シラバス Syllabus

授業名 Management in Regulated Environment
Course Title Management in Regulated Environment
担当教員 Instructor Name 長沢 雄次(Yuji Nagasawa)
コード Couse Code CLD204_G20T
授業形態 Class Type 講義 Regular course
授業形式 Class Format
単位 Credits 2
言語 Language JP
科目区分 Course Category
学位 Degree Exed
開講情報 Terms / Location 2020 GSM Tokyo Fall

授業の概要 Course Overview

Misson Statementとの関係性 / Connection to our Mission Statement

授業の目的(意義) / Importance of this course

本コースはHealthcare Management Programの一つの講義に位置付けられています。
 ただし、ヘルスケア業界関係の以外の業界の方にも、充分な学びを得られるコースになっていますので、広く多くの方に受講して頂けます。
 企業経営では、必ず制約事項が存在しています。その制約の中で最善の経営判断をするのが経営者の最大の役割です。その為にはまず経営の制約事項を的確に把握することが重要です。さらに、自社がその制約の中でどこまで変化に柔軟に対応していけるのかが重要になります。その上で的確な戦略、最適な経営システムを構築していく必要があります。
 制約事項はPESTELに大きく分類されます。
 政治/Politics、経済/Economy、社会/Social、技術/Technology、環境/Environment、法規制/Legalの6つの要素です。業界・企業によってこのPESTELは大きく違ってきますし、また制約の強弱も全く違います。
 このコースでは、この制約を特に大きく受ける業界の一つとして製薬・医療業界にフォーカスを当てますが、議論と学びはこの業界に限定することなく、広く同様に外部環境の制約が強い業界に広げて行きます。
 政治や法規制に代表される制約事項は、固定的なものでなく時々刻々変化して行きます。その変化に対応できる企業こそが生き残って行きます。また同時に、規制緩和に代表されるように、環境の変化は新規参入のチャンスを広げます。このコースでは、制約事項のマイナスインパクトだけでなく、起業・新規事業のチャンスとしてそれを生かす経営能力に関しても啓発して行きます。
This course is designed as one of Healthcare Management Program.
 However, the course is opened to every student working in other than so-called healthcare industry, who intends to deepen leaning in corporate management.
There exist many constraints to every corporate management. The most important role of general manager is to decide best under any changes of constraints. First of all, you have to understand constraints surrounding you. Second of all, you have to evaluate how your company is capable and flexible to environment change. Then you can successfully develop most suitable and executable strategy and management system.
Constraints are divided into PESTEL. PESTEL stands for Politics, Economy, Society, Technology, Environment and Legal. PESTEL differs in every industry and company. Strength of PESTEL defers as well.
This course focuses on pharmaceutical and medical industry, as one of extreme industries, which are affected highly by regulation and any other constraints, however, learning and discussion will be expanded into similar industries with heavy constraints.
Constraints like politics and regulation are not stable and are changing from time to time. Companies, which can cope with these changes, can make sustainable growth. At the same time, change of constrains, represented by deregulation, will give you new business opportunities. So, you can develop your management capability not only to cope with minus effects of constraints change but also to startup new business with new opportunities.

到達目標 / Achievement Goal


本授業の該当ラーニングゴール Learning Goals

*本学の教育ミッションを具現化する形で設定されています。

LG1 Critical Thinking
LG2 Diversity Awareness
LG3 Ethical Decision Making
LG4 Effective Communication
LG5 Executive Leadership (EMBA)
LG6 Innovative Leadership (MBA)
LG7 Global Perspective (GLP)

受講後得られる具体的スキルや知識 Learning Outcomes

以下が、本コースの特徴です。
1. テクニカルな業界知識でなく、MBAもしくはMBA希望者としての基本的な戦略思考・発想と論理的思考をさらに応用発展させることを主目的にする
2. ケースの数をこなすのではなく、良ケースをじっくり分析・議論する
3. 講義は最小限にとどめ、ケースディスカッションから実践的な経営の本質を掴む
4. 製薬・医療業界を中心としつつも、幅広い業界で適用できる経営能力を啓発する
5. 産業の壁を超えた自由闊達な議論を通じて、新しい価値を創造する

Following are important issues of this course.
1. The main objective of this course is for MBA or MBA candidate students to develop further way of strategic thinking and management, rather than to learn technical or industrial knowledge.
2. Quality of cases and discussion is emphasized. Students are required to have deep analysis and discussion with these cases.
3. Students will gain practical capabilities and experience in management with discussions. Lecture is most limited.
4. While focusing on pharmaceutical and medical industry, students can develop cross-industry management capability.
5. Students can create new values with diversity of students’ exiting class participation.

SDGsとの関連性 Relevance to Sustainable Development Goals

教育手法 Teaching Method

教育手法 Teaching Method % of Course Time
インプット型 Traditional 0 %
参加者中心型 Participant-Centered Learning ケースメソッド Case Method 100 %
フィールドメソッド Field Method 0 %
合計 Total 100 %

事前学修と事後学修の内容、レポート、課題に対するフィードバック方法 Pre- and Post-Course Learning, Report, Feedback methods

本コースは、ケースメソッドにより実施します。
企業で実際に起きた経営事例等を受講生が自らの視点で追体験することを通じて、課題解決力・課題発見力を培う教育手法です。受講生間のディスカッションおよびロールプレイ等、受講者を主体とした学修体験「Participant Centered Learning」により、知識の修得に加え受講生の実務家としての世界観・視野を広げることを目標とします。

(学習方法)
本コースのすべてのセッション(計8回)は全てケースディスカッションで構成されます。受講者はシラバスに指示された質問事項に関して討議準備をしてください。受講生はクラス討議の間に準備した回答を発言・プレゼンテーションするように講師から指示されます。講義の進め方・準備に関しては、コース開始前にケースブックが配布されるタイミングで、詳細の指示を致します。

(レポート)
各Sessionに事前に示された課題に関して、分析・考察レポートを各回提出して下さい。課題は開講前に詳細に告知します。提出締め切りは各Sessionの開始直前までとします。

授業スケジュール Course Schedule

第1日(Day1)

 医療と経営
Medical Care and Management
2020年11月14日(土) 10:00-13:00
(ケース) インド・マドゥライのアラヴィンド眼科病院:視力への貢献
(概要)
インドの2000万人近い白内障による失明者をゼロにしたい。世界中の多くの貧しい人々に視力を届けたい。ドクターVの目標は遠大だった。僅か16年間に彼の率いるアラヴィンド病院は累計22万人の失明者を無料で治癒させるまで成長していた。医療ビジネスのサクセスストーリーを議論しながら、医療と経営の両立の本質に迫りたい。本コースの基調セッションとする。

 法規制の中での病院経営
Hospital Management under Regulation
2020年11月14日(土) 13:40-16:40
(ケース) 「想い」が戦略に変わるとき 医療法人名光会 2016
(概要)
地域を支援する総合的な病院経営を目指すのか?高度急性期の特化した専門病院を目指すのか?患者のニーズを優先するのか?利益を優先するのか?日本を代表する製造業企業グループの看板を背負った総合病院に、戦略の対立が引き起こされる。対立の原因と戦略の選択を議論しながら、日本における病院経営の本質に迫りたい。


第2日(Day2)

 医療システムの崩壊
Collapse of Medical Care System
2020年11月15日(日) 10:00-13:00
(ケース) Where there’s a will, there’s a way. 日本の医療 2019(A)(B)
(概要)
患者さんの命を救うべき日本の医療システムが、世界に冠たる国民皆保険制度と共に、日本社会の変化に追従できずに崩壊しつつある。女性医師の立場からその崩壊の現場を描いた好ケースをベースに、社会的な立場からその崩壊の原因と根本的解決策を議論したい。また、その一助となり得る新たな医療関連サービスの事業アイディア創出にもチェレンジする。

 生命倫理とビジネス
Human Life and Business
2020年11月15日(日) 13:40-16:40
(ケース) 生命倫理かビジネスか メディカルアフェアーズ 2018
(概要)
新薬の研究開発における難易度の上昇、販売促進に対する業界規制の強化、医療費抑制の政策など製薬企業の経営環境を悪化させる要因は数多くある。その環境の中、大手各社はメディカルアフェアーズ部門を設立し、その機能を強化する。メディカルアフェアーズの本質的価値を議論しつつ、製薬企業のビジネスの本質に迫り、生命に直結したビジネスの在り方を議論したい。


第3日(Day3)

 法規制の中での製薬会社経営 -1-
Pharmaceutical Management under Regulation -1-
2020年11月21日(土) 10:00-13:00
(ケース) 希望の光か、絶望の扉か  小野薬品工業株式会社 2019
(概要)
世界初の免疫チェックポイント阻害剤であるオプジーボの開発に成功し、大きな成長を遂げた中堅企業小野薬品。しかし、オプジーボが予想以上に様々ながんの治療薬として利用されたため、日本政府はオプジーボに対して強制的な薬価の引き下げを強行した。さらに海外の大企業との競争に巻き込まれてしまう。その波乱の小野薬品の成長戦略を議論したい。

 法規制の中での製薬会社経営 -2-
Pharmaceutical Management under Regulation -2-
2020年11月21日(土) 13:40-16:40
(ケース) 新しい価値を生み出す未来に向かって  田辺三菱製薬 2020
(概要)
製薬会社を取り巻く環境は大きく変化し、臨床試験の成功確度は低下、また試験の長期化や開発費の増大、さらには開発パイプライン枯渇、度重なる薬価のマイナス改訂。この会社の存続を危うくするような危機の中、医薬品の研究開発の視点に立って、外部環境、競合他社、自社を分析し、今後の成長戦略を議論したい。今そこにある危機をどう乗り越えたら良いのか。


第4日(Day4)

 法規制からの脱却
Growth beyond Regulation
2020年11月22日(日) 10:00-13:00
(ケース) 複合型医薬品企業の新しい価値への挑戦 株式会社富士薬品 2018
(概要)
配置事業、ドラッグストア事業、医療用医薬品事業と異なる事業を展開し、製販一貫体制を構築することで成長してきた複合型医薬品企業。しかし、配置事業は縮小傾向、医薬品事業は新薬を出したものの赤字、順調なのはドラッグストア事業だけだった。さらにドラッグストア事業も同業他社と激しい競争を展開していた。ヘルスケア業界で異なる事業を3つ抱える中での、医薬品企業の多角化と成長戦略を議論したい。

 法規制の中での起業
Entrepreneurship under Regulation
2020年11月22日(日) 13:40-16:40
(ケース) 創薬ベンチャーの光と陰  リブテック社 2013(A)(B)
(概要)
中村康司社長は時代の波に乗り、治療標的分子の探索から抗体作製・薬効評価を行い、臨床開発候補抗体を製薬会社にライセンスアウトするリブテック社を立ち上げる。開発品のライセンスアウトに成功するも、新たな研究資金を獲得できず、経営環境が悪化してしまい、会社の存続を左右する決断を迫られてしまう。創薬ベンチャーを起業するには、どのような条件が必要となるのか、またその事業を継続していくためには何が必要なのかを議論したい。


第5日(Day5)



第6日(Day6)



第7日(Day7)



成績評価方法 Evaluation Criteria

*成績は下記該当項目を基に決定されます。
*クラス貢献度合計はコールドコールと授業内での挙手発言の合算値です。
講師用内規準拠 Method of Assessment Weights
コールドコール Cold Call 0 %
授業内での挙手発言 Class Contribution 50 %
クラス貢献度合計 Class Contribution Total 50 %
予習レポート Preparation Report 0 %
小テスト Quizzes / Tests 0 %
シミュレーション成績 Simulation 0 %
ケース試験 Case Exam 0 %
最終レポート Final Report 50 %
期末試験 Final Exam 0 %
参加者による相互評価 Peer Assessment 0 %
合計 Total 100 %

評価の留意事項 Notes on Evaluation Criteria

クラス討議貢献度: 50%
クラス発言・プレゼンテーションなど個人評価
各回(計8回)レポート: 50%

使用ケース一覧 List of Cases

    ケースは使用しません。

教科書 Textbook

  •  「教科書は指定しない」 ( )

参考文献・資料 Additional Readings and Resource

<List of Cases>
インド・マドゥライのアラヴィンド眼科病院:視力への貢献   HBS
「想い」が戦略に変わるとき 医療法人名光会 2016    NUCB
Where there’s a will, there’s a way. 日本の医療 2019(A)(B) NUCB
生命倫理かビジネスか メディカルアフェアーズ 2018 NUCB
希望の光か、絶望の扉か  小野薬品工業株式会社 2019 NUCB
新しい価値を生み出す未来に向かって  田辺三菱製薬 2020 NUCB
複合型医薬品企業の新しい価値への挑戦 株式会社富士薬品 2018 NUCB
創薬ベンチャーの光と陰  リブテック社 2013(A)(B) NUCB

授業調査に対するコメント Comment on Course Evaluation

昨年度授業評価点(東京):4.77点
高評価につき大きな変更はありません。

担当教員のプロフィール About the Instructor 

東京大学工学部卒業後、日商岩井株式会社入社。情報通信システム開発プロジェクトに従事。米国ハーバード大学経営大学院修士課程修了(MBA)。後、本社経営企画部にて全社経営戦略策定業務に従事、更に通信事業部ニューメディア課長として情報通信&マルチメディア分野の営業第一線で活躍。ニフティ株式会社にてインターネットビジネスの戦略的展開に従事した後、ソフトバンク株式会社入社。ジオシティーズ株式会社COO,カーポイント株式会社副社長として、インターネット事業立ち上げを指揮。その後プライスウォーターハウスクーパースコンサルタント株式会社ダイレクターとして情報通信・メディア・エンタテイメント企業の経営コンサルティング従事。サンケイリビング新聞の資本参加を得て女性市場向けのマーケティングサービスを提供する株式会社ライブリッジを起業。その後ITベンチャー株式会社テック・インデックス社長としてベンチャー最前線で活躍し、現在名古屋商科大学教授。直近11年間連続で学生講義評価NO1を賞するOutstanding Teaching Award受賞。

Yuji Nagasawa

Education:
MBA, Harvard Business School
BS in Electric Engineering, Tokyo University

Biography:
After working 20 years for Nissho-Iwai Corporation, one of Japan’s largest trading houses, Mr. Nagasawa joined Softbank group and started up two IT venture companies, where he acted as COO. He moved to the position of head of the E-Business consulting unit at PricewaterhouseCoopers and performed extensive consulting work for major companies. Mr. Nagasawa founded his own consulting firm in 1992 and ran it as a founder for 4 years. In 1996, he decide to go back to venture management and was named active CEO of TechIndex, one of the most prominent venture companies in the Japanese mobile industry. Mr. Nagasawa joined the faculty of NUCB as a professor in 2011, and since then, has won the Outstanding Teaching Award for 11 straight years. Mr. Nagasawa is 70 years old with a wife and 2 children. He is very good at aerobics.







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