シラバス Syllabus

授業名 Entrepreneurship in Healthcare
Course Title Entrepreneurship in Healthcare
担当教員 Instructor Name 芳賀 裕子(Yuko Haga)
コード Couse Code CLD107_G22V
授業形態 Class Type 講義 Regular course
授業形式 Class Format Live Virtual
単位 Credits 2
言語 Language JP
科目区分 Course Category 発展科目300系 / Advanced & Specialized
学位 Degree Exed
開講情報 Terms / Location 2022 GSM ONLINE Spring

授業の概要 Course Overview

Misson Statementとの関係性 / Connection to our Mission Statement

企業は、様々な環境変化の中で戦略的意思決定を続けなくてはならない。ヘルスケア領域に関連するケースを学ぶことで、企業の経営者の意思決定を疑似的に体験する。その際に必要な考え方をビジネスの基本的なフレームワークと合わせて修得することは、「"フロンティアスピリット"を備えたイノベーティブで倫理観あるリーダー」育成につながるものである。
Companies must continue strategic decision-making within rapid environmental changes. By experiencing case related to healthcare industry, we experience decision making of developing and management of company. In doing so, acquiring necessary ideas together with basic framework of business etc. leads to "Innovative and ethical leaders with" frontier spirit "training.

授業の目的(意義) / Importance of this course

大きな環境変化が生じるところには多くのビジネスチャンスが存在します。医療、ヘルスケア業界の環境変化は著しく、その環境変化の中で起業したスタートアップ企業や既存企業が抱える様々な課題について考えます。それらはヘルスケア業界に限った課題ではなく、スタートアップ企業が共通して直面する課題と言えます。
 ヘルスケア業界を取り巻く外部環境変化を理解する上で、いくつかの重要な視点があります。政治・法規制・経済、技術、社会、競争。そしてヘルスケア事業は、人間を対象とした業界であることを忘れてはなりません。個人の価値観、人間の尊厳、社会全体のHappiness。本講義では、これらを視野に入れた業界での起業について考えます。
できれば、戦略系の講義受講経験者の受講を推奨します。
There are many business opportunities where large environmental changes occur. Environmental change in the medical and healthcare industries is remarkable. We discuss various problems start-up companies confront in the environment change. This is not limited to the healthcare industry.
There are several important perspectives in understanding external environmental changes surrounding the healthcare industry. Politics · Regulation · Economy, Technology, Society, Competition. And we must not forget that the healthcare business is an industry targeted at humans. Human values, Human dignity, Happiness of the whole society. In this lecture, we will discuss the entrepreneurial spirit with these in mind.

到達目標 / Achievement Goal

企業のミッション、リスク、参入タイミング、ステークホルダー、スタートアップ企業としてのゴール設定等について理解し、ベンチャービジネスとして成功する要因は何かを、ヘルスケア業界のケースを通して学びます。 


Understand the factors of corporate mission, risk, entry timing, stakeholders, goal setting as a startup company, etc., and learn through cases of the healthcare industry what is the factor for success as a venture business.

本授業の該当ラーニングゴール Learning Goals

*本学の教育ミッションを具現化する形で設定されています。

LG1 Critical Thinking
LG2 Diversity Awareness
LG3 Ethical Decision Making
LG4 Effective Communication
LG6 Innovative Leadership (MBA)

受講後得られる具体的スキルや知識 Learning Outcomes

・ヘルスケア業界における競争分析について理解します。
・医療制度が変化するときに、どのように競争相手が変化するかを分析するスキルを身につけます。
・スタートアップ企業が経営戦略を検討作成する際、ステークホルダーとの関わりが重要であることを理解します。
   - ポードメンバー  - 社員  -株主  -取引先   -顧客
・経営者に求められる能力や資質は、スタートアップ企業の成長ステージにより異なることを理解します。

By the end of the course, you will be able to:
1) Understand how to analyze industry competition in the healthcare industry.
2) Understand how to analyze how competitors change when the medical system is revised.
3) Understand that the relationship with stakeholders is important when a startup company reviews and prepares management strategy,
4) Understand that the abilities and qualification required of top management depend on the growth stage of the startup company.

SDGsとの関連性 Relevance to Sustainable Development Goals

Goal 3 すべての人に健康と福祉を(Good Health and Well-being)

教育手法 Teaching Method

教育手法 Teaching Method % of Course Time
インプット型 Traditional 5 %
参加者中心型 Participant-Centered Learning ケースメソッド Case Method 95 %
フィールドメソッド Field Method 0 %
合計 Total 100 %

事前学修と事後学修の内容、レポート、課題に対するフィードバック方法 Pre- and Post-Course Learning, Report, Feedback methods

ケースを読み、アサイメントに従ってクラス討議の準備をしてください。最低3回は読むことが必要です。そしてじっくり考え発言の準備をしてください。事前に示された設問の中で、★印で示された設問について、分析と考察をレポートとして毎回提出してもらいます。

授業スケジュール Course Schedule

第1日(Day1)

テーマ: 医療制度改革と事業戦略
【概要】 メイヨー・クリニックは、常に米国最高の病院の一つに挙げられている。クリニックが2020年構
想として掲げた戦略について、その戦略が選択された背景、戦略実施における課題について、外部環 境変化、内部環境から考察する。米国の医療改革は日本の医療に対しても大きな影響を与えた。メイ ヨー・クリニックの戦略を分析することから、日本でのヘルスケア領域における起業へのヒントを学 ぶ。

テーマ: 診療報酬外ビジネスの起業、大学発ベンチャー、持続的競争優位の難しさ
【概要】
糖尿病等による慢性疾患の再発と重症化予防のためのPopulation Health Managementを提供するこ
とを目的とし、ベンチャー企業、株式会社DPPヘルスパートナーズが設立された。臨床研究の末に導き 出された信頼性の高い、個人向慢性疾患患者教育プログラムを活用した支援を、営利を目的とした株 式会社として提供している。その成功要因を分析し、スタートアップ期を終え、持続的存続のための 経営戦略を考える。


●使用するケース
メイヨー・クリニック:2020年構想(HBS)

ナースたちの挑戦 株式会社DPPヘルスパートナーズ2014 (NUCB)
株式会社DPPヘルスパートナーズ (B) (オリジナル) 当日配布

第2日(Day2)

テーマ: 介護保険外ビジネスの起業、社長の要件
【概要】 浜田社長の強い想いから、4社の社長の協力を得て設立された株式会社はいせつ総合研究所は、介護
に関わる人が気軽に相談できる「むつき庵」を運営している。「おむつフィッター」養成研修事業が 成功し、企業は順調に続いている。しかしさらなる事業拡大のためには浜田社長一人では限界があ り、社長は後継者育成の必要性を強く感じていた。株主に対する責任、事業拡大、後継者の育成な ど、ベンチャー企業の創業社長として考えなければならないことを議論する。

テーマ: BOP(ピラミッドの底辺)戦略に焦点をあてる。慈善事業ではなく収益性のある事業としての 拡大を検討する
【概要】 BOP戦略は、最貧困層に安価な製品を販売する戦略である。光学レンズ業界のリーダーであるエシ
ロールがインドで行っているBOPプロジェクトを取り上げ、本格的な事業に成長させるための方法や 妥当性を様々な視点から議論する。


●使用するケース
京から明日の介護 株式会社はいせつ総合研究所2014 (NUCB)

インドにおけるエシロールの「BOP」戦略(HEC)

「社会貢献を超えて BOP市場を制するビジネス機会マップ」
(他資料)-DIAMONDハーバードビジネスレビュー 2015年6月号108-117

第3日(Day3)

テーマ: 変化のスピードが早いインターネット業界の中で、ヘルスケア事業を推進するために必要な 主要メンバーに求められる能力。IPOを視野に入れた創業と、ビジネスモデル、それを実践するために 必要な人材と経営者能力
【概要】 ハーバード・ビジネス・スクールを卒業したジェッド・スミスは、学生中に起業した企業を去り、
主流のeコマース事業の機会を求めた。ビジネスコンセプトの模索から、資金調達、IPOまでを短期間 に実現させたドラッグストア・ドットコムの経営について、成功要因をビジネスモデルと、経営者人 材の視点から議論する。

テーマ: 社内開発技術とベンチャー投資
【概要】 フラッグシップ・パイオニアリングは2000年の創業以来、治療学、ヘルステクノロジー、持続可能
性の機会を追求し、96以上の新規ベンチャーを立ち上げてきた。従来のベンチャー・キャピタル(V C)企業とは異なり、フラッグシップは社内で開発したサイエンスと知的財産を基に独自のベンチャー 事業を立ち上げ、資金を投入していた。会社はベンチャー設立をどうすれば制度化できるかを既に学んできたが、今後は同じ規律と体系的アプローチをベンチャーの成長と規模拡大に応用していく必要 があると感じていた。


●使用するケース
ドラッグストア・ドットコム (HBS)

アントレプレナーシップの制度化: フラッグシップ・パイオニアリング(HBS)

第4日(Day4)

テーマ:医療のデジタル化、医療技術革命において、医療に関連する各ステークホルダーに求められ る意思決定
【概要】 東京都板橋区で内科クリニックを経営する井上院長は、コロナ禍において経営が悪化してきている
中、今自分がどのような意思決定をすべきか考えていた。周辺のクリニックのいくつかの施設では、 すでにオンライン診療をすでに開始している。このタイミングにおいてLINEが新たなオンライン診療 サービスを開始するとアナウンスがあった。様々な視点から自分の意思決定をしなくてはいけない状 況となった井上院長を考える。

テーマ: ソーシャルアントレプレナシップ
【概要】主人公は治療方法が存在しない難病をもつ3歳の娘の親である。娘を救うために学術論文を読み、米国の研究者や製薬会社と接触し、NPOからスピンオフし、ファンドレイジングするまでの一連の物語である。


●使用するケース
医療のデジタル化とオンライン診療 〜井上クリックの迷い〜 (オリジナル)

7SEAS PROJECT 2017(NUCB)

第5日(Day5)



第6日(Day6)



第7日(Day7)



成績評価方法 Evaluation Criteria

*成績は下記該当項目を基に決定されます。
*クラス貢献度合計はコールドコールと授業内での挙手発言の合算値です。
講師用内規準拠 Method of Assessment Weights
コールドコール Cold Call 0 %
授業内での挙手発言 Class Contribution 50 %
クラス貢献度合計 Class Contribution Total 50 %
予習レポート Preparation Report 50 %
小テスト Quizzes / Tests 0 %
シミュレーション成績 Simulation 0 %
ケース試験 Case Exam 0 %
最終レポート Final Report 0 %
期末試験 Final Exam 0 %
参加者による相互評価 Peer Assessment 0 %
合計 Total 100 %

評価の留意事項 Notes on Evaluation Criteria

発言は、回数よりも質を重視して評価します。中身のない発言はカウントしません。
その発言が他の学生のディスカッションを深めるようなものであれば、プラス評価します。
質問に対して的確な内容の発言であること、ロジカルに述べられていること、他の学生の発言を聞いた上での発言であることをプラス評価します。

使用ケース一覧 List of Cases

    ケースは使用しません。

教科書 Textbook

  • 配布資料

参考文献・資料 Additional Readings and Resource

ヘルスケア業界に特化した文献ではありません。スタートアップ企業が成功する要件について実証研究に基づきまとめたものです。ケースを分析するときの切り口をどのように考えたら良いか、参考になるパートが含まれます。
「プロフェッショナル・アントレプレナー」スコット・A・シェーン著
 ウォートン経営戦略シリーズ スカイライトコンサルティング訳 英治出版
 

これまで経営戦略を学んでいない方には、以下も参考になります
「経営戦略入門」網倉久永、新宅純二郎、著 日本経済新聞出版社

授業調査に対するコメント Comment on Course Evaluation

「医療をビジネスにする企業・機関を網羅されていて、広い視点でヘルスケアをMECEに見れる良い機会となった」
ヘルスケアといっても、事業の領域はかなり広いものです。組織規模の大小を取り混ぜた講義ですが、領域は広く扱っています。

「ヘルスケア業界について起業する知識を得ることができる」
制度と強い関係を持つのが、ヘルスケア業界です。起業そのものについての考え方は他の業界と変わりませんが、見るべき制度や社会の変化が、少し違うことが特徴です。すでに在学中に起業されている学生もいて、クラスディスカッションがとても中身の濃いクラスです。

担当教員のプロフィール About the Instructor 

 慶應義塾大学卒業。慶應義塾大学大学院経営管理研究科(M.B.A.)修了後、プライス・ウォーターハウスコンサルタント株式会社東京オフィスにて、内外企業の戦略立案に係るコンサルティングを実施。1991年、ビジネスコンサルタントとして独立、現在に至る。大企業のヘルスケア分野への新規参入コンサルティングを実施。上場企業の戦略的新事業参入を支援。ヘルスケア業界を得意とする。ベンチャー企業取締役、ヘルスケア事業会社の執行役員などを経験。
2017.4 NUCNビジネススクール 准教授
2019.3 協和発酵キリン株式会社(現 協和キリン) 社外取締役
2020.4 NUCBビジネススクール 教授
2020.6 ミネベアミツミ株式会社 社外取締役

 主な研究テーマは、日本企業の戦略実施のための手段としてのM&Aの効果について。戦略パターンとM&A効果の関連性、M&Aの効果と本社機能についての研究に取り組む。2010年から尚美学園大学大学総合政策学部客員教授を経て、2017年4月より名古屋商科大学准教授。2020年4月教授。組織学会、日本経営学会、国際ビジネス研究学会 会員。

学位: 博士(経営学) 筑波大学大学院ビジネス科学研究科
   経営学修士(M.B.A) 慶應義塾大学大学院経営管理研究科
リハビリテーション修士 筑波大学大学院

主な研究論文
「M&A に必要な本社能力に関する研究」Global Business Research Center 赤門マネジメント・レビュー, 22 巻 1 号,2023
「M&Aの効果と多角化戦略との関係に関する文献サーベイ」『赤門マネジメント・レビュー』Vol.15 No.3, 201603
「M&A投資が企業業績に及ぼす効果の研究」『組織科学』Vol.52 No.1,2018
「競争優位性強化のためのM&A」 博士論文 2019.10, 筑波大学

After obtaining M.B.A., worked as a senior consultant at PriceWaterhouse Consultants Ltd. Ms. Haga is involved in strategy planning consulting of listed companies. In 1991, she was independent as a business consultant. Conducted new enterprise consulting in the healthcare field of large companies. She specializes in medical, nursing care and health care industry. Experience such as venture company director, executive officer of health care company. Experience as a Business Consulting for more than 25 years.
March,2019 Kyowa Kirin Co.,Ltd. Director of the Board(Outside Director)
June ,2020 Minebea Mitsumi Inc. Director of the Board(Outside Director)

Her research theme is about the effect of M & A as a means for Japanese companies to implement strategy. We are engaged in research on the relationship between strategy pattern and M & A effect and the relationship between effect of M&A and head office capability.

Education:
Ph.D. in Business Administration, University of Tsukuba.
MBA, Graduate School of Business Administration, Keio University
Master of Rehabilitation,
Tsukuba University. Graduate School of counseling and rehabilitation.

(実務経験 Work experience)

2020.3- 現在
ミネベアミツミ株式会社 取締役(独立・社外)
2019.3 - 現在
協和キリン株式会社 取締役(独立・社外)
2010-4- 現在
社会福祉法人不二健育会 理事
1991.4- 現在
芳賀経営コンサルティング事務所 代表
1989- 1991
Price Waterhouse Consultants 戦略コンサルティンググループ シニアコンサルタント

June,2020- at the present
Minebea Mitsumi Inc. Director of the Board(Outside Director)
March,2019 - at the present
Kyowa Kirin Co.,Ltd. Director of the Board(Outside Director)
April,2010 - at the present
Fuji-Kenikukai Social Welfare Corporation, Director
April,1991- at the present
Haga Management Consulting Office, Representative Consultant.
April,1989- 1991
Price Waterhouse Consultants, Strategic Consulting Department, Senior Consultant.






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