final Exam 0 %
参加者による相互評価 Peer Assessment 0 %
合計 Total 100 %

評価の留意事項 Notes on Evaluation Criteria

期末試験は予習レポートの内容を授業をへて修正し,さらに追加Report課題に関するエッセーの最終レポートで行う。

使用ケース一覧 List of Cases

    ケースは使用しません。

教科書 Textbook

  • ピンダイク&ルビンフェルド ミクロ経済学 (1) /とくに第5章「不確実性と消費者行動」」(2014)「ピンダイク,ルビンフェルド」KADOKAWA/中経出版(2014)978-4046011022
  • ピンダイク,ルビンフェルド「ピンダイク&ルビンフェルド ミクロ経済学 (2) /とくに第13章「ゲーム理論と競争戦略」第17章「情報の非対称性と市場」第18章「外部性と公共財」」KADOKAWA/中経出版(2014)978-4046011039
  • Robert Pindyck and Daniel Rubinfeld「Microeconomics 9-th Edition(Global Edition)」Pearson Education Limited(2017)ISBN: 9781292213316

参考文献・資料 Additional Readings and Resource

<教科書>
 教科書は1と教科書2の2分冊,あるいは教科書3の1冊どちらかを選択する。授業で使用する部分は別途Classroomで閲覧可能。
<参考文献>
ピーター・バーンスタイン(Peter L. Bernstein), 青山 護 (翻訳)『リスク〈上下〉―神々への反逆』(日経ビジネス人文庫) 2001/8/1,日本経済新聞社,上巻ISBN-10: 4532190797 ISBN-13: 978-4532190798,下巻 ISBN-10: 4532190800 ISBN-13: 978-4532190804
ナシーム・ニコラス・タレブ,ブラック・スワン[上下]―不確実性とリスクの本質 ハードカバー – 2009/6/19 ダイヤモンド社,上巻ISBN-10: 4478001251,ISBN-13: 978-4478001257,下巻ISBN-10: 4478008884,ISBN-13: 978-4478008881
アイアン ミトロフ『危機を避けられない時代のクライシス・マネジメント』2001年,徳間書店
ISBN-10: 4198614326,ISBN-13: 978-4198614324
大泉 光一『クライシス・マネジメント―危機管理の理論と実践』2002年,同文舘出版; 三訂版
ISBN-10: 4495355031,ISBN-13: 978-4495355036
中小企業庁『中小企業の海外事業再編事例集(事業の安定継続のために)』2015
マイケル・A.ロベルト『なぜ危機に気づけなかったのか : 組織を救うリーダーの問題発見力』2010. 英治出版,ISBN-10: 4862760643,ISBN-13: 978-4862760647.
ドミトリ・チェルノフ, ディディエ・ソネット『大惨事と情報隠蔽 : 原発事故、大規模リコールから金融崩壊まで』2017. 草思社
Pearson Christine M et al. ed. International Handbook of Organizational Crisis Management, 2007. Sage Publications. ISBN-10: 0761988513, ISBN-13: 978-0761988519
Uchino, Kenji, Global Crisis and Sustainability Technologies, 2017. World Scientific Pub Co Inc. ISBN-10: 9789813142299, ISBN-13: 978-9813142299
ウルリヒ・ベック『危険社会-新しい近代への道』1998,法政大学出版局
ハイデン・キース・ヴァン・デル『シナリオ・プランニング―戦略的思考と意思決定』1998,ダイヤモンド.ISBN-10: 4478490252,ISBN-13: 978-4478490259
マンキュー,N. グレゴリー「マンキュー マクロ経済学I 入門篇(第4版)」2017,東洋経済新報社,ISBN13 978-4492315040

授業調査に対するコメント Comment on Course Evaluation

 授業調査の学生による代表的コメントは次のように要約される。
1.教師がケースメソッドということで講義をしないため,論点,論理,結論がわかりにくい。
2 教師が学生発言を促す余り,コントロールしないため,議論が収束せず,有益な議論ができない場面があった。
3.教師の指定する教材が多岐,膨大,教師のアサインメントが不明確で,論点が絞れなかった。
「講師のコメント」講師自身は過去2回の本授業で示された学生の議論の質は極めて高く,自身が行ってきた多くのケースメソッド授業の中でも際立っていると評価する。しかし,学生の一部はそれだけでは満足せず,リスク・マネジメントに関する「納得」できる論理,分析,結論を教師の主導による授業として求めるものである。他方,ケースメソッド授業における学生の自発性,学生間のコミュニケーションも同様に重要であり,このトレードオフの解消が今年度の講師の課題である。過去2回に示された学生の真摯,高い水準の挑戦を望む。

担当教員のプロフィール About the Instructor 

姉川知史(Anegawa Tomofumi)
名古屋商科大学教授,慶應義塾大学非常勤講師
1977年東京大学経済学部卒業,1983年同経済学研究科単位取得退学(経営学),1991年 Yale University, Ph.D.(Economics),1983年慶應義塾大学大学院経営管理研究科助手,1991年 同助教授,1998-2020年 同教授。

主な論文
姉川知史「医薬品の価格規制と需要の再検討―循環器官用薬の実証研究」『医療と社会』2002. 11(3). 1-18.
姉川知史「医薬品企業のM&Aの費用と効果 ―日本における企業買収の可能性―」『医療と社会』2000. 10(1). 31-56.姉川知史「日本の医薬品産業:その成功と失敗」『医療と社会』2002. 12(2). 49-78.
Jakovljevic, M. B., Getzen, T. E., Torbica, A., & Anegawa, T. (2014). 10th World IHEA and ECHE joint congress: Health Economics in the Age of Longevity. Expert Review of Pharmacoeconomics & Outcomes Research, 2014 Dec;14(6):781-3. doi: 10.1586/14737167.2014.967220. Epub 2014 Oct 10.

その他の論文(査読なし)
姉川知史「日本の薬価基準制度-過去25年の制度と評価」55-76. 鴇田忠彦,近藤健文編『ヘルスリサーチの新展開』2003東洋経済新報社,東京
姉川知史,2007a「日本の医薬品産業」吉森賢編『世界の医薬品産業論』211-82,東京大学出版会,2007.3月30日
姉川知史,2007b「医薬品研究開発のセントラル・ドグマ-医薬品企業の機能と限界」佐藤光編著『バイオテクノロジーの経済倫理学』89-153,ナカニシヤ出版,2007.
姉川知史「グランド・デザイン策定の融合型教育―新しいマネジメント教育の方法論と評価―」研究ノート『慶應経営論集』2012, 29 (1).
姉川知史「東日本大震災に関する提言のありかたについて―グランド・デザイン策定の融合型教育フォーラムによる方法論評価―」,「研究ノート」,『慶應経営論集』2014,30 (1).

Anegawa Tomofumi, NUCB Professor, Keio University Instructor, Graduate School of Business Administration,

BA University of Tokyo, Faculty of Economics Economics, 1977, University of Tokyo, Graduate School of Economics, Withdrawal Having Completed Coursework,1983. Yale University, Ph.D. in Economics, 1991. Assistant Professor, 1983, Associate Professor 1991, 1998-2020 Professor of Keio University.

Refereed Articles

  • (2019) Problems of 2018 Nobel Economic Sciences Prize-Hirofumi Uzawa’s Contribution to Economic Growth Theory and Climate Change-. Keio Business Review 36(1): 03877086






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