シラバス Syllabus

授業名 Technology & Operations Management
Course Title Technology & Operations Management
担当教員 Instructor Name 矢本 成恒(Shigetsune Yamoto)
コード Couse Code GMP202_G20N
授業形態 Class Type 講義 Regular course
授業形式 Class Format
単位 Credits 2
言語 Language JP
科目区分 Course Category
学位 Degree EMBA
開講情報 Terms / Location 2020 GSM Nagoya Fall

授業の概要 Course Overview

Misson Statementとの関係性 / Connection to our Mission Statement

授業の目的(意義) / Importance of this course

本講義は、ケースディスカッションによる双方向型の講義です。TOMの代表的な2分野、イノベーション・マネジメント( 研究開発や製品・サービス開発のマネジメント)、そしてオペレーションズ・マネジメント(生産や運営マネジメント)を中心に学習します。T OMの視点や思考を身に着け、現実課題に柔軟に対処できることを目標としています。現場での課題解決だけではなく、長 期的戦略的な視点も意識した実践を目指しています。
ケースについては、主要トピックをテーマとし、時代背景によらない代表的なものを選定しています。イノベーション・マネジメントでは、「 イノベーション・プロセスのマネジメント」「新規技術導入の課題」「イノベーションの組織や制度マネジメント」「イノベーションのジレンマ」等 を選定し、オペレーションズ・マ ネジメントにおいては、「業務改善」、「トヨタ生産方式」、「サプライチェーン・マネジメント」、「在庫管理」 、「生産工程管理」を選定しました。イノベーション・マネジメント4ケース、オペレーションズ・マネジメント5ケース、合 計9ケースを討議します。最終日には、実践的にどのような提案ができるかについて議論できるケースを扱います。
イノベーション・ マネジメントとオペレーションズ・マネジメントは共通するテーマやフレームワークも多いため、2 つの分野を意識せずに取り組んでいただきたいと思います。
You can learn in this course about Innovation Management (the management of research, production and service development)” and “ Operations Management (product and administration management)”. You will study 3 cases in the Innovation Management fields, and 5 cases in the Operations Management fields. These cases are dealing with important subjects in the two fields. In the Innovation Management field, you study the following topics, they are “Innovation Process Management” “New technology introduction” “Organization and business system for Innovation Management” and “The innovator’s dilemma”. In the Operation Management field, you study the following topics, they are “ KAIZEN” “Toyota Production System” “ Supply Chain Management” “ Inventory Control” and “Production Process management” Some cases includes quantitative analysis.

到達目標 / Achievement Goal


本授業の該当ラーニングゴール Learning Goals

*本学の教育ミッションを具現化する形で設定されています。

LG1 Critical Thinking
LG2 Diversity Awareness
LG3 Ethical Decision Making
LG4 Effective Communication
LG5 Executive Leadership (EMBA)
LG6 Innovative Leadership (MBA)
LG7 Global Perspective (GLP)

受講後得られる具体的スキルや知識 Learning Outcomes

サプライチェーン、リーン生産方式、コンカレントエンジニアリング、稼働率、生産工程管理,正規分布、標準偏差、イノベーションのプロセス、イノベーターのジレンマ、現場のカイゼン、研究開発戦略 等の知識やそれを用いた経営スキルなど

knowledge: Supply Chain Management, Learn Production System, Concurrent Engineering, Capacity Management, production process management, normal distribution curve, standard deviation, Innovation Process Management,innovator's dilemma, KAIZEN (incremental innovation), R&D strategy

Skill: management skill by the above knowledge.

SDGsとの関連性 Relevance to Sustainable Development Goals

教育手法 Teaching Method

教育手法 Teaching Method % of Course Time
インプット型 Traditional 20 %
参加者中心型 Participant-Centered Learning ケースメソッド Case Method 80 %
フィールドメソッド Field Method 0 %
合計 Total 100 %

事前学修と事後学修の内容、レポート、課題に対するフィードバック方法 Pre- and Post-Course Learning, Report, Feedback methods

講義中でレポート課題についての解説をする。必要に応じていくつかの典型的な提出レポートをとりあげて解説をおこなう。

授業スケジュール Course Schedule

第1日(Day1)

株式会社ワールドのサプライチェーン管理 HBS 9-608-J02
オペレーションズ・マネジメントの大きなトピックであるサプライチェーン・マネジメント(SCM)がテーマです。日本のアパレル企業を扱ったケースですが、SCMの特徴が多面的に述べられています。短納期を実現する組織能力とは何であり、その能力構築はどのよう実施すべきかを議論します。また在庫管理についても学習します。なお、このケースは10年以上前のアパレルメーカーですが、SCMを検討するわかりやすいケースとして、あえて取り上げています。ケースに記述されていない情報(例えば、ビジネスモデル、ブランド等)については議論の予定はなく、ケースの内容を中心に議論をする予定です。日本の中小製造業は多くがSCMに連なっていますので、中小企業の立場からも強みを活用した連携を検討します。

米国トヨタ自動車 HBS 9-607-J14
オペレーションズ・マネジメントの大きなトピックであるトヨタ生産方式(TPS)がテーマであり、HBSベストセラーケースです。米国トヨタ新工場は組立工程において発生した問題をTPSの考えを用いて解決しようと試みます。いったい何が原因でどうすればよいかを考えます。オペレーション業務の問題を解決するための現実的な方法としてのTPSの有効性を考察します。TPSは中小企業とも緊密に連携したSCMですので、中小企業の立場からトヨタと同様に課題解決と対策を検討します。

●使用するケース
株式会社ワールドのサプライチェーン管理 HBS 9-608-J02
米国トヨタ自動車 HBS 9-607-J14

第2日(Day2)

BMW AG:デジタルカ―・プロジェクト(A) HBS 9-612-J17
BMW AG:デジタルカ―・プロジェクト(B) HBS 9-612-J18 [当日講義中に配布]
製品開発戦略および製品開発のマネジメントがテーマです。新技術の導入や開発効率の課題を検討する典型的ケースです。BMWが新技術の導入により開発期間を短縮しようと取り組みますが、新しい開発方式を導入するには、どのような課題が存在し、どのように対処すべきかを検討します。なお、ケース(B)を講義にて配布し、講義にて追加検討します。
新技術の導入課題に苦しむ日本の中小企業の立場も意識して導入の心理的障壁や仕組みづくりなどを議論します。

マンサナ保険:フルーツベイル支店(抄本) HBS 9-608-J15
業務効率を定量的に検討するオペレーションズマジメントの典型的な数値分析ケースです。これもHBSのベストセラーケースです。保険業務処理のデータを分析して、稼働率や稼働のばらつきが業績にどのような影響を及ぼしているかを探ります。業務の問題点を分析し、業務処理の改善策、競合への対抗策についても提案を検討します。人的オペレーションに依存する日本の中小企業の効率化の課題も同様に議論します。

●使用するケース
BMW AG:デジタルカ―・プロジェクト(A) HBS 9-612-J17
BMW AG:デジタルカ―・プロジェクト(B) HBS 9-612-J18
マンサナ保険:フルーツベイル支店(抄本) HBS 9-608-J15

第3日(Day3)

ネットフリックス 
(補足資料)ブロックバスターの攻勢と衰退(当日講義中に配付)
新規事業のリーンスタートアップのプロセスがテーマです。ベンチャーのNetflixが巨人ブロックバスターに挑みながら試行錯誤を経て成長する様子が描かれています。新規技術の導入、新規事業の創発戦略、イノベーションのジレンマ、イノベーションのプロセスの特徴などを学修します。なお、補足資料については講義中に配付します。
この生産管理の課題や、SCMの上流(お客様からは遠い)での生産の工夫は、日本の中小企業でも普遍的なテーマです。

ヒューレット・パッカード:キティホーク(A) HBS 9-608-J05 
ヒューレット・パッカード:キティホーク(B) HBS 9-608-J06 [当日講義中に配布]
イノベーション・マネジメントの大きなトピックである「イノベーションのジレンマ」を扱った、とても有名なケースです。開発マネジメントにおける新市場開拓について検討するケースです。ヒューレット・パッカードは、画期的な新製品の開発に挑みましたが、この開発プロジェクトチームのビジネス展開の経緯から、イノベーション・マネジメントの課題と対策、特に新市場開拓のマネジメントの課題とその対策を検討します。なお、ケース(B)を当日の講義にて配布し、議論によって考察を深めます。



●使用するケース
ネットフリックス HBS 
(補足資料)ブロックバスターの攻勢と衰退(当日講義中に配付)
ヒューレット・パッカード:キティホーク(A) HBS 9-608-J05 
ヒューレット・パッカード:キティホーク(B) HBS 9-608-J06

第4日(Day4)

TESSEI(テッセイ)の苦境 HBS 8-616-J03
日本でもすでに有名なHBSケースです。JR東日本テクノハート(TESSEI)の組織改革をテーマにし、従業員のモチベーション、管理と自律性、訓練や学習の視点、動機付け要員、業務の透明性化など、多面的な視点でカイゼン・改革の施策を検討する。なお、これは既存のフレームワークをあまり意識することなく、受講生の実務経験も踏まえて、多様な議論をする予定である。人財活用が必須な日本の中小企業でも共通するテーマであり、このケースを選定している。

グラクソ・スミスクライン:医薬品探索の再編成(A) HBS 9-607-J20
グラクソ・スミスクライン:医薬品探索の再編成(B) HBS 9-607-J01
ワイス・ファーマシューティカルズ:メトリクスで科学的創造性を刺激する HBS 9-608-J12
研究開発プロセスのマネジメントを扱った典型的ケースです。医薬品開発企業では、開発競争が非常に熾烈であり、その研究開発プロセスは「研究開発パイプライン」と呼ばれ公開されています。この厳しい業界の研究開発の事例から、成果を生む研究開発体制をどのように構築してマネジメントすればよいのかを検討します。なお、ワイス・ファーマシューティカルズとグラクソ・スミスクライン(GSK)については同じテーマを扱っているので、2つのケースの対比(共通点・相違点)を踏まえて議論をすすめます。

●使用するケース
TESSEI(テッセイ)の苦境 HBS 8-616-J03
グラクソ・スミスクライン:医薬品探索の再編成(A) HBS 9-607-J20
グラクソ・スミスクライン:医薬品探索の再編成(B) HBS 9-607-J01
ワイス・ファーマシューティカルズ:メトリクスで科学的創造性を刺激する HBS 9-608-J12

第5日(Day5)



第6日(Day6)



第7日(Day7)



成績評価方法 Evaluation Criteria

*成績は下記該当項目を基に決定されます。
*クラス貢献度合計はコールドコールと授業内での挙手発言の合算値です。
講師用内規準拠 Method of Assessment Weights
コールドコール Cold Call 0 %
授業内での挙手発言 Class Contribution 50 %
クラス貢献度合計 Class Contribution Total 50 %
予習レポート Preparation Report 30 %
小テスト Quizzes / Tests 20 %
シミュレーション成績 Simulation 0 %
ケース試験 Case Exam 0 %
最終レポート Final Report 0 %
期末試験 Final Exam 0 %
参加者による相互評価 Peer Assessment 0 %
合計 Total 100 %

評価の留意事項 Notes on Evaluation Criteria

・ディスカッションについては、発言回数をカウントしますが、発言内容も重視して評価します。たとえば、
〇新たな視点を提示する発言 〇課題や議論の本質を指摘する発言 〇議論の停滞を整理して次の段階を提示する発言
を高く評価します(2点または3点)。
しかし、結論のない発言、意図が不明の発言(話しながら考えて時間を使うなど)はマイナス評価をします。すでに出た意見と同じ意見はカウントしません。

・なお、発言は「結論をまず述べ、そしてその理由を述べる」という基本ルールを守ってください。前置きが長い発言は、言いたいことがわからず、聞き手の集中が切れますので打ち切る場合もあります。限られた時間内に多くの方に発言をしてもらいたいためです。

・レポート評価については、予習段階であることを考慮し、以下の一般的な観点(論理性や納得性など)を重視します。特に専門的な知識を前提とはしないつもりです。しかし、不明な部分は参考書籍やネットで検索する必要があります。
・なるべく網羅的・多面的に問題を捉えているか ・問題の分析や課題抽出がされているか
・課題に対する対策(ケース記述の選択肢も含む)については合理的な根拠を述べて評価しているか
・可能な限り現実的・具体的な提案をしているか ・必要に応じて、重要度、緊急度等により優先度を考慮したか 

・レポートやアサインメントの検討については、課題抽出や分析部分まではある程度類似しますが、提案部分では価値観や考え方の相違があるため、教員と意見が違うことも多くあります。それは気に留めなくても結構です。加えて、各人が予習する時点ですべての論点を指摘できるとは限りません(そのため全体討議が重要です)。よって、レポートでは上述のように、ケースを把握し分析した後に、合理的・具体的・現実的な論述がされているかを評価します。また、数値計算をする場合は、計算結果よりもプロセスや考え方を重視します。

・講義修了後に当日のポイントを記述してもらう小テストを実施します。可能ならPCでMSwordでタイプして提出してください。PC持参不可や不具合の方は原稿用紙を配付しますので手書きをしていただきます。

使用ケース一覧 List of Cases

    ケースは使用しません。

教科書 Textbook

  • 藤本隆宏「生産マネジメント入門Ⅰ( 生産システム編)」日本経済新聞社(2001)4-532-13205-3
  • 藤本隆宏「生産マネジメント入門Ⅱ( 生産資源・技術管理編)」日本経済新聞社(2001)4-532-13206-1

参考文献・資料 Additional Readings and Resource

[1]ジェイ B. バーニー 「 企業戦略論<上>基本編」ダイヤモンド社(2003/12)  ISBN: 4-478-37452-X
戦略論の有名なテキストです。リソース・ベースト・ビューの視点で企業の内部環境を重視しています。マイケル・ポーターの外部環境
を重視するポジショニング理論と補完関係にあります。
[2]クレイトン・クリステンセン 「 イノベーションのジレンマ」翔泳社(2001/7)  ISBN: 4-7981-0023-4
主要トピックのイノベーションのジレンマを解説した書籍です。続編となる「イノベーションへの解」も参考になります。
[3]村上知也、矢本成恒「 ビジネスで本当に使える超統計学」秀和システム(2014/8)  ISBN: 978-4-7980-4153-7
 基本的な統計知識、平均、分散、標準偏差、正規分布程度はネットにも多く解説が出ていますが、この書籍でも簡単に説明しています。
[4]ダニエル・ピンク「モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか」 (講談社+α文庫) ISBN:978-4062816199
なお、その他抜粋した参考資料は多数ありますので、TOM参考資料.zipに格納しています。

授業調査に対するコメント Comment on Course Evaluation

1.この科目のケースは記述が詳細でありため、読み取りや分析に時間がかかるという意見が多数あります。予習時間は余裕をもって確保してください。なお、技術経営分野の3科目(オペレーションズ・マネジメント、イノベーション・マネジメント、統計解析)のエッセンスをまとめた講義ですので、論点は厳選していますが、ボリュームが多いことにご注意ください。 
2.データ分析のアサインメントを詳しく設定してほしい、という意見をいただきましたので、エクセルシートなどの補足資料を作成し細かく設定しています。しかも計算問題の多くは解答も提示しています。
3.ケースには古い時代のもの、医薬品など専門的な業界を背景にしたものがあります。ケースは、時代や業界にかかわらずTOMで重要なトピックを厳選しているためです。時代や業界の特徴ではなく、業界によらないマネジメントの課題を議論することに留意してください。テーマによってケースを選定した結果、ある時代のある業界の企業が舞台となったにすぎません。

担当教員のプロフィール About the Instructor 

矢本成恒
http://mba.nucba.ac.jp/research/faculty/entry.html?u_bid=145&u_eid=13149

(プロフィール)
・研究分野 イノベーションマネジメント, 技術経営戦略

・経歴
東京大学教養学部卒業。東京大大学院工学系博士課程修了(技術経営戦略研究室)。筑波大学大学院修士課程修了(経営戦略系研究室)。博士(工学)、修士(経営学)/MBA、中小企業診断士。

日本電信電話株式会社にて、経営企画部門、新規事業企画部門を担当し、戦略持株会社経営企画(国際戦略)担当部長を務める。その後、コンサルティング会社取締役、マーケティング会社取締役等を経て現職。
経営コンサルタントとしては、ITビジネス、テレビ放送、コンテンツビジネスの経営戦略、新規事業企画、スタートアップ経営の支援・マネジメント受託など100社以上に携わる。また、中小企業診断士として、IT業および製造業等の経営指導を実施。2011年度東京商工会議所企業変革プログラムアドバイザー。

所属学会は、日本開発工学会(理事、編集委員、ビジネス・イノベーション研究会主査)、日本経営診断学会、ビジネスモデル学会

・最終学歴 Ph.D. (東京大学)、MBA、中小企業診断士

・主な職歴
1987~2004 日本電信電話(株)
2004~2009 (株)プラットイーズ
2009~2010 (株)アークエンジン
2010~    一般社団法人俯瞰工学研究所


Refereed Articles

  • (2024) A Study of the Efficacy of the Generative Pre-trained Transformer in the Medical Specialty Examination of Otorhinolaryngology. Nippon Jibiinkoka Tokeibugeka Gakkai Kaiho 1343-7623 / 2185-2480
  • (2024) The Study of Leadership Style According to the Growth Stage of the Company. Development engeneering 1343-7623 / 2185-2480
  • (2024) Consideration of Platform Strategy and Information Building to Achieve Carbon Neutrality. Development engeneering 1343-7623 / 2185-2480
  • (2024) Challenges and Measures for the Diffusion of Credit Card Contactless Transactions. Development engeneering 1343-7623 / 2185-2480
  • (2023) Success factors for digitalization in sales activities. Development Enineering

Refereed Proceedings

  • (2021). Issues of Employee Engagement in the "With Corona Era". Management that values people .Japan Society for the Promotion of Human Resource Management, the 8th Research Presentation . 1. 3. on line
  • (2017). Creating New Values through Horizontal Alliance. Development Engineering .Japan Development Engineering Society. 1. 3. Tokyo university of Science






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