シラバス Syllabus

授業名 Business Economics
Course Title Business Economics
担当教員 Instructor Name 田村 正興(Masaoki Tamura)
コード Couse Code BIP106_G21N
授業形態 Class Type 講義 Regular course
授業形式 Class Format On Campus
単位 Credits 2
言語 Language JP
科目区分 Course Category 応用科目200系 / Applied
学位 Degree MBA
開講情報 Terms / Location 2021 GSM Nagoya Spring

授業の概要 Course Overview

Misson Statementとの関係性 / Connection to our Mission Statement

価格戦略は、費用を掛けずにビジネスの成否を決めてしまうほどのインパクトを持つことがあるという意味でイノベーティブなリーダーが身につけるべき知見である。
Pricing strategy is the important knowledge that innovative leaders should learn, because it has enormous impact on the success of the business without any cost.

授業の目的(意義) / Importance of this course

経済学にはビジネスに応用できる考え方(経済学的思考法)が多くあります。
本講義では、特に「価格」を巡ってさまざまなケースを取り上げます。理解しているようでしていない、また意外に思える効果が起こることが多い「価格」の有効な活用法を学びます。

まず、価格の付け方には、固定料金と従量料金を課す二部料金制や、同じモノ・サービスでも人によって提示する価格を変える価格差別などのさまざまな形態があります。これらはどのような場合に機能し、どのように活用できるでしょうか。一部のトピックでは、グループワークで新しい価格戦略を提案して頂きます。また、値上げは時に消費者や取引相手の激しい反発(時に倫理的な反発)を受けます。どのような場合に反発を招き、どのようにすれば反発を避けることができるのでしょうか。消費者の行動と心理について学ぶことで、これらを理解し、プライシングの現場で実践することが可能です。最後に、罰金や賞与もまた行動に対する対価、価格と考えることができます。しかし、人を動かすためには単に賞与を増やせばよいという単純なものでもありません。どのような場合にどのような罰金・賞与設計が有効なのか、具体的な事例を通じて議論します。これについても、経済学の応用として理解し、受講生がビジネスの現場で人を動かす際に応用できることを目指します。

参考文献「レヴィット ミクロ経済学 発展編」東洋経済新報社 には3日目・4日目に必読の箇所があります。ただし、本全体からすればごく一部分です。その他の箇所をはじめから細かく読んでも、アカデミックな色が濃すぎて実りがありませんのでおやめ下さい。そのため、図書館等で一部分を読むことが可能な環境でしたら、購入せずにその部分のみを読むことをおすすめします。

本授業ではケースごとに実践的な経済学の分析ツールを皆さんに提供することを目指しています。予習レポートの段階では、その提供されるツールが何なのか皆さんには分かりませんし、それ故に、皆さんの予習レポートでの解答と、実際の授業での到達点が異なることが多いと思います。これを「解答が外れてしまった」「関係無い解答をしてしまった」とは取らないで下さい。むしろそれが良い予習レポートだと考えています。皆さんに経済学の分析ツールを提供し、それがいかに有用なものであるかご理解頂くためには、事前にツール無しでの思考・解答をして頂き、「この問題をどのツールでどう考えてよいのか分からない」と感じて頂くことも必要なプロセスだと考えています。

そのため、皆さんの予習レポートの内容が実際の授業の流れから外れていても、適切なツールを使えていなくても、予習レポートの採点は決して低くなりません。むしろ、まずはツールを使わずにしっかりとご自身で熟考いただくことがアサインメントの目的ですので、しっかりと評価します。どうかこの点をご理解の上で予習レポートを提出して下さい。
Economics thinkings can be applied to business.
This course uses cases especially on "price" and "incentives."

Pricing include two-part tariff where fixed and variable cost are imposed, and price discriminate where price varies according to each consumer. In addition, consumers react to price change in unforeseen manner through psychological effects. Participants can apply this thinking to business.

Next, to motivate people, it is often more effective to give incentives than to promote consciousness changes. We discuss what kinds of incentives are effective in what kinds of situations. Participants can apply this thinking to motivating people.

One characteristic of this course is to put emphasis not only on cases distributed beforehand, but also on cases distributed additionally on the class day. Participants are required to think about essence and applications of the cases.

到達目標 / Achievement Goal

価格付け、値上げ、価格差別などの価格戦略について、その成否や効果を予想・分析し、新たな提案ができるようになることを目指す.

Students can forecast and analyze the existing strategy in pricing and price discriminations, and suggest the new strategy.

本授業の該当ラーニングゴール Learning Goals

*本学の教育ミッションを具現化する形で設定されています。

LG1 Critical Thinking
LG3 Ethical Decision Making
LG6 Innovative Leadership (MBA)

受講後得られる具体的スキルや知識 Learning Outcomes

経済学的思考法
プライシング
インセンティブ設計

Economics Thinking
Pricing
Incentive Design

SDGsとの関連性 Relevance to Sustainable Development Goals

Goal 4 質の高い教育をみんなに(Quality Education)

教育手法 Teaching Method

教育手法 Teaching Method % of Course Time
インプット型 Traditional 15 %
参加者中心型 Participant-Centered Learning ケースメソッド Case Method 85 %
フィールドメソッド Field Method 0 %
合計 Total 100 %

事前学修と事後学修の内容、レポート、課題に対するフィードバック方法 Pre- and Post-Course Learning, Report, Feedback methods

講義内での挙手発言・予習レポート・授業内でのシミュレーションに対して成績評価をします。経済学の前提知識は特に必要ありません。

授業スケジュール Course Schedule

第1日(Day1)

価格の重要性
費用の捉え方(機会費用・埋没費用)
価格付けの基礎

●使用するケース
Unhaggle: Putting Customers in the Driver's Seat
Catawba Industrial Company
メタバイカル

第2日(Day2)

値上げの難しさ
価格差別 〜同じ商品を異なる価格で売る〜


●使用するケース
エピペンの価格設定: 痛みを伴う決断
Coca-Cola's New Vending Machine (A): Pricing To Capture Value, or Not?

第3日(Day3)

価格差別 〜同じ商品を異なる価格で売る〜
オークション

●使用するケース
Online Auction Markets
プライスライン・ドット・コム:自分で価格を指定しよう

第4日(Day4)

消費者心理
価格と消費者心理

●使用するケース
行動インサイトチーム(A): 行動経済学を政策に活かす
行動インサイトチーム(B): 行動経済学を政策に活かす
Making stickK stick

第5日(Day5)



第6日(Day6)



第7日(Day7)



成績評価方法 Evaluation Criteria

*成績は下記該当項目を基に決定されます。
*クラス貢献度合計はコールドコールと授業内での挙手発言の合算値です。
講師用内規準拠 Method of Assessment Weights
コールドコール Cold Call 0 %
授業内での挙手発言 Class Contribution 85 %
クラス貢献度合計 Class Contribution Total 85 %
予習レポート Preparation Report 15 %
小テスト Quizzes / Tests 0 %
シミュレーション成績 Simulation 0 %
ケース試験 Case Exam 0 %
最終レポート Final Report 0 %
期末試験 Final Exam 0 %
参加者による相互評価 Peer Assessment 0 %
合計 Total 100 %

評価の留意事項 Notes on Evaluation Criteria

予習レポートにはその日に扱うケースのアサインメントクエスチョンへの回答を記載して、毎回の授業前に提出して下さい。予習レポートは毎日授業開始(9:20)までにGoogle Classroomに提出して下さい。

使用ケース一覧 List of Cases

    ケースは使用しません。

教科書 Textbook

  • 配布資料

参考文献・資料 Additional Readings and Resource

参考文献「レヴィット ミクロ経済学 発展編」東洋経済新報社 には3日目・4日目に必読の箇所があります。ただし、本全体からすればごく一部分です。その他の箇所をはじめから細かく読んでも、アカデミックな色が濃すぎて実りがありませんのでおやめ下さい。そのため、図書館等で一部分を読むことが可能な環境でしたら、購入せずにその部分のみを読むことをおすすめします。

他の参考文献:

スティーブン・レヴィットほか レヴィット ミクロ経済学 基礎編 東洋経済新報社 2018年
ダン・アリエリー 予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」 早川書房 2013年
イアン・エアーズ ヤル気の科学 文藝春秋 2012年
大竹文雄 経済学的思考のセンス-お金がない人を助けるには 中公新書 2005年

授業調査に対するコメント Comment on Course Evaluation

授業調査では、「これまで価格について自分は知っているつもりだったが、あまり理解できていなかったことが分かった」というようなコメントが多くあり、あえてトピックを『価格』に絞りこんだことについてご好評頂いていました。この授業ではリーダーシップや経営についての包括的で広い議論をすることはなく、価格についてといういわば狭い議論を行いますが、それ故に密度の濃い議論にするように心がけています。

担当教員のプロフィール About the Instructor 

京都大学経済学部を卒業後、東京大学経済学研究科修士課程およびLondon School of Economics and Political Science MSc Economicsを修了し、東京大学・経済学研究科博士課程を修了、博士(経済学)の学位を取得。一橋大学イノベーション研究センター特任助手、京都大学薬学研究科特定助教などを経て2017年4月より現職。現在、日本政策投資銀行設備投資研究所、客員研究員も務める。

研究分野:
経済学、医療経済学、産業組織論

Masaoki Tamura received a Bachelor’s degree in economics at Kyoto University, Master’s degree in Economics at the University of Tokyo and London School of Economics and Political Science, and a Ph.D. in economics at the University of Tokyo. He worked for Hitotsubashi University and Kyoto University before joining Nagoya University of Commerce and Business. He is also a visiting scholar of the Research Institute of Capital Formation, Development Bank of Japan.

Fields:
Economics, Health Economics, Industrial Organization

Refereed Articles

  • (2022) Effects of tourism promotion on COVID-19 spread: The case of the “Go To Travel” campaign in Japan. Journal of Transport and Health 26
  • (2021) The Global Financial Crisis and Healthcare Inequality in Japan. Social Indicators Research
  • (2019) On Otaki’s Keynesian Macroeconomic Model. Theoretical Economics Letters 9(1):
  • (2018) A Signaling Explanation for Political Parties and Advertisements. Theoretical Economics Letters Vol. 8(No. 2): 2162-2078
  • (2017) Prize Promotions as Costless Commitments. Managerial and Decision Economics 38(4):






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