シラバス Syllabus

授業名 Strategic Corporate Finance
Course Title Strategic Corporate Finance
担当教員 Instructor Name 小林 武(Takeshi Kobayashi)
コード Couse Code GMP105_G24N
授業形態 Class Type 講義 Regular course
授業形式 Class Format On Campus
単位 Credits 2
言語 Language JP
科目区分 Course Category 基礎科目100系 / Basic
学位 Degree EMBA
開講情報 Terms / Location 2024 GSM Nagoya Spring

授業の概要 Course Overview

Misson Statementとの関係性 / Connection to our Mission Statement

本講義は、”フロンティアスピリッツ”を備えた、創造性豊かで倫理観のあるリーダーの育成を目指して行われる。
This course aims to educate innovative and ethical leaders who possess a ‘ Frontier
Spiritʼ and to create knowledge that advances business and society.

授業の目的(意義) / Importance of this course

企業経営者にとって、経営戦略の策定や事業活動を遂行する上で、コーポレート・ファイナンスの基礎知識は不可欠なものとなっています。本講義では、企業の金融活動全般を取り扱うコーポレート・ファイナンスに関する理論を体系的かつ包括的に学び、理論を実務に応用できるようになることを目的とします。
授業では、理論の解説にとどまらず、実務的な視点を織り交ぜながら、日本企業およびグローバル企業のコーポレート・ファイナンスに関するケースを取り上げ、いかにファイナンスのツールをビジネスの意思決定に活用していくかに重点を置きながら授業を進めます。企業の経営戦略の問題点と今後の課題を財務活動の視点から、受講生と共に考え議論していく予定です。
ファイナンスは、ある程度数学の知識を必要とする科目ですが、初学者でも理解できるように、なるべく図表や具体的事例などを取り入れて、コーポレート・ファイナンスの本質をわかりやすく解説していきます。また、金融市場・財務データを用いたEXCELの演習を随所に取り入れながら実践力の養成を目指します。
Corporate Finance has been a necessary tool for top management to develop a corporate strategy and carry out business activity. The goal of this course is to learn the essence of corporate finance systematically and comprehensively and to apply it to actual business. The course also discuss the key concept of “Investments” which is another main stream of Finance.

The course deals with not only the theory but also lots of cases of Japanese companies from the practical point of view. We emphasis on how to use finical tools for business decision making. We also discuss the financial problems and challenges which Japanese companies is now facing.

It is necessary to have mathematical knowledge to study Finance and I explain the essential of corporate finance by showing as much as charts and practical cases. Some exercises using EXCEL by analyzing market date and financial statement will be conducted in the course.

到達目標 / Achievement Goal

本講義を通じて受講者は、実務で使えるファイナンスの基礎が身につきます。それを基に、企業価値を向上するために必要な具体的な施策を提案できるようになります。

By the end of the course, students will acquire a thorough basic knowledge of finance and develop analytical skills to apply the theory to practice. They will be able to develop their own view to enhance corporate valuation.

本授業の該当ラーニングゴール Learning Goals

*本学の教育ミッションを具現化する形で設定されています。

LG1 Critical Thinking
LG2 Diversity Awareness
LG3 Ethical Decision Making
LG4 Effective Communication
LG5 Executive Leadership (EMBA)
LG8 Tax Accounting Consulting Skills (MSc)

受講後得られる具体的スキルや知識 Learning Outcomes

本講義を通じて受講者は、実務で使えるファイナンスの基礎が身につきます。それを基に、企業価値を向上するために必要な具体的な施策を提案できるようになります。

By the end of the course, students will acquire a thorough basic knowledge of finance and develop analytical skills to apply the theory to practice. They will be able to develop their own view to enhance corporate valuation.

SDGsとの関連性 Relevance to Sustainable Development Goals

Goal 4 質の高い教育をみんなに(Quality Education)

教育手法 Teaching Method

教育手法 Teaching Method % of Course Time
インプット型 Traditional 30 %
参加者中心型 Participant-Centered Learning ケースメソッド Case Method 50 %
フィールドメソッド Field Method 20 %
合計 Total 100 %

事前学修と事後学修の内容、レポート、課題に対するフィードバック方法 Pre- and Post-Course Learning, Report, Feedback methods

ケースおよび基本テキストにあたり最低3時間の予習を行ってください。
最終レポート:授業で行う演習に関するレポート
提出期限:講義最終日の講義終了時
提出方法:Google Classroomを用いたレポート提出
フィードバック方法:事前レポートはコメントをGoogle Classrrom経由送信します。
小テスト:第4日目にファイナンスの計算に関する小テストを実施します。

授業スケジュール Course Schedule

第1日(Day1)

本講義は、全日程をケースメソッドで実施します。
名古屋<1日目:6月15日(土) 10:00 - 16:40>

テーマ:コーポレート・ファイナンスの役割、資金の時間価値、リスク・リターンと資本コスト


概要 :講義のはじめとして、コーポレート・ファイナンスの意義を皆さんで議論します。次にファイナンスの基本的な考え方である異なる時点に発生するキャッシュ・フローを定量的に扱う方法を解説します。さらに、ファイナンスにおけるリスクとリターンの概念を踏まえた上で、株主・債権者に対する報酬としての資本コストの考え方を学びます。ケースでは、資本コストの基礎的な考え方であるβ(ベータ)について身近な事例にひきつけながら考察していきます。また、積極的な情報開示と株価の反応を考察することで、資本コスト企業価値評価の関係について議論していきます。



●使用するケース
『基本テキスト コーポレート・ファイナンス』
『東京証券取引所-上場企業への取組- 2023』
『ベータとアリストテレスの友人(2019)』、『アシックス -投資家との対話-(2019)』

第2日(Day2)

名古屋<2日目:6月16日(日) 10:00 - 16:40>

テーマ:フリーキャッシュフロー、投資の意思決定、企業価値評価
ケース:『基本テキスト コーポレート・ファイナンス』、
『東武鉄道―スカイツリー事業―(2015)』
概要 :会計上の利益との違いを意識しながら、企業価値評価の基礎となるキャシュフローの考え方を学びます。また、どのような事業を選べば良いか、いくつかの選択肢のなかからどのように選べばよいのかといった投資プロジェクトの基本的な考え方について説明します。ケースでは、実際のスカイツリー事業の立ち上げを巡るプロセスを追体験することで、事業投資に関する意思決定について議論します。予習レポートで準備した受講生自身が選択した企業の財務データ・株価データを用いて、ディスカウントキャッシュフロー(DCF)手法をExcel演習形式で学びます。受講生自身がアナリスト業務を追体験することで、企業価値や理論株価の算定プロセスを追体験していきます。



●使用するケース
『基本テキスト コーポレート・ファイナンス』、
『東武鉄道―スカイツリー事業―(2015)』

第3日(Day3)

名古屋<3日目:6月22日(土) 10:00 - 16:40>

テーマ:非上場会社の企業価値、経営戦略の評価、ESG投資

概要 :3日目は、初日および2日目で学んだ企業価値評価の理論を踏まえ。ケースを通じて企業価値を向上させるために企業が取り組むべき具体的な施策について議論します。具体的には、中小企業の大半を占める非上場企業の価値評価の留意点について議論を深めます。また、ケースでグローバルに事業展開する製造業の経営戦略上の課題を議論した上で、経営戦略を定量化する意義について議論していきます。最後に、実際にESGを積極的取り組む企業のケースを通じて、定性要因をどのように定量的に評価するか、また、ESG投資の意義や課題について議論していきます。




●使用するケース
『基本テキスト コーポレート・ファイナンス』
『非上場企業の価値評価(2020)』
『スズキー経営戦略と企業価値評価-(2021)』

第4日(Day4)

名古屋<4日目:6月23日(日) 10:00 - 16:40>

テーマ:資金調達と配当政策、まとめ

概要 :資金調達方法の違いが企業価値に与える影響について解説します。ケースでは、金融危機を通して、負債と株主資本の構成割合に関する意思決定がどのように変容したかを追体験することで、資本構成に関する実務上の留意点について議論します。また、株主に対する利益還元である配当政策の理論的な解説を行います。その上で、ケースを通じて配当政策が株価にどのように反応するかを確認しながら、配当と企業価値に関する理解を深めます。最後に、これまでの要点をまとめるとともに、コーポレート・ガバナンスなどコーポレート・ファイナンスの意義を再確認します。



●使用するケース
『基本テキスト コーポレート・ファイナンス』
『丸井グループ -ESG投資-(2022)』
『武田薬品工業-最適資本構成-(2022)』

第5日(Day5)



第6日(Day6)



第7日(Day7)



成績評価方法 Evaluation Criteria

*成績は下記該当項目を基に決定されます。
*クラス貢献度合計はコールドコールと授業内での挙手発言の合算値です。
講師用内規準拠 Method of Assessment Weights
コールドコール Cold Call 0 %
授業内での挙手発言 Class Contribution 35 %
クラス貢献度合計 Class Contribution Total 35 %
予習レポート Preparation Report 30 %
小テスト Quizzes / Tests 20 %
シミュレーション成績 Simulation 0 %
ケース試験 Case Exam 0 %
最終レポート Final Report 15 %
期末試験 Final Exam 0 %
参加者による相互評価 Peer Assessment 0 %
合計 Total 100 %

評価の留意事項 Notes on Evaluation Criteria

講義内容をスムースに理解するために事前課題のレポートを授業前に提出していただきます。また、講義中に行ったEXCEL演習を最終レポートとして提出していただきます。レポートの作成方法は講義で説明します。知識を確認するために小テストを第4日目に行います。

使用ケース一覧 List of Cases

    ケースは使用しません。

教科書 Textbook

  • 小林武「基本テキスト コーポレート・ファイナンス(ケースブックと同時に配布)」N/A(N/A)
  • 砂川伸幸「コーポレート・ファイナンス入門(第2版)」日本経済新聞社(2017)978-4532113681

参考文献・資料 Additional Readings and Resource

【コーポレート・ファイナンス全般】
・「ゼミナール コーポレートファイナンス」 朝岡・砂川・岡田 2022年 日本経済新聞出版; ISBN-13 978-4532135249
多くの事例を紹介し、豊富な内容がよくまとめっています。
・「コーポレート・ファイナンスの考え方」 古川浩一他 中央経済社 2013年 ISBN-13: 978-4502472909
教科書で省略している記述を補うのに適しています。豊富な内容がよくまとめっています。
・「日本企業のコーポレート・ファイナンス」砂川伸幸、川北英隆、杉浦秀徳 2008年 ISBN-13: 978-4532133450 
日本企業のコーポレート・ファイナンスの事例を多く取り上げています。
・「実況! ビジネス力養成講義 ファイナンス」 石野 雄一2021年 日本経済新聞出版 ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4532323790
EXCELの計算例を示しながらコーポレート・ファイナンスの要点をわかりやすく解説しています。
・「ファイナンシャル・マネジメント 改訂3版---企業財務の理論と実践」 ヒギンズ2015年 ISBN-13: 978-4478027721
コーポレート・ファイナンスに必須の理論と実務上の知識を体系的にまとめた米国MBA定番テキスト
・「企業価値の神秘」宮川壽夫中央経済社 2016年 ISBN-13: 978-4502201912
コーポレート・ファイナンスの諸理論を中心に、組織の経済学や経営戦略論までカバーした入門書
・「HOW FINANCE WORKS ハーバード・ビジネス・スクール ファイナンス講座」 ミヒル・A・デサイ 2020年 ISBN-13: 978-4478108277
ハーバード・ビジネス・スクールのファイナンス講座の書籍化。海外企業のケースを数多く紹介しています。

【企業価値関連】
・「はじめての企業価値評価」砂川・笠原 日本経済新聞社 2015年 ISBN-13: 978-4532113254
企業価値評価の基本的な考え方がコンパクトにまとまっています。
・「企業価値評価(入門編)」鈴木一功 ダイヤモンド社  ISBN-13: 978-4478028629
企業価値評価の基本をケースについて使いながら分かりやすく解説しています。
・「企業価値評価(実践編)」鈴木一功 ダイヤモンド社 ISBN-13: 978-4478470725
DCF法を20のステップに分け、具体的・詳細に解説しています。
「バリュエーションの理論と実務」鈴木 一功  田中 亘 日本経済新聞社 2021年 ISBN-13: 9978-4532135232
日本における企業価値評価の実務におけて、どのような問題が存在し、実務上何に注意すべきかといった観点から解説。

【経営戦略とファイナンス】
・「企業価値経営」伊藤邦雄 日本経済新聞社 2021年ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4532135140
企業価値とサステナビリティをいかにして共に高めるかを豊富な事例を交えながら解説しています。
・「経営戦略とコーポレートファイナンス」 砂川伸幸、川北英隆、杉浦秀徳、佐藤淑子 2013年 日本経済新聞社 2021年ISBN-13 ‏ : 978-4532134419
投資やM&Aの判断、新規事業参入といった経営戦略に、資本コストや価値分析などコーポレート・ファイナンスはどう活かされているかを事例と共に解説しています。
・「企業価値向上のための資本コスト経営 投資家との建設的対話のケーススタディ」証券アナリスト協会 2020年 ISBN-13 : 978-4532358662
資本コストを経営に活かすための多くの事例が挙げられています。
・「「対話」による価値創造 ESG・統合報告・資本コストをめぐる企業と投資家の協創」 菊池勝也・東京海上アセットマネジメント 日本経済新聞社 2021年 ISBN-13:978-4532359102
株主と企業のどのような対話が企業価値を高めるのか。どのような尺度で成果を計るのか。ESGにどう取り組むかなどの問題について具体例を元に解説しています。

授業調査に対するコメント Comment on Course Evaluation

昨年度に引き続き、コーポレートファイナンスに関する具体的な企業の事例を織り込みながらできるだけ分かりやすく解説することに心掛けます。また、実務への応用を意識し、実践的な授業にしていきます。

担当教員のプロフィール About the Instructor 

慶應義塾大学商学部卒。ファイナンス修士(HEC経営大学院)。博士(経営学、筑波大学大学院ビジネス科学研究科)。20年以上にわたり、東京銀行、格付投資情報センター、バークレイズ・グローバル・インベスターズ、三菱UFJモルガンスタンレー証券、NSフィナンシャルマネジメントコンサルティング(新日鉄住金ソリューションズ子会社)にて企業評価、資産運用、リサーチ業務等に従事。

He has been involved in the field of banking, asset management and research in financial industry for over 20 years.
He worked as loan officer and engaged corporate valuation and setting up investment funds in Luxembourg and pension business in Bank of Tokyo Mitsubishi. He has developed practical credit risk models in Rating & Investment Information, Inc. (Japanese rating agency).He managed fixed income portfolios and developed quantitative modeling of Fixed Income securities in Barclays Global Investors Japan and Black Rock Japan. He worked as credit analyst in Mitsubishi UFJ Morgan Stanley Securities to
analyze macro economy and credit market, and propose credit investment strategies He has consulted financial risk management for financial institution and corporation in NS Financial Management Consulting, Inc.
He holds BA in Business and Commerce from Keio University, and Master of International Finance from HEC School of Management and He received Ph.D. degrees in business administration from Tsukuba University, working in the daytime.

Refereed Articles

  • (2021) Common Factors in the Term Structure of Credit Spreads and Predicting the Macroeconomy in Japan. International Journal of Financial Studies ISSN 2227-7072
  • (2017) A Regime Switching Dynamic Nelson-Siegel Modeling to Corporate Bond Yield Spreads with Time-Varying Transition Probabilities. Journal of Applied Business and Economics 5(19,2017): 1499-691X
  • (2015) Term Structure of Credit Spreads and the Macroeconomy in Japan:A Global Factor Approach. Procedia Economics and Finance 2015/00(01): ISSN:2212-5671
  • (2013) Modeling the Term Structure of Credit Spreads and its Application to Japanese Corporate Bond Market. University of Tsukuba
  • (2012) Predicting credit spread using term structure and macro economic information. Modern Finance No31(No31):

Refereed Proceedings

  • (2024). Decomposing the Term Structure of Credit Spreads and Predicting the Macroeconomy in Japan. JAFEE 2024 Summer Proceeding .JAFEE 2024 Summer. 1. 2. Hitotsubashi university
  • (2024). Estimation of common and credit quality factors using term structure of credit spreads. JAFEE2023 Winnter Proceedings .JAFEE 2023 Winter. 1. 2. Tokyo unniversity
  • (2023). Decomposing Asian Countries Yield Curve Comovement. Proceeding of JAFEE 2022 Winter .JAFEE. 1. 2. Tohoku University
  • (2021). Comparison of Zero Coupon Yield Curve Estimation Methods Using Japanese Corporate Bond Price Data. Proceeding of JAFEE 2021 Summer .JAFEE Summer 2021. 1. 2. Online
  • (2020). A Global Model of International Yield Curves: Regime-Switching Dynamic Nelson Siegel Modeling Approach. Proceeding of JFA 2020 .Japan Finance Association 2020. 1. 2. Online






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