シラバス Syllabus

授業名 Management and Planning for Financial Products
Course Title Management and Planning for Financial Products
担当教員 Instructor Name 永野 良佑(Ryosuke Nagano)
コード Couse Code TAP105_G18N
授業形態 Class Type
授業形式 Class Format
単位 Credits
言語 Language JP
科目区分 Course Category
学位 Degree
開講情報 Terms / Location 2018 GSM Nagoya Spring

授業の概要 Course Overview

Misson Statementとの関係性 / Connection to our Mission Statement

授業の目的(意義) / Importance of this course

本講義では、一般の個人が金融資産での運用を試みる際、どのような視点を有するべきかについての指針となることをめざし、最終的には、ハイリスク、ハイリターンという表現の意味を正確に理解することを目的とします。理論が現実とどのようにリンクしているのか、逆に、現実が理論とどこでなぜ異なっているのかを事例を用いて検証するとともに、「プロ」とされる市場参加者が理論をどのように捉え、その非整合性に挑んでいるのかについても例を用いて検討します。
The course is designed to give some guidance on how individuals put financial instruments into his/her own investment requirements, through which participants are expected to experience how "high risk, high return" works in a real life. The interaction between theory and practice will also be examined, where participants should be able to see how market professionals conduct its investment/trading activities through analysing public data/information readily available

到達目標 / Achievement Goal


本授業の該当ラーニングゴール Learning Goals

*本学の教育ミッションを具現化する形で設定されています。

LG1 Critical Thinking
LG4 Effective Communication
LG8 Tax Accounting Consulting Skills (MSc)

受講後得られる具体的スキルや知識 Learning Outcomes

金融業界の人間が用いる「ハイリスク、ハイリターン」という言葉の本当の意味を正確に理解した上で、世の中にある金融商品に対する適切な見方を身に着けることができる。また、副次的な効果として、日本の金融政策や日本の財政状態についても理解を深めることになろう。

Participants can expect to learn the real meaning of “high risk, high return” in the context of financial professional’s daily conversations, and will have the power to evaluate financial products’ real nature. As a secondary effect, participants are expected to gain deeper understanding of Japanese monetary and fiscal policy consequences.

SDGsとの関連性 Relevance to Sustainable Development Goals

教育手法 Teaching Method

教育手法 Teaching Method % of Course Time
インプット型 Traditional 20 %
参加者中心型 Participant-Centered Learning ケースメソッド Case Method 60 %
フィールドメソッド Field Method 20 %
合計 Total 100 %

事前学修と事後学修の内容、レポート、課題に対するフィードバック方法 Pre- and Post-Course Learning, Report, Feedback methods

〇 レポート / Reports
予習レポートは課しません。アサインメントについて予習した内容を、各自箇条書きにして、クラスディスカッションに備えてください。

<提出用レポート>
・ テーマ
後日発表します。参考までに、昨年分を記載します
(参考:昨年分)① 2007年5月にすでに上場していた上場会社を選び、同年同月から2017年4月までの120か月間、ド ルコスト平均法で毎月5万円ずつ株式を購入したときの損益をシミュレーションした上で、② 日経平均への投資が可能であった場合に同じことを日経平均でやった場合との比較をし、さらに、③ ドルコスト平均法が望ましくないと思われる局面について論じてください。

・ 字数・ページ数等
特に問いませんが、ワードやLibreOfficeのWriterで、40字×40行で3枚を下回ることは考えにくいでしょう。パ ワーポイントやLibreOfficeのImpress等プレゼンテーションにしてもいいですが、見 た目よりも内容と結論のほうが重要なのは言うまでもありません。

・ 提出期限・方法
3日目の講義開始前を目途に、プリントアウトの上、手渡ししてください。データでの提出は認めません。

〇 履修の前提条件 / Requirements for the course
 1事例あたり最低2時間、各アサインメントに2時間程度の予習を要します。
 簡単な財務分析を行うため、エクセルやLibreOfficeのCalcといった表計算ソフトの基本的な操作が必要です。

授業スケジュール Course Schedule

本講義は、ケースとアサインメントのクラスディスカッションによって構成し、事例で拾い切れない基本的なコンセプトについて、適宜、教官による説明を実施します。
使用するケースは、すべて、実際に市場のプロが意思決定をする際に用いるものと同じ、公表されている情報です。公表されている情報から市場のプロがどうやって他と差を付けようとするのかを、そもそもそのような差が存在しうるかを含め、クラスディスカッションで明らかにしていきましょう。

1日目 株式市場
株式市場に対峙するときのテーマは、(1) 銘柄選択に意味があるのか、(2) (銘柄選択に意味があると仮定した場合)どのように銘柄を選択すべきか、(3) 個別銘柄の値動きと株式市場全体の動きとの間にはどのような関係があるのか、(4) 株式市場全体の動きから利益を上げる方法あるのか、の4点である。
講義では、まず(2)について、決算短信・有価証券報告書から(つまり財務的観点から)検討し、そ の上で(1)と(3)について実際の株価を用いて検証することに重点を置く。

○ 使用ケース
12月決算の上場企業2社の有価証券報告書を用いて、銘柄選択の手法を検討する。分析手法の手引きについては、ケース配布の際に指示する。

○ その他
アサインメントとして、過去データを用いたシミュレーションを行う。詳細は後日指示する。


2日目 債券投資と社債
債券投資を検討する上でもっとも重要な要素は、債券は値下がりすることがある一方で、値上がりすることはほとんどない点である。その点を踏まえた上で、(1) 個人向け社債の銘柄選択に意味があるのか、(2) そもそも社債の銘柄選択をすべきなのか、(3) (現在のような低金利・低利回りの時期に)(国債を含めて)債券投資をする意味があるのか、(4) 社債投資の損益と国債投資の損益との間にはどのような関係があるのか、を考える。
講義では(1)、(2)について、格付けを含めた、いわゆる信用リスクの点から検討することに重点を置く。

○ 使用ケース
個人向け社債との公表されている資料、発行会社の公表されている財務諸表、格付け会社の格付けを用いて、銘柄選択の手法を検討する。分析手法の手引きについては、ケース配布時に指示する。

○ その他
ジャンク債と呼ばれる社債への投資の可否について、クラスディスカッションを通じてコンセンサスを見出す。詳細は後日指示する。


3日目 外貨
外貨での運用を検討する際に意識すべきなのは、(1) 外国に投資をする上で「たまたま」表示通貨が外貨なのか、(2) その資金がどこの国で用いられるのかに関係なく外貨で表示された通貨なのか、の2点である。それに付随するのが、(3) 外国為替相場を本質的に動かしている要素はなにか、(4) 各通貨ごとに市場金利(=銀行預金金利、政策金利、国債利回り)が 異なるのはなぜかの2点である。講義では、これらの論点を「日本よりも金利の高い通貨(たとえば豪ドル)の国(この場合オーストラリア)が 発行している国債を買えば、日本の国債を購入するよりも有利なのか」という命題として捉え、検討する。

○ 使用ケース
各国中央銀行のプレスリリース。注視すべき内容については、ケース配布時に指示する。

○ その他
日本よりも利回りの高い国の国債を購入した場合と、日本の国債を購入した場合との差を、過去のデータを用いてシミュレーションする。詳細は、別途支持する。


4日目 投資信託
投資信託にはさまざまな種類があるが、(1) アセット・アロケーションを任せるか自ら行うか、という選択肢があり、(2) アクティブ運用かパッシブ運用か、という選択肢がある。さらに、アクティブ運用の場合には、1日目・2日目で検討した銘柄選択の有用性、外国通貨との関係を踏まえ、(3) 投資信託間の選択はどのようにするか、も考えなくてはならない。講義では(3)と(1)を検討した上で、(2)について検証する。

○ 使用ケース
複数の投資信託につき、それぞれの交付目論見書を用いて、投資信託の選択手法について検討する。分 析手法の手引きについては、別途指示する。

○ その他
アクティブ運用を行っている投資信託への投資を、株価指数との比較を、過去のデータを用いてシミュレーションを行う。詳細は別途指示する。

第1日(Day1)



第2日(Day2)



第3日(Day3)



第4日(Day4)



第5日(Day5)



第6日(Day6)



第7日(Day7)



成績評価方法 Evaluation Criteria

*成績は下記該当項目を基に決定されます。
*クラス貢献度合計はコールドコールと授業内での挙手発言の合算値です。
講師用内規準拠 Method of Assessment Weights
コールドコール Cold Call 0 %
授業内での挙手発言 Class Contribution 60 %
クラス貢献度合計 Class Contribution Total 60 %
予習レポート Preparation Report 0 %
小テスト Quizzes / Tests 0 %
シミュレーション成績 Simulation 0 %
ケース試験 Case Exam 0 %
最終レポート Final Report 40 %
期末試験 Final Exam 0 %
参加者による相互評価 Peer Assessment 0 %
合計 Total 100 %

評価の留意事項 Notes on Evaluation Criteria

使用ケース一覧 List of Cases

  • 「(第1日)上場企業2社の有価証券報告書 」
  • 「(第2日)個人向け社債発行企業2社につき、企業発表のプレスリリース、発行登録追補、格付け会社のレポートなど 」
  • 「(第3日)代表的な高金利3通貨につき、それぞれの中央銀行の政策金利にかかる発表、理事会要旨 」
  • 「(第4日)ゆうちょ銀行で購入できる日本株式のアクティブ投資信託2件につき、目論見書等 」

教科書 Textbook

  • 永野良佑「これでわかった!ファイナンス」PHPビジネス新書(2008)978-4-569-69689-8
  • 永野良佑「20代からのファイナンス入門 - お金がお金を生む仕組み」ちくま新書(2011)978-4-480-06637-4

参考文献・資料 Additional Readings and Resource

拙著を適宜参照されたし。具体的には:
○ 金融一般について
 『これだけは知っておきたい「金融」の基本と常識』(ISBN978-4-894-51293-1)(近々、改訂版発刊予定)
 『金融の基礎知識100』(ISBN978-4-569-80105-6)

○ 投資という観点からの企業の財務分析について
 『キャッシュ・フロー計算書逆引き会計術』(ISBN978-4-594-06405-1)
 『決定版 わかる!使える!経営分析の基本』(ISBN978-4-569-79331-3)

○ 金融商品の特徴について
 『セールスマンが教えてくれない金融商品のしくみ - 危ない商品はこう見分ける!』(ISBN978-4-502-68960-4)

また、中央経済社の「旬刊経理情報」『アナリストの眼』コーナーに 3号に1回掲載されている拙稿も、その時々の担当教官の問題意識を反映しているので、適宜参照されたい。

授業調査に対するコメント Comment on Course Evaluation

受講生と教官との間の二次元性だけでなく、他の受講生を含めた三次元的な議論の深まりが若干不足していたとの指摘があり、適切なテーマについては、教官の意見よりも他の受講生の意見を聴く機会を設けられるよう努めたい。

担当教員のプロフィール About the Instructor 

 永野 良佑 (ながの りょうすけ)(ryosuke.nagano@gmail.com)
 金融アナリスト
 主な職歴 1989年~2000年 現Royal Bank of Scotland (Credit Trading, Securitisation)、2001年~2003年 現Unicredito (Credit Derivatives)、以降、consultant、analystとして活動。
 専門分野 ストラクチャード・ファイナンス(証券化)、クレジット・トレーディング、デリバティブ、不動産ファイナンス、企業財務分析
 近著 ファイナンスの実務と法(中央経済社)、新版プロが絶対買わない金融商品(扶桑社)、ストーリーでつかむファイナンス理論(日本実業出版社)、法律家のための会計入門(国元書房)
 その他 各種テキストの執筆・制作協力などを通じて金融教育にも高い関心を持っています。また、司法研修所の要請で現役の裁判官向けにデリバティブやストラクチャード・ファイナンスについての講義をすることがあります。


 Ryosuke NAGANO (ryosuke.nagano@gmail.com)
 Financial Analyst
 Principal business activities - Royal Bank of Scotland (Securitisation/Credit Trading - 1989 - 2000), UniCredito (Credit Derivatives 2001-03), then analyst/consultant
 Practice Area - Structured Finance (Securitisation), Credit Trading, Derivatives, Real Estate Finance, Financial Analyses
 Recent Publications - Legal Literacy in Finance (Chuo Keizai), Financial Products that Professionals would Shun Away (Fusosha), Learning Finance through Stories (Nihon Jitsugyo Publishing), Introduction to Accounting for Lawyers (Kunimoto Publishing)
 Other interest - The lecturer is interested in promoting public financial literacy and have been trying to make contributions through writing and/or help editing text books in the field. The lecturer is often asked to speak to judges for part of their training on derivatives and/or structured finance.







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