シラバス Syllabus

授業名 アカウンティングエッセンス
Course Title Accounting Essence
担当教員 Instructor Name 辻 正雄(Masao Tsuji)
コード Couse Code EST101_G20N
授業形態 Class Type 講義 Regular course
授業形式 Class Format
単位 Credits 1
言語 Language JP
科目区分 Course Category
学位 Degree Exed
開講情報 Terms / Location 2020 GSM Nagoya Spring

授業の概要 Course Overview

Misson Statementとの関係性 / Connection to our Mission Statement

授業の目的(意義) / Importance of this course

 本講義は、会計学の初級水準を既に習得しているか、履修前までに教材の予習を通じて同等の水準に達している方を対象に、財務会計と管理会計の2つの領域における基本的な概念とモデルを理解し、ケースメソッドによるアクティブラーニングを実践することによって学習の成果を実際に応用できる水準に到達することを目的としています。
 財務会計については、利害関係者の経済的意思決定に資する財務諸表の作成と開示に関するルールを理解し、経営者は定められたルールを遵守しながらどのような行動をとるかを考察します。管理会計については、企業価値の向上を目指す経営者・管理者の意思決定と業績管理のためにどのような情報が求められているかを、経営者・管理者の行動とのダイナミックは作用を掌握しながら探究します。
 短時間に上述の目的を実現するために、十全の予習が前提となります。そこで、教材の予習に加えて、ケースメソッドによるアクティブラーニングの効果を高めるために、ケースに関する討議事項に対する解答を講義開始前にレポートして提出する課題を課すことにします。
 This course is aimed at those who have already acquired the beginner’s level of accounting science or who have reached an equivalent level through preparation of the teaching materials before the course begins. This course covers the basic concepts of accounting of the two areas: financial accounting and management accounting. Through studying the theories and the models, the students are expected to reach higher levels where practical application of learning outcome can be realized by doing active learning by using case methods. In order to realize the above-mentioned objectives in a short period of time, full preparation is a prerequisite. Therefore, in order to increase the effect of active learning by the case method, in addition to the preparation of the teaching materials, I will impose the task of reporting and submitting the answers to the discussion matters on the cases before the lecture begins.

到達目標 / Achievement Goal


本授業の該当ラーニングゴール Learning Goals

*本学の教育ミッションを具現化する形で設定されています。

LG1 Critical Thinking
LG2 Diversity Awareness
LG3 Ethical Decision Making
LG4 Effective Communication
LG5 Executive Leadership (EMBA)
LG7 Global Perspective (GLP)
LG8 Tax Accounting Consulting Skills (MSc)

受講後得られる具体的スキルや知識 Learning Outcomes

 企業価値の向上を目指す経営者を支援する管理者あるいはコンサルタントとして、経済への深い理解の上に適切なビジョンを掲げて企業価値の創造を可能にする意思決定と業績管理の仕組みを構築するために必要となる能力を付けることができる。企業価値を創造する経営を指向するには、同業他社との横並び競争から脱却しなければならないので、当該企業の業績と財政状態を適切に測定・評価して自社および同業他社のファンダメンタル分析を実行することが肝要である。ITおよびAIの発展に伴い、会計担当者に求められる役割期待は、過去の実績を提示することを越えて、自社の企業価値を的確に評価する能力を高めるとともに、環境や証券市場との相互作用を通して株主価値と株価とのかい離の幅を縮めるためにとるべき行動について助言を行えるようにすることである。

 You are able to improve corporate value by creating a framework for corporate value creation with a proper vision based on a deep understanding of the economy as a manager or to support managers seeking to improve corporate value as a consultant. It is important for you to estimate intrinsic corporate value properly as much as possible. You will be able to gain the necessary skills to build a mechanism for making decisions and performance management possible. In order to orient business that creates corporate value, it is necessary to escape from the side-by-side competition with other companies in the same industry, so by enhancing the fundamental analysis of own company and other companies in the same industry, you will be able to gain the ability to enhance the company's corporate value. Also, you will be able to advise on behaviors managers should take in order to reduce the extent of discrepancy between shareholder value and stock price.

SDGsとの関連性 Relevance to Sustainable Development Goals

教育手法 Teaching Method

教育手法 Teaching Method % of Course Time
インプット型 Traditional 30 %
参加者中心型 Participant-Centered Learning ケースメソッド Case Method 60 %
フィールドメソッド Field Method 10 %
合計 Total 100 %

事前学修と事後学修の内容、レポート、課題に対するフィードバック方法 Pre- and Post-Course Learning, Report, Feedback methods

 本講義は、ケースメソッドによるアクティブラーニングを実践します。 本講義から多くを学ぶためには、会計の基礎学力が不可欠です。基礎学力に欠けると思う方は、指定された以下の教科書を自習して下さい。初学者の方々には、辻他著の『基礎会計学』をダウンロードして会計の基礎を学習することを勧めます。
企業で実際に起きた会計実践の事例を受講生が自らの視点で追体験することを通じて、課題解決力・課題発見力を培うことができるように授業計画を設計しています。受講生間のディスカッションおよびロールプレイ等、受講者を主体とした学修体験(Participant Centered Learning)により、知識の修得に加え受講生の実務家としての世界観・視野を広げることをも目的としています。
上記の目的を短期間に実現するには、レポート課題への積極的な取り組みが不可欠です。指定されたレポート課題は、すべて期限内に提出して下さい。基礎学力が付けば、ケースと参考資料をよく読んでレポート課題を作成することができます。基礎学力のある方にとっては、教科書や参考書は必要のないものかもしれません。
レポート課題については、授業中に討議したうえで、終了後に参考となる資料を追加して提供することにします。

授業スケジュール Course Schedule

第1日(Day1)

財務会計と管理会計の2つの領域における基本的な概念とモデルの理解を確実なものにします。 財務会計については、利害関係者の経済的意思決定に資する財務諸表の作成と開示に関するルールを理解し、経営者は定められたルールを遵守しながらどのような行動をとるかを考察します。管理会計については、企業価値の向上を目指す経営者・管理者の意思決定と業績管理のためにどのような情報が求められているかを、経営者・管理者の行動とのダイナミックは作用を掌握しながら探究します。
Session 1: 財務諸表の作成の基本手続きを学ぶ
Session 2: 財務諸表を利用したファンダメンタル分析を学ぶ
Session 3: 会計政策と報告利益管理を学ぶ(1)


●使用するケース
Session 1
 使用ケース: 財務諸表の作成ケース
 教科書: 基礎会計学1・2
Session 2
 使用ケース: 財務諸表分析
 参考ケース: 主要100社の財務諸表危険度分析
Session 3
 使用ケース: ライオンのIFRS任意適用の決定
 参考資料1: 経営者による会計政策と報告利益管理
 参考資料2: ライオン2017年12月期決算説明資料2018年2月9日
 参考資料3: ライオン2017年12月期決算短信2018年2月9日
 参考資料4: ライオン2017年12月期有価証券報告書_全体
 参考資料5: IFRS採用企業リスト
 参考資料6: IFRS採用企業の実態

第2日(Day2)

会計に係わる戦略と経営意思決定およびガバナンスについて検討し、会計および財務のデータを使用して企業分析の方法を学習し、企業価値の向上を目指す企業の経営者が直面する課題とその解決方法を把握します。
Session 4: 会計政策と報告利益管理を学ぶ(2)
Session 5: 競争戦略と財務政策を学ぶ
Session 6: 企業価値評価の方法を学ぶ
Session 7: 企業の持続的成長のための要件を学ぶ


●使用するケース
Session 4
 使用ケース: 日産自動車のV字回復
 参考資料1: 日産リバイバル・プラン
 参考資料2: 日産自動車1999年3月期有価証券報告書_全体
 参考資料3: 日産自動車2000年3月期有価証券報告書_全体
 参考資料4: 日産自動車2001年3月期有価証券報告書_全体
 参考資料5: 日産自動車zaimu_summary_dl_2001年度~2017年度
Session 5
 使用ケース: V字回復後の日産自動車
 参考資料: 自動車トップ3社の財務データ
Session 6
 使用ケース: プライベート・エクイティ投資における企業価値評価について
Session 7
 使用ケース: ファナック株式会社

第3日(Day3)



第4日(Day4)



第5日(Day5)



第6日(Day6)



第7日(Day7)



成績評価方法 Evaluation Criteria

*成績は下記該当項目を基に決定されます。
*クラス貢献度合計はコールドコールと授業内での挙手発言の合算値です。
講師用内規準拠 Method of Assessment Weights
コールドコール Cold Call 5 %
授業内での挙手発言 Class Contribution 45 %
クラス貢献度合計 Class Contribution Total 50 %
予習レポート Preparation Report 40 %
小テスト Quizzes / Tests 0 %
シミュレーション成績 Simulation 0 %
ケース試験 Case Exam 0 %
最終レポート Final Report 10 %
期末試験 Final Exam 0 %
参加者による相互評価 Peer Assessment 0 %
合計 Total 100 %

評価の留意事項 Notes on Evaluation Criteria

 クラスでの挙手による内容のある発言を重視します。そこで、ケースの課題に対する解答には時間を掛けて完成させることが肝要となります。クラスでの討議を意義のあるものにするために、会計の基礎をしっかり予習して出席することを期待いたします。

使用ケース一覧 List of Cases

    ケースは使用しません。

教科書 Textbook

  • 川村 義則「論点で学ぶ財務会計」新世社(2019)978-4-88384-293-3

参考文献・資料 Additional Readings and Resource

 参考文献
辻 正雄 他 『基礎会計学』をダウンロードして会計の基礎を学習して下さい。
アンソニー+ブライトナー著、西山 茂 監訳『アンソニー会計学』東洋経済新報社、2016年

 初級水準の会計学を習得している方には、以下の図書をお勧めします。
伊藤邦雄著『新・現代会計入門 第2版』、日本経済新聞出版社、2016年
辻正雄著『会計基準と経営者行動』中央経済社、2015年

授業調査に対するコメント Comment on Course Evaluation

 事前に会計の基礎を習得されている方々と、理論やモデルをベースにしながら実践的な討議を中心とするケースメソッドによるアクティブラーニングとなるよう心がけます。授業調査についてですが、国際認証を有する大学院に相応しい授業内容であると考えておりますが、内容に関するコメントを期待いたします。授業調査の結果は、次回以降の授業の改善に活かしますので、忌憚のない意見を入力されますようお願いいたします。
なお、予習時間はこれまでの習得レベルによって異なると思いますが、初学者の方はレポート課題に取り組む前に教科書・参考資料とケースを繰り返し読んで十分な予習を心がけて下さい。講義当日に計算などが必要になりますので、電卓あるいはノートパソコンを持参することをお勧めします。

担当教員のプロフィール About the Instructor 

辻 正雄
名古屋商科大学大学院研究科長補佐、教授
早稲田大学第一商学部卒業、同大学院商学研究科修士課程修了・博士課程満期退学、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)博士課程C.Philを経て、1978年より早稲田大学専任講師、同助教授、1985年より同教授。早稲田大学商学部長(2002年~2004年)、博士(商学)。
学会活動として、日本管理会計学会副会長(2005年~2007年)、同会長(2008年~2011年)、日本会計研究学会評議員(2009年~2015年)、日本管理会計学会常務理事(2011年~2016年)顧問(2017年~)、NTT経理・財務研究会座長(2010年~2019年)、日本内部監査研究所専務理事(2021年~)Asian-Pacific Management Accounting Association Senor Director(2015年~2017年), President-elect(2018年~), President(2019年)。
試験委員として、公認会計士二次試験・試験委員(1999年~2002年)、同三次試験・試験委員(2005年~2006年)、中小企業診断士試験基本委員(2002年~2004年)、中小企業診断士試験委員会委員長(2004年~2008年)、最高財務責任者(JCFO)検定試験・試験委員(2005年~2012年)。
著書には、『経営者による報告利益管理』(編著、国元書房、2016年)『会計基準と経営者行動』(単著、中央経済社、2015年)、『報告利益の管理と株式市場の反応』(編著、早稲田大学産業経営研究所、2012年)、『MBAアカウンティング ケーススタディ 戦略管理会計』(編著、中央経済社、2010年)、『会計ビッグバンの意義と評価』(編著、早稲田大学経営研究所、2006年)、『管理会計の基礎』(共著、税務経理協会、1999年)、『意思決定の財務情報分析』(共著、国元書房、1985年)など。

Masao Tsuji, Ph. D.

Associate Dean and Professor of Graduate School of NUCB (2016~)
Undergraduate and Graduate School of Business and Commerce; Master’s Degree and Ph. D.
Graduate School of Management of University of California, Los Angeles; C. Phil.
Lecturer, Undergraduate School of Business and Commerce,
Associate Professor, Undergraduate School of Business and Commerce,
Professor, Undergraduate and Graduate Schools of Business and Commerce,
Dean of Undergraduate School of Business and Commerce,
Professor Emeritus, Waseda University (2016~)

Academic Associations:
Vise-President of Japanese Association of Management Accounting (2005~2007)
President of Japanese Association of Management Accounting (2008~2011)
Advisor of Japanese Association of Management Accounting (2012~)
Board member of Trustee, Japan Association of Accounting (2009~2015)
Senor Director, Asian-Pacific Management Accounting Association (2015~2017) President-elect, Asian-Pacific Management Accounting Association(2018~)
A committee member of the certified public accountant second-stage examination (1999~2002).
A committee member of the certified public accountant third-stage examination (2005~2006).
A committee member of Japan Small and Medium Enterprise Management Consultant Examination (2002~2004).
A committee chairman of Japan Small and Medium Enterprise Management Consultant Examination (2004~2008).

Publications:
Earnings Management by Management (in Japanese), Kunimoto Publishing Co., Tokyo Japan, 2016.
Accounting Standards and Managerial Behavior (in Japanese), Chuokeizaisya Publishing Co., Tokyo Japan, 2015.
Earnings Management and its Effects on Capital Market (in Japanese), Research Institute of Industrial Administration, Waseda University, 2012.
MBA Accounting Case Study: Strategic Management Accounting (in Japanese), Chuokeizaisya Publishing Co., Tokyo Japan, 2010.
Significance and Evaluation of Accounting Big-Ban (in Japanese), Research Institute of Industrial Administration, Waseda University, 2006.
Foundations of Management Accounting (in Japanese), ZeimukeiriKyokai Publishing Co., Tokyo Japan, 1999.
Financial Information Analyses for Decision Making (in Japanese), Kunimoto Publishing Co., Tokyo Japan, 1985.

Refereed Articles

  • (2021) Empirical Analyses on Earnings Adjustments by Adopting the Consolidated Tax System. The Journal of Management Accounting, Japan 29(1): ISSN 0918-7863
  • (2021) Empirical Analyses of the Effects of Possession of Financial Assets on Profitability. The Japan Industrial Management & Accounting, Japan 80(4): ISSN 0287-4288
  • (2017) Progress towards Fruitful Extension and Intension in Management Accounting. The Journal of Management Accounting, Japan 25(2): 0918-7863
  • (2015) Accounting Policies by Corporate Management and Performances: The Application of the Accounting Standards for Impairment of Fixed Assets. The Bulletin of the Graduate School of Commerce (80): 0287-0614






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