シラバス Syllabus

授業名 Enterprise Value and Sustainability
Course Title Enterprise Value and Sustainability
担当教員 Instructor Name 小河 光生(Mitsuo Ogawa)
コード Couse Code EST112_G22V
授業形態 Class Type 講義 Regular course
授業形式 Class Format Live Virtual
単位 Credits 1
言語 Language JP
科目区分 Course Category 入門科目0系 / Pre
学位 Degree Exed
開講情報 Terms / Location 2022 GSM ONLINE Spring

授業の概要 Course Overview

Misson Statementとの関係性 / Connection to our Mission Statement

「サステナビリティ(Sustainability)=持続可能な経営」とは、企業がステークホルダー(国、地方自治体、株主、従業員、患者、取引先、地域社会等)と良好な関係を作り事業価値を向上させる、新しい経営戦略のことです。グローバル世界がSDGs(Sustainable Development Goals)に取り組み、ESG情報にファンドが投資する時代には「非財務的価値」を大きくする経営戦略が組織を成長させます。
特にマイケルポーターが発表したCSV(Creating Shared Value)=共通価値の創造)は、自らの組織が地域の社会課題を解決しながら発展するという、新規事業を展望するすべての組織にとって意義深いコンセプトです。
Sustainability is to build and improve the relationship between an organization and its stakeholders, and to strengthen the organization's social value in the middle- and long-term period. Any organization is a member of a society and therefore cannot survive only by pursuing its economic benefit without caring its sociality (=non-economic benefit): the management style that is demanded for all organizations in the next decades is to balance its economic and social aspects, and to grow together with its stakeholders under a mutually beneficial relationship. Especially the CSV(=Creating Shared Value) by Michael Porter is the typical next strategy for all organization in near future.

授業の目的(意義) / Importance of this course

本コースは、サステナビリティが着目され始めた環境変化の理解から始め、新しい経営戦略であるCSVの理解と自組織でいかに生かしていくべきかを学びます。さらに組織のリーダーとして、サステナビリティを推進する組織や風土、社員のモチベーションをどう作っていくべきかを学習します。特にヘルスケア業界は直接人命に関わる業務を行っている点で、より高次のサステナビリティが要求されることになります。
This course focuses on the health care industry where, comparing to other industries, stronger moral sense and more solid governance are required for their daily operations, to deal with the life of mankind.

到達目標 / Achievement Goal

ただし、サステナビリティはすべての組織にとって経営の中枢テーマですので、ヘルスケア業界以外の業界の方にも十分な学びの機会を得られるコース設計にしています。広く多くの方に受講いただきたい

Off course any other industry students are also strongly recommended to take this course as sustainability is one of the most important themes for management in all industries.

本授業の該当ラーニングゴール Learning Goals

*本学の教育ミッションを具現化する形で設定されています。

LG1 Critical Thinking
LG2 Diversity Awareness
LG3 Ethical Decision Making
LG4 Effective Communication
LG5 Executive Leadership (EMBA)

受講後得られる具体的スキルや知識 Learning Outcomes

本講義では、サステナビリティの定義と経営における意味を理解するところから始め、以下の点を重点的に学習します。

1.『守り』のサステナビリティ
①組織理念に基づいた経営のあり方、組織と社会性の関係
②リーダーの倫理的行動、マネジメントへの働きかけ
③ガバナンス改革によるステークホルダーとの信頼感の作り方

2.『攻め』のサステナビリティ
①CSV=Creating Shared Value(=共通価値の戦略)、BOP=Base of Pyramid
②ESGとSDGs
③サステナビリティとブランディング、インナーブランディング
④社員のモチベーションへの影響
⑤地域社会との関係づくり
上記の観点を学習することで、組織の経済的価値と社会的価値を両立する大切さを理解し、いかにそれを戦略的に自社の企業価値につなげていくかを習得します。
さらに、組織がステークホルダーと良好な関係を築いていくには、リーダーはどのようなポリシーを持ち、どのような行動が求められるのか、多様な事例を通して実践的な理解を進めます。

This course starts from the definition of Sustainability and its effect on the management. We also discuss the topics as bellows in more details;
1. The "passive" aspects of Sustainability
① the mission, value of organization and its social value
②ESG,SDGs
③ Leader’s ethical dilemma
④ Governance Transformation and the partnership with stakeholders
2.The "active" aspects of Sustainability
① CSV=Creating Shared Value、BOP=Base of Pyramid
② Organization branding
③ employees motivation
④ Community

Through this course, we aim to learn the importance of keeping balance between economic and social values of an organization. Also, with a variety of case studies, we discuss what kind of policies and behaviors are expected for a leader to build a great relationship between his/her organization and its stakeholders.

SDGsとの関連性 Relevance to Sustainable Development Goals

Goal 4 質の高い教育をみんなに(Quality Education)

教育手法 Teaching Method

教育手法 Teaching Method % of Course Time
インプット型 Traditional 30 %
参加者中心型 Participant-Centered Learning ケースメソッド Case Method 70 %
フィールドメソッド Field Method 0 %
合計 Total 100 %

事前学修と事後学修の内容、レポート、課題に対するフィードバック方法 Pre- and Post-Course Learning, Report, Feedback methods

課題レポート;
「あなたがこれまでに勤めた会社を事例として、サステナビリティ(攻め、守り両面から)の打ち手の功罪を論じる。また、あなたがその組織のリーダーであった場合、サステナビリティの観点からどのような打ち手を講じるか」について、以下の期限・形式で提出してください。ただし、予習でアサイメントを学習する中で、検討したフレームワーク、気づき、考え方などを援用し、各自の考察を加えることが望ましい。

提出期限:講義最終日 授業開始前まで(Google Classroomに提出ください)
形式:パワーポイントで作成の場合はA4版10枚まで、ワードで作成の場合はA4版2枚以内まで。(いずれも図表込の枚数)


SDGs(Sustainable Development Goals)
「3 すべての人に健康と福祉を」
「8 働きがいも経済成長も」
「10 人や国の不平等をなくそう」
「12 作る責任使う責任」

授業スケジュール Course Schedule

第1日(Day1)

(1)サステナビリティの意味・効用の理解
三方よし、サステナビリティが望まれる時代背景、SDGs/ESG、攻めと守りの概念・事例、サステナビリティと経営戦略との関係性を考えながら、サステナビリティの定義を学びます。また、企業が危機を迎えた際のリーダーの行動、平常時からリーダーが意思決定で心がけるべきことを学びます。
特に、最近の潮流として、SDGsとESGが日本企業に及ぼす影響とメリットを論じる。また、人権の今日的な課題と日本企業の課題について考察する。

【補助教材】
「今こそ「三方よし」経営」 日経ビジネス2021.03.29

(2)サステナビリティとガバナンス
ガバナンス改革、ガバナンスと組織、リーダーとガバナンス(組織における良質のガバナンス構造の作り方を学びます。さらにガバナンスが事業価値にどのように関係するかケースを通して学びます)
また、組織の倫理観を高めるには、どのような方策を考えていけばよいのか、を議論する。

【使用ケース】
「雪印乳業(A)(B)」
「雪印」日経ビジネス

(3)サステナビリティと事業価値の関係
組織理念(経済性と社会性の両立)、組織の強みと社会性の関係、社会課題の意味と事業との関係、持続可能な経営の事例(企業理念をベースとした経営がサステナビリティに通ずることを理解します。組織は事業を通じて社会課題解決をすることを、ステークホルダーから期待されていることを学びます)

【使用ケース】
「エーザイの知識創造」




●使用するケース
『エーザイの知識創造』 ハーバード・ビジネス・スクール
『CSV 共通価値の戦略』 Michael E Porterハーバードビジネスレビュー
『雪印乳業 (A)再生の可能性を見極める (B)改革と再生への取り組み』 DARDENケース
『ジョンソン・エンド・ジョンソン(A):理念と文化』 ハーバード・ビジネス・スクール
『SARAYA2015』 NUCBケース

第2日(Day2)

(1)サステナビリティと企業ブランド
CSVの理解、ポーター教授の示唆、地域社会と組織、コーズリレーテッドマーケティング(サステナビリティが事業価値を向上させていく考え方として、ポーター教授のCSV(共通価値の創出)を学習します。さらに社会課題解決をマーケティングに適用する考え方(コーズリレーテッドマーケティング)を学びます)

【使用ケース】
「共通価値の戦略」
「Saraya2015」

(2)インナーブランディング、ステークホルダーとの対話
インナーブランディングの理解、ステークホルダーとの対話(サステナビリティの実践手法として、ステークホルダー・エンゲージメント(対話)を学びます)

【使用ケース】
ジョンソン・アンド・ジョンソン(A) 理念と文化

(3)社員のやりがい、働きがいとサステナビリティの関係
サステナビリティの良循環構造、人材獲得とサステナビリティ(サステナビリティの究極的な目標は、従業員の働きがいにつながることを学びます。社員活性化としてのサステナビリティに関して事例を通じて学びます)

【補助教材】
実際の企業のサステナビリティ活動について第三者意見を述べる
グローバルのサステナビリティ先進企業(ネスレ)、日本のサステナビリティ先進企業(味の素)のサステナビリティの特徴について論ずる



●使用するケース
補助教材;
※補助教材は授業の中でディスカッション用に使用します。受講生各位は使用ケースと同様に補助教材も予習してください。
『今こそ「三方よし」経営』 日経ビジネス2021.03.29
『実際の企業のサステナビリティ活動(ネスレ、味の素)のホームページ情報でサステナビリティおよび中期計画を調べる』

第3日(Day3)



第4日(Day4)



第5日(Day5)



第6日(Day6)



第7日(Day7)



成績評価方法 Evaluation Criteria

*成績は下記該当項目を基に決定されます。
*クラス貢献度合計はコールドコールと授業内での挙手発言の合算値です。
講師用内規準拠 Method of Assessment Weights
コールドコール Cold Call 0 %
授業内での挙手発言 Class Contribution 50 %
クラス貢献度合計 Class Contribution Total 50 %
予習レポート Preparation Report 0 %
小テスト Quizzes / Tests 0 %
シミュレーション成績 Simulation 0 %
ケース試験 Case Exam 0 %
最終レポート Final Report 40 %
期末試験 Final Exam 0 %
参加者による相互評価 Peer Assessment 10 %
合計 Total 100 %

評価の留意事項 Notes on Evaluation Criteria

使用ケース一覧 List of Cases

    ケースは使用しません。

教科書 Textbook

  • 配布資料

参考文献・資料 Additional Readings and Resource

「ISO26000で経営はこう変わる」 日本経済新聞出版社 小河光生著
「SDGsが問いかける経営の未来」 モニターデロイト編 日本経済新聞出版社
「CSR 企業価値をどう高めるか」 高巌、日経CSRプロジェクト編 日本経済新聞出版社(特に第3章 2現場の社員が元気になる会社 CSRと人材活性化 小河光生著)

授業調査に対するコメント Comment on Course Evaluation

SDGsとCSVの理解にとどまらず、その活用法や生かし方、そして非財務情報を企業がどのように活用していけばよいか、加えて組織の中でマネジメント層にどのようにサステナビリティを働きかけて組織を変えていくことができるか、を中心に議論したい。そのため実際サステナビリティが企業活動を通じてどのような価値を生んでいるかをクラス討議で吟味し、これからのサステナビリティと企業経営の未来像を深めていきたい。

担当教員のプロフィール About the Instructor 

㈱クレイグ・コンサルティング  代表取締役

1964年東京生まれ。早稲田大学卒業後、大手自動車関連メーカーを経て、91年にピッツバーグ大学経営学修士(MBA)取得。同年、三和総合研究所(現三菱UFJリサーチ&コンサルティング)に入社し、経営コンサルティング部門の立ち上げに携わる。
00年にPwCコンサルティングに移籍。戦略コンサルティング部門の立ち上げに従事。04年に独立し、株式会社クレイグ・コンサルティングを設立、現在に至る。組織論・人材活性化論が専門分野。
おもな著書に『CSR 企業価値をどう高めるか』(日本経済新聞社=共著)、『分社経営』(ダイヤモンド社)、『戦略コンサルタントビジネス・スキル・ブック』(東洋経済新報社)、『図解持株会社とグループ経営』(同)、など。

Mitsuo Ogawa
President, Craig Consulting Co.ltd.

Born in 1964, Tokyo. Graduated from Waseda Univ. and worked at Denso, then earned the MBA in the University of Pittsburgh. Through the Sanwa Research Institute and the PwC consulting, Ogawa became the president at the Craig Consulting.
Books; 「CSR, how to improve the corporate values」(Nikkei Publishers), 「Empowered the Organization」(Diamond Publishers), 「Holding Company and the Group Management」







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