シラバス Syllabus

授業名 Entrepreneurship & Family Business
Course Title Entrepreneurship & Family Business
担当教員 Instructor Name 角谷 直樹(Naoki Kadotani)
コード Couse Code BIP105_G24T
授業形態 Class Type 講義 Regular course
授業形式 Class Format On Campus
単位 Credits 2
言語 Language JP
科目区分 Course Category 応用科目200系 / Applied
学位 Degree MBA
開講情報 Terms / Location 2024 GSM Tokyo Spring

授業の概要 Course Overview

Misson Statementとの関係性 / Connection to our Mission Statement

創業以降の歴史を受け継ぎ、子孫の未来を視野に入れるファミリービジネスの経営において、時代の変化に応じた事業と組織の変革は不可欠なものです。所有と経営が一体であることが多いファミリービジネスの経営者には、変革に向けた強いリーダーシップが期待される一方、強い権限を有するがゆえに高い倫理観も求められます。ファミリービジネスの経営者のあるべき姿を考え、これを議論することは、当校がMission Statementで定める『変革と高い倫理基準をもたらすリーダーの育成』に繋がるものと考えられます。
For family business management that inherits the history from its founding and looks ahead to the future of descendants, it is essential to transform the business and organization in response to changing times. Management of a family business, in which ownership and management are integrated, can be expected to have strong leadership in response to change, but also requires high ethical standards. Thinking and discussing about family business should lead to what is stated in our mission statement: "Developing leaders who bring about change and uphold high ethical standards."

授業の目的(意義) / Importance of this course

ファミリービジネスの研究の歴史はまだ浅く、ビジネススクールにおいても取り扱われることは多くありません。また大韓航空の「ナッツ・リターン」、大塚家具の「委任状争奪戦」、大王製紙の「カジノ賭博」など、お家騒動や企業の私物化といった負の側面がクローズアップされ、日本におけるファミリービジネスに対する評価は決して高いとはいえません。しかしながら、日本の企業のうち約95%以上がファミリービジネスであるうえ、近年ファミリービジネスは非ファミリービジネスよりも業績が優れ、永続性も高いという報告が複数発表されていることから、ファミリービジネスの研究に注目が集まっています。
本講義では、企業家精神溢れるファミリービジネス経営者が変革を起こす複数のケースを用い、ファミリービジネスとは何か、ファミリービジネスが永続するためにはどのように経営されていくべきかについて、議論を通じ学びを深めていきます。
The history of research on family businesses is still shallow, and there are not many studies in business schools. Furthermore, the negative aspects such as the "Nuts Return" of Korean Air, the "Proxy Battle" of Otsuka Furniture, and the "Casino Gambling" of Daiwa Paper have been highlighted, and the evaluation of family businesses in Japan is by no means high. However, since about 95% of Japanese companies are family businesses and several reports have been released that family businesses have better performance and higher sustainability than non-family businesses in recent years, attention is being focused on research on family businesses.
In this course, we will deepen our learning by discussing what family businesses are and how they should be managed in order to be sustainable, using multiple cases of entrepreneurs overflowing with the spirit of entrepreneurship.

到達目標 / Achievement Goal

『ファミリービジネスの経営はどうあるべきか?』という問いは、我々を『会社は誰のものか?』『経営学は科学に近づくことができるのか?』という根源的・哲学的な問いへと導いていきます。例えば大株主や代表取締役に認められる法的権限は強力であり、さらに日本では『創業家』という事実のみによって特別視される文化的土壌があります。それでは、創業家出身である大株主によって経営される会社は『彼/彼女のものだ』と言い切れるでしょうか。もし”そうでない”とすれば、その理由は何でしょうか?また、それほど権限を有する代表取締役が存在するのであれば、ファミリービジネスの良し悪しを突き詰めて考えると『経営者次第』となってしまい、その経営の成功と失敗は経営者個人の属人的な能力や資質に還元されてしまうかもしれません。仮にそうであるのなら、個々のケースから私たちは自身のビジネスに適用可能な(科学のように普遍的な)原理・原則を見出すことはできるのでしょうか。
本講義ではファミリービジネスならではの課題を分析・整理しつつ、ファミリービジネス特有の経営とその原理、経営者が有する自由と責任について学びを深めます。また非ファミリービジネスと対比させながら、経営学的に”正しい意思決定”が存在しうるのか考えていきたいと思っています。

当講義はファミリービジネスに馴染みのない学生も受講対象としています。ファミリービジネスを深く理解するためには財務、会計、戦略、企業統治、リーダーシップなどの総合的な経営学の知識が求められることから、これらについての学びも深まります。ファミリービジネスの世界を知ることで、MBAのケースとして取り上げられることの多い、非ファミリービジネスの経営・所有・倫理についてより深く考える機会を提供します。
さらに本講義では知識を身につけるだけでなく、上述のような哲学的問いに対する答えを求めて議論し、それまで当たり前だと思っていた前提を根底から疑う機会を提供したいと思っています。そこでわき上がる不安が、修了してもなお謙虚に学び続ける姿勢を生むことに繋がっていくと信じています。

講義の特徴
◆ ケースメソッドによる学びを通じ、 ファミリービジネスに関する基礎理論だけでなく、ファミリービジネスとは何か、同族経営はどうあるべきかを深く追求していくことを目的とします。
◆ 経営者の自由と責任、その性質と範囲、会社は誰のものかなど、答えがないと思われるような問いについても議論を通じ、各自の理解を深めていきます。
◆ 経済合理性を超え、私たちが”善き生”を生きるために必要な事とは何かについても目を向けていきます(善き生≒自他の幸福こそビジネスの目的であり、私たちが働くインセンティブだと考えれば、経営学との繋がりはご理解いただけると思います)。
◆ 講義は最小限にとどめ、主にクラス討議の中から共に学んでいくことを目指します。

受講対象者
■ ファミリービジネスの経営者、後継者候補、従業員
■ ファミリービジネスに興味のある方
■ 承継を計画している経営者
■ 経営学について深く考えてみたいと思っている方
■ その他、同族経営、所有と経営、企業倫理、企業変革、第二創業、リーダーシップに興味がある方

The question of "How should family business be managed?" will lead us to fundamental and philosophical questions such as "Whose company is it?" and "Can management science be approached as science?". For example, legal authority recognized to major shareholders and executive directors is powerful, and in Japan there is a cultural environment that is especially regarded only by the fact of "founder". Then, can we say that a company managed by major shareholders of founder origin is "theirs"? If not, what is the reason? Furthermore, if there is an executive director who has so much authority, if we examine the good and bad of family business in detail, it may be reduced to the individual ability and qualifications of the entrepreneur, so that the success and failure of the management depends on the individual. If that is the case, can we find a (universal like science) principle or principle applicable to our own business from each case?

In this lecture, we will analyze and organize the issues unique to family businesses, deepen our understanding of management and principles unique to family businesses, freedom and responsibility of the entrepreneur. This lecture is open to students who have no relation to family businesses. To deeply understand family businesses, comprehensive knowledge of business administration such as finance, accounting, strategy, corporate governance, and leadership is required, and this will deepen the learning of these topics. Knowing the world of family business provides an opportunity to think more deeply about management, ownership, and ethics, which are often taken up as MBA cases for non-family businesses. Furthermore, in this lecture, we not only want to acquire knowledge but also to discuss answers to philosophical questions and to question the assumptions we had previously taken for granted. We believe that the anxieties that arise from this can lead to a humble attitude of continuing to learn even after graduation.

The lecture features:
◆ Through learning by the case method, the purpose is to not only delve into the fundamental theories of family businesses but also explore what family businesses are and how family management should be.
◆ Through discussion, we will deepen our understanding of questions that seem to have no answer, such as the freedom and responsibility of the manager, its nature and scope, and whose company it is.
◆ We will also look at what is necessary for us to live a "good life" beyond economic rationality (If we consider that the purpose of business is the happiness of oneself and others, and that it is the incentive for us to work, we hope that you can understand the connection with business administration).
◆ The lecture will be kept to a minimum and will mainly aim to learn together through class discussions.

Target Participants:
■ Family business owners, successors and employees
■ Those interested in family business
■ Business owners planning to pass on their business
■ Those who want to think deeply about business administration
■ Others interested in family-run businesses, ownership and management, corporate ethics, corporate transformation, second entrepreneurship, and leadership.

本授業の該当ラーニングゴール Learning Goals

*本学の教育ミッションを具現化する形で設定されています。

LG1 Critical Thinking
LG2 Diversity Awareness
LG3 Ethical Decision Making
LG4 Effective Communication
LG5 Executive Leadership (EMBA)
LG6 Innovative Leadership (MBA)

受講後得られる具体的スキルや知識 Learning Outcomes

・ファミリービジネスに関するフレームワーク、理論
・所有と経営の一致/分離、コーポレートガバナンス
・企業倫理/道徳原理
・中小零細企業の経営
・経営者のリーダーシップ

・Framework and theories related to family businesses
・Alignment/separation of ownership and management, corporate governance
・Business ethics/moral principles
・Management of small and medium-sized enterprises
・Leadership of entrepreneurs

SDGsとの関連性 Relevance to Sustainable Development Goals

Goal 8 働きがいも経済成長も(Decent Work and Economic Growth)

教育手法 Teaching Method

教育手法 Teaching Method % of Course Time
インプット型 Traditional 20 %
参加者中心型 Participant-Centered Learning ケースメソッド Case Method 80 %
フィールドメソッド Field Method 0 %
合計 Total 100 %

事前学修と事後学修の内容、レポート、課題に対するフィードバック方法 Pre- and Post-Course Learning, Report, Feedback methods

<講義の運営について>
本講義は、ケースメソッドにより実施します。
企業で実際に起きた経営事例等を受講生が自らの視点で追体験することを通じて、課題解決力・課題発見力を培う教育手法です。受講者を主体とした学修体験「Participant Centered Learning」により、知識の修得に加え受講生の実務家としての世界観・視野を広げることを目標とします。

<学習で使用する教材について>
【ケース】
各Sessionで提示されたケースを熟読してください。1ケースあたり3時間以上かけて最低3回は読み、レポートを作成してください。時間をかけて予習し、背景を深く理解しておくほど講義当日の学習効果と受講満足度は高まります。

【その他の必読教材(事務局配布分)】
当コースではHBS、NUCBのケースだけでなく、ファミリービジネスに起こった出来事を取り上げているニュース記事や資料も用います。身近な話題から議論を始めファミリービジネスの本質を考えていきたいと思います。ケースと同様に事前配布しますので、予習に利用してください。
授業当日に配布資料を電子配布するため、当日ノートパソコンが必要です。

【教科書】
下段『教科書 Textbook』の項目に示した1~5の書籍は購入し、講義準備に活用ください。
『「理」と「情」の狭間 大塚家具から考えるコーポレートガバナンス』は、ケース同様に用いますので、しっかり熟読しアサイメントをこなしてください。ケースの内容としては第1章~第5章までで結構です。第6章以降にはコーポレートガバナンスコードおよびスチュワードシップコードについての説明や、事業承継についても参考になる記述がありますので、時間に余裕がある方はこちらも読んでおくと良いと思います。書籍はページ数が多いため受講決定後なるべく早く購入し、読みはじめることをお勧めします。単行本が手に入らない方は、kindle版購入をお願いします。kindleはWin/Macでも読むことができます(https://www.amazon.co.jp/dp/B01CZEY176/ref=cm_sw_r_li_dp_QDQK8PYAJB87T1RGVW26)。
『この1冊ですべてわかるコーポレートガバナンスの基本』はコーポレートガバナンスに関する歴史的経緯やその基本が平易に記載されており、Session 3~4の参考になります。アサイメントや事前準備に有用だと思われますので教科書として指定しました。
『現代社会の倫理を考える〈3〉ビジネスの倫理学』は道徳原理を学ぶために使用します。Day3のアサイメントや予習の参考にしてください。

【参考教材(Google Classroomアップロード分)】
ケースを深く理解していただくために、講義で取り上げるファミリービジネスに関する動画や資料を開講2週間前までにGoogle Classroomにアップロードします。議論の流れによっては講義中にも流すことがあります。あくまで参考資料ですが、林原や大塚家具の動画は、両社を扱ったケースや書籍(教科書)を読む前に見ることで、内容の理解が早まると思います。

【参考文献・資料】
ケースとして用いる教材をより深く理解するための参考文献・資料を『参考文献・資料』の欄に示します。受講後により深く学びたい方、講義前に時間に余裕がある方のために紹介します。

【レポート】
■事前レポート(アサイメント):各セッションごとに示されている問いのうち、指定した1問に対する見解と分析をレポートとしてGoogle Classroomを通じて指定する期限までに提出してください。問いは開講2週間前に開示されます。
■形式:レポートはPowerPointなどプレゼンテーションソフトでの作成を推奨します。PowerPoint等で明瞭に図示することは、①プレゼン能力の向上に繋がること、②図や表を作成していく過程で本質を文字で短く表記したり、考慮事項の相互関係を表現する能力が鍛えられることが主な理由です。Wordでの作成も問題ありませんが、意味のある文章を分かりやすく書くよう努力してください。MECEを心がけてください(参考:https://ja.wikipedia.org/wiki/MECE)。『長ければ良い』というわけではありません。

<予習レポート>
使用ケース:Session1~Session8の各ケース
課題数:各ケース、指定した1問についてレポートを提出
提出期限:当日AM9:20(例:Session1、2はDay1 AM9:20まで、Session3、4はDay2 AM9:20まで)
提出方法:Google Classroomにて提出(PowerPoint推奨、Word可)
フィードバック:一部のレポートに記載されている意見を講義の中で引用し、議論を進めます。

授業スケジュール Course Schedule

第1日(Day1)

◆Session 1 Day1/ First Half <10:00-13:10>

【テーマ】ファミリービジネスの永続
【アウトライン】中国地方の水飴メーカーであった(株)林原の4代目社長、林原健はそれまでの事業を大転換させ同社をデンプン化学メーカーに変革していった。大手企業が実現できなかったトレハロースやインターフェロンの量産化など、次々とイノベーションを起こしていき『同族企業の雄』として持ち上げられたが、2011年、会社更生法の適用を申請し経営破綻する。(株)林原はなぜ成功し、なぜ破綻したのだろうか。それらの原因を探っていくことでファミリービジネスの強みや課題について理解を深めていく。

【ニュース・資料】
S1-1:林原 2011.2.14(日経ビジネス)
S1-2:林原 1987.8.31(日経ビジネス)
S1-3:林原 2010.5.29(週刊東洋経済)


◆Session 2 Day1/ Second Half <14:00-16:40>

【テーマ】ファミリービジネスの経営戦略と特徴
【アウトライン】伝統的な小規模証券会社であった松井証券に社長の娘婿として入社した松井道夫は、同社を日本のオンライン証券取引業界を代表する企業へと変革していった。どのようにしてビジネスモデルを再構築し、企業文化を変革していったのか。なぜそれが可能だったのか。松井証券によるイノベーション成功の裏にはファミリービジネス特有の強みが見え隠れする。Session 1でとりあげる(株)林原のイノベーションと対比させながら松井証券の変革の経過を分析していくことで、ファミリービジネスの強さとその源泉について考えていく。

【教科書】
『ストーリーとしての競争戦略 優れた戦略の条件』楠木 建(著)ISBN-13:978-4492532706
【ニュース・資料】
S2-1:松井道夫 証券業界の革命児(日経ビジネス)
S2-2:松井証券2001年度有価証券報告書(P.4 沿革、P.15 大株主の状況のみ)

●使用するケース
Session 1:林原家 ー砂上の楼閣ー  NUCB
Session 2:松井証券の変革 HBS

第2日(Day2)

◆Session 3 Day2/ First Half <10:00-13:00>

【テーマ】ファミリービジネスのコーポレートガバナンス(前半)
【アウトライン】ワイドショーなどで大きく取り上げられた大塚家具の「親子喧嘩」。最終的には娘の久美子氏側が勝利という結果で終わったが、なぜ勝久氏は株主の支持を得られなかったのだろうか?上場したファミリービジネスはどのように変わっていくべきなのか?上場することによって起こる創業家の株式分散と株主からのコーポレートガバナンス強化の要求を検証していくことで、上場ファミリービジネスと市場との関わり方について考えていく。

【教科書】
『「理」と「情」の狭間 大塚家具から考えるコーポレートガバナンス』(第1章~第5章) 磯山友幸(著)ISBN-13: 978-4822235659
『この1冊ですべてわかるコーポレートガバナンスの基本』手塚 貞治 (監修)ISBN-13: 978-4534054708(主に第1章~第3章)
【ニュース・資料】
S3-1:大塚家具 中期経営計画 2015.2.25 
S3-2:検証 大塚家具(1)大和証券
S3-3:検証 大塚家具(2)大和証券
S3-4:大塚家具、親子対決制した末の監査機能不全

◆Session 4 Day2/ Second Half <13:40-16:40>

【テーマ】ファミリービジネスのコーポレートガバナンス(後半)
【アウトライン】マリオット・コーポレーション(MC)の創業家出身であるマリオットJr.取締役会会長兼社長は、取締役会に会社の事業再編を推薦するかどうかの決断を迫られていた。彼が検討している事業再編とは、MCをふたつの別々な会社に分割するというものであった。新しい会社のひとつは、収益性のある管理事業のほとんどを持つことになる一方、他方の会社は長期負債の大部分とホテル資産の所有権を保持する。マリオットJr.はこの再編を進めるべきなのだろうか。株主主権型コーポレートガバナンスとその問題点について考え、上場ファミリービジネスの経営者が考慮すべき事柄や倫理性について議論していく。

【ニュース・資料】
S4-1:Marriott Corporation Excel work book (講師翻訳)
S4-2:マリオット・コーポレーションの財務予測(講師解説)

●使用するケース
Session 3:『「理」と「情」の狭間 大塚家具から考えるコーポレートガバナンス』(第1章~第5章)日経BP<教科書として指定>
Session 4:マリオット・コーポレーション(A),(B) HBS *(B)は講義中に配布

第3日(Day3)

◆Session 5 Day3/ First Half <10:00-13:00>

【テーマ】道徳原理とファミリービジネスにおける経営者の責任
【アウトライン】昭和シェル石油との合併に異を唱えた出光興産の創業家。創業家出身の取締役が不在となっている企業の経営に、創業家はどこまで意見することが適切なのだろうか。また経営陣は創業家とどのように関係していくことが適切なのであろうか。創業家が起こした行動の裏にある目的や思い、合併を目指す出光興産の経営陣がとる対抗手段を検証し、ファミリービジネス経営と創業家の健全な関係性について理解を深めるとともに、『責任ある意思決定』とはどのようなものであるのかを議論していく。

【教科書】
『現代社会の倫理を考える〈3〉ビジネスの倫理学』 梅津 光弘(著) ISBN-13: 978-4621049921
【ニュース・資料】
出光興産2016 海賊達の漂流(A),(B)の各文末にある参考文献(任意)

◆Session 6 Day3/ Second Half <13:40-16:40>

【テーマ】ファミリービジネスの経営と倫理
【アウトライン】美少年グループは、江戸時代に創業された酒造メーカーを中核とした多角的な経営により事業を発展させてきた。現社長の直明は経営再建の一方で、長男、次男、三男にグループ内の3つの事業をそれぞれ承継させるべく準備を進めていた。そのような中、グループの存続を脅かすような大事件が起こる。地元に根付いた伝統あるファミリービジネスの経営者は何を重視し、意思決定を行うべきなのだろうか。NUCB修了生の体験談から制作されたケースを基に議論していく。

●使用するケース
Session 5:出光興産2016 海賊達の漂流(A),(B) NUCB
Session 6:美少年グループ(A),(B) NUCB *(B)は講義中に配布

第4日(Day4)

◆Session 7 Day4/ First Half <10:00-13:00>

【テーマ】ファミリービジネスの承継と永続
【アウトライン】現在、日本の中小企業の多くが後継者不足に悩んでおり、ファミリー企業における事業承継は地域社会そして日本社会においても大変重要な問題である。事業承継を行うにあたり何が課題となるのだろうか。父の跡を継いだ若き女性経営者が起こす様々なトラブルの原因を探っていくことで、事業承継の根源的な難しさと承継者の相応しさ、リーダーシップの必要性について議論していく。

【教科書】
『リーダーシップの旅 見えないものを見る』野田 智義、金井 壽宏(著)ISBN-13:978-4334033897

◆Session 8 Day4/ Second Half <13:40-16:40>

【テーマ】ファミリービジネス後継者の使命と責任
【アウトライン】ファミリービジネスはなぜファミリーが承継するのだろうか。最後のセッションでは、講師が作成したケースを用い、創業家に生まれたことのみで生じる使命と責任について考えていく。

●使用するケース
Session 7:新米経営者の経営判断 日本ケースセンター
      中間管理職という仕事 日本ケースセンター
Session 8:株式会社角屋食品2014 NUCB

第5日(Day5)



第6日(Day6)



第7日(Day7)



成績評価方法 Evaluation Criteria

*成績は下記該当項目を基に決定されます。
*クラス貢献度合計はコールドコールと授業内での挙手発言の合算値です。
講師用内規準拠 Method of Assessment Weights
コールドコール Cold Call 0 %
授業内での挙手発言 Class Contribution 40 %
クラス貢献度合計 Class Contribution Total 40 %
予習レポート Preparation Report 40 %
小テスト Quizzes / Tests 0 %
シミュレーション成績 Simulation 0 %
ケース試験 Case Exam 0 %
最終レポート Final Report 0 %
期末試験 Final Exam 0 %
参加者による相互評価 Peer Assessment 20 %
合計 Total 100 %

評価の留意事項 Notes on Evaluation Criteria

■成績評価の配点は上記の通りです。講義への貢献(講義内での挙手発言)の比重が40%を占めており、発言の評価は量だけでなく質も問われます。受講生全員の講義への参加を目指し、講義を運営していきます。

■講師の主観だけでなく客観的な評価を取り入れるため、講義貢献の一部(全体の20%)は受講生同士の相互評価を導入しています。自分の気づきや創発的発想に寄与してくれた受講生を3名、各セッション毎に記録してください。用紙はDay1、Day3にお渡ししますので、それぞれDay2、Day4終了時に提出してください。

■また本講義はレポートの比重も講義貢献同様、高くなっています。
各セッションごとに指定した問いについて、レポートを指定時刻(当日AM:00)までにGoogle Classroomを通じて提出してください(詳細はアサイメントに記載します)。Session 1~Session 8それぞれ各1問について採点をし、各5点、合計40点満点(全体の40%)です。

使用ケース一覧 List of Cases

    ケースは使用しません。

教科書 Textbook

  • 磯山 友幸「「理」と「情」の狭間 大塚家具から考えるコーポレートガバナンス」日経BP社(2016)978-4822235659
  • 野田 智義、金井 壽宏「リーダーシップの旅 見えないものを見る」‎光文社(2007)978-4334033897
  • 手塚 貞治 「この1冊ですべてわかるコーポレートガバナンスの基本」日本実業出版社(2017)978-4534054708
  • 梅津 光弘「現代社会の倫理を考える〈3〉ビジネスの倫理学」丸善(2002)978-4621049921
  • 楠木 建「ストーリーとしての競争戦略 優れた戦略の条件」東洋経済新報社(2012)978-4492532706

参考文献・資料 Additional Readings and Resource

(講義で取り上げる企業について詳しく知りたい方)
(株)林原『林原家 同族経営への警鐘』林原 健(著)ISBN-13: 978-4822263997(使用するケースの基となった書籍)
(株)林原『破綻──バイオ企業・林原の真実』 林原 靖 ワック (2013) ISBN-13:978-4898314098
(株)林原『背信 銀行・弁護士の黒い画策』  林原 靖 ワック (2016) ISBN-13:978-4898314456
松井証券 (株) 『おやんなさいよでもつまんないよ』 松井道夫  日本短波放送  (2001) ISBN-13: 978-4931367982
出光興産 (株) 『海賊と呼ばれた男(上)』 百田尚樹 講談社文庫 (2014)ISBN-13:978-4062778299
出光興産 (株) 『海賊と呼ばれた男(下)』 百田尚樹 講談社文庫 (2014)ISBN-13:978-4062778305
出光興産 (株) 『海賊と呼ばれた男(DVD)』 監督: 山崎貴 Sony Music Marketing inc. (2017) JAN:4517331038313

(ファミリービジネスをさらに深く学びたい方)
・『創業家一族』有森 隆 エムディエヌコーポレーション(2020)ISBN-13 : 978-4844369622
・『企業統治』吉村、田中、伊藤、稲葉 中央経済社 (2017) ISBN-13: 978-4502225116
・『オーナー社長 最強烈伝』 週刊ダイヤモンド 2018年 4/14 号 [雑誌] (2018)ASIN: B07CCZXJ1X
・『同族企業はなぜ強いのか』 ダニー・ミラー、イザベル・ル・ブルトン=ミラー Harvard business school press (2005) ISBN-13: 978-4270000724 
・『ファミリー企業の経営学』 倉科 敏材 東洋経済新報社 (2003) ISBN-13: 978-4492521380
・『創業三〇〇年の長寿企業はなぜ栄え続けるのか』 田久保 善彦 グロービス経営大学院 (2014) ISBN-13: 978-4492533512
・『成功しているファミリービジネスは、何をどう変えているのか?』矢部 謙介、小河 光生 同文舘出版(2015) ISBN-13: 978-4495385019

授業調査に対するコメント Comment on Course Evaluation

高い評価を頂いていますが、これまでの講義スタイルをベースに毎回改善を加えた講義を構成しています。以下、本講義開始時からの大きな変更点です。

改善点1:Session 1では書籍『林原家 同族経営への警鐘』林原 健(著)ISBN-13: 978-4822263997 を使用していましたが、書籍一冊は負担が大きいこと、不要な情報も含まれていることから講師が作成したケースを使用します。事実関係は同書籍に拠ります。

改善点2:2022年度より教科書を一部入れ替え、新たに『リーダーシップの旅 見えないものを見る』を加えました。リーダーシップとは何か、経営者(≒承継者)に相応しさは必要なのか討議を通じて考えていきたいと思います。ファミリービジネスに関係のない受講者にも学びが多いセッションになるよう改善を重ねています。

改善点3:「マリオット・コーポレーションの財務分析は難解です」との声を受け、同ケースの財務分析を割愛しました。ハーバード大学のケースライターが行った分析結果を事前に配布しますので、結論を受講生全員で事前に共有した上で、各問いについて考えていきましょう。

改善点4:2023年度まで、受講生が十分な睡眠をとって講義に挑めるよう、そして講師が講義前に各人の考え方や理解度を確認できるよう、レポートの提出を当日「AM0:00まで」としていましたが、「ギリギリまでレポートを作り込みたい」という意見が一定数根強くあることから、2024年度は当日「AM9:20まで」とすることにしました。朝のグループセッション前にGoogle classroomを通じてご提出ください。受講生がグループセッションを行っている間に、講師が皆さんのレポートを確認することにします。

ご注意:「「理」と「情」の狭間 大塚家具から考えるコーポレートガバナンス」は単行本が、しばしば入手困難になっているようです。単行本が手に入らない方は、Kindle版購入をお願い致します。

担当教員のプロフィール About the Instructor 

株式会社角屋食品代表取締役、農学博士(Ph.D.)、経営学修士(MBA)。
1979年鳥取県境港市生まれ。2005年神戸大学大学院博士課程早期修了。1年間の大学勤務を経て、味の素株式会社に入社。2015年名古屋商科大学ビジネススクール早期修了(2014年度成績優良学生、Case Award受賞)。同年、味の素を退職し、角屋食品に入社。翌年より代表取締役を務める。ファミリービジネス、中小企業経営だけでなく企業倫理、道徳哲学、経営哲学に関心を持ち研究を進める。2016年より名古屋商科大学ビジネススクール客員講師を務める(2019年度、2020年度、2021年度、2022年度Teaching Award受賞)。鳥取県補助金等審査会委員(2021年度、2022年度、2023年度)、山陰放送番組審議会委員(2023年度)。

【学位】
農学博士(神戸大学大学院 自然科学研究科)
経営学修士(名古屋商科大学ビジネススクール)
工学準学士(米子工業高等専門学校)

【所属学会】
事業承継学会
ファミリービジネス学会

Dr. Naoki Kadotani received his Ph. D. in Graduate school of science and technology at Kobe University, obtained his MBA from Nagoya University of Commerce & Business. He worked as a post-doctoral fellow at Kobe University, and as a researcher at Ajinomoto Co., Inc.. He is the representative director and the owner of Kadoya Foods Co., Ltd. which taken over from his father, the founder.

(実務経験 Work experience)

【職歴】
2005-2006 神戸大学博士研究員(日本学術振興会特別研究員)
2006-2015 味の素株式会社
2015-2016 株式会社角屋食品 常務取締役
2016- 名古屋商科大学大学院 客員講師(現任)
2016- 株式会社角屋食品 代表取締役(現任)

Refereed Articles

  • (2016) Exogenous proteinogenic amino acids induce systemic resistance in rice. BMC Plant Biology 16(60): 1471-2229






ページ上部へ戻る