授業名 | Strategies for Value Creation |
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Course Title | Strategies for Value Creation |
担当教員 Instructor Name | 磯辺 剛彦(Takehiko Isobe) |
コード Couse Code | CLD104_G24N |
授業形態 Class Type | 講義 Regular course |
授業形式 Class Format | Campus & Live |
単位 Credits | 2 |
言語 Language | JP |
科目区分 Course Category | 発展科目300系 / Advanced & Specialized |
学位 Degree | Exed |
開講情報 Terms / Location | 2024 GSM Nagoya Spring |
授業の概要 Course Overview
Misson Statementとの関係性 / Connection to our Mission Statement
ビジネスリーダーに不可欠な「環境変化における経営戦略」について考えます。
In this class, we will consider "corporate strategy in response to environmental changes," which is indispensable for business leaders.
授業の目的(意義) / Importance of this course
環境が変われば、それに合わせて経営戦略やビジネスモデルを変える必要があります。しかし、企業や業界には暗黙のルールや慣習があり、これまでの「常識」や「あたりまえ」を打ち破ることは容易ではありません。本授業では、「業界や自社の常識の多くは思い込みであること」を共有し、「そのような思い込みを打破する戦略」について議論することを目的とします。
When the environment changes, organizations have to change the management strategy and business model accordingly. However, companies and industries have unspoken rules and practices that are not easy to break. The purpose of this class is to first share "the common sense of the industry and the company is misunderstanding" and then discuss "strategies to break misunderstandings".
到達目標 / Achievement Goal
企業は慣れ親しんだ「zone of comfort」に居座わり、新しいこと、特に自分たちの過去のやり方を否定することに対しては強く反発します。本授業では「zone of comfort」から「zone of opportunity」への思考変化を身につけます。
Companies stay in the familiar "zone of comfort" and strongly oppose new things, especially denying their past practices. In this class, you will learn how to change our thinking from "zone of comfort" to "zone of opportunity".
本授業の該当ラーニングゴール Learning Goals
*本学の教育ミッションを具現化する形で設定されています。
LG1 Critical Thinking
LG5 Executive Leadership (EMBA)
LG6 Innovative Leadership (MBA)
LG7 Global Perspective (GLP)
LG5 Executive Leadership (EMBA)
LG6 Innovative Leadership (MBA)
LG7 Global Perspective (GLP)
受講後得られる具体的スキルや知識 Learning Outcomes
経営戦略論の重要なテーマである、ポジショニング戦略、リソースベース戦略、ダイナミック・ケイパビリティ、両利きの経営、イノベーションのジレンマ、再生戦略、低コストライバルとの競争、フリートマネジメントなどについて学びます。
You will learn about the recent important themes of business strategy theory, such as positioning strategy,resource-based strategy, dynamic capabilities, ambidextrous management, innovation dilemma, revitalization strategy, competition with low-cost rivals, and fleet management.
SDGsとの関連性 Relevance to Sustainable Development Goals
Goal 4 質の高い教育をみんなに(Quality Education)
教育手法 Teaching Method
教育手法 Teaching Method | % of Course Time | |
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インプット型 Traditional | 20 % | |
参加者中心型 Participant-Centered Learning | ケースメソッド Case Method | 80 % |
フィールドメソッド Field Method | 0 % | 合計 Total | 100 % |
事前学修と事後学修の内容、レポート、課題に対するフィードバック方法 Pre- and Post-Course Learning, Report, Feedback methods
ケース学習はプラモデルに似ています。ケースには多くの情報(パーツ)が記載さていますが、ケースには設計図がないので、自分自身の価値感や感性によってさまざまな形に組み立てることができます。加えて、ケースにはすべての情報が書かれていないので、組み立てに必要な情報を推測する必要があります。戦略の本質は、個々の情報ではなく、それらを組み合わせた形にあります。このことを意識してケースに取り組んでください。
授業スケジュール Course Schedule
第1日(Day1)
Session 1 テーマ「ポジショニング戦略(何をしているのか?)」米国でもっとも顧客満足度が高い食品スーパー「トレーダー・ジョーズ」の差別化された戦略を、マイケル・ポーターのポジショニング戦略のフレームワーク(5つの競争勢力・価値連鎖・トレードオフ・活動システムマップ)を使って分析する。
※HBSの2023年ベストセラーケース
Session 2 テーマ「資源ベースの戦略(何を持っているのか?)」
溶接機器メーカーのリンカーン・エレクトリックは、労使協調の企業文化によって従業員のモチベーションを上げ、出来高払いの給与と企業業績への個人の貢献度によるボーナスという独自のやり方で長期にわたって成功していた。リンカーン・エレクトリックのケイパビリティ(能力)や、その海外移転の可能性について考える。
※HBSの累計ベストセラーケース
●使用するケース
トレーダージョーズ(HBS)リンカーン・エレクトリック:海外進出に賭ける(HBS)
第2日(Day2)
Session 3 テーマ「成長の壁と再生戦略」世界中の子どもたちから愛されている組立ブロックメーカーのレゴは、1990年代になって急速に競争力を失った。外部から招聘されたCEOが再生に取り組むが、2004年に倒産の危機に直面する。その後CEOに就任したクヌッドストープ氏がレゴの再生に成功する。なぜレゴは競争力を失ったのか、なぜ再生に失敗したのか、クヌッドストープ氏はどのようにしてレゴを救ったのかを考える。
Session 4 テーマ「低コストライバルとの競争」
2000年代になってデルタ航空はサウスウエストやジェットブルーなど格安航空会社(LCC)の脅威にどう対処するかを決定しなければならなかった。選択肢のひとつは、デルタ航空が格安航空子会社を立ち上げるというものだったが、これまで他の老舗航空会社が設立した格安航空子会社はすべて失敗していた。伝統的大企業が新興の格安コスト企業に勝てるのか、そもそも組織が異なる複数のビジネスモデルをマネジメントできるのかを考える。
●使用するケース
レゴ(オリジナルケース)デルタ航空(A): 格安航空会社の脅威(HBS)
デルタ航空(B): ソングの立ち上げ(HBS)
第3日(Day3)
Session 5 テーマ「フリートマネジメント」電動工具の製造メーカーであるヒルティ(Hilti)は、顧客の求めに応じてフリートビジネス(レンタル)に参入すべきか悩んでいる。「売る」と「貸す」では事業の組み立て方が大きく変わる。フリートでもこれまでの強みが活かせるのか、社員は新しいビジネスモデルに適応できるのか、果たして顧客のそのようなサービスを求めているのかについて考える。
Session 6 テーマ「IOTの成功と失敗?」
コマツのアフターマーケット戦略(コムトラックス)を中心に議論する。「もの」売りの会社は、どうやって「こと」売りの会社に変身できたのだろうか。一方でGEを取り上げ、IOT導入の課題についても議論する。
●使用するケース
ヒルティ(A):フリートマネジメント?(HBS)コマツ 小松製作所:オールド・エコノミーからの変容(KBS)
GEのデジタル・トランスフォーメーション:失敗の要因は何だったのか?(Ivey)
第4日(Day4)
Session 7 テーマ「ケイパビリティ主導型M&A」米国のコングロマリット企業ダナハー(Danaher)は、これまでに500近いM&Aを実施し、高い成長を達成してきた。同社のポートフォリオ戦略とトヨタのカイゼンを背景としたダナハー・ビジネス・システム(同社が成長と価値創造を推進するために開発した系統的かつ広範囲な組織プロセス)を考える。
Session 8 テーマ「共通価値の創造」
食品会社のネスレ(Nestle)は、2000年代に入り「食品会社」から「栄養、健康、ウェルネス企業」に変身し、共通価値創造(CSV)の戦略を実行した。CSVとは何か、なぜCSVを行うのか、社会的価値と財務業績に関係はどのようなものか、経営トップはどうやってCSV戦略を組織に組み込んだのか、また三方よしとCSVの違いなどについて考える。
●使用するケース
ダナハー・コーポレーション(HBS)ネスレの共通価値創造の戦略(HBS)
成績評価方法 Evaluation Criteria
*成績は下記該当項目を基に決定されます。
*クラス貢献度合計はコールドコールと授業内での挙手発言の合算値です。
*クラス貢献度合計はコールドコールと授業内での挙手発言の合算値です。
講師用内規準拠 Method of Assessment | Weights |
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コールドコール Cold Call | 0 % |
授業内での挙手発言 Class Contribution | 50 % |
クラス貢献度合計 Class Contribution Total | 50 % |
予習レポート Preparation Report | 50 % |
小テスト Quizzes / Tests | 0 % |
シミュレーション成績 Simulation | 0 % |
ケース試験 Case Exam | 0 % |
最終レポート Final Report | 0 % |
期末試験 Final Exam | 0 % |
参加者による相互評価 Peer Assessment | 0 % |
合計 Total | 100 % |
評価の留意事項 Notes on Evaluation Criteria
予習レポート:ケースの事前予習設問について自分の考えをまとめ、ケース使用日の授業開始前までに予習レポートをGoogle Classroomにて提出してください。セッションあたり1つの設問があります(1日2問)。ファイルはWordかpdf、書式は自由、1つの設問につきA4用紙2枚以内にまとめてください(1日4枚)。教科書 Textbook
- 配布資料
参考文献・資料 Additional Readings and Resource
リチャード・ルメルト「良い戦略、悪い戦略」日本経済新聞出版
ジョアン・マグレッタ「マイケル・ポーターの競争戦略」早川書房
ジョアン・マグレッタ「マイケル・ポーターの競争戦略」早川書房
授業調査に対するコメント Comment on Course Evaluation
科目名に整合するように、いくつかのケースを入れ替えました
担当教員のプロフィール About the Instructor
福岡県出身。1981年慶應義塾大学経済学部卒業。同年(株)井筒屋入社。91年経営学修士(慶應義塾大学)、96年経営学博士(同大学)。同年流通科学大学商学部助教授、99年教授。この間、1997-98年スタンフォード大学経営大学院客員研究員。2005年神戸大学経済経営研究所教授、2007年慶應義塾大学大学院経営管理研究科教授。2023年慶應義塾大学名誉教授。同年名古屋商科大学大学院教授。2008年より一般財団法人・企業経営研究所(スルガ銀行グループ)理事長
Strategic Management Journal、Academy of Management Journal、Journal of International Business Studiesなどのトップジャーナルに論文多数。Asia Pacific Journal of ManagementのSenior Editor、Journal of International ManagementやManagement International ReviewのEditorial Boardを務める。起業活動の国際比較研究グループ「Global Entrepreneurship Monitor」の創立メンバー。2004年および2006年のAsia Academy of Management Conferenceにて最優秀論文賞を受賞
主要な著書に「トップシェア企業の革新的経営」白桃書房(中小企業研究奨励賞)、「シリコンバレー創世記」白桃書房、「起業と経済成長」慶應義塾大学出版会、「国境と企業」東洋経済新報社(国際ビジネス研究学会賞・義塾賞)、「世のため人のため、ひいては自分のための経営論」白桃書房など
Strategic Management Journal、Academy of Management Journal、Journal of International Business Studiesなどのトップジャーナルに論文多数。Asia Pacific Journal of ManagementのSenior Editor、Journal of International ManagementやManagement International ReviewのEditorial Boardを務める。起業活動の国際比較研究グループ「Global Entrepreneurship Monitor」の創立メンバー。2004年および2006年のAsia Academy of Management Conferenceにて最優秀論文賞を受賞
主要な著書に「トップシェア企業の革新的経営」白桃書房(中小企業研究奨励賞)、「シリコンバレー創世記」白桃書房、「起業と経済成長」慶應義塾大学出版会、「国境と企業」東洋経済新報社(国際ビジネス研究学会賞・義塾賞)、「世のため人のため、ひいては自分のための経営論」白桃書房など
Refereed Articles
- (2023) Interview with executives of middle-sized companies: Management theory for society, for people, and for myself (2). Keio business forum
- (2022) Interview with executives of middle-sized companies: Management theory for society, for people, and for myself. Keio business forum 38(1):